この記事の要点

  • 定款には、設立のときに公証人の認証を受けた原始定款と、その後の変更をすべて反映した現行定款があります。手続で求められるのは、多くの場合「いまの内容」である現行定款です
  • 書面で作った原始定款は、認証した公証人が1通を保存しています。認証を頼んだ人(嘱託人)やその承継人、利害関係のある人は、謄本を請求できます(手数料は1枚250円)。保存期間は、現行の規則では20年です
  • 電子定款は、認証のときに保存の請求をしていれば、あとから同一の情報の提供(700円。書面で受け取るときは1枚20円加算)を受けられます
  • 現行定款は、公証役場では出してもらえません。原始定款に、株主総会の決議などによる変更を時系列で反映して、会社自身が作り直します
  • 会社には定款を本店と支店に備え置く義務があります。見つからないときは、まず原始定款の確保から始めます

「銀行から定款を出してくださいと言われたが、どこにあるかわからない」「設立のときの書類が一式見当たらない」──会社を続けていると、こうした場面に出会うことがあります。定款は、会社の目的や機関の形など、会社の基本的なルールを定めたものです。なくした場合でも、手がかりを順にたどれば、内容を整え直すことができます。

この記事では、①定款の種類、②公証役場に保存されている原始定款の謄本の請求、③電子定款の場合、④法務局に残っている書類、⑤現行定款の作り直し方、⑥定款が必要になる場面を、順に整理します。株式会社を前提にした、執筆時点(2026年10月)の法令に基づく一般的な解説です。手数料や運用は変わることがあるため、請求の前に公証役場などの案内をご確認ください。

1 定款とは──「原始定款」と「現行定款」

株式会社を設立するときは、発起人(会社をつくる人)が定款を作成し、全員が署名または記名押印します。定款は、書面でも、電磁的記録(データ)でも作成できます(会社法26条)。こうして作った定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(同法30条1項)。設立の流れ全体は、株式会社をつくるときの登記の流れ・費用・必要書類で説明しています。

定款には、目的、商号(会社名)、本店の所在地などを必ず記載します(会社法27条)。そのほか、会社法の規定により定款に定めがなければ効力を生じない事項なども記載できます(同法29条)。

この記事では、次の2つを区別して使います。

呼び方 内容 どこにあるか
原始定款 設立のときに作成し、公証人の認証を受けた定款 公証役場に1通保存。もう1通は嘱託人(発起人)に返される(会社の書類として保管されていることがある)
現行定款 原始定款に、設立後の変更をすべて反映した、いまの内容の定款 会社自身が作成・管理する

会社が成立した後は、株主総会の決議によって定款を変更できます(会社法466条)。この決議は、原則として特別決議(議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成。定款で要件を変えている場合があります)です(同法309条2項11号)。

ここで大切なのは、定款の変更は株主総会の決議など、会社法が定める手続によって効力が生じるという点です。紙の定款を書き換えることで変更されるわけではありません。設立後に定款を変更するときに、改めて公証人の認証を受ける必要もありません(日本公証人連合会の案内でも、認証が必要なのは設立当初の定款だけとされています)。そのため、手元の定款の書類が古いままでも、会社の定款の内容は決議で定めたとおりに変わっています。「現行定款」は、原始定款と、その後の変更の決議を突き合わせて作るものです。

2 原始定款は公証役場に保存されている──謄本の請求

公証人が1通を保存している

書面で作った定款の認証を頼むときは、定款を2通提出します。公証人は、認証をしたうえで、1通を自ら保存し、もう1通を嘱託人に返します(公証人法58条1項・3項)。会社の手元の定款をなくしても、公証役場には同じ内容のものが残っている可能性があります。

定款の認証を担当するのは、法人の本店の所在地を管轄する法務局・地方法務局に所属する公証人です(公証人法57条)。認証は設立のときに受けるものなので、基準になるのは設立当時の本店所在地です。その後に本店を移転している会社では、いまの本店とは別の地域の公証役場で認証を受けていることがあります。認証を与えた定款には、公証人が、登簿番号、認証の年月日と場所などを記載し、署名押印します(同法58条4項による54条の準用)。会社に定款の写しの一部や、設立当時の書類の控えが残っていれば、どの公証役場で認証を受けたかの手がかりになります。

