この記事の要点

  • 日常生活自立支援事業は、判断能力に不安がある方が地域で暮らし続けられるよう、社会福祉協議会(社協)が本人との契約にもとづいて、福祉サービスの手続きや日々のお金の管理を手伝う公的な事業です
  • 使えるのは、判断能力が十分ではないものの、この事業の契約の内容は判断できると認められる方です。認知症の診断や障害者手帳は要件とされていません
  • 利用料は実施する社協が定めていて、地域によって異なります。契約前の相談と、生活保護を受けている世帯の利用料は無料とされています
  • 成年後見制度のうち家庭裁判所の審判で始まる法定後見とは、始まり方(契約か審判か)や、できることの範囲などが違います
  • 相談先は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会です

日常生活自立支援事業とは、認知症の高齢者や知的障害・精神障害のある方などで判断能力が十分ではない方が、地域で自立した生活を送れるよう、社会福祉協議会が本人との契約にもとづいて、福祉サービスの利用の手続きや、預金の出し入れなど日々のお金の管理を手伝う事業です。家庭裁判所の手続きを経る成年後見制度とは別の、福祉の側の仕組みです。

「親が通帳をどこにしまったか忘れてしまう」「公共料金の支払いが滞りがちになってきた」けれど、まだ自分のことは自分で決められる──そうした時期に使える仕組みとして知っておくと役に立ちます。この記事では、厚生労働省と全国社会福祉協議会(全社協)が公表している資料に沿って、制度の中身を整理します。なお、本記事は執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。実際の取扱いは、実施する社会福祉協議会によって異なることがあります。

社会福祉法にもとづく公的な事業

この事業は、社会福祉法で「福祉サービス利用援助事業」として定められている事業です。社会福祉法2条3項12号は、精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある人に対して、無料または低額な料金で、福祉サービスの利用について相談に応じて助言をしたり、福祉サービスを受けるための手続きや利用料の支払いの手助けをしたりする一連の援助を、「福祉サービス利用援助事業」として第二種社会福祉事業に位置づけています。

全社協の資料によると、この事業は1999年(平成11年)10月に「地域福祉権利擁護事業」として始まり、2007年(平成19年)に現在の「日常生活自立支援事業」という名前に変わりました。

実施しているのは都道府県・指定都市の社会福祉協議会

厚生労働省によると、実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会で、窓口の業務などは市町村の社会福祉協議会などで行われています。社会福祉法81条も、都道府県社会福祉協議会が、市町村社会福祉協議会などと協力して、都道府県の区域内でこの事業があまねく実施されるために必要な事業を行うと定めています。

社会福祉協議会(社協)には、都道府県・指定都市の社協のほかに市町村ごとの社協があり、利用についての相談は、お住まいの市町村の社協が受け付けています(厚生労働省)。

対象になるのはどんな人か

厚生労働省は、この事業の対象者を、次の両方にあてはまる方としています。

  1. 判断能力が不十分な方:認知症の高齢者、知的障害者、精神障害者などで、日常生活に必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を、本人だけでは適切に行うことが難しい方
  2. この事業の契約の内容について判断できる能力があると認められる方

ポイントは2つ目です。この事業は本人と社協との「契約」で始まるため、本人が契約の内容を理解できることが前提になります。全社協の資料では、契約する能力や契約する意思があるかどうかは、契約前の面談で「契約締結判定ガイドライン」を使って確認するとされています。

また、同じ資料では、認知症の診断や障害者手帳は要件としていないとされています。

ご家族から見て「この事業を使えるだろうか」と迷う場合でも、使えるかどうか、契約できる状態かどうかを判断するのは社協です。まずは社協に相談してみることになります。

どんな手伝いをしてもらえるのか

厚生労働省が示している援助の内容と、全社協の資料に挙げられている具体例をあわせると、主に次の4つに整理できます。

1. 福祉サービスの利用援助

  • 介護サービスなどの福祉サービスを使い始めたり、やめたりするための手続きの手伝い
  • 福祉サービスについて苦情を申し立てる仕組みを使うための手続きの手伝い
  • 住宅の改造、住まいの賃貸借、日常生活の中での買い物などの契約、住民票の届出などの行政の手続きに関する手伝い
  • 福祉サービスの利用料を支払う手続きの手伝い

