種類株式とは──「拒否権付株式(黄金株)」を事業承継で使うときの基本と注意点

この記事の要点 種類株式とは、剰余金の配当や議決権など「権利の内容が違う株式」を、1つの会社の中で複数のタイプ発行できるしくみです。 事業承継の場面では、重要事項に「待った」をかけられる拒否権付株式(通称・黄金株)や、議決権のない株式がよく話題になります。 導入するには定款を変更する必要があり、原則として株主総会の特別決議と、2週間以内の変更登記が必要です。 拒否権付株式には、持っている人の判断能力が下がったときや、相続で株式が分散したときに、会社の意思決定が止まってしまうという裏側のリスクがあります。 どの種類株式をどう組み合わせるかは会社ごとの事情で大きく変わります。検討する段階で、お近くの司法書士にご相談ください。 種類株式とは──「権利の中身が違う株式」を作れる制度 種類株式とは、権利の内容が異なる2つ以上のタイプの株式を発行できるしくみのことです。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

NPO法人と登記──設立の流れと、『資産の総額』登記廃止後に注意したい変更登記

この記事の要点 NPO法人(特定非営利活動法人)は、所轄庁の設立認証を受けたあと、法務局で設立の登記をすることによって法人として成立します(特定非営利活動促進法13条1項)。 認証申請に必要な定款・設立趣旨書・事業計画書等の書類作成の代行は行政書士の業務です。司法書士が担うのは、認証を受けたあとの設立登記・変更登記の手続です。 「資産の総額」はかつてNPO法人の登記事項で、忘れず変更登記をする必要がありましたが、2018年10月1日から登記事項ではなくなり、現在は毎年の貸借対照表の公告義務に置き換わっています。 設立登記の登録免許税は非課税(0円)です。ただし代表者の氏名・住所変更などの変更登記は、変更が生じてから2週間以内に必要です。 認証手続そのものについてのご相談は、所轄庁または行政書士へ。 「NPOを立ち上げたいが、認証と登記でどこまでが司法書士の仕事なのか分からない」という声をよく耳にします。結論から言うと、NPO法人の設立は「所轄庁による設立の認証」と「法務局での設立の登記」という2つの手続きからなり、司法書士が担うのは後者(登記)です。この記事では、NPO法人の設立登記までの流れと業務の境界線、そして「かつて忘れやすいと言われていた資産の総額の変更登記」が現在どうなっているかを整理します。 ...

2026年8月4日 · ひぐらしさとし

一般社団法人の設立登記──株式会社との違いと使いどころ

この記事の要点 一般社団法人も、株式会社と同じく「設立の登記」をすることで法人として成立します。根拠になる法律は会社法ではなく「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般法人法)です。 株式会社の「株主」「株主総会」「取締役」にあたるのが、一般社団法人では「社員」「社員総会」「理事」です。理事は必ず置きますが、理事会・監事・会計監査人は定款で任意に設置できます。 定款に社員への利益(剰余金)の分配を認める定めを置いても無効とされる点が、株式会社との最大の制度上の違いです。 出資・資本金の払込みという手続きがなく、設立登記の登録免許税は定額6万円です。 この記事は登記手続き・機関設計の違いという制度面の整理にとどめます。税務上どちらが有利かという比較や、事業判断としてどちらを選ぶべきかの助言は範囲外です。 「一般社団法人」という名前を目にする機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。業界団体や同窓会、地域の任意団体などが、法人格を持つために一般社団法人を選ぶ例が増えています。 ...

2026年8月2日 · ひぐらしさとし

「廃業しかない」と決める前に──M&A・事業譲渡という選択肢と、動く登記・動かない登記

この記事の要点 会社の出口は「たたむ(解散・清算)」だけではなく、株式譲渡・事業譲渡・合併・会社分割という第三者への引き継ぎ方がある 型によって登記の動き方がまったく違う。事業譲渡そのものは登記事項ではなく、会社の登記簿に「事業を譲渡した」とは記録されない 吸収合併・吸収分割は効力が生じた日から2週間以内、解散後の清算結了も承認の日から2週間以内と、登記に期限がある(会社法921条・923条・929条) 相手方探し・価格・条件交渉は弁護士やM&A支援機関、税金は税理士、登記は司法書士と、聞く相手が分かれる 「後継者がいない。もう会社をたたむしかないだろうか」 ...

