この記事の要点
- 会社の登記簿の取り方は、法務局の窓口、郵送、オンライン請求、登記情報提供サービスの4つです。前の3つは法務局が証明した「登記事項証明書」、最後の1つは証明のない「閲覧用のデータ」です
- 手数料は、書面(窓口・郵送)が1通600円、オンライン請求が520円(郵送受取)または490円(窓口受取)、登記情報提供サービスが330円です(2026年10月1日確認。1通が50枚を超えると、50枚までごとに100円加算)
- 何を取るかは「何に使うか」で決まります。履歴事項証明書・現在事項証明書・閉鎖事項証明書・代表者事項証明書の4種類があり、提出先が種類を指定していれば、その指定に従います
- 会社を特定するには、商号(会社名)と本店を使う方法と、登記簿に載る12桁の会社法人等番号を使う方法があります。国税庁の法人番号(13桁)は、この12桁の前に1桁を付けたものです(外国会社は別の番号体系です)
- 会社の登記事項証明書は、会社の関係者でなくても請求できます
取引先の確認や、融資・入札の書類、自社の手続のために「会社の登記簿を取ってきてください」と言われたとき、どの種類を、どこで、いくらで取ればよいのか迷う方は少なくありません。この記事では、取り方に絞って、種類の選び方、4つの方法の比較、会社法人等番号の調べ方、請求書の書き方を順に整理します。
取った証明書の読み方(下線の意味や役員欄の日付など)は、会社の登記簿(履歴事項全部証明書)の読み方──「下線」は何を意味する?で説明しています。また、土地・建物の登記簿の取り方は、登記簿(登記事項証明書)の取り方4通りをご覧ください。本記事は、執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。手数料や運用は変わることがあるため、請求の前に法務省・法務局の案内をご確認ください。
1 会社の登記簿の種類──「何に使うか」で選ぶ
会社の登記簿の写しとして取れる主な証明書は、次の4種類です(商業登記規則30条1項)。法務局の請求書にも、この4種類を選ぶ欄があります。
| 種類 | 載っている内容 | 選ぶ場面の目安 |
|---|---|---|
| 履歴事項証明書 | 現在効力のある内容に加えて、請求日の3年前の日が属する年の1月1日から請求日までの間に抹消された事項など | 会社の現在の内容と、最近の変更の経過をあわせて確認したいとき |
| 現在事項証明書 | 現在効力のある内容(役員の就任年月日と、1つ前の商号・本店も載ります) | 現在の内容だけを確認したいとき |
| 閉鎖事項証明書 | 閉鎖された登記記録に記録されている事項 | 履歴事項証明書の期間より前の記録や、本店を他の管轄に移す前の記録を確認したいとき |
| 代表者事項証明書 | 会社の代表者の代表権に関する、現在効力のある事項 | 代表権のある人(代表取締役など)の証明だけでよいとき |
履歴事項・現在事項・閉鎖事項の3つには、全部事項(すべての区)と一部事項(一部の区だけ)があります。一部事項は、「株式・資本区」「目的区」「役員区」「支配人・代理人区」などを選んで取るもので、商号区と会社状態区はどの請求にも表示されます(法務局の請求書の注記)。
選び方で大切なのは、提出先の指定に従うことです。提出先が「履歴事項全部証明書」「現在事項全部証明書」「代表者事項証明書」のように種類を指定したり、「発行から3か月以内のもの」のように発行からの期間を指定したりすることがあります。迷ったら、種類と期間を提出先にあらかじめ確認してください。
そのうえで、一般的な違いは次のとおりです。
- 履歴事項と現在事項:履歴事項は、最近の変更の経過も載る分だけ情報量が多くなります。それぞれに載る範囲や下線の意味は、読み方の記事にまとめています
- 代表者事項証明書:代表権に関する事項だけが載るため、会社の目的や資本金などは載りません。代表取締役の住所が非表示の措置を受けている会社では、住所は市区町村までの表示になります(代表取締役の住所、登記簿で非公開にできます)
- 閉鎖事項証明書:履歴事項証明書に載る期間より前に抹消された記録は、原則として、閉鎖された記録として扱われます(新株予約権の登記には別の扱いがあります。下記の深掘りで説明します)。また、本店を他の登記所の管轄に移した会社では、移す前の記録が旧本店の登記所に閉鎖された記録として残るため、閉鎖事項証明書で確認します
- コンピュータ化以前の閉鎖登記簿:請求書には「コンピュータ化に伴う閉鎖登記簿謄本」などを選ぶ欄もありますが、これは紙の登記簿の時代の記録を求める請求です。通常の確認では使いません
なお、登記簿の閲覧に代わるものとして「登記事項要約書」(1通500円)もありますが、証明書とは別のもので、オンライン請求の対象にはなっていません(法務省の案内)。
2 取り方の比較──窓口・郵送・オンライン・登記情報提供サービス
4つの方法の一覧
| 方法 | 手数料(2026年10月1日確認) | 受け取り | 証明書として使えるか |
|---|---|---|---|
| 窓口請求 | 1通600円(収入印紙) | その場で受け取れる | 使える |
| 郵送請求 | 1通600円(収入印紙)+返信用の切手 | 郵送で届く | 使える |
| オンライン請求 | 郵送受取520円/窓口受取490円(電子納付) | 郵送または窓口 | 使える |
| 登記情報提供サービス | 330円(会社・法人の登記記録の全部の情報) | 画面で見る(PDF) | 使えない(閲覧用) |
窓口・郵送・オンラインは、手数料の水準が令和7年4月1日に改定されたもので、書面600円、オンライン(郵送)520円、オンライン(窓口)490円です(法務省「登記手数料について」)。登記情報提供サービスの330円は、2026年4月1日からの料金です(法務省)。1通の枚数が50枚を超える登記事項証明書は、超える枚数50枚までごとに100円が加算されます。
窓口請求
会社の登記事項証明書は、どなたでも、所定の手数料を納めれば請求できます(法務省の案内)。申請書に会社の商号と本店を書き、手数料に相当する収入印紙(登記印紙も使えます)を貼って、登記所の窓口に出す方法です。受付時間は、休日と年末年始を除く平日の午前8時30分から午後5時15分です。ただし、法務局は2024年(令和6年)1月4日から、人権相談などの一部の事務を除き、各種窓口の対応時間を午前9時から午後5時までとする運用をしています。この時間外でも窓口での請求を一切受け付けないわけではありませんが、できるだけ時間内に利用するよう案内されています(法務局「法務局の窓口対応時間について」)。
会社の本店がどこにあっても、最寄りの登記所で、他の管轄の会社の登記事項証明書を取得できます(商業・法人登記情報交換システムによる取扱い)。ただし、コンピュータで管理されていない昔の登記簿の謄本・抄本は、会社の本店または支店の所在地を管轄する登記所でしか取れません(法務省の案内)。
登記所によっては、窓口に証明書発行請求機が置かれています。画面の案内に従って請求内容を入力すると整理番号票が出ます。その額の収入印紙を用意し、名前を呼ばれたら整理番号票と引き換えに申請用紙を受け取り、収入印紙を貼って提出すると、その場で証明書を受け取れる仕組みです。この場合、申請書を手書きする必要はありません。ただし、1回の手続で請求できるのは会社1社分で、同じ証明書は10通まで、証明書が20枚を超える場合などは機械では請求できず、請求書を書いて窓口に出すことになります(法務省の案内)。設置している登記所は、法務省のページに一覧があります。
郵送請求
申請書に収入印紙を貼り、送付用の郵便切手(返信用の封筒に貼ります)を添えて登記所に送る方法です。窓口に行く時間がないときや、急がないときに向いています。必要な切手の額は、通数や枚数によって変わるため、送り先の登記所に確認すると安心です。
オンライン請求
「登記・供託オンライン申請システム」の「かんたん登記・供託申請」(ブラウザで使えます)または「申請用総合ソフト」で請求し、手数料はインターネットバンキングなどで電子納付します。次の点が特徴です(法務省の案内)。
- 事前に申請者情報の登録が必要です。登記事項証明書の請求では、電子署名は必要ありません
- 受け取りは郵送か窓口受取のどちらかで、電磁的な(データの)証明書が届くわけではありません。紙の証明書が郵送されるか、窓口で渡されます
- 窓口受取を選んだ場合も、手数料を収入印紙で納めることはできません。画面の「電子納付情報」を印刷するなどして窓口に出します
- 利用できる時間は、平日の午前8時30分から午後11時まで、休日は午前8時30分から午後6時までです(12月29日から1月3日を除く)。平日の午後5時15分以降や休日に送信した請求は、翌業務日の受付になります
- 登記事項証明書は誰でも請求できるため、委任状の仕組みはありません。代理人として請求するときは、備考欄に付記します
