固定資産税は毎年見直されるの?──3年に1度の『評価替え』と据置年度のしくみ

この記事の要点 固定資産税評価額は原則として3年に1度(基準年度)に見直され(評価替え)、残りの2年間(据置年度)は同じ価格が据え置かれる 据置年度中でも、地目の変換や家屋の増改築など特別の事情があれば例外的に価格が修正されるほか、土地には地価が下落した場合に対応する修正の仕組みもある 相続や売買で登記名義が変わっても評価額や税額がすぐには動かないことがあるのは、評価替えの周期と「賦課期日」という別のルールが関係している 「去年の固定資産税の納税通知書と、今年届いた通知書を見比べたら、評価額の欄がまったく同じ数字だった」というお話や、逆に「特に何もしていないのに評価額が上がっていた」というお話を伺うことがあります。実はどちらも、固定資産税評価額が3年に1度まとめて見直される、という制度の仕組みによるものです。なお、本記事は評価替え・据置年度の一般的なしくみをご説明するものであり、個々の土地・家屋について評価額がどう計算されるか、具体的な税額がいくらになるかといった試算は行いません。あらかじめご了承ください。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

固定資産税の『免税点』とは──小さな土地でも税金がかからないことがある仕組み

この記事の要点 固定資産税には「免税点」があり、土地30万円未満・家屋20万円未満・償却資産150万円未満なら原則として課税されない 免税点は一筆・一棟ごとではなく、同じ市区町村内でその人が持つ土地全体(または家屋全体)の合計額で判定される(共有名義の持分の取扱いは別途確認が必要) 令和9年度(2027年度)分から家屋の免税点は30万円、償却資産は180万円に引き上げられる(土地の30万円は据え置き) 「納税通知書が来ない=相続登記もしなくていい」ではない点に注意 固定資産税の納税通知書が届かない土地がある、というご相談を受けることがあります。山林や評価額の低い小さな土地などで起こりやすい現象で、その理由のひとつが、地方税法が定める「免税点」という仕組みです。ただし、通知が届かない理由は免税点だけとは限らず、公共の用に供する道路のようにそもそも非課税とされている場合など、別の理由によることもあります。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

都市計画税とは何か──固定資産税とセットで課税される理由

この記事の要点 都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用にあてるための市町村の「目的税」で、固定資産税とは別の税金(地方税法702条) 課税できる区域は都市計画区域の中に限られ、区域区分(線引き)がある都市計画区域では「市街化区域」内の土地・家屋、線引きがない都市計画区域では条例で定める区域が対象になる(地方税法702条1項)。税率は0.3%が上限(地方税法702条の4)。課税するかどうかや実際の税率は市町村ごとに異なる 固定資産税評価額を課税標準とする点や、毎年1月1日時点の所有者に課税される点は固定資産税と共通しているため、1枚の納税通知書にまとめて記載されることが多い 固定資産税の納税通知書を見ると、「固定資産税」の欄の隣に「都市計画税」という欄が並んでいて、合計額が請求されていることがあります。この2つは名前が並んでいるため同じ税金の一部だと思われがちですが、法律上は別の税金です。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし

相続で共有名義にした不動産の固定資産税、誰が払う?──連帯納税義務と『代表者』のしくみ

この記事の要点 共有名義の不動産の固定資産税は、持分の割合にかかわらず共有者全員が全額について連帯して納める義務を負う(地方税法10条の2) 納税義務者は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者(同法343条1項・2項、359条)。登記簿や課税台帳上の所有者が賦課期日より前に亡くなっているときは、相続登記が済んでいなくても、その日に不動産を現に所有している相続人が納税義務者とされる(同法343条2項後段) 実務上は共有者の中から「代表者」が定められ、その代表者あてに納税通知書がまとめて送られるが、代表者だけが法的な納税義務を負うわけではない 相続で不動産を兄弟姉妹などと共有名義にすると、「持分に応じて、それぞれ別々に納税通知書が届いて、自分の持分の分だけ払えばいい」と考えている方が少なくありません。しかし、固定資産税に関する限り、この理解は正確ではありません。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

空き家を取り壊すと土地の固定資産税が上がるのはなぜ?──住宅用地の特例のしくみ

この記事の要点 建物が建っている土地は「住宅用地の特例」によって固定資産税の課税標準(税率をかける前の土台になる金額)が下げられている。建物を取り壊すとこの特例から外れるため、土地の固定資産税が上がることがある 軽減の割合は、200平方メートル以下の部分が価格の6分の1、それを超える部分が3分の1(地方税法349条の3の2第1項・第2項)。都市計画税にも同様の特例があるが割合は3分の1・3分の2で異なる(同法702条の3) 「更地にすると6倍になる」という言い方は正確とはいえない。負担調整措置があり、評価額も取扱いも土地ごと・市町村ごとに違うため、実際の金額はその不動産のある市町村の窓口で確かめる必要がある 結論から書きます。建物を取り壊すと土地の固定資産税が上がることがあるのは、「住宅用地の特例」という税負担を軽くする仕組みが、その土地が住宅の敷地として使われていることを前提にしているからです。建物がなくなれば前提が失われ、原則として特例の適用から外れます。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

土地の「地目」とは?田・畑・宅地・雑種地で何が変わる?相続・売買の登記への影響

この記事の要点 地目(ちもく)とは、登記簿に記録される「土地の主な用途の区分」のこと。田・畑・宅地・雑種地など23種類ある 地目が「田」「畑」(農地)だと、権利を動かしたり別の用途に変えたりする際に農地法の許可・届出が必要になる場合がある 地目や現況(実際の使われ方)によって固定資産税の評価が変わる仕組みがあるが、税額の計算や有利不利の比較は税理士の領域 地目そのものを変更する登記は土地家屋調査士の業務で、司法書士が扱う相続登記・売買登記(権利部の登記)とは担当が異なる まずは登記簿(登記事項証明書)で自分の土地の地目を確認することが、相続や売買を考えるときの最初の一歩 地目とは何か──登記簿に記録された「土地の用途」 地目とは、登記簿上でその土地が主にどのような用途に使われているかを示す区分です。不動産登記規則第99条では、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地の23種類に区分すると定められています。 ...

2026年7月26日 · ひぐらしさとし

固定資産税の『精算金』は税金なのか──決済日に買主・売主で分け合うお金の正体

この記事の要点 固定資産税は「毎年1月1日時点の登記簿上の所有者」に対して1年分課税される 年の途中で売買しても納税義務者は変わらないため、決済時に日割りで精算するのは商慣習であり、法律上の税金の分割ではない 精算金の法的性質は「売買代金の一部」と理解されており、税額そのものを分けているわけではない 不動産の売買決済の場では、固定資産税・都市計画税を「所有していた期間に応じて」買主と売主で日割り計算し、買主が売主へ精算金を支払う商慣習があります。この精算金を、税金そのものが分割されていると誤解している方が少なくありません。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし