この記事の要点
- 法定後見(ほうていこうけん)は、判断能力が不十分になった方を法律面で支える制度で、本人の状態に応じて「後見・保佐・補助」の3類型に分かれる
- 分かれ目は、判断能力がどの程度低下しているか。重い順に後見・保佐・補助となり、支援する人の呼び名や権限も変わる
- どの類型にあたるかは、最終的に家庭裁判所が診断書などをもとに判断する
「親の物忘れが進んできた。成年後見を考えたいが、後見・保佐・補助という言葉が出てきてよく分からない」——こうした声は少なくありません。この3つは別々の制度ではなく、判断能力の程度に応じた法定後見の3つの型です。本記事は、執筆時点(2026年07月)の制度に基づく一般的な解説です。
判断能力の程度で分かれる
民法は、判断能力(法律では「事理を弁識する能力」と表現します。物事の損得や結果を見分ける力のことです)の低下の程度で、3つの入り口を用意しています。
- 後見(民法7条)……判断能力を「欠く常況」にある、つまり日常的にほとんど判断ができない状態
- 保佐(民法11条)……判断能力が「著しく不十分」な状態
- 補助(民法15条)……判断能力が「不十分」な状態
重い順に後見・保佐・補助です。支援する人は、それぞれ「成年後見人」「保佐人」「補助人」と呼ばれます。
権限のちがい
支援する人が本人の代わりにできることや、本人の契約に関われる範囲も、類型ごとに異なります。
- 後見……成年後見人が財産管理について広く代理します。本人がした契約は、日用品の購入など日常生活に関するものを除き、原則として取り消せます(民法9条)。
- 保佐……借金や不動産の売買など、法律で定められた重要な財産行為について、保佐人の同意が必要になります(民法13条)。同意なしにした行為は取り消せます。
- 補助……家庭裁判所が定めた特定の行為に限って、補助人が同意権や取消権を持ちます(民法17条)。3類型の中では、本人の自己決定を最も広く残す型です。
補助や保佐は、後見に比べて本人の判断能力が残っているぶん、本人の意思をより尊重した設計になっているのが特徴です。
どの類型を選ぶかは申立ての際の重要なポイントですが、最終的にどの類型で開始するかは、診断書などをもとに家庭裁判所が判断します。認知症の親が相続人になっている場合の遺産分割については、認知症の相続人がいる遺産分割の進め方もあわせてご覧ください。
まとめ
法定後見の後見・保佐・補助は、本人の判断能力の程度に応じた3つの型で、支援する人の権限もそれに合わせて変わります。どれにあたるか、どの制度が本人にとって最適かの判断は個別の事情で分かれます。制度の利用を具体的に検討される場合は、お住まいの地域の家庭裁判所や、成年後見に取り組む司法書士会、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート等にご相談ください。