登記情報提供サービス
インターネットで会社の登記記録の内容を確認できる有料サービスです。登記事項証明書とは違い、証明文や公印が付かない閲覧用のデータで、証明書として提出することはできません(運営元の案内)。会社・法人については、次の点に注意が必要です。
- 取れるのは、現存する会社なら履歴事項の全部、閉鎖された会社なら閉鎖事項の全部です。現在事項証明書や代表者事項証明書にあたる情報は、サービスの対象外です
- 閉鎖された登記記録は、コンピュータ化後に登記簿全体が閉鎖されたものに限られ、個々の登記事項が閉鎖されたものは、原則として対象外です(法務省の案内に例外の記載があります)。必要なときは登記所に請求します
- 情報量が3メガバイトを超える会社は、全部の情報は取れません(一部の区を選べば取れる場合があります)
内容を確認するだけなら手軽ですが、提出先が証明書を求めているときは使えません。申込み・料金・利用時間・PDFの保存期限などは、登記情報提供サービスの使い方に詳しくまとめているため、ここでは再説明しません。
場面別の目安
- 証明書を提出する・今日中に必要 → 窓口請求(最寄りの登記所で他管轄の会社も取れる)
- 提出用で、窓口に行く時間がない → オンライン請求(郵送受取)、または郵送請求
- 提出用で、手数料を抑えたい → オンライン請求(窓口受取は490円。ただし受け取りは窓口の開いている平日の日中)
- 提出はせず、内容を見たいだけ → 登記情報提供サービス(ただし現在事項・代表者事項にあたる情報は出ません)
一部の地域にある「法務局証明サービスセンター」でも、会社の履歴事項・現在事項・閉鎖事項・代表者事項の各証明書を取り扱っています(法務省の取扱証明書一覧)。
3 会社法人等番号の調べ方
12桁の会社法人等番号と、13桁の法人番号の違い
| 会社法人等番号 | 法人番号 | |
|---|---|---|
| 桁数 | 12桁 | 13桁 |
| 管理するところ | 法務局(登記簿に記録) | 国税庁(法人番号公表サイトで公表) |
| 見つかる場所 | 登記事項証明書の枠内 | 国税庁の法人番号公表サイト |
会社法人等番号は、特定の会社を識別するための番号として登記簿に記録され(商業登記法7条)、登記事項証明書の枠内に表示されます。法務省は、法人番号(13桁)について、登記簿に記録された会社法人等番号(12桁)の前に1桁の数字を付したものと説明しています。ただし、外国法人(外国会社を含む)の法人番号は別の番号体系で、12桁の前に1桁を付けたものとは異なります(法務省の案内)。
国税庁の法人番号公表サイトでは、商号(名称)、本店または主たる事務所の所在地、法人番号の「基本3情報」を検索できます。
番号がわからないときの調べ方
- 手元の証明書を見る:過去に取った登記事項証明書があれば、枠内に12桁の会社法人等番号が載っています
- 国税庁の法人番号公表サイトで調べる:会社名と所在地で検索して13桁の法人番号を調べ、先頭の1桁を除いた12桁を会社法人等番号として使います(会社法などの規定に基づいて設立の登記をした法人の場合で、外国会社を除きます)
- オンライン登記情報検索サービスで調べる:登記・供託オンライン申請システムのサービスで、商号・名称、所在地、会社法人等番号を検索できます。登記事項証明書をオンライン請求するときは、検索結果を請求画面に取り込めます。申請者情報の登録(無料)が必要で、商号調査のための検索だけなら手数料はかかりません(法務省の案内)
番号を調べて取得した証明書は、商号と本店が目的の会社と一致しているかを確かめてください。
会社名・本店だけで請求する方法と、番号で請求する方法
どちらの方法でも請求できますが、会社を特定する確実さが少し違います。
- 書面請求(窓口・郵送):請求書には会社の商号・本店を書く欄があり、会社法人等番号の欄には「分かっている場合には記載してください」と注記されています。番号がわからなくても請求できます
- オンライン請求:商号・本店を入力する方法と、会社法人等番号を入力する方法があります。本店を管轄する登記所以外の登記所に請求する場合に、その管轄区域内に同一の商号の会社が複数あるときなど、システムが会社を特定できないときは、番号の入力(または請求先を管轄の登記所にすること)が必要になります。管轄の登記所に請求するときは、このエラーにはなりません(法務省の留意事項)。商号が40文字以上のときは、画面で商号を直接入力し、会社法人等番号の欄は空けて請求します
