この記事の要点

  • 家庭裁判所に納める費用は、後見開始の申立てなら申立手数料800円分と登記手数料2,600円分の収入印紙、それに裁判所ごとに金額が異なる連絡用の郵便切手が基本
  • 鑑定が行われる場合は別に鑑定費用がかかる。最高裁判所の統計(令和7年)では、鑑定が行われた事件の約85.8%で鑑定費用は10万円以下。診断書の費用は医療機関によって異なる
  • 期間の目安は、同じ統計で成年後見関係事件の約71.1%が2か月以内、約93.8%が4か月以内に終局(審理が終わること)している
  • 審判のあとは、不服申立ての期間(2週間)が過ぎて審判が確定してから、家庭裁判所の依頼(嘱託)によって法務局に登記される
  • 必要書類は「発行から3か月以内」のものが多いので、集める順番と時期を考えてから準備を始めるのが安全

親の判断能力が落ちてきて成年後見の申立てを考え始めると、「全部でいくらかかるのか」「いつから後見人が動けるのか」が気になります。結論から言うと、家庭裁判所に納める収入印紙代そのものは数千円程度ですが、鑑定が行われるかどうかで費用も期間も大きく変わります。この記事では、裁判所が公表している金額と統計だけを使って、申立て全体の実費の一覧と、申立てから審判・登記までの期間の目安を整理します。執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。

誰が申し立てられるか、どこに申し立てるかといった手続の全体像は成年後見開始の申立てはどう進む?で、鑑定そのものの仕組みは成年後見の「鑑定」とは?で扱っています。

家庭裁判所に納める費用の一覧

裁判所ウェブサイトの後見開始・保佐開始・補助開始の各ページと、裁判所の説明資料「後見・保佐・補助開始の審判の申立てについて」(令和7年3月修正版)に載っている費用は次のとおりです。

費用の項目 金額 補足
申立手数料(収入印紙) 後見開始・保佐開始:800円分 保佐・補助で代理権の付与や同意権の付与もあわせて求めると加算あり(下で説明)
登記手数料(収入印紙) 2,600円分 審判の内容を法務局に登記するための手数料
連絡用の郵便切手 裁判所ごとに異なる 申立て先の家庭裁判所のウェブサイト等で確認。郵便切手のかわりに保管金として納めることもできる
鑑定費用 鑑定をする場合のみ 金額は事件ごとに決まる。統計上の目安は下で説明

保佐・補助は「何を求めるか」で印紙代が変わる

申立手数料は、保佐開始・補助開始で、あわせて何を求めるかによって変わります。裁判所の説明資料では次のとおりです。

  • 保佐開始または補助開始+代理権付与:収入印紙1,600円分
  • 保佐開始または補助開始+同意権付与:収入印紙1,600円分
  • 保佐開始または補助開始+代理権付与+同意権付与:収入印紙2,400円分

補助開始の審判は、同意権の付与か代理権の付与の審判と同時にしなければならないとされているため、補助では「補助開始だけ」の申立てはできません。そのため、補助の申立手数料は少なくとも1,600円分になります。また保佐の場合、民法第13条第1項に定められている行為(借金や保証、不動産など重要な財産の売買など)については、もともと保佐人の同意が必要な行為なので、同意権付与の申立ては必要ないとされています。3つの類型の違いは法定後見の3類型『後見・保佐・補助』はどう違う?をご覧ください。

鑑定費用は「行われた場合」にかかる

後見開始・保佐開始の審判では、本人の判断能力について鑑定をしなければならない場合があり、その費用は申立人に負担してもらうことがある、と裁判所は案内しています。

金額の目安としては、最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況(令和7年1月~12月)」が参考になります。この資料では、鑑定が行われた事件のうち、鑑定費用が5万円以下のものが約43.7%、10万円以下のものが合わせて約85.8%でした。一方、成年後見関係事件の終局事件のうち鑑定を実施したものは全体の約3.4%にとどまっています。どんな場合に鑑定が行われるか、費用をどう納めるかは成年後見の「鑑定」とは?で詳しく整理しています。

