この記事の要点

  • 相続にかかわる税金は「相続税」だけではない。亡くなった方の所得税(準確定申告)、生前の贈与税、相続した不動産を持ち続ける・売る・名義を変えるときの税金など、場面ごとに別々の税目が関係してくる
  • 期限がある申告の代表は、準確定申告(原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内)と相続税の申告(同じく10か月以内)
  • 税金がかかるかどうか、申告が必要かどうか、税額がいくらになるかは、個別の事情によって変わるため税理士に確認する
  • 相続の場面で司法書士が登記手続きの一環として税額を計算して案内できるのは、登記を受けるときにかかる「登録免許税」だけ
  • 下の一覧表で自分の状況に近い行を探し、詳しくはそれぞれの記事へ進んでください

相続のあとに「どんな税金がかかるのか」を考えるときは、まず「どの場面の税金か」を一つ決めて、その税目の記事から読むのが近道です。相続の税金というと相続税が思い浮かびますが、実際には、亡くなった方のその年の所得、生前に受けた贈与、相続した不動産の保有・売却・名義変更など、場面ごとにかかわる税目が違います。

誰が何を担当するのか(登記は司法書士、税金の申告や税額の相談は税理士、という役割分担)は、司法書士と税理士の役割分担──相続で「登記の人」と「税金の人」で整理しています。この記事では役割分担の説明はそちらにゆずり、「どの税目が、いつ、誰に関係しそうか」を案内する目次の役割に徹します。本記事は、執筆時点(2026年09月)の制度に基づく一般的な解説です。

税目別の入口一覧

税目 関係しそうな場面 税額・申告の確認先 まず読む記事
相続税 亡くなった方の財産を相続・遺贈で受け取ったとき 税理士 相続税の基礎控除とは
贈与税 生前に親などから財産をもらったとき 税理士 暦年贈与と相続時精算課税
所得税(準確定申告) 亡くなった方にその年の所得があったとき 税理士 準確定申告とは
所得税・住民税(譲渡所得) 相続した不動産を売って利益が出たとき 税理士 相続した実家を売りたいとき
固定資産税・都市計画税 相続した不動産を持ち続けるとき(毎年) 市区町村(東京23区は都)の窓口・税理士 亡くなった親の固定資産税は誰が払う?
不動産取得税 不動産の名義を移したとき(名義変更の理由で扱いが変わる) 税理士 不動産取得税は登記原因で決まる
登録免許税 相続登記など、登記を申請するとき 司法書士 登録免許税は誰に相談する税金?
印紙税 不動産の売買契約書などを作るとき 国税庁の電話相談センター・税務署 不動産の売買契約書に貼る収入印紙

あてはまる行が複数あるのは珍しいことではありません。その場合も、期限が近いものから読み始めれば十分です。

税目別の読み方ガイド

相続税──亡くなった方の財産を受け取ったとき

相続や遺贈(遺言で財産をもらうこと)で財産を受け取ったときに関係するのが相続税です。相続税には「遺産に係る基礎控除額」という、一定額までは課税されない枠があります。その枠の考え方と、枠を計算するときの「法定相続人の数」の独特な数え方は、相続税の基礎控除とはで整理しています。

相続税の申告が必要になる場合、その期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。10か月の中で何をどの順に済ませていくかは、相続税の申告期限『10か月』をご覧ください。

このほか、相続税には次のような個別の制度があります。どれも「自分の場合に当てはまるか」「いくら変わるか」は税理士の判断が必要です。

  • 配偶者の税額軽減:配偶者が受け取る遺産についての軽減制度です。軽減の結果、納める税額がゼロになる場合でも申告書の提出が必要とされている点に注意が必要です。相続税の配偶者の税額軽減とはへ
  • 相次相続控除:10年以内に相続が続いたときに、二回目の相続税の負担を調整する制度です。相次相続控除の入口へ
  • 延納・物納:相続税は金銭で一括して納めるのが原則で、それが難しい場合の例外が延納(分割払い)と物納(財産そのもので納める)です。相続税は金銭一括納付が原則へ
  • 連帯納付義務:自分の分を納めても、他の相続人の分について責任が残ることがある仕組みです。相続税の『連帯納付義務』とはへ