オンライン請求では、閉鎖された記録を管轄外の登記所に請求するときなど、番号の入力方法に注意点があります(番号だけを入力すると、システム上は最新の登記記録が特定されます)。閉鎖された記録を取る場合は、法務省の「登記・供託オンライン申請システムにより登記事項証明書等を取得する際の留意事項」を確認してください。
4 請求書の書き方(会社版)
窓口・郵送で使う用紙は、法務局のホームページで「登記事項証明書(代表者事項証明書を含む。)・登記簿謄抄本・概要記録事項証明書交付申請書」として配布されています。A4またはB5サイズの1枚もので、法務局による記載例が付いています。主な欄は次のとおりです。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 窓口に来られた人(申請人) | 実際に請求する人の住所・氏名(フリガナも) |
| 商号・名称(会社等の名前) | 請求する会社の商号 |
| 本店・主たる事務所(会社等の住所) | 請求する会社の本店 |
| 会社法人等番号 | わかっている場合に記載 |
| 請求事項 | 種類(履歴事項・現在事項・閉鎖事項・代表者事項、全部か一部か)に✓を付け、通数を書く |
| 収入印紙欄 | 手数料の額の収入印紙を、割印をせずに貼る |
会社の登記事項証明書は誰でも請求できる手続きなので、申請人の欄には、会社の関係者であるかどうかではなく、実際に窓口に来る(または郵送する)人の住所・氏名を書きます。
不動産の請求書との違い
不動産用の請求書の書き方は、登記事項証明書交付申請書の書き方で解説しています。会社版は次の点が異なります。
- 会社を特定する情報が違います:不動産は「地番」「家屋番号」で特定しますが、会社は商号・本店・会社法人等番号で特定します。地番や家屋番号は不要です
- 証明書の種類の選択肢が違います:会社版は、履歴事項・現在事項・閉鎖事項の別、全部事項か一部事項(区の選択)か、代表者事項かを選びます。不動産版にある共同担保目録の欄はありません
- 会社の商号・本店は登記されているとおりに書きます:商号を変更したり、本店を移転したりした会社では、旧商号や旧住所では会社が特定できないことがあります。直近の証明書や、前記の方法で調べた番号があれば、番号も書いておくと確実です
郵送の場合は、収入印紙を貼った申請書に、返信用の封筒と切手を添えて送ります。収入印紙に自分で割印をしないことは、不動産用と同じです。
まとめ
会社の登記簿は、窓口・郵送・オンライン請求で取れば法務局が証明した登記事項証明書に、登記情報提供サービスで見れば証明のない閲覧用データになります。取る前に、提出先がどの種類(履歴事項・現在事項・閉鎖事項・代表者事項)を求めているか、証明書でよいのか閲覧でよいのかを確認すると、取り直しを防げます。会社を特定するときは、商号と本店に加えて、12桁の会社法人等番号がわかると確実です。番号がわからないときは、国税庁の法人番号公表サイトで13桁の法人番号を調べ、先頭の1桁を除いて使います(外国会社を除きます)。手続の進め方や、取った証明書の内容について迷うときは、お近くの司法書士にご相談ください。
よくある質問
Q. 会社の登記簿を取るのに費用はいくらかかりますか?
登記事項証明書は、窓口・郵送の書面請求で1通600円(収入印紙)、オンライン請求で郵送受取が520円、窓口受取が490円です。1通が50枚を超えると、50枚までごとに100円が加算されます。郵送請求では別に返信用の切手代がかかります。登記情報提供サービスは1件330円ですが、証明書ではありません(以上、2026年10月1日確認)。
Q. どの種類を取ればよいですか? 古い証明書を使い回せますか?
まず提出先に、種類(履歴事項・現在事項・代表者事項など)と、発行からの期間の指定があるかを確認してください。以前に取った証明書を使えるかどうかは、その指定に合っているかと、取った後に登記の変更がないかによります。証明書は、作成した時点の登記の内容を証明するものなので、その後に登記が変わっていても反映されません。なお、会社の登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に変更の登記をするよう会社法が定めています(会社法915条1項)。証明書の内容が実態と合っていないと気づいたときは、早めに確認が必要です。