請求できる人と手数料

公証人が保存している定款とその附属書類については、次の人が閲覧と謄本(写し)の交付を請求できます(公証人法58条4項による42条・43条の準用)。

  • 嘱託人(認証を頼んだ人。株式会社の設立では、通常は発起人)
  • 嘱託人の承継人
  • 利害関係を有する第三者

承継人は承継の事実を証する書面(または電磁的記録)を、利害関係のある第三者は利害関係を証する書面(または電磁的記録)を、それぞれ提供する必要があります(同法42条3項・4項の準用)。会社自身が請求する場合に、どの立場で、どの書類を用意すればよいかは、保存している公証役場に事前に問い合わせると確実です。

手数料は、政令で次のように定められています。

請求の内容 手数料
保存されている定款の謄本の交付 1枚250円(公証人手数料令40条2項)
保存されている定款の閲覧 1回200円(同令41条2項3号)

日本公証人連合会の案内でも、謄本は1枚につき250円、閲覧は1回200円とされています。

保存期間は20年

公証人の保存する定款の保存期間は、現行の公証人法施行規則では20年です(同規則70条1項1号)。期間は、その年度の翌年から数えます(同条2項)。保存期間を過ぎても、特別の事由により保存の必要があるときは、その事由がある間は保存されます(同条3項)。一方、保存期間が満了した書類は、法務大臣などの認可を受けて廃棄されることがあります(同規則72条)。

設立から長い年月がたっている会社では、原始定款がすでに残っていないこともあります。その場合は、後で説明する議事録や登記簿などから内容を確かめることになります。

謄本は「設立時の内容」にとどまる

公証役場から受け取れるのは、あくまで認証を受けたときの定款の写しです。設立後に株主総会で目的や商号などを変更していても、その変更は反映されていません。提出先が「現行定款」を求めているときは、原始定款の謄本だけでは足りないことがあります。

3 電子定款の場合

電子定款の認証と保存

定款を電磁的記録(データ)で作った場合は、指定公証人が電子的な方法で認証します(公証人法59条1項)。認証を受けた電子定款については、次の仕組みがあります(同法60条)。

  • 指定公証人は、認証を受けた電子定款の情報が同じものかどうかを確認するための情報を保存します(同条1項)
  • 嘱託人は、認証を受けた電子定款と同一の情報を記録した電磁的記録の保存を請求できます(同条2項)。手数料は300円です(公証人手数料令41条の2)
  • 嘱託人、その承継人、利害関係を有する第三者は、手元のデータが認証されたものと同一であることの証明や、2項で保存されたデータと同一の情報の提供を請求できます(公証人法60条3項)

同一の情報の提供は、データの内容を証する書面の交付で行うこともできます(同条4項)。手数料は700円で、書面で受け取るときは用紙1枚ごとに20円が加算されます(公証人手数料令41条の4)。

保存の請求をしていたかがポイント

条文上、同一の情報の提供を請求できるのは、2項の保存の請求によって保存されたデータについてです(公証人法60条3項2号)。日本公証人連合会の案内でも、「請求により保存された」認証を受けた電子文書について、後の請求により同一情報の提供を受けられると説明されています。保存期間は、公証人法施行規則では20年とされ(同規則70条1項1号)、日本公証人連合会も、認証した電子文書は20年間保存すると案内しています。

設立のときに保存の請求をしていたかどうかは、設立当時の書類で確認できることがあります。わからない場合は、認証を受けた公証役場に問い合わせます。

また、日本公証人連合会は、金融機関で紙の定款を求める運用もなされているようだとして、謄本(同一の情報の提供)は書面で交付を受けるよう案内しています。電子定款の会社でも、提出先が紙の定款を求めることがあるため、受け取り方を事前に確認しておくと安心です。

4 法務局に残っている書類を手がかりにする

設立の登記の申請書には、定款を添付します(商業登記法47条2項1号)。登記の申請書やその附属書類は、法務局(登記所)で、受付の日から10年間保存されます(商業登記規則34条4項4号)。登記簿の附属書類は、閲覧について利害関係を有する人が、手数料を納めて閲覧を請求できます(商業登記法11条の2)。

ただし、条文上の手続は「閲覧」で、写しの交付を受ける仕組みではありません。また、保存期間は受付から10年なので、設立から10年以上たっている会社では、設立の登記の附属書類は残っていないことがあります。

登記簿そのもの(登記事項証明書)は、定款の代わりにはなりません。登記簿に載るのは、商号・目的・本店・役員など法律で登記事項とされた項目に限られ、事業年度や株主総会の招集の方法など、定款にしか書かれていない事項は載らないからです。それでも、目的や商号、機関の形などの変更の経過を追う手がかりとしては役に立ちます。登記簿の取り方と読み方は、会社の登記簿の取り方と会社の登記簿(履歴事項全部証明書)の読み方で説明しています。

