この記事の要点

  • 「みなす」は反対の証拠があっても覆らない(法律が事実として確定させる言葉)
  • 「推定する」は反対の証拠があれば覆る(一応そう扱うだけの言葉)
  • 相続の条文にも両方が登場し、どちらの言葉かで結論の覆しやすさが変わる

法律の条文を読んでいると、「〜とみなす」「〜と推定する」という言い回しに出会います。日常ではどちらも「そう考える」くらいの意味で使いますが、法律の世界でははっきり区別されています。結論から言うと、反対の証拠(反証)を出して覆せるかどうかが分かれ目です。

「みなす」=反証を許さず確定させる

「みなす」は、本当はそうでない場合でも、法律上はそう扱うと決めてしまう言葉です。反対の証拠を出しても、原則として覆りません。

相続の分野では、たとえば次のような条文があります。

  • 民法886条1項「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」──まだ生まれていない胎児を、相続の場面では生まれた子と同じに扱う、という定めです。
  • 民法939条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」──家庭裁判所で相続放棄をすると、はじめから相続人でなかった扱いになります。
  • 民法31条(失踪宣告)──行方不明の状態が続いた人について、失踪宣告を受けると「死亡したものとみなす」と定められています。

いずれも、後から「本当は違う」と言ってみても、その一言で扱いが覆るわけではありません。

「推定する」=反証があれば覆る

一方の「推定する」は、事実がはっきりしないときに、法律が一応の扱いを決めておく言葉です。反対の証拠が出れば、その扱いは覆ります。

相続に関わる例として、民法32条の2があります。事故や災害などで複数の人が亡くなり、どちらが先に亡くなったのか分からないとき、「これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」と定めています。あくまで「推定」ですので、後から亡くなった順番を示す証拠が出れば、その証拠に従って判断されることになります。

なぜこの違いが大事か

同じ「そう扱う」でも、「みなす」なら争っても動かせず、「推定する」なら証拠しだいで動きます。条文のどちらの言葉が使われているかで、結論の覆しやすさが変わるのです。相続では、誰が相続人になるかや、亡くなった順番といった土台の部分にこの区別が関わってくるため、条文を読むときの大切な手がかりになります。

まとめ

「みなす」は反証を許さず確定させる言葉、「推定する」は反証があれば覆る言葉です。相続の条文にも両方が登場し、どちらが使われているかで結論の動かしやすさが変わります。ご自身のケースで条文の意味や当てはめに迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。

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