この記事の要点

  • 会社法は、株式会社に対して、定款・議事録・株主名簿・計算書類などを本店(一部は支店にも)に備え置くことを求めています
  • 期間は書類ごとに違います。株主総会議事録と取締役会議事録は10年(本店)、計算書類等は5年(本店)、定款・株主名簿・新株予約権原簿は期間の定めがなく、常に備え置きます
  • 支店を置いている会社では、定款、株主総会議事録の写し(5年)、計算書類等の写し(3年)を支店にも置きます(電子データで作成し、一定の措置をとっている場合は不要)
  • 株主や債権者は、書類ごとに定められた範囲で閲覧などを請求できます。取締役会議事録は、監査役の有無などで請求の仕方が変わります
  • まずは下の一覧表で、自社の書類がそろっているかを確かめるところから始めましょう

「定款を出してくださいと言われたが、どこにしまったかわからない」「議事録はいつまで取っておけばいいのか」──会社の書類について、こうした疑問を持つ経営者の方は少なくありません。結論からいうと、会社法は、主な書類についてどこに(本店・支店)、いつまで(何年)置いておくかを、書類ごとに決めています。

この記事では、中小企業の株式会社を前提に、会社法が備置き(会社の事務所に置いて、求めに応じて見せられる状態にしておくこと)を求めている主な書類を一覧表にまとめ、閲覧などを請求できる人を整理します。執筆時点(2026年10月)の会社法に基づく一般的な解説です。

なお、ここで扱う期間は、会社法上の備置き・保存の期間に限ります。法人税法などの税法上の帳簿書類の保存期間は別に定めがありますので、税理士にご確認ください。

1 一覧表──何を・どこに・何年

会社法が備え置くことを求めている主な書類は、次のとおりです。

書類 本店 支店 期間 根拠(会社法)
定款 備え置く 備え置く(※1) 期間の定めなし(常に) 31条1項・4項
株主名簿 備え置く(※2) ― 期間の定めなし(常に) 125条1項
新株予約権原簿 備え置く(※2) ― 期間の定めなし(常に) 252条1項
株主総会議事録 原本を10年 写しを5年(※1) 株主総会の日から 318条2項・3項
株主総会の決議を省略したときの同意書面(書面決議) 10年 ― 決議があったものとみなされた日から 319条2項
委任状(代理権を証明する書面) 3か月 ― 株主総会の日から 310条6項
議決権行使書面 3か月 ― 株主総会の日から 311条3項
取締役会議事録・取締役会の決議を省略したときの同意書面(取締役会を置く会社) 10年 ― 取締役会の日(決議があったものとみなされた日を含む)から 371条1項
監査役会議事録(監査役会を置く会社) 10年 ― 監査役会の日から 394条1項
計算書類・事業報告・これらの附属明細書(監査報告などを含む場合あり) 5年 写しを3年(※1) 定時株主総会の日の1週間前(取締役会を置く会社は2週間前)の日から 442条1項・2項

※1 電子データ(電磁的記録)で作成していて、支店でも閲覧などの請求に応じられるようにする法務省令所定の措置をとっている場合は、支店に置く必要はありません(会社法31条4項、318条3項ただし書、442条2項ただし書)。 ※2 株主名簿管理人(株主名簿の事務を会社に代わって行う者)を置いている場合は、その営業所に備え置きます(会社法125条1項、252条1項)。

一覧表の読み方

定款・株主名簿・新株予約権原簿には、「何年」という期間がありません。会社が続いている間は、常に最新の状態で備え置くものです。定款については、なくしてしまった場合の対処法を定款をなくした──原始定款の謄本・再作成・「現行定款」の作り方で詳しく説明しています。株主名簿の書き換え(名義書換)の仕組みは、非上場株式を相続したら──取引相場のない株の名義書換と少数株主の現実で触れています。

なお、登記の申請のたびに提出する「株主リスト」は、ここでいう株主名簿とは別の書類です。違いは「株主リスト」とは──登記のたびに求められる書類と株主名簿との違いをご覧ください。

議事録は、会議の日から数えて10年です。株主総会議事録は、支店を置いている会社では、写しを5年間、支店にも置きます。議事録の書き方そのものは、株主総会議事録の作り方──登記で使える議事録の要件と記載例で説明しています。

委任状と議決権行使書面は、株主総会の日から3か月と、ほかの書類に比べて短い期間です。株主総会の議事録とは期間が違うので、まとめて処分しないよう注意が必要です。

計算書類等は、決算の書類一式(貸借対照表・損益計算書など)です。備置きが始まるのは、定時株主総会の日の1週間前(取締役会を置く会社は2週間前)からです。株主総会の決議を書面で省略する場合は、その提案があった日から数えます(会社法442条1項1号)。