受取人が指定された生命保険金や死亡退職金は、民法上の相続財産とは扱いが分かれますが、相続税の計算では「みなし相続財産」として対象になります。この違いは相続放棄をしても生命保険金は受け取れる?、会社に退職金規程がない場合の死亡退職金の考え方は死亡退職金と弔慰金のきほんで扱っています。

贈与税──生前に財産をもらったとき

親などから生前に財産をもらったときに関係するのが贈与税です。贈与税には「暦年贈与」と「相続時精算課税」という2つの制度があり、2024年1月の改正で仕組みが大きく変わりました。制度の概要は暦年贈与と相続時精算課税で整理しています。生前の贈与は、亡くなった後の相続税の計算にもかかわることがあるため、相続と切り離さずに考える必要があります。

「贈与」という形をとっていなくても、贈与とみなされる場合があります。親族間で不動産を時価より著しく低い価格で売買した場合は親族間売買の「適正価格」、親から住宅資金の援助を受けて家を買い、出資額と登記の持分がずれている場合は親からの住宅資金援助と登記が入口です。婚姻20年以上の夫婦間の自宅の贈与(いわゆる「おしどり贈与」)については、おしどり贈与をご覧ください。

どちらの制度を選ぶか、贈与税がかかるかどうか、いくらになるかは税理士にご相談ください。

所得税(準確定申告)──亡くなった方にその年の所得があったとき

相続や遺贈で財産を受け取ったこと自体には、所得税はかかりません(所得税法9条1項17号)。その代わりに相続税の枠組みで扱われます。この整理と、それでも所得税が関係する場面については相続でもらった財産に所得税はかからない?で解説しています。

所得税が関係する場面の一つが、亡くなった方自身のその年の所得です。確定申告が必要な所得があった場合には、相続人が代わりに「準確定申告」を行います。期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。誰が申告するのか、どこの税務署へ出すのかは準確定申告とは、4か月という期限の考え方は準確定申告とは?相続で見落としやすい「4か月以内」の申告期限をご覧ください。

準確定申告が必要かどうかの判断や税額の計算は、税理士の業務です。

所得税・住民税(譲渡所得)──相続した不動産を売ったとき

相続した不動産を売って利益が出た場合には、その利益に対して所得税・住民税がかかることがあります。相続した不動産を売るときは、取得費(買ったときの値段など)や取得した時期は、亡くなった方のものを引き継ぐのが原則です。売却までの流れ(売る前にまず相続登記が必要なこと)とあわせて、相続した実家を売りたいときで整理しています。

亡くなった方が一人で住んでいた家を売る場合には、一定の要件を満たすと使える特例があります。制度の大枠は空き家の3,000万円特別控除をご覧ください。

特例が使えるかどうか、税額がいくらになるか、申告が必要かどうかは税理士にご確認ください。

固定資産税・都市計画税──相続した不動産を持ち続けるとき

相続した不動産を持ち続けると、毎年かかるのが固定資産税です。固定資産税は、市区町村(東京23区では都)が毎年1月1日時点の所有者をもとに税額を計算して通知する税金で、名義人が亡くなって相続登記がまだの間も、課税が止まるわけではありません。相続登記が済むまでの間、納税通知書を誰が受け取るかを決める届出のしくみは、亡くなった親の固定資産税は誰が払う?で解説しています。

相続で兄弟姉妹などと共有名義にした場合の考え方は相続で共有名義にした不動産の固定資産税、誰が払う?、同じ納税通知書に載ることが多い都市計画税は都市計画税とは何か、相続した空き家を取り壊すと土地の固定資産税が上がることがある理由は空き家を取り壊すと土地の固定資産税が上がるのはなぜ?をご覧ください。