2026年8月1日 · ひぐらしさとし

会社の実印(代表者印)と印鑑届は今も必要?──オンライン申請時代の取り扱いを整理

「会社の実印(代表者印)って、もう作らなくていいんですか」——起業を考えている方から、こう聞かれることが増えています。結論からいうと、登記所(法務局)への印鑑の届出(印鑑届)は、オンライン申請であれば任意になりました。ただし、書面申請では今も届出が必要で、融資や不動産取引などの場面では印鑑証明書そのものが実務上求められることが多く、「もう不要」と単純に言い切れる話ではありません。この記事では、制度の変遷と、現時点で会社の実印・印鑑届をどう考えればよいかを整理します。 ...

2026年7月26日 · ひぐらしさとし

個人事業から会社にする「法人成り」──設立登記の段取りと落とし穴

この記事の要点 「法人成り」とは、個人事業主が新たに会社を設立して事業を法人に引き継ぐことで、登記の手続きとしては通常の会社設立登記と同じ 資本金は現金だけでなく、車両・什器・在庫など事業用の財産を「現物出資」として組み込むこともできる 屋号をそのまま会社の商号にすることはできるが、契約・許認可・口座などの名義は別途ひとつずつ切り替える必要がある 会社の成立日は「登記を申請した日」。事業年度の初日や許認可の切替えタイミングとのズレが、思わぬ手続き漏れにつながる 税務上の損得(消費税・法人税の取扱いなど)は司法書士の業務範囲外。税理士にご相談ください 「個人事業を会社にしたい」と考えたとき、最後の仕上げになるのが会社の設立登記です。結論から言うと、法人成りの登記手続き自体は、これから起業する人がゼロから会社をつくるときの設立登記と変わりません。ただし、個人事業からの移行だからこそ気をつけたい論点──資産の引継ぎ方や名義の切替えなど──があります。ここでは、その段取りと見落としやすい点を整理します。 ...

2026年7月24日 · ひぐらしさとし

「株主リスト」とは──登記のたびに求められる書類と株主名簿との違い

「増資の登記なのに、なぜ株主全員の一覧のような書類を出すのですか」──商業登記の相談で、経営者からよくいただく疑問です。実はこの書類、会社が備え置く株主名簿そのものではなく「株主リスト」という、登記の添付書面としてまったく別の役割を持つ書類です。株主リストは、株主総会の決議や株主全員の同意が適法に成立したことを法務局に示すための証明書類であり、日常的に備え置く株主名簿とは作成目的も記載範囲も異なります。 ...

2026年7月23日 · ひぐらしさとし

株式交換・株式移転とは──持株会社化で会社をグループ化するときの登記手続き

この記事の要点 株式交換・株式移転は、会社の株式を100パーセント異動させて「完全親会社・完全子会社」の関係をつくる手続き 事業承継やグループ再編の受け皿として持株会社をつくる場面でよく使われる 手続きは株主総会の特別決議→契約書・計画書の作成→効力発生→2週間以内の変更登記という流れ(株式移転は設立登記そのものが効力発生日にあたります) 登記が必要になるのは主に完全親会社側で、完全子会社側は登記事項の変更がないことが多い 税務上の扱いや株主間の対立が絡む場合は、税理士・弁護士への相談が必要になる 「会社をグループ化したい」「複数の会社を1つの持株会社の傘下にまとめたい」というとき、よく使われるのが株式交換と株式移転という手続きです。名前が似ていて紛らわしいのですが、どちらも「ある会社の株式を100パーセント、別の会社(持株会社)に集める」という点で共通しています。この記事では、経営者の方向けに、それぞれの仕組みと登記手続きの流れを整理します。 ...

2026年7月12日 · ひぐらしさとし

合同会社(LLC)をつくるときの登記──株式会社との違い・費用・必要書類の全体像

この記事の要点 合同会社(LLC)の設立にかかる登録免許税は「資本金の0.7%・最低6万円」。株式会社(最低15万円)より安く、定款の認証も不要なので初期費用を抑えやすい。 出資者(社員)がそのまま経営に加わる会社で、決算公告の義務もない。一方で「株式会社」という信用や、株式による資金調達には向かない。 設立の登記は本店所在地を管轄する法務局へ。登記が完了して初めて会社が成立する(会社法579条)。 迷ったら、株式会社と合同会社どちらが合うかも含めて、お近くの司法書士にご相談ください。 会社をつくると聞くと「株式会社」を思い浮かべる方が多いですが、近年は**合同会社(ごうどうがいしゃ、LLC)**を選ぶ起業家も増えています。合同会社は、株式会社にくらべて設立費用が安く、手続きもシンプルなのが特徴です。 ...

2026年7月7日 · ひぐらしさとし