この記事の要点

  • 準正(じゅんせい)は、父に認知された子が、父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する仕組みです(民法789条)。認知の後に父母が婚姻する場合と、婚姻中の父母が認知する場合があります
  • コンピュータ化された戸籍の法定の記載例では、「準正」という見出しではなく、子の身分事項欄に「父母との続柄」の訂正として記録され、訂正前の続柄も【従前の記録】として残ります
  • 現在の法定相続分は嫡出子かどうかで差がないため、準正の有無が相続分に関わるのは、主に平成25年9月4日以前に開始した相続を今あらためて整理する場面です

準正とは──「認知」と「父母の婚姻」がそろったときの効果

結論から言うと、準正とは、婚姻関係にない父母から生まれた子が、父の認知と父母の婚姻がそろうことで、嫡出子(婚姻関係にある父母の子)の身分を取得することをいいます。民法789条は次のように定めています。

  • 1項:父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する(認知が先で婚姻が後の場合。一般に「婚姻準正」と呼ばれます)
  • 2項:婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する(婚姻が先で認知が後の場合。一般に「認知準正」と呼ばれます)
  • 3項:前の2項の規定は、子がすでに亡くなっていた場合にも準用する

なお、2項の「認知の時から」という文言については、認知準正の場合も父母の婚姻の時から準正の効果が生じるとする説が有力で、戸籍実務の先例も同じように解していると、戸籍実務の解説書では説明されています(木村三男著・青木惺補訂『改訂 Q&A即答 戸籍の実務』〔日本加除出版、2022年〕48頁)。

ここでいう「嫡出でない子」(民法779条など)は、婚姻関係にない父母から生まれた子を指す法令上の言葉で、子ども本人を評価する意味はありません。父との法律上の親子関係は認知によって生じ、認知の効力は出生の時にさかのぼります(民法784条。ただし、第三者がすでに取得した権利を害することはできません)。準正は、その親子関係を前提に、子の身分を嫡出子に改める仕組みです。

戸籍ではどう書かれるか──続柄の「訂正」として残る

戸籍法施行規則の付録第25号(法定の記載例)を見ると、コンピュータ化された戸籍では、準正は子の身分事項欄に次のように記録されます。

  • 父母の婚姻による場合(記載例78〜80):子の身分事項欄に「訂正」の項目が設けられ、【訂正事項】に「父母との続柄」、【訂正事由】に「○年○月○日父母婚姻届出」、【従前の記録】に訂正前の【父母との続柄】が記録されます
  • 婚姻中の父母が認知した場合(記載例15・16。子の側の記載は16):子の身分事項欄の「認知」の項目の中に、【関連訂正事項】として「父母との続柄」、【従前の記録】として訂正前の続柄が記録されます

読むときのポイントは3つです。

  1. 続柄欄に今書かれている「長男」「二女」などは訂正後のものです。以前の続柄は【従前の記録】で確かめます。
  2. 【訂正日】は戸籍に記録した日で、【訂正事由】に書かれた父母婚姻届出の日とずれることがあります(記載例79・80)。いつ婚姻届出がされたかは、【訂正事由】の日付で読み取ります。
  3. 記載例には、子が父母と同じ戸籍にいる場合と、父母と戸籍を異にする場合の両方があります。準正があったからといって子が父母の戸籍に入っているとは限らないため、子の戸籍の所在は別に確かめる必要があります。

なお、ここで紹介したのはコンピュータ化後の戸籍の記載例です。改製原戸籍などの紙の戸籍は書式が異なるため、同じ項目名で書かれているとは限りません。

相続人の確定で準正が意味を持つ場面

まず、相続人になるかどうかについては、民法887条1項が「被相続人の子は、相続人となる」と定めています。父に認知された子は、準正があってもなくても父の子として相続人になります。準正が関わってくるのは、主に相続分の場面です。

平成25年の民法改正(平成25年法律第94号。同年12月11日公布・施行)より前の民法900条4号ただし書には、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分がありました。最高裁判所大法廷の平成25年9月4日決定は、この部分が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断し、その後の改正でこの部分は削除されました。現在の900条4号は、子が数人あるときの各自の相続分を「相等しいもの」としています。

ただし、改正法の附則2項は、改正後の900条を「平成二十五年九月五日以後に開始した相続について適用する」と定めています。また上記の決定は、違憲とする判断が、平成13年7月当時から決定の時までに開始した他の相続のうち、遺産分割の審判や協議などによって確定的なものとなった法律関係には影響を及ぼさない、としています。

このため、数次相続などで平成25年9月4日以前に開始した相続を今あらためて整理する場合には、相続が始まった時点でその子が嫡出子の身分を取得していたかどうか、つまり準正の有無と時期が、相続分の考え方に関わる可能性があります。どの扱いになるかは、相続の開始時期や遺産分割がすでに確定しているかなどによって変わるため、一律には言えません。また、民法789条3項により子がすでに亡くなっていた場合にも準正の規定が準用されるため、亡くなった子の系統をたどる場面でも、身分事項欄の訂正の記載を見落とさないことが大切です。

執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

準正は、認知された子が父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する仕組みで、コンピュータ化された戸籍では子の身分事項欄に続柄の訂正として残ります。現在の相続分には嫡出子かどうかによる差はありませんが、平成25年9月4日以前に開始した相続を整理する場面では意味を持つことがあります。古い相続が絡む場合や、戸籍の記載の読み方に迷う場合は、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月)。

※ 次の資料は一次情報ではなく、解説などの二次資料ですが、内容確認の参考にしたため一次情報と区別して掲載しています。

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