「備え置く」と「保存する」は別の義務

会社法には、備置きとは別に、保存を求める規定もあります。

書類 会社法上の保存期間 根拠(会社法)
会計帳簿と事業に関する重要な資料 会計帳簿の閉鎖の時から10年 432条2項
計算書類とその附属明細書 作成した時から10年 435条4項

計算書類は、本店での備置きは5年ですが、保存は作成した時から10年です。5年たったら捨ててよい、というわけではない点に注意しましょう。

2 閲覧などを請求できる人

備え置いた書類は、株主や債権者などから閲覧などを求められることがあります。請求できる人と条件は、書類によって異なります。

書類 請求できる人 主な条件 根拠(会社法)
定款 株主・債権者 営業時間内はいつでも。謄本・抄本の交付は会社の定めた費用を支払う 31条2項
株主名簿・新株予約権原簿 株主・債権者 請求の理由を明らかにする 125条2項、252条2項
株主総会議事録・書面決議の同意書面 株主・債権者 営業時間内はいつでも 318条4項、319条3項
委任状・議決権行使書面 株主(その総会で決議した事項の全部について議決権を行使できない株主を除く) 請求の理由を明らかにする 310条7項、311条4項
取締役会議事録 株主 権利を行使するため必要があるとき。監査役設置会社などでは裁判所の許可が必要(下記3) 371条2項・3項
取締役会議事録 債権者 役員または執行役の責任を追及するため必要があるとき、裁判所の許可を得て 371条4項
監査役会議事録 株主 権利を行使するため必要があるとき、裁判所の許可を得て 394条2項
計算書類等 株主・債権者 営業時間内はいつでも。謄本・抄本の交付は会社の定めた費用を支払う 442条3項
会計帳簿とこれに関する資料 議決権または発行済株式の3%以上(定款で引き下げ可)を持つ株主 請求の理由を明らかにする 433条1項

株主名簿・新株予約権原簿・委任状・議決権行使書面・会計帳簿については、会社法が、会社は原則として請求を拒むことができないとしたうえで、拒むことができる場合を列挙しています(会社法125条3項、252条3項、310条8項、311条5項、433条2項)。たとえば、権利の確保や行使に関する調査以外の目的で請求したときなどです。

このほか、親会社の株主などは、権利を行使するため必要があるときに、裁判所の許可を得て、子会社の書類の閲覧などを請求できる場合があります(会社法31条3項、125条4項、318条5項など)。

3 会社の機関設計によって変わる点

取締役会や監査役を置いているかどうか(機関設計)によって、備え置く書類や請求の仕方が変わります。機関設計の見直しについては、取締役会・監査役は、いまの会社に本当に必要?──機関設計を見直すときの登記手続きもご覧ください。

取締役会を置かない会社

取締役会議事録の備置き(会社法371条1項)は、取締役会を置く会社(取締役会設置会社)の義務です。取締役会を置かない会社には、取締役会議事録そのものがありません。

また、計算書類等の本店での備置きが始まる日は、取締役会を置かない会社では定時株主総会の日の1週間前、取締役会を置く会社では2週間前です(会社法442条1項1号)。

監査役を置く会社・置かない会社

取締役会議事録について、株主は、権利を行使するため必要があるときは、原則として営業時間内いつでも閲覧などを請求できます(会社法371条2項)。ただし、監査役設置会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社も同じ)では、株主の請求には裁判所の許可が必要になります(同条3項)。

ここで注意したいのは、会社法でいう「監査役設置会社」の定義から、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限る旨の定款の定めがある会社が除かれていることです(会社法2条9号の括弧書き)。このため、監査役を置いていても、監査の範囲を会計に限定している会社では、取締役会議事録について株主が請求するときに、裁判所の許可は求められていないと解されています。ただし、取締役会を置く会社については、条文の文言の上で議論の余地が残っています(後半の「さらに深掘り」で説明します)。

自社の監査役の監査の範囲がどうなっているかは、登記簿や定款が手がかりになります。ただし、会社法の施行前から続く会社の中には、定款に書かれていなくても、監査の範囲を会計に限る定めがあるものとみなされている会社があります(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律53条)。

監査役会を置く会社

監査役会を置く会社では、監査役会の議事録を、監査役会の日から10年間、本店に備え置きます(会社法394条1項)。中小企業で監査役会を置く例は多くありませんが、置いている場合は一覧表に加えて管理します。

