相続の相談前に「家族構成メモ」を手書きで用意すると話が早い理由──書く項目と、分からなくてもいいこと

この記事の要点 相談前に用意すると役に立つのは、正式な図ではなく亡くなった方を中心に家族の名前を並べただけの手書きメモで十分 書く項目の目安は、配偶者/子/先に亡くなった人/(子がいなければ)親・兄弟姉妹/再婚・養子縁組・認知の有無/連絡が取れない人 分からないところは空欄のままでよい。戸籍を取り寄せて相続人を確定するのは司法書士側の仕事で、メモはその出発点になる 相続の相談に行く前に、紙一枚に家族の名前を書き出しておくと、初回相談の話は目に見えて早く進みます。用意するのは、きれいに整った図である必要はまったくありません。亡くなった方を真ん中に置いて、配偶者と子の名前を線でつないだだけの走り書きで十分です。 ...

2026年9月3日 · ひぐらしさとし

住宅用家屋証明書とは──登録免許税が軽くなる書類の基礎(誰が・どこで・いつ取る)

この記事の要点 住宅用家屋証明書は、マイホームの登記にかかる登録免許税を軽い税率にするために、登記申請書に添付する書類です 発行するのは税務署でも法務局でもなく、その家屋がある市区町村(役所の資産税課・税務課など)です 軽減は自動では受けられません。登記を申請する前に証明書を用意しておく必要があります マイホームを新築したり買ったりすると、所有権の登記や住宅ローンの抵当権の登記をすることになり、国に**登録免許税(とうろくめんきょぜい)を納めます。一定の要件を満たす「自分が住むための家」については、この税率が本来より軽くなる仕組みがあり、その軽減を受けるための入場券にあたるのが住宅用家屋証明書(じゅうたくようかおくしょうめいしょ)**です。 ...

2026年9月3日 · ひぐらしさとし

実家を取り壊したら1か月以内に「建物滅失登記」──相続した家を解体するときの期限

この記事の要点 登記されている建物を取り壊したときは、取り壊した日(滅失した日)から1か月以内に建物滅失登記を申請する義務がある 期限内に申請しないと過料の対象になり得る 未登記の建物には建物滅失登記そのものが不要で、自治体への届出だけで足りる場合がある 本文 相続した実家が古くなり、住む人もいないまま取り壊しを決めるケースは珍しくありません。ここで見落とされやすいのが、建物を取り壊したあとの「建物滅失登記」という手続きです。取り壊し工事そのものは業者が進めてくれますが、その後の登記手続きは所有者側で対応する必要があり、しかも期限が定められています。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし

戸籍に出てくる「戸主」とは?──家督相続と、いまの相続との違い

この記事の要点 古い戸籍には「戸主」「前戸主」という記載が出てくることがあり、これは家制度のもとで一家の代表者とされた人を指す かつては「家督相続」という制度があり、戸主の地位や財産は、原則として一人の相続人に単独で引き継がれる仕組みだった 家督相続は、昭和22年(1947年)5月3日=日本国憲法の施行日以降に開始した相続には適用されなくなっており、相続がいつ開始したかによって適用される制度が変わる(ただし、切り替わりの前後については経過規定による例外も置かれている) 本文 数次相続が絡む案件で、被相続人の出生まで戸籍を遡っていくと、明治・大正・昭和初期に編製された戸籍にたどり着くことがあります。そこに記載されている「戸主(こしゅ)」「前戸主」という文字を見て、いまの戸籍にはない言葉に戸惑う方は少なくありません。この記事では、戸主とは何か、そして戸主制度と結びついていた「家督相続」という古い相続の仕組みについて整理します。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし

成年後見人あてに本人の郵便物が届く?──郵便物等の回送・管理の制度

この記事の要点 成年後見人は、家庭裁判所の許可(嘱託)があれば、本人あての郵便物等を自分の住所に配達してもらうことができます(民法860条の2) 配達された郵便物等は、後見人が開いて見ることができます。ただし後見の事務に関係ないものは、速やかに本人へ渡さなければなりません(民法860条の3) 本人は、後見人が受け取った郵便物等(すでに本人に渡されたものを除く)について、後見人に閲覧を求めることができます 結論からお伝えします。成年後見人は、家庭裁判所の許可(嘱託)なしに本人あての郵便物を受け取れるわけではありません。嘱託を経て配達を受けられるようになると、受け取った郵便物等を開いて見ること自体はできますが、後見の事務に関係のないものは速やかに本人へ渡さなければならず、本人から閲覧を求められればそれに応じる必要があります。入口に家庭裁判所の関与を置き、受け取った後は交付義務と閲覧請求権で歯止めをかける、という組み立てになっています。 ...