申立ての準備でかかる費用(裁判所以外)

裁判所に納める費用のほかに、申立てに添える書類を集める費用がかかります。裁判所が示している標準的な添付書類には、次のようなものがあります。

  • 本人の診断書(発行から3か月以内のもの):作成費用は医療機関によって異なります。依頼する医療機関に確認してください
  • 本人情報シートの写し:本人を支える福祉関係者などに作成してもらう資料です(本人情報シートは誰が書く?)
  • 本人の戸籍謄本(全部事項証明書)、本人の住民票または戸籍附票、候補者の住民票または戸籍附票(いずれも発行から3か月以内のもの):市区町村の窓口の手数料がかかります
  • 本人について成年被後見人等の登記がされていないことの証明書(発行から3か月以内のもの):法務局で取得します(『登記されていないことの証明書』とは?)
  • 本人の健康状態に関する資料(介護保険の認定書などの写し)や、財産・収支に関する資料

診断書や証明書の多くに「発行から3か月以内」という条件があるため、先に取りすぎると申立て前に期限が切れてしまうことがあります。申立書の準備の進み具合を見ながら、取得の時期をそろえるのが安全です。

なお、個人番号(マイナンバー)が記載された書類は提出しないよう、裁判所は注意を促しています。

費用は誰が負担するのか

申立てにかかる手続費用は、まず申立人が用意するのが原則です。ただし裁判所の説明資料には、申立人が希望した場合、申立手数料・送達や送付の費用・後見登記手数料・鑑定費用の全部または一部について、本人の負担とすることが認められる場合があると書かれています。認められるかどうかは家庭裁判所が判断するので、希望する場合は申立ての際に申し出てください。

また同じ資料では、成年後見制度の利用に必要な経費を助成している市区町村もあると案内されています。対象や条件は市区町村ごとに異なるので、お住まいの市区町村の窓口に確認してください。

この記事で扱っているのは申立ての実費です。後見人等が選ばれた後の報酬は別の仕組みで、家庭裁判所への申立てと審判によって本人の財産から支払われます(成年後見人・任意後見監督人の報酬はどう決まる?)。

申立てから審判・登記までの期間の目安

申立て後の流れ

裁判所の案内によると、申立て後はおおむね次の順で進みます。

  1. 申立て:本人の住所地を管轄する家庭裁判所に、書類と費用を提出します
  2. 審理:家庭裁判所が、提出された資料について申立人から説明を聴いたり、申立人・本人・候補者に会って事情や本人の意見を聴いたりすることがあります(ウェブ会議も利用できます)。必要に応じて裁判官が事情を尋ねる審問や、鑑定が行われることもあります
  3. 審判:家庭裁判所が後見(保佐・補助)を開始する審判をし、同時に後見人(保佐人・補助人)を選びます。候補者が必ず選ばれるとは限りません
  4. 確定:審判の告知から2週間の不服申立て(即時抗告)の期間が過ぎると、審判が確定します
  5. 登記:確定後、家庭裁判所の書記官が法務局に登記を依頼(嘱託)し、後見の登記がされます

審理にかかる期間の統計

前述の「成年後見関係事件の概況(令和7年1月~12月)」では、成年後見関係事件(後見開始・保佐開始・補助開始・任意後見監督人選任)の終局事件42,674件の審理期間の割合は次のとおりでした。

審理期間 割合
1か月以内 37.9%
1か月超え2か月以内 33.2%
2か月超え3か月以内 16.2%
3か月超え4か月以内 6.5%
4か月超え5か月以内 2.8%
5か月超え6か月以内 1.5%
6か月超え 1.9%

2か月以内に終局したものが約71.1%、4か月以内が約93.8%です。ただし、これは全国の事件をまとめた統計で、終局には認容だけでなく却下・取下げなども含まれます。個々の申立てがどのくらいかかるかは、鑑定の有無や本人・候補者の事情によって変わるため、統計の数字がそのまま当てはまるとは限りません。

