この記事の要点

  • 会社の登記申請書には「登記すべき事項」(登記簿に載せたい内容そのもの)を書くのが原則だが、法務省令で定める方法で電子データとして出せば、申請書への記載を省ける
  • 法務省令が定める方法は2つ。①データを記録した媒体を申請書と一緒に出す方法、②データをあらかじめオンラインで送っておき、その後速やかに申請する方法
  • 媒体で出す場合は、法務大臣が告示で指定した方式に従い、媒体に申請人の氏名(会社なら商号)を書くか、書いた紙を貼る必要がある

会社の登記申請書でいちばん大事な部分が「登記すべき事項」です。結論から言うと、この部分は申請書に直接書く方法のほかに、電子データとして出す方法が2つ用意されています。つまり出し方は全部で3通りです。

なお、この記事は執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。

そもそも「登記すべき事項」とは

商業登記の申請書には、申請人(会社なら商号・本店・代表者)、登記の事由、登録免許税の額などとならんで、「登記すべき事項」を書くこととされています(商業登記法17条2項4号)。

「登記の事由」が「なぜ登記するのか」(たとえば役員の変更)を示すのに対し、「登記すべき事項」は「登記簿に何を載せるのか」(たとえば、いつ、誰が、どの役職に就任したか)という中身そのものです。会社の登記の種類ごとの全体像は、会社の登記の全体マップで整理しています。

方法1:申請書に直接書く

原則は、申請書そのものに登記すべき事項を書く方法です(同法17条2項4号)。登記の申請は書面でしなければならないとされており(同条1項。申請そのものをオンラインで行う方法は後で触れます)、申請書には申請人などが記名押印します(同条2項)。

方法2:記録媒体に入れて申請書と一緒に出す

登記すべき事項を電子データ(法律上の言葉では「電磁的記録」)にして、法務省令で定める方法で提供したときは、その事項を申請書に書く必要はないとされています(同法17条3項)。

その方法の1つ目が、データを記録した媒体(法律上の言葉では「電磁的記録媒体」)を、申請書とともに提出する方法です(商業登記規則35条の3第1項1号)。このとき、次の点が決められています。

  • 使える媒体は、日本産業規格(JIS)X0606またはX0610に適合する120ミリメートルの光ディスクに限られます(同条1項1号が引く同規則33条の6第4項1号)。法務省の案内では、CD-RやDVD-Rなどが例に挙げられています。同規則33条の6第4項は、会社などの電子証明書を請求する手続き用に、内閣総理大臣と法務大臣が構造を指定する記憶装置(同項2号)も定めていますが、登記すべき事項の提出に使えるのは1号の光ディスクだけです
  • 媒体は、法務大臣が指定する方式に従ってデータを記録したものでなければならず、その指定は告示で行われます(同条1項1号・2項)
  • 媒体には、申請人の氏名(会社などの法人なら商号または名称)を書くか、それを書いた紙を貼らなければなりません(同条3項)

ファイルの形式(テキスト形式で記録する、文字コードをどうするか等)といった具体的な決まりは、告示と法務省・法務局の案内で定められています。媒体を作る前に、管轄の法務局の案内で確認してください。

方法3:オンラインで先に送っておき、あとで申請する

もう1つの方法が、登記すべき事項のデータを、オンライン(法律上の言葉では「電子情報処理組織」)を使ってあらかじめ法務局に送っておく方法です(商業登記規則35条の3第1項2号)。この方法は、法務大臣が定める条件に合う場合に限られます(同号)。

注意したいのは、この方法で送るのは「登記すべき事項」のデータだけで、送っただけでは登記の申請をしたことにはならないという点です。データを送った後は、速やかにその登記の申請をするものとされています(同条4項)。申請書の提出を忘れたり、大きく遅らせたりしないよう、送信と申請はセットで段取りを組んでおくことが大切です。

なお、これとは別に、登記の申請そのものをオンラインで行う方法も用意されています(商業登記規則101条1項1号)。こちらは申請全体をオンラインで行う仕組みで、方法3の「事項だけ先に送って、申請は書面で出す」形とは別物です。不動産の登記で申請書を窓口・郵送・オンラインのどれで出すかについては、登記申請は窓口・郵送・オンラインのどれで出す?で整理しています。会社の登記でも「申請書をどう出すか」と「登記すべき事項をどう出すか」は別の話として分けて考えると、全体がつかみやすくなります。

どの方法でも中身の審査は同じ

3つの方法の違いは、登記すべき事項を「どの形で出すか」だけです。登記すべき事項に誤りや不足があれば、補正が必要になり、補正されなければ申請が却下されることもある点は、どの方法でも変わりません。また、媒体の受け付け方やオンラインで送るときの細かな条件は、告示や法務局の案内で定められていますので、実際に使う前に管轄の法務局で確認してください。

まとめ

会社の登記申請書の「登記すべき事項」は、①申請書に直接書く、②記録媒体に入れて申請書と一緒に出す、③オンラインで先に送ってから速やかに申請する、の3通りで出すことができます。②と③を使えば申請書への記載を省けますが、②は告示で指定された方式に従い媒体に商号などを表示すること、③は送った後に速やかに申請することが必要です。

役員の変更や本店の移転など、どの登記で何を「登記すべき事項」として書けばよいかに迷う場合や、出し方の段取りに不安がある場合は、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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