2. 日常的な金銭管理

  • 年金や福祉手当を受け取るための手続き
  • 医療費、税金、社会保険料、公共料金、日用品の代金などを支払う手続き
  • これらの支払いのための預金の払い戻し、解約、預け入れの手続き

3. 書類などの預かり

全社協の資料では、預かることができる書類などとして、年金証書、預貯金の通帳、権利証、契約書類、保険証書、実印・銀行印、その他実施主体が適当と認めた書類(カードを含む)が挙げられています。

4. 定期的な訪問による見守り

厚生労働省は、定期的な訪問によって生活の変化に気づくことも、援助の内容に含めています。

支援する人と、援助のしかた

全社協の資料によると、社協には「専門員」と「生活支援員」が置かれています。専門員は、相談の受付、本人の状況の把握、対象者にあたるかどうかの確認、支援計画の作成、契約の締結などを担い、生活支援員は、専門員の指示を受けて具体的な援助を行います。

援助のしかたは、相談・助言・情報提供や連絡調整を中心に、本人が自分で手続きを行えるように手伝うことが基本とされています。必要に応じて、本人に代わって手続きをする「代行」や「代理」による援助も行われますが、代理の範囲は限られたもので、本人と社協との契約書で定めるとされています。

利用料は社協ごとに決まっている

厚生労働省によると、利用料は実施主体(社協)が定める利用料を利用者が負担する仕組みです。そのため、金額は地域の社会福祉協議会によって異なります。

ただし、契約を結ぶ前の初めの相談などにかかる費用と、生活保護を受けている世帯の利用料は無料とされています。

参考として、厚生労働省のページには、実施主体が設定している訪問1回あたりの利用料の平均が1,200円と示されています(いつの時点の数字かはページに書かれていません)。実際の金額は、お住まいの地域の社協で確認してください。

相談から契約までの流れ

厚生労働省が示している手続きの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 相談・申請:利用を希望する方が、社協に申請(相談)します
  2. 状況の確認と能力の判定:社協が、生活の状況や希望する援助の内容を確認するとともに、この事業の契約の内容を判断できる能力があるかを判定します
  3. 支援計画の作成と契約:対象者にあたると判断された場合、本人の意向を確かめながら、援助の内容や頻度などを決める「支援計画」を作り、契約を結びます
  4. 定期的な見直し:支援計画は、本人の状況や判断能力の変化などをふまえて、定期的に見直されます

あわせて、契約の内容や本人の判断能力などを確認する「契約締結審査会」と、事業が適正に運営されているかを第三者の立場から見る「運営適正化委員会」が置かれています。運営適正化委員会は、社会福祉法83条にもとづいて都道府県社会福祉協議会に置かれるものです。

なお、国の検討会(住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会)の2023年〔令和5年〕8月の会合に全社協が提出した資料では、専門員の配置や生活支援員の担い手の確保などの課題があり、利用を待っている人が出ている地域もあると報告されています。すぐに利用を始められるかどうかも、社協に確認しておくと安心です。

成年後見制度とはどこが違うのか

日常生活自立支援事業は、「判断能力に不安がある方を支える」という点で成年後見制度と目的が重なりますが、仕組みは大きく違います。全社協の資料に掲載されている比較を、わかりやすく整理すると次のとおりです。法定後見制度の欄は、執筆時点(2026年10月)の現行制度にもとづくものです(成年後見制度は見直しの法律が成立していて、施行後は内容が変わる部分があります。記事後半の【さらに深掘り】で触れています)。