5 現行定款は会社自身が作り直す

基本の手順

現行定款は、公証役場や法務局が作ってくれるものではありません。会社自身が、次の順序で整えます。

  1. 原始定款の内容を確保する:会社に残っている写し、公証役場の謄本(電子定款なら同一の情報の提供)を集めます
  2. 設立後の変更の記録を集める:定款を変更した株主総会の議事録が中心です。株主総会の議事録は、株主総会の日から10年間、本店に備え置くことになっています(会社法318条2項)。あわせて登記簿(履歴事項・閉鎖事項の証明書)で、目的・商号・本店・機関などの変更の経過を確認します
  3. 変更を時系列で反映する:原始定款に、変更を古いものから順に反映し、いまの内容の定款を作ります
  4. 確認できない部分を洗い出す:記録が見つからず、内容がはっきりしない条文がないかを確かめます

最後の点について、記録がない部分を推測で埋めるのは避けます。内容がはっきりしないところが残るときは、株主総会の決議で、その部分の定款の内容を改めて定める(定款を変更する)方法もあります(会社法466条)。決議の要件は原則として特別決議ですが(同法309条2項11号)、定款で要件を重くしている場合や、全部の株式に譲渡制限を設ける変更のように法律でより厳しい要件が定められている場合もあります(同条3項1号)。内容がわからない部分に決議の要件に関わる定めが含まれていることもありうるため、どの部分をどう定め、どの要件で決議するかは、会社の機関設計や登記事項との関係も含めて慎重に検討します。

株主総会の決議によらない変更もある

定款の変更は、原則として株主総会の決議によりますが、会社法には例外もあります。たとえば、次のような場合です。

  • 株式の分割にあわせて、一定の範囲内で発行可能株式総数を増やす定款の変更は、株主総会の決議によらずにできる場合があります(会社法184条2項。現に2以上の種類の株式を発行している会社を除きます)
  • 単元株式数を減らす、または単元株式数の定めを廃止する定款の変更は、取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会の決議)でできます(同法195条1項)

このため、株主総会の議事録だけでなく、取締役会の議事録なども確認の対象になります。

会社法の施行前からある会社の注意点

2006年(平成18年)の会社法の施行前からある会社では、法律の切り替えに伴い、定款に書かれていなくても、定めがあるものとみなされる事項があります。たとえば、次のような規定です(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)。

  • 旧有限会社は、会社法の株式会社として存続し、旧有限会社の定款は、その株式会社の定款とみなされます(同法2条1項・2項)。旧有限会社の定款の一部の記載について、扱いを定めた規定もあります(同法5条)
  • 施行の際に旧商法特例法の「小会社」だった株式会社などでは、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限る旨の定款の定め(会社法389条1項)があるものとみなされます(同法53条)

紙の定款の文面だけを見て現行定款を作ると、こうした「みなし規定」が抜け落ちることがあります。古い会社の現行定款を整えるときは、登記簿の記載とも照らし合わせて確認します。

会社には備置きの義務がある

株式会社は、成立後、定款を本店と支店に備え置く義務があります(会社法31条1項。電子定款で一定の措置をとっている会社は本店のみ。同条4項)。株主と債権者は、会社の営業時間内であれば、いつでも定款の閲覧や、謄本・抄本の交付(費用は会社が定めます)を請求できます(同条2項)。

定款の備置きを怠ったときは、取締役などが100万円以下の過料に処せられる場合があります(会社法976条8号)。また、正当な理由なく閲覧や謄本の交付などを拒んだ場合も、過料の対象とされています(同条4号)。なくしたことに気づいたら、早めに現行定款を整えておくことが大切です。

6 定款が必要になる場面

定款の提出や提示を求められる代表的な場面は、次のとおりです。

  • 株主・債権者からの請求:上記のとおり、閲覧や謄本の交付を請求されることがあります(会社法31条2項)
  • 登記の申請:設立の登記には定款の添付が必要です(商業登記法47条2項1号)。設立後の登記でも、定款の定めがなければ登記すべき事項に無効または取消しの原因が生じることになる申請では、定款を添付します(商業登記規則61条1項)。たとえば、定款の定めに基づいて手続をしたことを示す必要がある場面です。目的を変える登記の流れは、新規事業を始めるとき、定款の事業目的を追加しなくて大丈夫?で説明しています
  • 許認可の申請:たとえば、建設業の許可の申請では、法人の場合に定款を添付書類として提出します(建設業法施行規則4条1項6号)。ほかの許認可でも、申請先が定款を求めることがあります
  • 金融機関の手続:口座の開設や融資などで、定款の提出を求められることがあります。どの時点の定款(原始定款か現行定款か)や、どの形式(写しでよいか、会社の証明が必要か)を求めているかは、提出先によって異なるため、事前に確認します