鑑定が行われる場合は、その分の時間もかかります。同じ資料では、鑑定の期間は1か月以内のものが約52.6%で最も多くなっています。

審判から確定・登記まで

審判が出ても、すぐに後見人が仕事を始められるわけではありません。家事事件手続法は、審判に対する即時抗告は原則として2週間の期間内にしなければならないと定め(第86条第1項)、後見開始の審判に対しては、本人や配偶者、四親等内の親族など一定の人が即時抗告できるとしています(第123条第1項第1号)。即時抗告ができる審判は、この期間が過ぎて確定するまで効力が生じません(第74条第2項ただし書・第4項)。

審判が確定すると、裁判所書記官が遅滞なく法務局に登記を嘱託することになっています(同法第116条)。申立人や後見人が自分で登記を申請する必要はありません。登記がされると、後見人は法務局で取得できる登記事項証明書によって、自分が後見人であることを証明できるようになります。確定から登記が終わるまでの日数について、裁判所が一律の目安を公表しているものは確認できませんでした。

申立ての前に知っておきたい注意点

  • 申立ては自由に取り下げられない:後見開始の申立ては、審判の前であっても家庭裁判所の許可がなければ取り下げることができません(家事事件手続法第121条)。裁判所のQ&Aでは、希望する人が後見人に選ばれる見込みがないという理由では、本人の利益に配慮して原則として許可されないと考えられる、と説明されています。費用や期間だけでなく、「誰が選ばれるかは家庭裁判所が決める」ことも理解したうえで申し立てることが大切です
  • 親族の間で意見が対立している場合:後見人を誰にするか、そもそも申し立てるかどうかで親族間に争いがある場合は、弁護士に相談してください
  • 郵便切手の金額は申立て先で確認:同じ後見開始の申立てでも、郵便切手の金額は家庭裁判所ごとに異なります。申立て先の家庭裁判所のウェブサイトや窓口で確認してください

制度の見直しにご注意ください

令和8年(2026年)6月17日に成立し、同月24日に公布された「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)では、法務省の案内によると、後見と保佐の制度を廃止して補助の制度に一元化することなどが定められています。成年後見制度の見直しに係る部分の施行日は、同じ案内で、公布の日から2年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされており、執筆時点では具体的な日はまだ示されていません。

また、民事裁判手続のデジタル化を進める法律(令和5年法律第53号)の全面施行(公布の日から5年を超えない範囲内において政令で定める日とされ、具体的な施行日は今後決定)にあわせて、民事訴訟費用等に関する法律も改正されます。改正後は、費用を郵便切手で納める仕組みがなくなり(郵便物の料金に充てる費用は、当事者が納める費用から除かれます)、家庭裁判所への申立手数料の額も改められることになっています。

この記事で説明した費用や手続は、現行の制度に基づくものです。これらの改正の施行後の申立ての手続や費用の扱いについては、実際に申し立てる時点の裁判所の案内を確認してください。

まとめ

成年後見の申立てで家庭裁判所に納める費用は、後見開始なら申立手数料800円分と登記手数料2,600円分の収入印紙、それに裁判所ごとに異なる郵便切手が基本です。保佐・補助では、代理権や同意権の付与もあわせて求めると印紙代が加算されます。鑑定が行われる場合は別に鑑定費用がかかり、統計上は鑑定が行われた事件の約85.8%で10万円以下でした。このほか、診断書(費用は医療機関ごとに異なります)や戸籍・住民票などの証明書を取る費用がかかります。

期間は、全国の統計で約7割が2か月以内、9割以上が4か月以内に審理を終えています。審判のあと2週間の不服申立て期間が過ぎると確定し、家庭裁判所の嘱託で登記されます。ただし、どちらも個々の事情で変わるため、申立て先の家庭裁判所の最新の案内をあわせて確認してください。手続の進め方で迷ったときは、家庭裁判所の家事手続案内や、お近くの司法書士、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートなどの相談窓口にご相談ください。