納税通知書に載っている課税明細書は、相続登記の準備でも使う書類です。見方は固定資産税の課税明細書の見方で紹介しています。届出や通知書の内容は、その不動産のある市区町村の窓口(東京23区では都税事務所)で確認できます。

不動産取得税──不動産の名義を移したとき

不動産取得税は、不動産を取得したときにかかる都道府県の税金です。登記の際にその場で納めるものではなく、しばらくしてから納税通知書が届くしくみです(不動産取得税とは)。

相続によって取得した場合は原則として課税されませんが、相続人以外の人が受け取る特定遺贈や、死因贈与、生前の贈与などは扱いが異なります。名義変更の理由(登記原因)によって扱いが分かれる点は、不動産取得税は登記原因で決まるで整理しています。自分の場合に課税されるか、税額がいくらになるかは税理士にご確認ください。

登録免許税──登記を申請するとき

相続登記など、登記を申請するときに納めるのが登録免許税です。相続による所有権移転登記の場合は、原則として不動産の価額の1000分の4です(登録免許税法別表第一第一号(二)イ)。また、令和9年3月31日までの時限措置として、一定の土地の相続登記について登録免許税が免除される措置があります(租税特別措置法84条の2の2)。免除される土地の範囲と、申請書への記載が必要な点は相続登記の登録免許税が『ゼロ』になる土地で解説しています。

登録免許税は、この記事で取り上げる税目の中で、司法書士が登記の申請と一体のものとして税額を計算して案内できる唯一の税金です。 登録免許税は、税理士法2条1項が税理士業務の対象となる「租税」から明文で除いている税金で、登記の申請と一体で計算・納付するため、登記手続きの一環として司法書士が案内しています。その理由は登録免許税は誰に相談する税金?で詳しく整理しています。登録免許税の計算のもとになる「価格」が、相続税で使う価格とは別物である点は、固定資産税評価額・相続税評価額・実勢価格をご覧ください。

印紙税──契約書を作るとき

相続した不動産を売るときなどに作る売買契約書には、印紙税がかかります。印紙税は、不動産を取得したことではなく、契約書という「文書」を作ったことに対してかかる国税で、契約金額に応じて税額が段階的に決まります。しくみは不動産の売買契約書に貼る収入印紙、金額はどう決まる?で紹介しています。

なお、印紙税も税理士法2条1項で税理士業務の対象から除かれている税目の一つですが、登記の申請に伴う税金ではありません。作る文書が課税の対象になるかどうかといった一般的な相談は、国税庁の電話相談センター(各国税局に設置)や所轄の税務署で受け付けています。

期限のある税の手続きを時系列で

相続に関係する税の手続きのうち、期限が決まっている代表的なものを並べると次のとおりです。

時期の目安 手続き 確認先
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 準確定申告(必要な場合) 税理士
相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内 相続税の申告・納付(必要な場合) 税理士
毎年 固定資産税・都市計画税の納付 市区町村(東京23区は都)

相続放棄(3か月)や相続登記の申請義務(3年)など、税以外の期限も同じ時期に重なってきます。死亡後の手続き全体の時系列は、死亡後の手続きスケジュール全体像で整理しています。

まとめ

相続にかかわる税金には、相続税のほか、贈与税、所得税(準確定申告・売却時の譲渡所得)、固定資産税・都市計画税、不動産取得税、登録免許税、印紙税など、場面ごとに別々の税目があります。どれが自分に関係するかは、「亡くなった方にその年の所得があったか」「生前に贈与を受けたか」「相続した不動産を持ち続けるのか、売るのか」といった場面から考えると整理しやすくなります。

税金がかかるかどうか、申告が必要かどうか、税額がいくらになるかは税理士の判断が必要です。一方で、相続登記とその登録免許税は司法書士が案内できます。相続した不動産の名義変更を含めて、手続き全体をどこから進めればよいか整理したいときは、お近くの司法書士にご相談ください(税額や申告については税理士にご確認ください)。

