この記事の要点
- 親等は「親族間の世代数」で数える(民法726条1項)。親と子のあいだが一親等で、親子関係を1つたどるごとに1ずつ増える
- 兄弟姉妹やおじ・おば、いとこのような「傍系」は、共通の祖先までいったんさかのぼり、そこから下る世代数を合計して数える(同条2項)。兄弟姉妹は二親等、おじ・おば・甥・姪は三親等、いとこは四親等
- 民法が親族と呼ぶのは「六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族」(725条)。養子は縁組の日から養親とその血族のあいだで血族と同じ親族関係になる(727条)
法律の条文には、「四親等内の親族」「直系尊属」「三親等内の傍系血族」といった言葉がたびたび出てきます。結論から言うと、親等とは親族のあいだの世代の数のことで、直系・傍系はタテ・ヨコの区別です。「直系尊属」は父母・祖父母など自分より上の世代の直系の親族、「直系卑属」は子・孫など下の世代の直系の親族を指します。これらの言葉と親等の数え方を押さえれば、「四親等内」「直系尊属」が誰を指すのかは条文から読み取れます。
親等は「世代の数」──直系は親子関係を1つずつ数える
民法726条1項は「親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める」と定めています。親と子のあいだが1世代なので、父母と子は互いに一親等です。そこからもう1世代たどると二親等になります。
親から子、子から孫へと、タテにつながる関係を「直系」といいます。直系の親等は、親子関係をたどった数そのものです。
- 一親等:父母、子
- 二親等:祖父母、孫
- 三親等:曽祖父母(ひいおじいさん・ひいおばあさん)、ひ孫
傍系は「共通の祖先までさかのぼって下る」
兄弟姉妹やおじ・おば、いとこは、タテの線ではつながっていません。このようにヨコに枝分かれした関係を「傍系」といい、726条2項が数え方を定めています。「その一人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数による」というものです。
たとえば兄弟姉妹なら、自分から共通の祖先である父母まで1世代さかのぼり、父母から兄弟姉妹へ1世代下るので、合計して二親等です。同じ要領で数えると、次のようになります。
- 二親等:兄弟姉妹
- 三親等:おじ・おば(父母の兄弟姉妹。自分→父母→祖父母で2、祖父母→おじ・おばで1)、甥・姪(自分→父母で1、父母→兄弟姉妹→甥・姪で2)
- 四親等:いとこ(自分→父母→祖父母で2、祖父母→おじ・おば→いとこで2)
「兄弟姉妹は家族として近いのに二親等なのか」と意外に思われるかもしれませんが、親子という1世代を2回たどっている、というのが条文の数え方です。
直系尊属・直系卑属は「上の世代か、下の世代か」
「直系尊属(そんぞく)」「直系卑属(ひぞく)」という言葉もよく出てきます。民法には「尊属」「卑属」そのものの定義は置かれていませんが、条文での使われ方から意味を読み取ることができます。たとえば民法901条1項は、代襲相続人(本来相続人となるはずだった子に代わって相続する孫など)を「直系卑属」と呼び、その親(本来の相続人だった子)を「その直系尊属」と呼んでいます。
- 直系尊属:父母、祖父母、曽祖父母など
- 直系卑属:子、孫、ひ孫など
なお、「傍系尊属」「傍系卑属」という言葉は民法の条文には出てきません。また、民法793条は「尊属又は年長者は、これを養子とすることができない」と、尊属と年長者を別々に挙げており、尊属が単に年上の人を指す言葉ではないことがうかがえます。
この区別が効いてくるのが相続の順位です。民法889条1項は、子(またはその代襲相続人)がいない場合に、まず「被相続人の直系尊属」が、次に「被相続人の兄弟姉妹」が、この順序で相続人になると定め、直系尊属については「親等の異なる者の間では、その近い者を先にする」としています。父母(一親等)のうち1人でも相続人となるなら、祖父母(二親等)は相続人になりません。兄弟姉妹が相続人になる場合の手続きは、兄弟姉妹が相続人になるときの記事で扱っています。
血族・姻族・配偶者──「親族」の範囲は725条
民法725条は、親族の範囲を次の3つに限定しています。
- 六親等内の血族
- 配偶者
- 三親等内の姻族
「血族」は血のつながりのある親族、「姻族」は結婚によってつながった親族(配偶者の血族、血族の配偶者)です。配偶者については、725条2号が親等の限定を付けずに単独で親族としており、親等を数える対象にはなっていません。