Q. 自分で取れますか? わからないときはどこに相談すればよいですか?
会社の登記事項証明書は、会社の関係者でなくても、手数料を納めれば誰でも請求できます。この記事のとおり、窓口・郵送・オンラインのどれでも自分で請求できます。取った証明書の内容が実態と合わないときや、役員や本店などの変更の登記が必要そうだと気づいたときは、お近くの司法書士にご相談ください。請求書の書き方など、登記所の手続そのものについては、登記所の窓口で案内を受けることもできます。
【さらに深掘り】会社の登記事項証明書の種類と使い分けの実務
ご注意 以下は執筆時点(2026年10月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。
本文では、種類の選び方と取り方を整理しました。ここでは、各証明書に「何が書かれ、何が書かれないか」を商業登記規則・会社法の側から確認したうえで、提出先に応じた使い分け、証明書が「作成時点の内容」であることの意味、会社法人等番号と法人番号の関係を掘り下げます。株式会社を前提にしています。
提出先ごとに求められる種類・発行からの期間・通数は、法令で一律に決まっているものばかりではなく、提出先ごとの案内や基準によるものもあります。そこで以下では、条文で確認できることと、提出先に確認すべきことを分けて書きます。
4種類の証明範囲を、条文の文言で確認する
登記事項証明書の記載事項は、法律上は法務省令で定めるとされ(商業登記法10条3項)、商業登記規則30条1項が種類ごとに定めています。
| 種類 | 規則30条1項に定める記載事項 |
|---|---|
| 現在事項証明書(1号) | 現に効力を有する登記事項(会社法人等番号を含む)、会社成立の年月日、取締役・監査役・代表取締役・会計監査人など規則に列挙された役職の就任の年月日、商号と本店の「現に効力を有するものの直前のもの」 |
| 履歴事項証明書(2号) | 1号の事項に加えて、基準日(請求日の3年前の日の属する年の1月1日)から請求日までの間に抹消する記号を記録された登記事項と、同じ期間に登記された事項で現に効力を有しないもの |
| 閉鎖事項証明書(3号) | 閉鎖した登記記録に記録されている事項 |
| 代表者事項証明書(4号) | 会社の代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有するもの |
証明書には、これらの事項の全部または一部である旨の認証文が付き、作成の年月日と登記官の職氏名が記載されます(同規則30条3項)。認証文の文言は種類ごとに定められており、たとえば履歴事項全部証明書では「これは登記簿に記録されている閉鎖されていない事項の全部であることを証明した書面である。」、現在事項全部証明書では「これは登記簿に記録されている現に効力を有する事項の全部であることを証明した書面である。」とされています(商業登記等事務取扱手続準則34条)。提出先から種類の指定を受けたときは、この認証文と見出しで、指定どおりの種類・範囲の証明書かを確認できます。
確認したい事実から逆引きする
「どの種類を取るか」は、突き詰めると「何を証明したいか」で決まります。条文の範囲から、代表的な場面を整理すると次のようになります。
| 確認したい事実 | 向く証明書 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現在、誰が会社を代表するか(氏名・住所) | 代表者事項証明書、または現在事項・履歴事項 | 代表者事項は、現に効力を有する代表権の事項に限られます(規則30条1項4号)。過去の代表者や、目的・資本金などは載りません |
| 現在の役員の顔ぶれと就任の年月日 | 現在事項証明書、履歴事項証明書 | 就任の年月日が記載対象とされているのは、規則30条1項1号に列挙された役職です |
| 最近の商号・本店・役員・資本金などの変更の経過 | 履歴事項証明書 | 載るのは基準日以降の経過です(同項2号) |
| 基準日より前の経過、閉鎖された登記記録の内容 | 閉鎖事項証明書 | 同項3号、規則44条 |
| 資本金・発行済株式・目的・公告方法など特定の項目だけ | 全部事項、または該当する区の一部事項 | 一部事項でも商号区と会社状態区は必ず付きます(規則30条2項) |
| 会社が解散や倒産手続の状態にないか | 現在事項証明書、履歴事項証明書(一部事項でも可) | 解散や破産などは会社状態区に記録されます。ただし合併による解散や清算結了など、登記記録の閉鎖を伴うものは別です(下記)。また、載るのは登記された事項に限られるため、記載がないことが、手続の申立てなどがないことまで示すとは限りません |
登記簿に載らないこと
提出先から「会社の状況がわかる書類」を求められたとき、登記事項証明書だけでは足りない項目があります。株式会社の設立の登記で登記すべき事項(会社法911条3項各号)と、商業登記規則別表第五が定める記録事項を見ると、次の点は登記事項に含まれていません。
- 株主の氏名・持株数:登記されるのは、発行済株式の総数と種類ごとの数、株主名簿管理人などで、株主個人は登記事項にありません
- 取締役の住所:取締役は氏名のみで、住所が登記されるのは代表取締役(指名委員会等設置会社では代表執行役)です(会社法911条3項13号・14号・23号)
- 許認可・登録を受けていること:目的欄は定款に定めた事業の目的です(同項1号)。許認可等の取得を示す項目は登記事項にありません