日常生活自立支援事業 法定後見制度
始まり方 本人と社協との契約 家庭裁判所の審判
本人の理解 契約の意味・内容を理解できることが必要 契約の意味・内容を理解できなくても利用できる
できること 福祉サービスの利用援助、書類の預かり、日常的な金銭管理。代理の範囲は、本人が指定した金融機関の口座の払い戻し手続きなどに限られ、本人がした契約の取消しはできない 身の回りの生活に関する手配(身上監護)と財産の管理。判断能力の程度に応じた類型(補助・保佐・後見)と、後見人などの権限によって、代理や取消しができる
終わり方 本人の意思でサービスを終了できる 後見・保佐は、判断能力が回復しない限り、亡くなるまで続く(補助は、判断能力が回復した場合のほか、同意や代理についての審判がすべて取り消された場合にも終わる。民法18条1項・3項)
費用 実施主体(社協)が利用料を決めている 後見人などの報酬は、本人の財産や業務の内容によって家庭裁判所が決める

このように、日常生活自立支援事業は「本人が契約できること」が出発点で、援助の範囲も日常生活に必要なものが中心です。一方、法定後見は家庭裁判所が関わり、類型や権限に応じて、財産の管理や契約の取消しまで含めた、より強い権限で本人を支える仕組みです。法定後見の3つの類型の違いは法定後見の3類型『後見・保佐・補助』はどう違う?で整理しています。

どちらの仕組みが合うかは、本人の判断能力の状態や、必要な支援の内容によって変わります。この事業を使えるかどうかは社協が判断しますので、まず社協に相談し、法定後見については家庭裁判所の案内などで確認してください。

「契約による備え」との違い

判断能力が低下する前に本人が準備しておく仕組みとしては、本人が信頼できる人と結ぶ見守り契約や財産管理委任契約、任意後見契約といった「契約による備え」もあります。こちらは本人が相手を選んで個別に結ぶ契約で、内容も当事者どうしで決めるものです。詳しくは見守り契約・財産管理委任・死後事務委任──「後見の手前」を支える3つの契約で解説しています。

これに対して日常生活自立支援事業は、社会福祉法にもとづいて社協が行う公的な事業で、対象者、援助の内容、手続きの流れの大枠が制度として決められています(細かな取扱いや利用料は、実施する社協によって異なります)。

また、銀行の口座から介護費用などを払うための家族の代理人の手続きについては、親の口座から介護費用を出すにはで取り上げています。

制度の見直しが予定されています

2026年(令和8年)6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)で、この事業の根拠となっている社会福祉法2条3項12号などが改正されることになりました。

厚生労働省が国会提出時に公表した新旧対照条文によると(衆議院・参議院の議案審議経過では、法律案はいずれも修正なしの「可決」とされています)、この事業の対象者を「精神上の理由又は近隣に居住する家族がいないことその他の理由により日常生活又は社会生活を営むのに支障がある生計困難者」とし、福祉サービスの利用の援助に加えて、保健医療サービスや、葬祭など本人が亡くなった場合に必要なサービスの利用の援助も行う事業に改める内容です。事業の名前も「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」に改められます。成立後に厚生労働省が示した法律の概要でも、頼れる身寄りがいない高齢者などに対する日常生活・入院などの手続き・死後事務の支援を行う事業を、第二種社会福祉事業に位置づけると説明されています。

この部分の施行日は、公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日とされています。施行後に具体的な運用がどう変わるかは、今後の国や社協の案内を確認する必要があります。

まとめ

日常生活自立支援事業は、判断能力に不安があっても、この事業の契約の内容は判断できる方を対象に、社会福祉協議会が福祉サービスの手続き、日々のお金の管理、通帳などの預かり、定期的な訪問を行う公的な事業です。利用料は社協ごとに決まっていて、契約前の相談や生活保護を受けている世帯の利用料は無料とされています。

本人と社協との契約で始まる仕組みなので、法定後見のように家庭裁判所が関わる制度とは、できることの範囲も始まり方も違います。この事業を使えるかどうか、地域での運用や利用料は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会に確認してください。相続や不動産の名義、成年後見の申立ての書類など、法律の手続きが関わる場面については、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 日常生活自立支援事業の費用はいくらかかりますか?