4 備え置かなかった場合

会社法は、定款・株主名簿・新株予約権原簿・委任状・議決権行使書面・議事録・書面決議の同意書面・計算書類等などを、定められたとおりに備え置かなかったときは、取締役などが100万円以下の過料に処せられる場合があると定めています(会社法976条8号)。

会社法は、これらの書類の多くについて、書面で作成する場合と電子データで作成する場合の両方を想定して、閲覧などの方法を定めています。ただし、支店での備置きを省略できるのは、電子データで作成していて、法務省令で定める措置をとっている場合に限られます(※1)。どちらの方法でも、「どこに・何が・いつまで」あるかを社内で決めておくことが、備置きの義務を守る第一歩です。

まとめ

会社法は、株式会社が備え置くべき書類について、置き場所(本店・支店)と期間を書類ごとに定めています。株主総会議事録と取締役会議事録は10年、計算書類等は本店で5年(支店の写しは3年)、委任状と議決権行使書面は3か月、そして定款・株主名簿・新株予約権原簿は期間の定めなく常に、が基本です。計算書類は、備置きとは別に作成から10年の保存義務がある点にも注意が必要です。

取締役会や監査役の有無によって、備え置く書類や閲覧の請求の仕方が変わることもあります。自社の機関設計に合わせた書類の整理や、議事録の作成・保管の方法に迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 書類を備え置くのに費用はかかりますか?

備置きそのものに、手数料などの費用はかかりません。定款と計算書類等については、株主や債権者が謄本・抄本の交付を求めるときに、会社の定めた費用を支払うこととされています(会社法31条2項、442条3項)。書類が見つからず、定款を公証役場から取り寄せる場合などは、別に手数料がかかります。

Q. 期間を過ぎた書類は捨ててもよいですか? 備え置かないとどうなりますか?

会社法上の備置き期間を過ぎても、計算書類(作成から10年)や会計帳簿(閉鎖から10年)のように、別に保存期間が定められている書類があります(会社法432条2項、435条4項)。税法上の保存期間も別にありますので、処分の前に税理士にもご確認ください。定められたとおりに備え置かなかったときは、取締役などが100万円以下の過料に処せられる場合があります(会社法976条8号)。

Q. 自社でそろえられますか? どこに相談すればよいですか?

書類の整理と保管は、会社自身で進められます。まずは一覧表をもとに、自社にある書類と期間を確かめてみてください。議事録が作られていない決議や、登記されていない変更が見つかったときは、お近くの司法書士にご相談ください。税法上の帳簿の保存については税理士が相談先です。

【さらに深掘り】支店備置きを省略する措置、登記で使う議事録・決定書面、会計限定監査役の会社の扱い

ご注意 以下は執筆時点(2026年10月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

支店での備置きを省略できる「法務省令で定める措置」の中身

本文の※1でふれた「法務省令で定める措置」は、会社法施行規則227条に定められています。同条は、会社法31条4項(定款)、318条3項(株主総会議事録の写し。325条で種類株主総会に準用する場合を含む)、442条2項(計算書類等の写し)の三つに共通の措置として、会社のコンピュータを通信回線でつなぎ、本店側のファイルに記録された情報を、通信回線を通じて支店で使うコンピュータのファイルに記録する方法による措置を定めています。

押さえておきたい点は二つです。

  1. 前提は、書類が電磁的記録(電子データ)で作成されていることです。 会社法31条4項、318条3項ただし書、442条2項ただし書は、いずれも電磁的記録で作成されている場合に限って、支店での備置きを不要としています。紙で作成・保管している議事録や計算書類には、この特則は使えません。
  2. 措置の目的は、支店での閲覧などの請求に応じられるようにすることです。 会社法の各規定は、この措置を、支店で閲覧などの請求(31条2項3号・4号、318条4項2号、442条3項3号・4号)に応じることを可能とするための措置と位置づけています。会社法施行規則227条の文言は、情報が支店側のコンピュータのファイルに記録されることを内容としていますので、社内のシステムがこれに当たるかどうかは、条文の文言と照らし合わせて確かめておくのが安全です。

取締役会を置かない会社の「取締役の決定」の記録

取締役会を置かない会社で取締役が2人以上いる場合、会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数で決定します(会社法348条2項)。このうち、支配人の選任・解任や、支店の設置・移転・廃止などは、各取締役に委任することができません(同条3項1号・2号)。

この取締役の過半数による決定について、会社法は、議事録の作成や備置きを求める規定を置いていません。会社法が議事録の作成を求めているのは、株主総会(318条1項)、取締役会(369条3項)、監査役会(393条2項)などの会議です。したがって、取締役会を置かない会社で取締役の決定の記録を作ることは、会社法上の義務ではありません。本文の一覧表に入っていないのもそのためです。