- 決算の内容・役員報酬:会社法440条3項の措置をとる会社では、貸借対照表の内容である情報を不特定多数の者が受けるために必要な事項(法務省令で定めるもの)が登記されますが(同項26号)、決算の内容そのものは載りません
- 会社の印鑑証明書:登記事項証明書とは別の証明書で、請求の手続も別です(法務省の案内)
提出先が株主構成や許認可、財務状況を確認したいときは、株主名簿、許認可の通知書、決算書など、別の書類で示すことになります。
提出先ごとの確認ポイント
金融機関、許認可の窓口、入札の発注者、取引先など、提出先によって確認の趣旨は異なり、必要な種類や期間も変わることがあります。取り直しを防ぐために、取得の前に次の項目を確認しておくと安心です。
- 種類(履歴事項・現在事項・代表者事項・閉鎖事項)と、全部事項か一部事項か
- 発行からの期間の指定(「3か月以内」など)
- 通数、原本の提出が必要か
- 登記事項証明書に代えて、会社法人等番号の記載で足りるか
最後の項目は、提出先が法務局(登記所)である場合には、次のような法令上の根拠があります。
- 商業登記の申請:申請書に添付しなければならないとされている登記事項証明書は、申請書に会社法人等番号を記載すれば添付を省略できます(商業登記法19条の3。法務省の案内による。同法7条にも同条への言及があります)
- 不動産登記の申請:申請人が法人であるときは、会社法人等番号を有する法人は会社法人等番号を、それ以外の法人は代表者の資格を証する情報を提供します(不動産登記令7条1項1号。法務省令で定める場合を除きます)
これらは登記所に対する申請の場合の取扱いです。銀行や取引先など、ほかの提出先に会社法人等番号の記載で足りるかどうかは、提出先ごとの取扱いによります。
なお、国や地方公共団体の行政手続については、法務省がデジタル庁と連携して、行政機関の端末で登記情報を直接確認できるようにする取組(登記情報連携)を進めており、各種行政手続で登記事項証明書の添付を不要にすることを目指しています。法務省の案内(令和7年4月)では、令和7年度に地方自治体での登記情報連携を大幅に拡大する予定とされています(法務省「登記情報連携の拡大について」)。もっとも、どの手続で添付が不要になるかは手続ごとに異なるため、提出先の案内で確認してください。
一部事項・代表者事項・閉鎖事項の位置づけ
一部事項:区の単位で請求できます。一部の区だけを請求しても、商号区と会社状態区は必ず記載されます(規則30条2項)。商号区には会社法人等番号・商号・本店・公告方法・会社成立の年月日などが、会社状態区には機関設計に関する事項(取締役会設置会社である旨など)や、解散・破産・民事再生などに関する事項が記録されます(別表第五)。そのため、一部事項でも、会社を特定する事項と、会社の状態に関する主な事項は確認できます。
注意したいのは、区の分け方が直感と異なる点です。たとえば、取締役などの責任の免除や制限に関する定款の定め(会社法911条3項24号・25号)は、役員区ではなく役員責任区に記録されます(別表第五)。役員区だけを請求した証明書には、その記載が出ません。何を確認したいかによって、請求する区を選ぶ必要があります。
代表者事項:代表権に関する事項で現に効力を有するものだけが対象です。代表者が複数いて、特定の代表者についてだけ証明すればよいときは、その代表者を指定して請求できます(規則30条2項後段)。一部の支配人についての証明も同様です(同項括弧書)。
閉鎖事項:登記事項が履歴事項証明書の範囲から外れると、原則として閉鎖され(規則44条。新株予約権の例外は下記)、閉鎖した登記記録として扱われます。これとは別に、登記記録の全体が閉鎖される場合があります。本店を登記所の管轄区域外に移転したときの旧所在地の記録、組織変更や合併による解散、清算結了などです(規則80条1項)。解散の登記から10年を経過したときなどに登記官が閉鎖できる場合もあります(規則81条1項)。取引先の調査などで、会社が合併や清算結了によって登記記録の閉鎖を伴う状態にあるときは、閉鎖された記録が確認の対象になります。履歴をさかのぼる考え方は、会社の登記簿(履歴事項全部証明書)の読み方でも整理しています。
「作成時点の内容」であることの実務上の意味
法令上の位置づけ:登記事項証明書は、登記簿に記録されている事項を証明した書面です(商業登記法10条1項)。履歴事項証明書の範囲も請求日が基準になり(規則30条1項2号)、証明書には作成の年月日が記載されます(同条3項)。本稿で確認した商業登記法10条と規則30条には、証明書自体の有効期間を定める規定は見当たりません。「発行から3か月以内」といった期間は、証明書の側ではなく、提出先の手続の側(提出先の案内や、その手続を定める法令など)で定められているものと考えられます。
登記が記録されるまでは反映されない:証明書は登記簿の記録を証明するものなので、変更が生じていても、その登記が記録されるまでは証明書に出ません。会社法は、登記すべき事項は登記の後でなければ善意の第三者に対抗できないと定め(会社法908条1項)、変更が生じたときは2週間以内に変更の登記をするよう定めています(同法915条1項)。このため、証明書に載っていないことは、変更がないことを直ちには意味しません。変更の登記を申請中の会社は、その旨を提出先に伝え、どの時点の証明書でよいかを確認しておくと安心です。
