この記事の要点

  • 一つ前の戸籍の所在は、本籍を他の市区町村へ移した(転籍)なら戸籍事項欄の【従前本籍】、婚姻などで別の戸籍から入った人ならその人の身分事項欄の【従前戸籍】に書かれる
  • 前の戸籍を取り寄せたら、そちら側に残る「出ていった記録」と日付・所在が合っているかを突き合わせる
  • 出生の記載があるだけでは、出生時の戸籍とは限らない。出生に関する事項は新しい戸籍にも書き写されるため

一つ前の戸籍を探すときに見る2か所

結論から言うと、一つ前の戸籍を探すときに見る場所は2か所です。戸籍そのものがどこから移ってきたかは「戸籍事項欄」に、その人がどの戸籍から入ってきたかは、その人の「身分事項欄」に書かれています。

「従前本籍」と「従前戸籍」は指しているものが違う

戸籍法13条1項は、戸籍に記載する事項として「戸籍に入つた原因及び年月日」(4号)と「他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示」(8号)を挙げています。戸籍の表示とは、筆頭者の氏名と本籍のことです(同法9条)。

コンピュータ化された戸籍の証明書については、戸籍法施行規則が記載例を定めています(同規則73条6項・付録第25号)。これを見ると、書き分けは次のとおりです。

  • 他の市区町村へ転籍したとき:転籍後の戸籍の戸籍事項欄に【転籍日】と【従前本籍】が書かれます。【従前本籍】は、移る前の本籍(所在地)だけです
  • 婚姻などで別の戸籍から入ったとき:その人の身分事項欄の婚姻などの記載の中に【従前戸籍】が書かれます。こちらは本籍と筆頭者の氏名がセットです

婚姻で夫婦の新しい戸籍が作られた場合、戸籍事項欄には【編製日】があるだけで、どこから来たかは夫と妻それぞれの身分事項欄の【従前戸籍】に別々に書かれます。たどるのは、亡くなった方本人の欄の【従前戸籍】です。

紙の戸籍に用いる記載例(同規則33条2項・附録第7号)では、同じことが文章で書かれます。転籍後の戸籍には「〇〇から転籍届出」、婚姻で入った人の欄には「〇〇番地〇〇戸籍から入籍」という形です。ただし、古い時期の戸籍は、書きぶりが現在の記載例と異なることがあります。

前の戸籍の側と突き合わせる

前の戸籍を取り寄せたら、そちらにも出ていった記録があるかを確かめます。記載例では、転籍前の戸籍の戸籍事項欄に同じ【転籍日】と【新本籍】が、婚姻で新しい戸籍を作って出ていった人の欄には【新本籍】と【称する氏】が書かれます(紙の戸籍なら「〇〇に転籍届出」「〇〇に夫の氏の新戸籍編製につき除籍」など)。両側の日付と所在が合っていれば、2通の戸籍はつながっています。

いくつか例外的な読み方もあります。同じ市区町村の中での転籍は、記載例では転籍者の戸籍の戸籍事項欄に【転籍日】と、元の本籍を示す【従前の記録】が書かれる形です。また、法令による様式の作り替え(改製)は、従前本籍や従前戸籍ではなく、戸籍事項欄の改製の記載(同規則34条6号)で改製原戸籍につながります。特別養子縁組では、養親の戸籍の【従前戸籍】が実方の戸籍ではなく、間にはさまる養子の新戸籍を指す点に注意が必要です(特別養子の戸籍の記載)。

出生の記載だけで終点と判断しない

出生に関する事項は、新しい戸籍が作られたり別の戸籍に入ったりするときに、新しい戸籍へ書き写されます(戸籍法施行規則39条1項1号)。そのため、婚姻後の戸籍にも出生の記載は載っています。出生の記載があることだけでは、出生時の戸籍とはいえません。

終点かどうかは、次の二つで確かめるのが目安です。一つは、亡くなった方本人の欄に、別の戸籍から入ってきた記載(【従前戸籍】など)がないこと。もう一つは、その戸籍が作られた日(他の市区町村から転籍してきた戸籍なら転籍の日、改製された戸籍なら改製の日)が出生日より前であることです。転籍や改製の日が出生日より後なら、その前の戸籍(転籍前の戸籍や改製原戸籍)にさかのぼります。

ただし、親の戸籍に入っている未婚の母に子が生まれたときのように、出生の届出をきっかけに母について新しい戸籍が作られ、子がそこに入ることもあります(戸籍法17条)。この場合は、戸籍が作られた日が出生日より後でも、その戸籍が出生時の戸籍です。

なお、亡くなった方の子や配偶者などは、亡くなった方が記載されている戸籍(すでに除かれた場合を含みます)の証明書を請求できます(戸籍法10条1項)。

執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

【従前本籍】は戸籍が移ってくる前の本籍、【従前戸籍】はその人が入ってくる前の戸籍を示します。これを手がかりに一つ前の戸籍を取り寄せ、前の戸籍の側の記録と突き合わせながら、出生時の戸籍までつないでいきます。古い戸籍の書きぶりが読み取れないときや、つながりに自信が持てないときは、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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