よくある質問

Q. 相続の税金について相談すると、費用はかかりますか?

相談先や依頼する内容によって異なります。相続税や準確定申告の申告を税理士に依頼する場合の報酬は、税理士ごとに異なります。相続登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士の報酬とは別に、実費として登録免許税がかかるのが原則です(上で紹介した免税措置の対象となる土地を除きます)。具体的な金額は、それぞれの依頼先に見積もりを確認してください。

Q. 税の手続きを期限までにしないと、どうなりますか?

準確定申告は原則4か月以内、相続税の申告・納付は原則10か月以内という期限があります。申告や納付が遅れると、延滞税などの負担が生じることがあります(死亡後の手続きスケジュール全体像参照)。また、固定資産税は相続登記がまだでも課税が続きます。期限が近い、または過ぎてしまった場合ほど、早めに税理士にご確認ください。

Q. 自分で判断できますか?どこに相談すればいいですか?

税金がかかるかどうかや申告が必要かどうかは、財産の内容や家族構成によって変わるため、自己判断で済ませずに税理士に確認するのが安全です。相続登記と登録免許税についてはお近くの司法書士に、固定資産税の納税通知書や届出については不動産のある市区町村の窓口(東京23区では都税事務所)にご相談ください。


【さらに深掘り】相続の税金で判断が分かれやすい論点の整理

ご注意 以下は執筆時点(2026年09月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

税理士法2条が定める「税理士業務」と対象外の税目

税理士法2条1項は、税理士が他人の求めに応じて行う業務として、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つを定めています。このうち税務相談は、申告などに関して、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることとされています。

同項は、ここでいう「租税」から、印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税、法定外目的税その他の政令で定めるものを除いています。そのうえで、税理士法52条は、税理士または税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除き、税理士業務を行ってはならないと定めています。

この2つの条文から、次のように整理できます。

  • 相続税・贈与税・所得税など:依頼を受けて、個別の事情にあてはめて税額を計算すること、申告が必要かどうかを判断すること、申告書を作成することは税理士業務にあたり、税理士でない司法書士は行えません
  • 登録免許税:税理士法2条1項で対象から除かれており、税理士法52条による制限が及ばないため、登記の申請の一環として司法書士が税額を計算し、案内できます
  • 印紙税:同じく対象から除かれている税目ですが、契約書などの文書にかかる税であり、登記の申請に伴う税ではありません

このため、相続の場面で司法書士が案内できるのは、相続税・贈与税・所得税などについては制度の一般的な仕組みまでであり、登記手続きの一環として税額を計算して案内できるのは登録免許税に限られます。

遺産分割のやり方が税に影響する場面

遺産分割は民法上の手続きですが、分割の時期や方法によって、税の扱いが変わる場面があります。どちらに当たるか、いくら変わるかの判断は税理士の領域ですが、「どこで判断が分かれるか」を知っておくと、相談の際に論点を伝えやすくなります。

(1) 申告期限までに遺産分割がまとまらない場合

相続税の申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)は、遺産分割がまとまっているかどうかにかかわらず到来します(相続税法27条1項)。まだ分割されていない財産がある場合、その財産については、各相続人が民法の規定による相続分(寄与分は考慮しない)に従って取得したものとして課税価格を計算し、申告することとされています(相続税法55条)。その後に分割がまとまり、各人の課税価格が変わった場合には、修正申告や更正の請求で調整する仕組みがあります。この場合の更正の請求は、分割が行われて課税価格が変わったこと(その事由が生じたこと)を知った日の翌日から4か月以内に限られます(相続税法32条1項1号)。

