数次相続が起きると戸籍はどこまで増える?──亡くなった相続人にも『出生から死亡まで』が必要になる理由

この記事の要点 数次相続とは、一次相続の遺産分割が終わらないうちに相続人の一人が亡くなり、二次相続が発生している状態 亡くなったその相続人についても、本来の被相続人と同じく「出生から死亡まで」の戸籍一式を追加で集める必要がある 理由は、その人自身の相続人(二次相続人)が誰であるかを確定するため。亡くなった人数が増えるほど、収集範囲は大きく膨らむ 令和6年3月1日から始まった戸籍証明書等の「広域交付」は、直系にあたらない方の戸籍・コンピュータ化されていない戸籍・代理人による請求には使えないため、数次相続では負担の軽減が限定的 本文 相続登記や遺産分割協議のために戸籍を集めるとき、子が相続人になる一般的なケースであれば、亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡まで」の戸籍一式をひとそろい集めるのが基本の範囲になります(相続人が兄弟姉妹になる場合など、被相続人の分だけでは足りないケースもあります)。ところが数次相続が絡むと、この「ひとそろい」が何セットにも増えていきます。今回は、その増え方の仕組みを戸籍収集の実務という切り口から整理します。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

代襲相続の原因、戸籍でどこまでわかる?──死亡・廃除は載るが、放棄・欠格は載らない

この記事の要点 代襲相続が起こる原因は「死亡・相続欠格・廃除」の3つで、相続放棄は原因に含まれない 死亡と廃除は戸籍の身分事項欄に記載されるため戸籍で確認できるが、相続欠格と相続放棄は戸籍に記載が残らない 「戸籍を見ても代襲相続が起きているかどうか判断できない」ケースがあり、その場合は証明書や家庭裁判所への照会など戸籍以外の資料で確認する必要がある 戸籍を読み進めていると、「この人は代襲相続の対象になっているのだろうか」と立ち止まる場面があります。結論から言うと、戸籍だけを見れば代襲相続の有無がすべてわかる、というわけではありません。代襲相続の原因のうち、戸籍に記載が残るものと、まったく記載が残らないものがあるためです。 ...

2026年9月10日 · ひぐらしさとし

養子縁組があると戸籍はどう動く?──相続で実方の戸籍までさかのぼる理由

この記事の要点 養子縁組をすると、養子は原則として養親の戸籍に入り(戸籍法18条3項)、それまでいた実父母の戸籍からは除籍される 被相続人の戸籍を死亡から出生までさかのぼる作業で「養子」の記載に行き当たったら、その戸籍だけでは足りず、縁組前に在籍していた実方の戸籍も別途取得する必要がある 普通養子縁組は実方との親族関係が続くため実方の血族も相続人になりうるが、特別養子縁組では原則として実方との親族関係が終了し、相続人の範囲が変わる(連れ子を特別養子とした場合の例外あり) 結論から言うと、養子縁組があると戸籍は「乗り換え」が起きます。養子は養親の戸籍に入るのが原則で(戸籍法18条3項「養子は、養親の戸籍に入る。」)、氏も養親の氏を称します(民法810条本文)。戸籍は一人につき一つの籍に在籍する仕組みですから、養親の戸籍に入るということは、それまで在籍していた実父母の戸籍からは除籍される、ということでもあります。なお、これには例外があり、婚姻によって氏を改めた人は、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は養親の氏を称しません(民法810条ただし書)。戸籍はもともと、同じ氏を称する夫婦とその子を単位として編製される仕組みですから、縁組をしても氏が変わらないのであれば、養親の戸籍に入ることにもなりません。たとえば妻の氏を称して婚姻した夫が妻の父母の養子となる、いわゆる婿養子の縁組では、夫婦の戸籍に在籍したままとなり、縁組の事実はその戸籍の身分事項欄に記載されるだけで、戸籍の「乗り換え」は起きません。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

戸籍の「身分事項欄」の読み方──婚姻・養子縁組・認知の記載から相続人を読み取る

この記事の要点 続柄欄が「その人の立ち位置」を示すのに対し、身分事項欄は「その人にいつ何が起きたか」という出来事の記録を示す欄 認知は父と子の双方、普通養子縁組は養親と養子の双方、婚姻・離婚は夫と妻の双方の身分事項欄に記載される(戸籍法施行規則35条) そのため、被相続人自身の戸籍の身分事項欄をたどることで、認知した子・養子縁組した子・前の婚姻の存在といった相続人確定に直結する事実を拾える 本文 結論から言うと、相続人を確定する作業では、続柄欄と身分事項欄を役割分担で読み分けるのが基本です。戸籍の「続柄」欄の読み方で扱ったとおり、続柄欄はその人が父母や筆頭者から見てどの続き柄にあたるかという「立ち位置」を示す欄です。これに対して身分事項欄は、出生・婚姻・離婚・養子縁組・離縁・認知・死亡といった「その人の身の上に起きた出来事」を、日付とともに記録していく欄です。相続人の範囲を左右する事実の多くは、続柄欄ではなく身分事項欄に現れます。 ...

2026年8月1日 · ひぐらしさとし