よくある質問

Q. 申立ての費用は、全部でいくらくらいかかりますか?

家庭裁判所に納める費用は、後見開始の場合、収入印紙が申立手数料800円分と登記手数料2,600円分で合計3,400円分、これに裁判所ごとに異なる郵便切手が加わります。保佐・補助では、代理権や同意権の付与を求めると申立手数料が加算されます。鑑定が行われればその費用が別にかかり、診断書や証明書の取得費用も必要です。合計額は鑑定の有無などで変わるため、一律には言えません。

Q. 申立てから、後見人が仕事を始められるまでどのくらいかかりますか?

令和7年の全国の統計では、約71.1%の事件が2か月以内、約93.8%が4か月以内に審理を終えています(却下や取下げで終わった事件も含めた数字です)。審判が出たあとも、2週間の不服申立て期間が過ぎて確定するまでは効力が生じません。鑑定が行われる場合や、事情の確認に時間がかかる場合はさらに延びることがあります。銀行の手続や施設の契約などに期限がある場合は、余裕をもって準備を始めてください。

Q. 自分で申し立てられますか?どこに相談すればいいですか?

本人・配偶者・四親等内の親族など法律で決められた人であれば、自分で申し立てることができます。申立書の書式や記載例は裁判所のウェブサイトに掲載されており、家庭裁判所の家事手続案内では、手続の流れや必要な書類について案内を受けられます(法律相談には応じていません)。書類の準備で迷ったときは、お近くの司法書士やリーガルサポートなどにご相談ください。親族の間で争いがある場合は、弁護士に相談してください。


【さらに深掘り】申立費用を本人の負担とする裁判と審判後の精算

ご注意 以下は執筆時点(2026年10月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

本文で触れた「費用を本人の負担とすること」は、家庭裁判所が審判の中で示す手続費用の負担の裁判によるものです。ここでは、その法律上の仕組み、家庭裁判所ごとの案内の違い、審判後に申立人が立て替えた費用を精算する流れを整理します。

原則は各自の負担、例外として他の者に負担させることができる

家事事件手続法第28条第1項は、手続費用(家事審判に関する手続の費用など)は「各自の負担とする」と定めています。後見開始の申立てで収入印紙や郵便切手を納めるのは申立人ですから、特に定めがなければ申立人がそのまま負担することになります。

そのうえで同条第2項は、裁判所は「事情により」、本来負担すべき人の手続費用の全部または一部を、その人以外の一定の者に負担させることができるとしています。負担させることができる相手として、当事者・利害関係参加人のほか、「審判を受ける者となるべき者」と、これに準ずる者で「その裁判により直接に利益を受けるもの」が挙げられています。京都家庭裁判所「成年後見制度と申立ての案内」(令和6年10月版)は、「本件手続費用は本人の負担とする」との審判があれば本人の財産から支出することが可能だとし、その根拠として家事事件手続法第28条を示しています。

負担を決める時期にも定めがあります。同法第29条第1項により、裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級の審判費用の全部について負担の裁判をしなければなりません。後見開始の申立てでいえば、事件を締めくくる審判の中で、手続費用を誰が負担するかが示されることになります。

本人負担の扱いは家庭裁判所の案内で確認する

申立書の書式には「手続費用の上申」という欄があり、「手続費用については、本人の負担とすることを希望する。」にチェックを付けられるようになっています。この欄の扱いについて、家庭裁判所の案内には次のような違いがあります。