注意が必要なのは、特例の扱いです。配偶者の税額軽減は、申告期限までに分割されていない財産を軽減の計算の基礎に含めないとされています(相続税法19条の2第2項)。ただし、申告期限から3年以内に分割された場合には、その財産も対象になります。そのためには、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」(分割されていない事情と分割の見込みの詳細を記載した書類)を添付しておくことが求められます(相続税法19条の2第3項、相続税法施行規則1条の6第3項2号)。国税庁のタックスアンサー(No.4208)では、小規模宅地等の課税価格の特例についても同様の扱いが示されています。3年以内に分割できないことについて、訴えが提起されているなどのやむを得ない事情がある場合には、税務署長の承認を受ける手続も設けられています。

(2) 代償分割(財産を取得した相続人が、他の相続人にお金などを支払う方法)

代償分割では、所得税の扱いについて国税庁の通達が次の点を示しています。

  • 代償として金銭ではなく不動産などの資産を渡した場合、渡した相続人は、その時の価額でその資産を譲渡したことになる(所得税基本通達33-1の5)
  • 代償として負担した債務の額は、その相続人が相続で取得した資産の取得費には算入されない(所得税基本通達38-7(1))
  • 代償として資産を受け取った相続人は、その時の価額でその資産を取得したことになる(所得税基本通達38-7(2))

つまり、「何を代償として渡すか」によって、相続税とは別に譲渡所得の問題が生じうるということです。

(3) 換価分割(遺産を売却して、その代金を分ける方法)

換価分割では、売却した時点で代金の取得割合が確定しているかどうかで、譲渡所得の申告の扱いが分かれるとする国税庁の質疑応答事例があります。この事例では、取得割合が確定していないまま売却した場合は、原則として法定相続分により申告することになり、所得税の確定申告期限までに代金が分割され、共同相続人全員がその取得割合に基づいて申告した場合にはその申告が認められるとされています。一方、申告期限後に代金が分割されても、それを理由とする更正の請求等はできないとされています。

また、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義で相続登記をしてから売却し、代金を分配するケースについて、その登記が単に換価のための便宜のものであり、代金が遺産分割の調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税は問題にならないとする質疑応答事例もあります。いずれも個別の照会に対する一般的な回答であり、事実関係が異なれば結論も変わりえます。誰の名義で相続登記をするかという登記の段取りが税の扱いに関係しうるため、換価分割を予定している場合は、登記の前に税理士に確認しておくことが大切です。 分割方法ごとの登記の違いは、遺産の「分け方」には4つの型がありますで整理しています。

登記の時期と税の期限がずれるときの注意

相続に関する登記と税には、それぞれ別の期限があります。

  • 相続税の申告:相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内(相続税法27条1項)
  • 相続登記の申請義務:相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内(不動産登記法76条の2第1項)。法定相続分での相続登記の後に遺産分割があり、法定相続分を超えて取得した場合は、遺産分割の日から3年以内(同条2項)

登記の期限のほうが長いため、「登記はまだ先でよい」と考えていると、税の期限だけが先に来ることになります。期限内に相続登記ができそうにないときの手段として「相続人申告登記」(不動産登記法76条の3)がありますが、これは相続人である旨の申出があったことを登記に付記するもので、遺産分割の結果を反映した名義変更ではありません。税の申告とも別の手続きです(制度の概要は相続人申告登記とは何か)。

相続した不動産を売却する場合にも、期限の組み合わせが問題になることがあります。相続税額がある人が、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産を譲渡した場合には、譲渡所得の計算上、相続税額のうち一定の金額を取得費に加算する特例があります(租税特別措置法39条1項)。売却の前提として通常は相続登記が必要になるため、遺産分割や相続登記が長引くと、売却の時期がこの期間とかみ合わなくなることもありえます。特例が使えるかどうか、いくら加算されるかは税理士の判断事項ですが、売却を考えている場合は、登記の段取りと税の期間の両方を早めに確認しておくことが、判断の分かれ目を見落とさないための基本です。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年09月・いずれも一次情報です)。

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