履歴事項の範囲は年が替わると動く:基準日は請求日の3年前の日が属する年の1月1日なので、範囲は1月1日を境に1年分ずつ動きます。たとえば2026年12月31日に請求すると、3年前の日は2023年12月31日で、基準日は2023年1月1日です。翌日の2027年1月1日に請求すると、基準日は2024年1月1日になります。2023年中に抹消された記録は、年が替わった日を境に履歴事項証明書の範囲から外れ、閉鎖された登記事項として確認する対象になります(規則30条1項2号、44条)。ただし、新株予約権の登記には例外があります。基準日までに全部行使等による抹消の登記がされていない新株予約権の登記のうち、変更登記(更正登記を含みます)により抹消する記号が記録されている登記事項は、閉鎖事項証明書に記載する対象から除かれています(商業登記等事務取扱手続準則35条2項ただし書)。新株予約権の記録を確認するときは、実際の証明書の記載で確認してください。
また、条文の文言は「基準日から請求日までの間に抹消する記号を記録された登記事項」となっています。基準になるのは、変更が生じた日ではなく、登記によって抹消の記号が記録された時期と読めます(閉鎖事項証明書の側も、「基準日前に抹消の記号が付された」登記事項を記載するものとされています。商業登記等事務取扱手続準則35条2項本文)。変更が生じた日が基準日より前でも、その登記が基準日以降に記録されていれば、履歴事項証明書に載る可能性があります。個別の記載は、実際の証明書で確認してください。
登記情報提供サービスの時点:運営元の案内によると、登記情報提供サービスで提供されるのは請求した時点の情報ですが、午後5時15分から午後11時までの利用はその日の登記所業務が終了した時点の情報、土日祝日の利用は直前の平日の業務終了時点の情報になります。閲覧用のデータでも、取得時点の違いに注意が必要です。
取り直しの判断軸:次の点を順に確認すると、判断しやすくなります。
- 提出先の指定(種類、全部か一部か、発行からの期間、通数)に合っているか
- 証明したい事実が「請求日の内容」で足りるか。契約日や申請日など特定の日の状態を示す必要があるときは、その日以降に登記された変更があるかを確認する。履歴事項で経過を追えるか(基準日の内側か)も確認する
- 作成後から提出までの間に、変更の登記がされる可能性があるか。定時株主総会後の役員の変更、増資、本店移転、商号変更などが進行中であれば、登記の完了の前後で内容が変わる
- 同時に出す書類(契約書、申請書、議事録など)の商号・本店・代表者の表示が、証明書の記載と一致しているか
会社法人等番号と法人番号の関係
会社法人等番号と法人番号は、別の制度による番号です。主な違いは次のとおりです。
| 会社法人等番号 | 法人番号 | |
|---|---|---|
| 根拠・管理 | 商業登記法7条、商業登記規則1条の2(登記簿に記録) | 国税庁長官が指定(国税庁の案内) |
| 桁数 | 12桁 | 13桁 |
| 付番の対象 | 株式会社、合名・合資・合同会社と外国会社、商号使用者、支配人、未成年者、後見人(規則1条の2第1項) | 国の機関、地方公共団体、設立登記法人のほか、税法上の届出をした法人や人格のない社団等も含む(国税庁の案内) |
| 確認できる場所 | 登記事項証明書 | 国税庁の法人番号公表サイト |
付番の仕組み:会社法人等番号は、登記所ごと、また上記の区分ごとに、登記記録を起こす順序に従って付されます(規則1条の2第1項)。ただし、株式会社と持分会社(外国会社を除く)について、新たに登記記録を起こす登記と同時に申請された登記で旧登記記録を閉鎖するときは、新しい記録の会社法人等番号は閉鎖する記録の番号と同一になります。新設合併による設立の登記は、この取扱いの対象から除かれています(同条2項)。本店を他の登記所の管轄区域内に移したときや組織変更のときに、閉鎖された記録と現在の記録に同じ番号が付いている例が、法務省の案内に示されています。
この結果、同じ登記所に同じ会社法人等番号の記録が複数存在する場合があります。オンライン請求で閉鎖された記録を請求するときの入力方法には注意点があるため、本文の案内のとおり、法務省の留意事項を確認してください。
法人番号との関係:法務省は、設立の登記をした法人の法人番号(13桁)は、登記簿に記録された会社法人等番号(12桁)の前に1桁の数字を付したものと説明しています。外国法人(外国会社を含む)の法人番号は別の番号体系です。国税庁の案内では、法人番号は設立登記法人以外にも指定されるため、法人番号があることは、商業登記簿に登記記録があることを必ずしも意味しません。
用途の違い:法令上、登記の申請で提供や記載を求められているのは会社法人等番号です(不動産登記令7条1項1号イ、商業登記法19条の3)。13桁の法人番号をそのまま書くものではありません。一方、法人番号は利用範囲に制約がなく、誰でも自由に利用できるとされています(国税庁の案内)。法人番号公表サイトは、商号(名称)・本店または主たる事務所の所在地・法人番号の基本3情報のほか、名称・所在地の変更履歴などを公表しています。旧商号や旧本店しかわからない会社を探すときは、この変更履歴が手がかりになります。ただし、公表サイトの表示は登記事項証明書ではないため、証明が必要な場面では登記事項証明書を取得します。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。