利用料は実施する社協が定めているため、地域によって異なります。厚生労働省は、契約前の初めの相談などにかかる費用と、生活保護を受けている世帯の利用料は無料としています。厚生労働省のページには参考として訪問1回あたりの平均1,200円という数字が示されていますが、正確な金額はお住まいの社協で確認してください。

Q. 申し込みに期限はありますか? 先延ばしにするとどうなりますか?

この事業に申し込みの期限はありません。ただし、この事業を使えるのは、契約の内容を判断できると認められる方です。判断能力の低下が進んで契約の内容を理解できない状態になると、この事業の契約を結べない可能性があります。また、利用を待っている人が出ている地域もあると報告されているため、気になり始めた段階で早めに社協に相談しておくと安心です。

Q. 家族が代わりに申し込めますか? どこに相談すればいいですか?

相談先は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会です。全社協の資料の仕組み図では、本人のほか、家族・親族や関係者からの相談も想定されています。ただし、この事業は本人と社協との契約で利用するもので、本人の意向や契約できる状態かどうかを社協が確認します。相続や後見の申立てなど法律の手続きについては、お近くの司法書士にご相談ください。

【さらに深掘り】日常生活自立支援事業から成年後見制度へ移るとき

ご注意 以下は執筆時点(2026年10月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

日常生活自立支援事業を使っている途中で、本人の判断能力の低下が進んだり、この事業の援助の範囲を超える手続きが必要になったりしたときは、成年後見制度の利用が検討されることになります。ここでは、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている資料と、国の成年後見制度利用促進基本計画をもとに、2つの仕組みのつなぎ目を整理します。特定の方がどちらの仕組みを使えるか、使うべきかを判断するものではありません。

契約できる状態かは、利用を始めた後も確かめられる

厚生労働省の補助事業として行われた「日常生活自立支援事業等関連制度と成年後見制度との連携の在り方等についての調査研究事業」(令和2年度。事務局は日本社会福祉士会)の結果概要では、本文で触れた契約締結判定ガイドラインについて、利用の相談があった後の調査の際だけでなく、援助を始めてから3か月以降も定期的に使うものと説明されています。契約を結ぶ能力に疑いがある場合は、契約締結審査会に事案を出して助言を求めるとされています。

同じ結果概要の課題整理(試案)では、判断能力が低下した場合や、この事業では行えない財産管理などの支援が必要になった場合には、成年後見制度の利用を支援するという事業の設定が示されています。

移るきっかけになりやすい場面

同じ調査では、この事業を委託されて実施している市区町村の社協(基幹的社協)163か所の回答のうち、令和元年度の1年間にこの事業から成年後見制度へ移ったケースが「ある」と答えたのは28.8%でした(回答した社協の数で見た割合で、利用者のうち成年後見制度へ移った人の割合ではありません)。移ったきっかけとして挙げられた項目のうち、割合の高いものは次のとおりです。

  • 判断能力が著しく低下してきたため(同ガイドラインの基準に従って)
  • 入院や入所など住む場所を移す必要が生じ、そのための契約が必要になったため
  • 不動産の売買など、日常生活上の金銭管理の範囲を超える法律行為が必要になったため
  • 親族や知人による財産の侵害から本人の財産を守るため

このほか、割合は小さいものの、「本人が遺産を相続する必要性が生じたため」もきっかけの一つとして挙げられています。

また、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている全社協地域福祉部の資料「日常生活自立支援事業の概要と支援の現状」には、契約を終えた方についての調査(令和2年7月分、821件、複数回答)が載っています。解約の理由として、「成年後見人等が本事業に代わって支援することになった(利用中止)」が192件(23.4%)ある一方、「成年後見人等と本事業の契約を締結することになった(契約者変更)」も9件(1.1%)ありました。この調査(令和2年7月の1か月分の契約終了)の範囲では、成年後見制度に移るとこの事業の利用を終える形が多い一方で、後見人などが契約の当事者になってこの事業を続ける形もあることがわかります。