  • 東京家庭裁判所「後見・保佐・補助開始申立ての手引」(令和7年4月):申立手続を行うことが本人の保護となりその利益になると考えられることから、申立手数料・後見登記手数料(収入印紙代)、送達・送付費用(郵便切手代。ただし裁判所が使用した分のみ)、鑑定費用については、後見等開始の審判時に本人負担とする裁判をする運用だとしています。上申欄にチェックが付いていない場合でも同様とされています
  • 京都家庭裁判所「成年後見制度と申立ての案内」(令和6年10月版):本人負担の審判を受けたい場合は上申欄にチェックを付けるよう求めたうえで、チェックをしてもその旨の審判を受けられないこともあるとしています。本人の財産から支出することが可能な費用の一例として、申立書に貼る収入印紙代、申立書とともに予納する郵便切手代、同じく予納する収入印紙代2,600円、鑑定費用(鑑定を実施した場合のみ)が挙げられています

チェックが必要かどうか、どの費用が対象になるかは、申立て先の家庭裁判所の案内で確かめる必要があります。

本人負担の対象にならない費用

家庭裁判所の案内では、裁判所に納める費用以外の費用は、本人負担の審判があっても原則として申立人の負担のままとされています。東京家庭裁判所の手引は、上に挙げた手続費用以外の費用(診断書作成料、代理人弁護士の報酬や司法書士の書類作成費用を含む)は原則申立人負担になるとし、京都家庭裁判所の案内も、申立てに関する弁護士費用や司法書士の書類作成代等は、本人負担の審判を受けたときでも原則として申立人負担になると注意を促しています。戸籍謄本や住民票などの証明書を取る費用は、東京家庭裁判所の手引で本人負担の対象として挙げられた費用には入っていないため、同裁判所の運用では原則申立人負担の側に入ると読めます(手引にこれらの費用が名指しで書かれているわけではありません)。

なお、これは家庭裁判所が本人負担の裁判をする費用の範囲についての運用の説明です。法律上の手続費用の範囲を定める民事訴訟費用等に関する法律第2条には、手続の資料として裁判所に出した書類を官庁などから交付してもらう費用も挙げられており(同条第6号・第7号)、案内で本人負担の対象とされていない費用が、法律上の手続費用にあたらないということではありません。扱いに迷うときは、申立て先の家庭裁判所に確認してください。

精算は審判の確定後に後見人等へ償還を求める

本人負担の裁判がされても、申立ての時点で費用を納めるのは申立人です。東京家庭裁判所の手引は、申立人は、後見等開始の審判の確定後に、後見人等に対し、本人の財産の中から本人負担とされた手続費用額の償還を求めることができるとしています。精算の相手は本人の財産を管理する立場になった後見人等で、時期は審判の確定後です(確定までの流れは本文の「審判から確定・登記まで」を参照)。償還を求められるのは、審判で本人負担とされた手続費用の額です。

負担の額については、法律上、負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てにより第一審裁判所の裁判所書記官が額を定める手続も用意されています(家事事件手続法第31条第1項が準用する民事訴訟法第71条第1項)。

候補者自身の立替金は手続費用とは別の問題

申立人や後見人等の候補者が、申立ての費用とは別に、申立て前から本人のためにお金を立て替えていることもあります。家事事件手続法第28条第1項がいう手続費用は家事審判などの手続の費用ですから、こうした立替金は手続費用の負担の裁判で精算されるものではありません。

東京家庭裁判所の手引は、候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり、その清算の可否等について第三者による調査・確認を要すると判断された場合を、候補者以外の人を後見人等に選任したり、後見等監督人を選任したりする可能性がある場合の一つに挙げています。同じ手引の後見人等候補者事情説明書の書式にも、候補者と本人との間の金銭の貸借・担保提供・保証・立替えの有無を記入する欄があります。

申立てが取下げで終わった場合

後見開始の申立ての取下げには家庭裁判所の許可が必要です(本文の注意点を参照)。許可を得て取下げで終わった場合は、事件が審判によらずに終わるため、第29条第1項による負担の裁判がされる場面にはあたらないと考えられます。このように裁判や調停の成立によらないで事件が終わった場合について、家事事件手続法第31条第1項が準用する民事訴訟法第73条第1項は、申立てにより、第一審裁判所が決定で手続費用の負担を命じる仕組みを置いています。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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