この記事の要点

  • 公図は「土地の並び方」、地積測量図は「1筆の土地を測った結果」、建物図面は「建物が敷地のどこに建っているか」を示す図面で、法律上の根拠もそれぞれ別です
  • 3つとも、所有者でなくても請求でき、電子化された図面なら窓口(管轄外の最寄りの法務局を含む)・郵送・オンラインで取れます。手数料は窓口・郵送で500円、オンラインで440円または470円です
  • 図面は登記の資料で、図面だけで現地の境界が決まるわけではありません。境界の確認や測量は土地家屋調査士の分野です

土地や建物の登記簿(登記事項証明書)は文字の記録なので、「隣はどの土地か」「建物は敷地のどこにあるか」といった位置関係は分かりません。それを補うのが法務局の図面です。結論から言うと、よく使われるのは公図・地積測量図・建物図面の3つで、取り方はほぼ共通ですが、何のための図面かはまったく違います。

※この記事は、執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。

公図──土地の位置関係を見るための図面

不動産登記法は、登記所(法務局)に「地図」を備え付けるとしたうえで、地図が備え付けられるまでの間は、これに代えて「地図に準ずる図面」を備え付けることができると定めています(不動産登記法14条1項・4項)。一般に公図と呼ばれているのは、この地図に準ずる図面です。表示されるのは、土地の位置、形状、地番です(同条5項)。

公図は、隣にどの地番の土地があるか、道路や水路とどう接しているかといった、土地の並び方の目安をつかむのに役立ちます。ただし、法務省は、公図には明治期の地租改正の際に作られたものが多く、現地を復元するほどの精度と正確性はないと説明しています(法務省「法務局地図作成事業の推進」)。距離や面積の正確さまでは保証されない場合がある図面だと理解しておきましょう。

なお、地域によっては、公図ではなく、正確な測量と調査の成果に基づいて作られる「地図」(いわゆる14条地図)が備え付けられています(不動産登記規則10条1項)。

地積測量図──1筆の土地を測った結果の図面

地積測量図は、一筆の土地の地積(面積)に関する測量の結果を明らかにする図面です(不動産登記令2条3号)。土地の表題登記、地積の変更・更正の登記、分筆の登記などを申請するときに提出されます(同令別表4項・6項・8項)。

裏を返すと、こうした登記がされたことのない土地には、地積測量図がないことがあります(法務局の案内でも「全ての土地について地積測量図があるとは限りません」とされています)。また、法務局の案内では、こうした図面は作成年などによって形式が異なるとされています。

作られた時期を確かめる大切さは、地震の後にも表れます。法務省は、令和8年熊本地震による地殻変動で、地震の前に作られた地図などの座標値が現在の座標値と食い違うおそれがあると説明しています。そのため、2026年8月17日から、地震の影響で国土地理院が基準点(測量の基準となる点)の成果の公表を停止している市町村については、地図と地図に準ずる図面(公共座標値が記録されているものに限ります)の地図証明書に、地震が起きる前の内容である旨を書き添える運用が始まりました。一方、地積測量図の図面証明書にはこの書き添えがされないため、作成年月日を確かめたうえで扱うよう案内されています(法務省民事局「令和8年熊本地震に伴う地図証明書への付記について」2026年8月14日)。

建物図面──建物が敷地のどこに建っているかの図面

建物図面は、一個の建物の位置を明らかにする図面です(不動産登記令2条5号)。敷地と建物の1階の位置・形状を明らかにするもので、方位、縮尺、敷地の地番と形状、隣接地の地番などを記録することとされています(不動産登記規則82条1項・2項)。各階の形を示す「各階平面図」(同令2条6号)とあわせて、建物の表題登記などの際に提出されます(同令別表12項)。法務局の案内では、建物図面は「どの土地の、どの場所に、どのような形の建物があるかを表示している図面」と説明されています。

取り方──3つとも誰でも請求でき、最寄りの法務局でも取れる

根拠の条文は、公図が「地図等」の写しの交付(不動産登記法120条1項)、地積測量図と建物図面が「登記簿の附属書類のうち政令で定める図面」の写しの交付(同法121条1項、不動産登記令21条1項)と分かれていますが、どちらも「何人も」請求できるとされています。所有者でなくても取れるということです。

法務局の案内では、電子化された図面の証明書(公図などは「地図証明書」、地積測量図・建物図面などは「図面証明書」)の請求方法は次の3つです。

  • 窓口:その土地を管轄する法務局のほか、最寄りの法務局でも請求し、受け取れます(地図・図面情報交換サービス)
  • 郵送:請求書に、返信用の切手と宛先を書いた封筒などを同封します
  • オンライン:登記・供託オンライン申請システムから請求し、指定した法務局で受け取るか、郵送してもらうかを選びます

手数料は、窓口・郵送では1件500円で、請求書に収入印紙を貼って納めます(登記手数料令2条4項・5項、不動産登記規則203条1項)。オンラインでは、法務局で受け取る場合440円、郵送で受け取る場合470円です(登記手数料令3条3項・4項)。数え方は、公図が「1筆の土地」ごと、地積測量図・建物図面が「1事件に関する図面」ごと、と違います。

請求には、住所(住居表示)ではなく地番・家屋番号が必要で、分からないと最寄りの法務局での請求やオンラインでの郵送請求は使えないと案内されています。電子化されていない図面の扱いを含め、請求先に迷うときは管轄の法務局に確かめると確実です。登記事項証明書の取り方や、証明書ではない閲覧用データを取れる登記情報提供サービスとの違いは「登記簿(登記事項証明書)の取り方4通り」で整理しています。

図面で境界は分かる?──確認は土地家屋調査士へ

ここで注意したいのは、3つの図面はいずれも登記のための資料であり、図面だけで現地のどこが境界かが決まるわけではないことです。現地の境界の位置を確かめるには測量と調査が必要で、これは土地家屋調査士の分野です。隣の土地との境界(筆界)がはっきりしないときは、法務局の筆界特定登記官に筆界の特定を求める「筆界特定制度」もあります(不動産登記法131条1項)。境界をめぐる相談先の分け方は「境界がはっきりしない土地の相続・売却」で解説しています。

まとめ

公図は土地の並び方、地積測量図は1筆の土地の測量結果、建物図面は建物の位置を示す図面です。3つとも所有者でなくても請求でき、窓口・郵送では500円、オンラインでは440円または470円で取れます(2026年10月時点)。ただし、図面はあくまで登記の資料で、現地の境界の確認や測量は土地家屋調査士の分野です。取った図面を登記事項証明書と照らし合わせて相続や売買の手続きを進めたいときは、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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