まとめ

定款をなくしたときは、まず原始定款の確保から始めます。書面の原始定款は、認証した公証人が1通を保存しており、嘱託人やその承継人、利害関係のある人は謄本(1枚250円)を請求できます。電子定款は、認証のときに保存の請求をしていれば、同一の情報の提供(700円。書面なら1枚20円加算)を受けられます。公証役場での保存期間は、現行の規則では20年です。

ただし、公証役場から受け取れるのは設立時の内容です。いまの内容を示す現行定款は、株主総会の議事録や登記簿を手がかりに、変更を時系列で反映して、会社自身が作り直します。会社法の施行前からある会社では、定款に書かれていない「みなし規定」にも注意が必要です。手続の進め方や、内容のわからない部分の扱いに迷うときは、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 定款を取り寄せるのに費用はいくらかかりますか?

公証役場に保存されている書面の定款の謄本は1枚250円、閲覧は1回200円です(公証人手数料令40条2項・41条2項3号)。電子定款の同一の情報の提供は700円で、書面で受け取るときは1枚ごとに20円が加算されます(同令41条の4)。法務局で登記の附属書類を閲覧する場合も、手数料がかかります(商業登記法11条の2)。整え直す中で定款の変更や変更の登記が必要になった場合は、その手続の費用が別にかかります。

Q. 定款をなくしたまま放っておくと、どうなりますか?

定款を作り直す期限を定めた規定はありません。ただ、会社には成立後、定款を本店と支店に備え置く義務が常にあり、怠ると取締役などが100万円以下の過料に処せられる場合があります(会社法31条1項、976条8号)。また、公証役場での定款の保存期間は現行の規則では20年、株主総会の議事録の本店での備置き期間は10年(会社法318条2項)、法務局での登記の附属書類の保存期間は10年です。時間がたつほど手がかりが減るため、早めに整えることをおすすめします。

Q. 自分でできますか? どこに相談すればよいですか?

公証役場への謄本の請求や、議事録・登記簿の収集は、会社自身で進められます。請求の方法や必要な書類は、保存している公証役場に事前に問い合わせてください。現行定款を作り直す中で、変更の登記がされていない事項が見つかったときや、内容のわからない部分を株主総会で定め直す必要がありそうなときは、お近くの司法書士にご相談ください。

【さらに深掘り】定款を添付する登記と、手がかりの保存期間・みなし規定

ご注意 以下は執筆時点(2026年10月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。本記事で引用した条文(公証人法、公証人法施行規則、公証人手数料令、会社法、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律、商業登記法、商業登記規則、登記手数料令、建設業法施行規則)は、執筆時点でe-Gov法令検索の現行条文(改正前の条番号・保存期間は改正前日時点の条文)により、公証役場の手数料・保存期間の案内は日本公証人連合会のウェブサイトにより、登記の添付書面の案内は法務局のウェブサイトにより確認しています。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

登記の申請で定款の添付が求められる場面

設立後の登記で定款の添付が求められるかどうかの基本は、商業登記規則61条1項です。同項は、定款の定め(または裁判所の許可)がなければ、登記すべき事項に無効または取消しの原因があることになる申請について、申請書に定款(または裁判所の許可書)を添付するよう定めています。会社法の規定のうち、定款に定めがあってはじめて使える手続によった場合が、これに当たります。

たとえば、次のような申請は定款の定めを前提にしているため、同項により定款を添付することになります。

  • 取締役会を置いていない会社で、定款の定めに基づく取締役の互選によって代表取締役を定めた場合(会社法349条3項)。法務局の申請書様式の案内でも、この場合は、取締役の互選によって代表取締役を選定する旨の定めがある定款を添付するとされています
  • 株主総会の普通決議の定足数を定款で変えており、その定款の定めによってはじめて決議が成立する場合(会社法309条1項は「定款に別段の定めがある場合を除き」と定めています)