- 商業登記法 第7条・第10条・第19条の3(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125
- 商業登記規則 第1条の2・第30条・第31条の3・第44条・第80条・第81条・別表第五(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023
- 会社法 第908条・第911条・第915条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
- 不動産登記令 第7条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379
- 衆議院「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成25年法律第28号。第13条による商業登記法第7条・第19条の3の新設): https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/18320130531028.htm
- 法務省「商業登記等事務取扱手続準則」(平成17年3月2日法務省民商第500号民事局長通達・最終改正令和8年3月26日)第34条・第35条: https://www.moj.go.jp/content/001406310.pdf
- 法務省「登記事項証明書記載例(1から3まで)」(同準則の別紙): https://www.moj.go.jp/content/001382299.pdf
- 法務省「登記手数料について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html
- 法務省「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji11.html
- 法務省「証明書発行請求機」(登記事項証明書等の請求の流れ): https://www.moj.go.jp/content/000079869.pdf
- 法務省「オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について(商業・法人関係)」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji71.html
- 法務省「登記・供託オンライン申請システムにより登記事項証明書等を取得する際の留意事項について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00053.html
- 法務省「商業・法人登記に関する登記事項証明書の様式変更及び登記申請時の登記事項証明書の添付省略について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00089.html
- 法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00076.html
- 法務省「登記情報提供制度の概要について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25.html
- 法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25-1.html
- 法務省「法務局証明サービスセンターにおける取扱証明書一覧」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00039.html
- 法務省「登記情報連携の拡大について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00367.html
- 法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-2.html
- 法務局「登記事項証明書(代表者事項証明書を含む。)・登記簿謄抄本・概要記録事項証明書交付申請書 記載例」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188554.pdf
- 法務局「登記事項証明書(会社・法人)を取得したい方」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/shomeisho_000002.html
- 法務局「法務局の窓口対応時間について」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page_000001_00073.html
- 登記情報提供サービス(一般財団法人民事法務協会)「登記情報提供サービスとは」: https://www1.touki.or.jp/service/
- 登記情報提供サービス よくあるご質問「取得することができる登記情報はいつの時点のものですか。」: https://qa.touki.or.jp/faq/show/105?site_domain=open
- 国税庁 法人番号公表サイト「法人番号とは」: https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/setsumei/