ただし、登記の場面では書面が必要になります。商業登記法46条1項は、登記すべき事項について取締役の一致を要するときは、その一致があったことを証する書面を申請書に添付しなければならないと定めています。たとえば、支店の所在場所は登記事項であり(会社法911条3項3号)、取締役会を置かない会社で支店を設置するには取締役の過半数による決定が必要ですから(348条3項2号)、支店設置の登記ではこの書面を添付することになります。また、定款の定めに基づく取締役の互選で代表取締役を定める場合(会社法349条3項)は、互選を証する書面に取締役が押印した印鑑について、市町村長が作成した証明書(印鑑証明書)の添付が求められます(商業登記規則61条6項2号。同項ただし書に例外があります)。

作成が義務ではないとはいえ、登記に使ったこうした書面は、後から決定の経緯を確かめる手がかりになります。会社法上の保存期間の定めはありませんので、どこまで残すかは会社が決めることになりますが、議事録と同じ綴りにまとめて原本を会社に残しておくと、整理がしやすくなります(この段落は法令上の義務ではなく、書類管理の工夫としての提案です)。

登記に提出した議事録と、会社の備置き義務との関係

登記の申請では、株主総会や取締役会の決議を要する登記事項について議事録を添付し(商業登記法46条2項)、決議を省略した場合(会社法319条1項、370条)は、それに当たることを証する書面を議事録に代えて添付します(商業登記法46条3項)。株主総会の決議を要する登記では、議決権の多い順の上位の株主の氏名・住所・議決権の数などを証する書面(いわゆる株主リスト)も添付します(商業登記規則61条3項)。

ここで混同しやすいのが、「登記に出したから法務局にある」ことと「会社に備え置いている」ことの関係です。

  • 法務局での保存は、会社の備置きの代わりにはなりません。 登記所では、申請書その他の附属書類が受付の日から10年間保存されます(商業登記規則34条4項4号)。しかし、法務局に出すのは登記にかかわる決議の書類に限られ、その閲覧も、利害関係を有する者が手数料を納めて請求するものです(商業登記法11条の2)。会社法318条2項や371条1項は、会社自身に本店での備置きを求めていますので、同じ書類が法務局にあっても、それで会社の備置きの義務を果たしたことにはなりません。
  • 議事録の原本を添付するときは、還付の請求ができます。 登記の申請人は、申請書に添付した書類の還付を請求でき、その際は原本と相違がない旨を記載した謄本もあわせて添付します(商業登記規則49条1項・2項)。原本の還付を受けないと原本が会社の手元に残らないため、本店での備置き(会社法318条2項、371条1項)との関係では、還付を受けて原本を会社に戻しておくことが考えられます。
  • 株主リストは、株主名簿とは別の、登記のための書面です。 株主リストは商業登記規則61条2項・3項が添付を求める書面で、会社法125条1項が備置きを求める株主名簿とは別物です。株主リストを作るときは株主名簿の記載をもとにするのが自然ですから、株主名簿を最新の状態にしておくことは、登記の準備の面でも意味があります。

会計限定監査役の会社と「監査役設置会社」の定義

本文では、監査の範囲を会計に限定している会社では、取締役会議事録の閲覧などの請求に裁判所の許可は求められていないと解されている、と説明しました。平成26年の会社法改正の検討段階で法務省民事局参事官室が公表した「会社法制の見直しに関する中間試案の補足説明」(平成23年12月)も、こうした会社は会社法2条9号の「監査役設置会社」に含まれないとして、その定めを登記事項に加える理由を説明しています。

もっとも、同号には「この法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社」も監査役設置会社に当たるとする部分もあり、取締役会を置く会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除きます)は、公開会社でない会計参与設置会社を除いて、監査役を置かなければなりません(会社法327条2項)。そのため、条文の文言の上では、この義務がある取締役会を置く会社が監査の範囲を会計に限っている場合にも、この部分が及ぶのではないかという問題が残ります。中間試案に対する意見募集でも、この部分にも会計限定の除外を及ぼすよう定義を改めるべきだという意見が出されましたが、2条9号の文言は改められていません。前述の補足説明も、取締役会を置く会社に限ってこの点を論じたものではありません。裁判所の許可は求められていないという理解が示されている一方で、条文の文言の上ではこうした問題が残っていることも知っておくとよいでしょう。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月)。

※ 次の資料は一次情報ではなく、解説・評釈などの二次資料ですが、内容確認の参考にしたため一次情報と区別して掲載しています。

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