配偶者の血族(義父母など)を姻族として数えるときは、配偶者を起点にして親等を数えます(傍系について726条2項が「その一人又はその配偶者から」さかのぼると定めているのと同じ考え方です)。配偶者の父母(義父母)は一親等の姻族、配偶者の兄弟姉妹は二親等の姻族、配偶者の甥・姪やおじ・おばは三親等の姻族です。なお、姻族関係は離婚によって終了し、配偶者が亡くなった場合は、残された配偶者が終了させる意思を表示したときに終了します(728条)。
養子については727条が、「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる」と定めています。養子は縁組の日から養親の一親等の血族になり、養親の父母は養子の祖父母(二親等の血族)にあたります。この親族関係は離縁によって終了します(729条)。養子縁組と戸籍の動きは、養子縁組があると戸籍はどう動くかの記事で解説しています。
条文の中の「○親等内」を実際に読んでみる
「四親等内の親族」(民法7条) 成年後見の開始を家庭裁判所に請求できる人として、本人・配偶者のほか「四親等内の親族」が挙げられています。ここまでの数え方を当てはめると、父母・祖父母・子・孫・兄弟姉妹・おじ・おば・甥・姪はもちろん、四親等の血族であるいとこや、三親等内の姻族である配偶者の甥・姪まで含まれます。申立ての流れは成年後見開始の申立ての記事をご覧ください。なお、成年後見の制度は2026年(令和8年)6月に公布された民法の改正(令和8年法律第45号)で見直されることになっており、施行後は民法7条の内容も改められます(施行日は、公布の日から2年6か月を超えない範囲で政令で定められます)。
「直系血族又は三親等内の傍系血族」(民法734条1項) 結婚できない近親者の範囲です。直系血族のあいだでは親等を問わず結婚できず、傍系血族ではおじ・おばと甥・姪(三親等)までが禁止の範囲です(ただし書により、養子と養方の傍系血族との間は除かれます)。四親等のいとこは、この条文が挙げる範囲には入っていません。
「直系血族及び兄弟姉妹」(民法877条1項) 互いに扶養をする義務がある親族の範囲です。同条2項により、家庭裁判所は特別の事情があるときに「三親等内の親族」にも扶養の義務を負わせることができます。
「一親等の血族及び配偶者」(相続税法18条1項) 相続税には、財産を取得した人が被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属を含む)と配偶者のいずれでもない場合に、その人の相続税額に2割を加算する仕組みがあります。兄弟姉妹(二親等)や甥・姪(三親等)が財産を取得するとこの対象になり、同条2項により、直系卑属である孫を養子にした場合も原則として対象です。この仕組みの詳細は相続税の2割加算の記事にまとめています。実際に税額がいくらになるかは税理士にご確認ください。
執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。
まとめ
- 親等は親族間の世代数(民法726条1項)。父母・子は一親等、祖父母・孫・兄弟姉妹は二親等、曽祖父母・ひ孫・おじ・おば・甥・姪は三親等、いとこは四親等
- 傍系は共通の祖先までさかのぼって下る世代数で数える(同条2項)。配偶者の血族(姻族)は配偶者を起点に数え、配偶者自身は親等を数える対象ではない
- 直系・傍系はタテ・ヨコの区別。「直系尊属」は父母・祖父母など上の世代、「直系卑属」は子・孫など下の世代の直系の親族を指す
- 親族の範囲は六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族(725条)。養子は縁組の日から養親の血族と同じ関係になる(727条)
親等の数え方は、相続人の範囲や後見の申立てなど、さまざまな手続きの入口で必要になる基礎知識です。もっとも、実際に誰が相続人になるのか、どの親族が手続きに関われるのかは、戸籍で確認しながら個別の事情に応じて判断することになります。相続や登記の手続きで迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。
- 民法 第7条・第725条〜第729条・第734条・第793条・第877条・第889条・第901条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)附則第1条・改正後の民法第7条(e-Gov法令検索・未施行版): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089_20281223_508AC0000000045
- 相続税法 第18条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073