規則61条1項は、添付する定款の形(原始定款の謄本か、変更を反映した現行定款か、会社がどのような証明を付けるか)までは定めていません。もっとも、同項の文言からすると、この添付は、登記すべき事項の前提となる定款の定めがあったことを示すためのものと読めます。そうすると、示す必要があるのは、互選や決議をした時点で効力のあった定めだと考えられます。原始定款の謄本しかない場合は、その後の変更が反映されていないため、それだけではその時点の定めを示せないことがあります。定款をなくした会社がこうした登記を予定しているときは、互選や決議の前に現行定款を整え、添付の形を管轄の法務局に確認しておくと、手戻りを防げます。

法務局の附属書類の閲覧──請求の書き方と保存期間の変遷

本文4章で触れた登記簿の附属書類の閲覧(商業登記法11条の2)は、次の事項を記載した申請書で請求します(商業登記規則21条)。

  • 請求の目的として、閲覧しようとする部分(同条1項)
  • 申請人の住所と、閲覧しようとする部分について利害関係を明らかにする事由(同条2項)

申請書には、利害関係を証する書面を添付します(同条3項2号)。申請人が法人のときは、代表者の資格を証する書面も必要ですが、申請書に会社法人等番号を記載すれば不要です(同項1号)。手数料は、1事件に関する書類につき500円です(登記手数料令5条1項)。登記簿の記載から、どの日付の登記の附属書類を見ればよいかを先に絞り込んでおくと、閲覧しようとする部分も特定しやすくなります。

附属書類の保存期間は、現行の規則では受付の日から10年間です(商業登記規則34条4項4号)。これは、2019年(令和元年)10月1日に施行された改正(令和元年法務省令第35号)によるもので、改正前は受付の日から5年間でした。同省令の附則2項は、施行の際にすでに廃棄の認可を受けていた帳簿等の保存期間に限って「なお従前の例による」としています。受付の時期によっては旧規定のもとで保存期間が過ぎていたものもあるため、古い登記の附属書類が残っているかどうかは、管轄の法務局で確かめることになります。

一方、登記簿は永久に、閉鎖した登記記録は閉鎖した日から20年間保存されます(商業登記規則34条4項1号・2号)。附属書類が残っていなくても、登記簿(閉鎖事項の証明書を含みます)で、登記された事項について、変更の日付と内容を追える範囲があります。

公証役場の保存期間と、案内に出てくる条番号

公証人法と公証人法施行規則は、2025年(令和7年)10月1日に施行された改正(公証人法は令和5年法律第53号、規則は令和7年法務省令第40号)で、条番号が大きく変わりました。

本文では、公証人の保存する定款の保存期間を「現行の規則では20年」と書きました。改正前の規則でも、27条1項1号で「公証人の保存する私署証書及び定款」の保存期間は20年とされ、起算点も、その年度の翌年からとされていました(同条2項)。

また、日本公証人連合会の「定款認証」のQ&Aでは、執筆時点(2026年10月3日に確認)でも、定款認証の嘱託を公証人法62条ノ3、保存されている定款の閲覧・謄本の請求を62条ノ5、60条ノ4、51条ないし56条と、改正前の条番号で説明しています。現行法では、書面の定款の認証と保存は58条、保存されている定款の閲覧と謄本の交付は、58条4項で準用する42条・43条です。条文を確かめるときは、どの時点の条番号かに注意が必要です。

古い会社で見落としやすい「みなし規定」の追加例

本文で挙げた整備法2条・5条・53条のほかにも、定款に定めがあるものとみなされる規定があります(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)。

  • 特例有限会社(旧有限会社から存続した株式会社)の定款には、全部の株式について、譲渡による取得に会社の承認を要する旨と、株主が譲渡により取得する場合は会社が承認したものとみなす旨の定めがあるものとみなされます(同法9条1項)。これと異なる内容に定款を変更することはできません(同条2項)。この定めは、施行日に登記されたものとみなされています(同法42条4項)
  • 監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社の定款には、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限る旨の定め(会社法389条1項)があるものとみなされます(同法24条)
  • 会社法の施行の際に旧商法特例法の大会社・みなし大会社(委員会等設置会社を除きます)だった株式会社などの定款には、監査役会と会計監査人を置く旨の定めがあるものとみなされます(同法52条)

これらは、紙の定款に書かれていなくても効力があります。古い会社の現行定款を組み直すときは、こうした定めが効力を持っていることを前提に、登記簿の記載とも突き合わせて、内容に食い違いがないかを確認します。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。


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