援助の範囲の「外側」になりやすいもの

前述の調査研究の結果概要(課題整理の試案)は、この事業で扱う手続きとして、住宅改造、住まいの賃借、日常生活上の消費契約、住民票の届出などの行政手続きに関する援助を挙げています。そのうえで、それより法律行為の範囲が広い場合(例として不動産の売却)は、本人の意思にもとづいた支援ができるかどうか、契約締結審査会に助言を求めることができると整理しています。上の調査結果のとおり、こうした手続きが必要になったことは、成年後見制度へ移るきっかけの一つになっています。

住む場所との関係では、全社協の資料の比較表が、この事業は本人の居場所が在宅であることを基本としている場合が多い(実施主体によっては、施設や病院に入所・入院している場合も利用できる)のに対し、法定後見は居場所が変わっても後見人による支援が見込める、と整理しています。調査研究の結果概要でも、体制上の理由から、施設への入所や医療機関への長期入院の場合にはサービスの対象外としているところが多い、という傾向が報告されています。

成年後見制度利用促進法・中核機関との関係

国の「第二期成年後見制度利用促進基本計画」(2022年〔令和4年〕3月25日閣議決定。対象期間は令和4年度から令和8年度まで)は、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)12条1項にもとづく計画です。なお、国の成年後見制度利用促進専門家会議では、次期の基本計画についての検討が進められています(2026年10月13日の第23回会議でも、次期基本計画に係る意見交換が議題になっています)。第二期の計画には「成年後見制度と日常生活自立支援事業等との連携の推進及び同事業の実施体制の強化」という項目があり(8頁)、次のような内容が書かれています。

  • この事業については、地域によって待機者が生じていること、利用者数にばらつきがあること、この事業から成年後見制度への移行に課題があることが指摘されている
  • 国は、地域の関係者が個別の事案で適切な支援の組み合わせを検討できるよう、関連する制度の役割分担の検討方法を各地域に周知する
  • 国は、成年後見制度の利用が必要な人がこの事業などから適切に成年後見制度へ移れるよう、市町村の関係部署や関係機関・団体との間で個別の事案の対応方針を検討するなどの取組を進め、この事業の実施体制を強化する

すでに成年後見制度を使っている方の側についても、同計画は家庭裁判所に期待される運用として、後見の類型で代理権を使う必要性が低くなった場合に、中核機関、専門職団体、この事業の実施団体などと連携し、市民後見人などへの交代や、この事業の併用などによって意思決定支援の観点を重視することを挙げています(13〜14頁)。

ここでいう「中核機関」について、同計画は、権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関や体制で、本人や関係者からの権利擁護支援や成年後見制度に関する相談を受けるなどの役割を担うものと説明しています。運営は市町村による直営か市町村からの委託などによるとされ、委託先の例として社会福祉協議会、NPO法人、公益法人などが挙げられています(24頁)。また、相談を受けた後は、本人の意思・意向を尊重して、この事業の利用を含め、地域にあるさまざまな権利擁護支援のうち最もふさわしい支援につなぐことが重要である一方、早めに成年後見制度による支援につなげるべき場合もあるとされています(45頁)。

成年後見制度の側も見直しが決まっている

成年後見制度そのものも、民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号、2026年〔令和8年〕6月24日公布)で見直されることになっています。法務省の概要資料では、判断能力が回復していない場合でも、制度を利用する必要がなくなったと家庭裁判所が認めるときは、制度の利用を終えられるようにすることなどが示されています。成年後見制度の見直し部分の施行日は、公布の日から2年6か月を超えない範囲内で政令で定める日とされています。本文の比較表は、現行の制度にもとづくものです。

この事業を続けて使えるかどうかは社協が、法定後見を始めるかどうかは家庭裁判所が判断します。移行や併用を考える段階では、利用している社協の専門員のほか、お住まいの市区町村の中核機関(権利擁護支援の相談窓口)や家庭裁判所の案内で確認してください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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