2026年9月1日 · ひぐらしさとし

未払いの給料を取り戻すには|賃金請求で少額訴訟・支払督促を使うときの基礎知識

会社を辞めたのに最後の給料が振り込まれない、残業代の一部が支払われていない――こうした「賃金(ちんぎん・給料や残業代のこと)」の未払いも、貸したお金や敷金と同じく「金銭を請求する権利」の一つであり、少額訴訟や支払督促といった簡易裁判所の手続きの対象になり得ます。この記事では、賃金請求という場面に的をしぼって、どの手続きが向いているかの考え方を整理します。 ...

2026年9月1日 · ひぐらしさとし

「者」「物」「もの」の使い分け──同じ読みでも指す対象が変わる法律用語【民法の条文で解説】

この記事の要点 「者」は法律上の人を指す。個人(自然人)だけでなく、会社などの法人も含む 「物」は形のある物=有体物を指す。民法85条に定義が置かれている ひらがなの「もの」は、者・物のどちらにも当てはまらないものを指すときや、いったん挙げた対象にさらに絞り込みを重ねるときに使われる 法律の条文には、「者(もの)」「物(もの)」「もの」という、読みだけ聞くと区別できない3つの言葉が出てきます。結論から言うと、この3つは、法令をつくるときの書き分けのきまりに従って使い分けられています。漢字の「者」は人、漢字の「物」は形のある物、ひらがなの「もの」はそのどちらにも当てはまらないものを指すときや、いったん挙げた対象を絞り込んで受け直すとき──この使い分けを知っておくと、条文を読むときに「いま何の話をしているのか」を取り違えにくくなります。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

登録免許税は収入印紙で納める?──法律上は現金納付が原則というきまりと、印紙に消印をしない理由

この記事の要点 登録免許税の納め方には、現金納付・収入印紙・電子納付があり、法律にはこのほかに「納付受託者」に納付を委託する方法(クレジットカード納付など)も置かれている 法律上の原則は現金納付で、収入印紙による納付は税額が3万円以下の場合など一定の場合に認められた方法として定められている 申請書につづる収入印紙には、割印や消印をしないよう法務局の記載例が案内している 登記の名義変更をするときには、登録免許税という国の税金がかかります。窓口では収入印紙を貼って納める場面をよく見かけるため、「登録免許税は印紙で納めるもの」と思われがちですが、条文のつくりは逆です。結論から言うと、法律上の原則は現金で納めることで、収入印紙による納付は一定の場合に認められた方法として定められています。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

相続の初回相談、聞いた話を同席しなかった家族にどう伝える?──言った言わないを防ぐ共有のしかた

この記事の要点 面談で聞いた「まだ条件付きの話」は、伝言を重ねるうちに「もう決まったこと」に変わってしまいやすい メモは「聞いた要点」「今後すべきこと」「まだ未確定の点」の3つを分けて書き留めると、伝えるときの誤解を減らせる 口頭だけに頼らず資料をそのまま見せる、その場で答えを作らずに持ち帰る、という2つの姿勢が役に立つ 相続の相談に、家族の代表者だけで、あるいは一部の家族だけで行くことは珍しくありません。誰と一緒に行くかを決めた後、実は同じくらい大事なのが、聞いてきた内容を同席しなかった家族へどう伝えるかです。結論から言うと、ここで工夫をしておかないと、「言った」「言っていない」という行き違いが起きやすくなります。この記事では、紛争になったときの言い分の話ではなく、あくまで正確に情報を共有するためのコツとして整理します。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

固定資産税は毎年見直されるの?──3年に1度の『評価替え』と据置年度のしくみ

この記事の要点 固定資産税評価額は原則として3年に1度(基準年度)に見直され(評価替え)、残りの2年間(据置年度)は同じ価格が据え置かれる 据置年度中でも、地目の変換や家屋の増改築など特別の事情があれば例外的に価格が修正されるほか、土地には地価が下落した場合に対応する修正の仕組みもある 相続や売買で登記名義が変わっても評価額や税額がすぐには動かないことがあるのは、評価替えの周期と「賦課期日」という別のルールが関係している 「去年の固定資産税の納税通知書と、今年届いた通知書を見比べたら、評価額の欄がまったく同じ数字だった」というお話や、逆に「特に何もしていないのに評価額が上がっていた」というお話を伺うことがあります。実はどちらも、固定資産税評価額が3年に1度まとめて見直される、という制度の仕組みによるものです。なお、本記事は評価替え・据置年度の一般的なしくみをご説明するものであり、個々の土地・家屋について評価額がどう計算されるか、具体的な税額がいくらになるかといった試算は行いません。あらかじめご了承ください。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし