この記事の要点
- 登記事項証明書(登記簿)の取り方は「窓口」「郵送」「オンライン申請」「登記情報提供サービス」の4通り
- 窓口・郵送・オンライン申請で取得したものは正式な「証明書」だが、登記情報提供サービスは登記官の認証文がない「閲覧用データ」で証明書としては使えない
- 手数料はオンライン申請(窓口受取)がいちばん安い証明書、登記情報提供サービスは証明書ではないぶんさらに割安
- 急ぎか、提出用の証明書が必要か、内容の確認だけでよいかで選び方が変わる
不動産の名義や担保の状況を確認したいとき、「登記事項証明書(登記簿)を取ってきてください」と言われることがあります。この「取り方」には、窓口・郵送・オンライン申請・登記情報提供サービスという4つの方法があり、手数料や受け取りまでの時間、そして「証明書として使えるかどうか」がそれぞれ異なります。
結論から言うと、窓口・郵送・オンライン申請の3つで取得したものは正式な「登記事項証明書」(証明書として使えます)ですが、登記情報提供サービスで取得したものは「閲覧用のデータ」であり、証明書としては使えません。 まずこの違いを押さえたうえで、4通りを順に見ていきましょう。
なお、登記事項証明書そのものの読み方(表題部・甲区・乙区の見方)は「登記簿(登記事項証明書)の見方──表題部・甲区・乙区は何が書いてある?」で解説しています。この記事では「取り方」に絞って整理します。
4通りの取り方を比較する
| 方法 | 手数料の目安 | 受け取りまで | 証明書として使えるか |
|---|---|---|---|
| ① 窓口請求 | 600円 | 即日 | 使える |
| ② 郵送請求 | 600円 | 数日 | 使える |
| ③ オンライン申請 | 490〜520円 | 窓口受取なら即日、郵送受取は数日 | 使える |
| ④ 登記情報提供サービス | 330円(全部事項) | 即時(画面表示) | 使えない(閲覧用データ) |
(①〜③の手数料は、登記手数料令に基づく2025年4月1日改定後の金額です。④の登記情報提供サービスは根拠となる法令が異なり、2026年4月1日の改定で全部事項が330円になりました。いずれも改定されることがあるため、請求前に法務局・登記情報提供サービスの最新の案内をご確認ください。)
① 窓口請求──いちばんシンプルで、その場で受け取れる
最寄りの法務局(登記所)の窓口で、申請書に記入して提出する方法です。手数料は収入印紙で納めます。
登記事項証明書は、対象の不動産がどこにあっても、全国どこの法務局の窓口でも取得できます。登記情報がコンピューターで一元管理されているためです。遠方の実家の土地や、別の市区町村にある不動産の証明書も、近くの法務局で受け取れます。
その場で受け取れるのが最大のメリットです。急いでいるとき、あるいは法務局の「登記手続案内」もあわせて利用したいときは、窓口請求が向いています(登記手続案内については「法務局の「登記手続案内」の使い方|できること・できないこと・行く前の準備」で詳しく解説しています)。
請求には、普段の住所(住居表示)ではなく、土地の「地番」・建物の「家屋番号」が必要です。わからないときは、毎年届く固定資産税の課税明細書などで確認できます。
② 郵送請求──窓口に行く時間がない人向け
申請書を法務局へ郵送し、返信用封筒を同封して郵送で受け取る方法です。手数料は窓口と同じく600円(収入印紙)ですが、届くまで数日かかります。
平日に法務局へ行く時間が取りにくい人、急いでいない人に向いています。
③ オンライン申請──自宅から請求でき、手数料もやや安い
「登記・供託オンライン申請システム」の「かんたん登記・供託申請」を使い、インターネット経由で請求する方法です。利用には事前の利用者登録が必要です。
なお、この入口は2026年2月2日のリニューアルで名称が変わりました。それまでの「かんたん証明書請求」と「供託かんたん申請」が集約され、現在は「かんたん登記・供託申請」という名前になっています。古い案内やガイドを見て「かんたん証明書請求」を探すと見つからないので、ご注意ください。
受け取り方法は「郵送」と「窓口受取」から選べます。窓口受取を選ぶと490円、郵送受取だと520円と、書面請求(600円)よりやや安くなります。パソコンやスマートフォンから申請でき、郵送受取であれば法務局へ足を運ぶ必要もありません。
もうひとつ、2026年8月3日から、このシステムを使える時間帯が広がりました。現在は平日が午前8時30分から午後11時まで、土日祝日も午前8時30分から午後6時まで利用できます(12月29日から1月3日までの年末年始を除く)。平日の日中に法務局へ行けない人でも、夜間や土日に請求の手続きだけは済ませられるようになりました。ただし、窓口受取を選んだ場合に実際に証明書を受け取れるのは、法務局が開いている平日の時間内です。
④ 登記情報提供サービス──証明書ではなく「閲覧用データ」
ここまでの3つとは性質が異なるのが、登記情報提供サービスです。インターネット上で登記記録の内容を確認できる有料サービスで、申請後すぐに画面上でPDFを確認できます。手数料も全部事項で330円と、4通りのなかでいちばん割安です。
ただし、ここで取得したデータには登記官の認証文がありません。「この内容に間違いありません」という法務局の証明が付いていないため、証明書としては使えません。相続手続き・不動産の売買・金融機関への提出など、「証明書」の提出を求められる場面では使えず、あくまで「内容を確認するための閲覧用データ」という位置づけです。
「今すぐ内容だけ確認したい」「提出には使わない」という場面ではもっとも手軽で安価な方法ですが、提出先が「証明書」を求めているのか「内容がわかればよい」のかを、事前に確認しておくことが重要です。
どれを選べばいい?場面別の目安
- すぐに証明書として提出したい → 窓口請求(その場で受け取れる)
- 平日に法務局へ行く時間がない、急いでいない → 郵送請求またはオンライン申請(郵送受取)
- 手数料を抑えつつ証明書がほしい → オンライン申請(窓口受取なら490円)
- 提出はせず、内容を確認したいだけ → 登記情報提供サービス(いちばん安く、即座に確認できる)
相続や売買、担保の設定・抹消など、実際に手続きを進める段階では、まず登記事項証明書で現在の権利関係(誰が所有者か、担保が残っていないか)を確認するところから始まります。取り方に迷ったり、証明書の内容の読み方がわからなかったりするときは、お近くの司法書士にご相談ください。
まとめ
登記事項証明書の取り方は、窓口・郵送・オンライン申請・登記情報提供サービスの4通りがあります。窓口・郵送・オンライン申請で取得したものは証明書として使えますが、登記情報提供サービスは登記官の認証文がない閲覧用データであり、証明書としては使えません。急ぎか、提出用か、内容確認だけでよいかによって選び方が変わります。手続きの進め方に迷うときは、お近くの司法書士にご相談ください。
よくある質問
Q. いちばん安く取得する方法は?
内容の確認だけでよいなら、登記情報提供サービス(全部事項で330円)がもっとも安価です。証明書として必要な場合は、オンライン申請で窓口受取を選ぶと490円と、証明書として使える3つの方法のなかではもっとも安くなります。
Q. 急いでいるときはどうすればいいですか?
最寄りの法務局の窓口で請求すれば、その場で受け取れます。対象の不動産が遠方にあっても、全国どこの法務局の窓口でも取得できます。
Q. 登記情報提供サービスで取ったデータを、相続手続きや金融機関への提出に使えますか?
使えません。登記情報提供サービスのデータには登記官の認証文がなく、あくまで内容確認用の閲覧データです。提出が必要な場面では、窓口・郵送・オンライン申請のいずれかで登記事項証明書を取得してください。
【さらに深掘り】登記事項証明書の交付請求で押さえておきたい実務上のポイント
ご注意 以下は執筆時点(2026年08月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。
交付請求の根拠と、似た名前の制度との違い
登記事項証明書の交付請求は、不動産登記法119条1項に基づく手続きです。窓口・郵送・オンライン申請のいずれも、この条文に基づく「登記事項証明書」の交付という点では共通しています(地図・公図・建物所在図といった図面類の写しの交付請求は、同法120条が根拠となっており、証明書の交付とは別の条文で整理されています)。
一方、登記情報提供サービスは、不動産登記法そのものではなく別の法律に基づいて運営されている制度です。本文で触れた「登記官の認証文が付かない閲覧用データ」という位置づけの違いは、この根拠法令の違いに由来しています。
また、名前が似ているために混同されやすいものに「所有不動産記録証明制度」(不動産登記法119条の2)があります。これは、ある人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を法務局が一覧にして証明する制度で、2026年2月2日から運用が始まりました。全国の法務局・地方法務局(支局・出張所を含みます)で、書面またはオンラインで請求できます。
ここで注意したいのが、請求できる人の範囲です。登記事項証明書は119条1項の「何人も」により誰でも他人名義の不動産について請求できますが、所有不動産記録証明書はそうではありません。請求できるのは、自分自身が登記名義人として記録されている不動産について請求する場合(119条の2第1項)と、相続人その他の一般承継人が亡くなった方(被承継人)の分について請求する場合(同条2項)に限られています。他人の所有不動産を自由に一覧で調べられる制度ではない、という点を押さえておいてください。
手数料の水準も異なります。検索条件1件につき1通あたりで計算し、書面請求が1,600円、オンライン請求(郵送交付)が1,500円、オンライン請求(窓口交付)が1,470円です。600円前後で取得できる登記事項証明書とは、金額の桁が変わります。
個々の不動産について1件ずつ内容を確認する登記事項証明書や登記情報提供サービスとは、証明の対象も、請求できる人も、使う場面も異なる別の制度である点に注意してください。
代理人が請求するときに委任状は必要か
登記事項証明書の交付請求は、不動産登記法119条1項が「何人も」請求できると定めている手続きです。対象の不動産の所有者や利害関係人に限られないため、家族や第三者が窓口へ行く場合も、その人自身が請求者として手数料を納付して請求すれば足ります。「所有者から頼まれた代理人である」ことを示す必要がないので、委任状は不要です。この点は、登記原因証明情報など登記簿の附属書類の閲覧を請求する場合(正当な理由が求められる場合があるなど、証明書の交付請求とは扱いが異なります)と混同しやすいため、実務上は分けて理解しておくと役立ちます。
法人が請求する場合も同様に、請求できる人が限定されていない手続きであることから、資格証明書(登記事項証明書や代表者事項証明書)の添付は原則として不要とされています。ただし、これは交付請求そのものについての整理であり、取得した証明書を別の手続き(相続登記や金融機関への提出等)で使う場面では、提出先ごとに委任状や資格証明の要否が別途問われることがあります。
なお、ここで述べているのは登記事項証明書の交付請求についての整理です。先ほど触れた所有不動産記録証明書のように、請求できる人があらかじめ限られている制度では、同じようには考えられません。
区分建物や共同担保がある不動産は記載量が変わる
戸建てなど単独の不動産と比べ、区分建物(マンションの一室など)の登記事項証明書は、敷地権の表示など記載事項が増える傾向があります。あわせて、複数の不動産に共同で抵当権などが設定されている場合は、共同担保目録が付属し、証明書全体の枚数が増えることがあります。
登記事項証明書の手数料は、記載事項が多く枚数が増えると加算される場合があります。窓口・郵送・オンライン申請のどの方法で取得する場合でも共通する留意点なので、金額は請求時点の法務局の案内で確認してください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年08月・いずれも一次情報です)。
- 不動産登記法 第119条・第119条の2・第120条・第121条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
- 不動産登記規則 第193条・第197条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018
- 登記手数料令(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/324CO0000000140
- 法務省「登記手数料について」(書面600円・オンライン送付520円・窓口交付490円、令和7年4月1日改定): https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/
- 法務省「所有不動産記録証明制度について」(令和8年2月2日施行・手数料・請求先): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html
- 法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」(令和8年4月1日から全部事項330円): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25-1.html
- 登記情報提供サービス「登記情報提供サービスとは」(証明文や公印等は付加されない旨): https://www1.touki.or.jp/service/
- 登記・供託オンライン申請システム お知らせ(「かんたん登記・供託申請」へのリニューアル・令和8年2月2日): https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/information/info_202601.html
- 登記・供託オンライン申請システム お知らせ(利用時間の拡大・令和8年8月3日から): https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/information/info_202605.html