「姻族関係終了届」を出しても相続人のまま?──戸籍での書かれ方と、相続人確定での読み方

この記事の要点 配偶者が亡くなった後に生存配偶者が姻族関係終了の届出をすると、その事項は生存配偶者の身分事項欄に記載される(戸籍法96条、戸籍法施行規則35条7号) 相続は死亡の時に開始するため、亡くなった配偶者の相続で生存配偶者が相続人であることは、この届出によって変わらないと考えられる。相続人確定でこの記載を見ても、配偶者を相続人から外さない 姻族関係終了届は復氏届とは別の手続きで、これだけでは氏も戸籍も変わらない。子と亡くなった親の親族との血族関係も、この届出の対象ではない 結論から言うと、被相続人の配偶者の欄に姻族関係終了の記載があっても、その配偶者は被相続人の相続人として扱うのが基本です。この記載は「亡くなった配偶者の親族との関係を終わらせた」という記録であって、「亡くなった配偶者その人との関係」を消す記録ではないからです。 ...

2026年10月28日 · ひぐらしさとし

準正とは?──戸籍での書かれ方と、相続人の確定で意味を持つ場面

この記事の要点 準正(じゅんせい)は、父に認知された子が、父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する仕組みです(民法789条)。認知の後に父母が婚姻する場合と、婚姻中の父母が認知する場合があります コンピュータ化された戸籍の法定の記載例では、「準正」という見出しではなく、子の身分事項欄に「父母との続柄」の訂正として記録され、訂正前の続柄も【従前の記録】として残ります 現在の法定相続分は嫡出子かどうかで差がないため、準正の有無が相続分に関わるのは、主に平成25年9月4日以前に開始した相続を今あらためて整理する場面です 準正とは──「認知」と「父母の婚姻」がそろったときの効果 結論から言うと、準正とは、婚姻関係にない父母から生まれた子が、父の認知と父母の婚姻がそろうことで、嫡出子(婚姻関係にある父母の子)の身分を取得することをいいます。民法789条は次のように定めています。 ...

2026年10月24日 · ひぐらしさとし

戸籍の「従前本籍」「従前戸籍」の読み方──一つ前の戸籍をたどって出生までさかのぼる手順

この記事の要点 一つ前の戸籍の所在は、本籍を他の市区町村へ移した(転籍)なら戸籍事項欄の【従前本籍】、婚姻などで別の戸籍から入った人ならその人の身分事項欄の【従前戸籍】に書かれる 前の戸籍を取り寄せたら、そちら側に残る「出ていった記録」と日付・所在が合っているかを突き合わせる 出生の記載があるだけでは、出生時の戸籍とは限らない。出生に関する事項は新しい戸籍にも書き写されるため 一つ前の戸籍を探すときに見る2か所 結論から言うと、一つ前の戸籍を探すときに見る場所は2か所です。戸籍そのものがどこから移ってきたかは「戸籍事項欄」に、その人がどの戸籍から入ってきたかは、その人の「身分事項欄」に書かれています。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

公正証書遺言があるか調べる──遺言検索システムの使い方と誰が照会できるか

この記事の要点 亡くなった方が公正証書遺言を作っていたかどうかは、全国どこの公証役場でも「遺言検索」で調べられます(平成元年以降に作成されたものが対象) 申し出られるのは相続人などの利害関係人だけ。遺言者が生きている間は、遺言者本人に限られます 遺言検索の申出は無料。除籍謄本など死亡の事実がわかる書類、相続人であることがわかる戸籍謄本、本人確認書類を用意します 見つかったら、保管している公証役場に遺言公正証書の謄本(写し)を請求します。謄本の請求は郵送でもできます 法務局に預けた自筆の遺言は別の仕組みで調べます。手続きの細かな点は、事前に公証役場へ確認しておくと安心です 親が亡くなり、「公証役場で遺言を作ったと聞いたことがあるけれど、どこにあるのかわからない」と困ってしまうことがあります。結論からいうと、公正証書遺言があるかどうかは、最寄りの公証役場で「遺言検索」を申し出れば調べられます。この記事では、日本公証人連合会の案内にそって、遺言検索の仕組み・照会できる人・必要書類・見つかった後の流れを整理します。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

特別養子の戸籍はどう書かれている?──「民法817条の2」の記載と相続人確定での読み方

この記事の要点 特別養子縁組は家庭裁判所の審判で成立し、戸籍には「縁組日」ではなく裁判の確定日が記載される。法令の記載例では、養親の戸籍の養子の欄に【民法817条の2による裁判確定日】という項目で記載される 戸籍は「実方の戸籍 → 養子ひとりの新戸籍 → 養親の戸籍」とつながる。出生までさかのぼるときは、間にはさまる新戸籍を抜かさない 実親の相続では、特別養子縁組の記載がある子は原則として相続人にならない(民法817条の9)。ただし、夫婦の一方が配偶者の嫡出子(連れ子)を特別養子とした場合の例外と、離縁による親族関係の回復に注意する 結論から言うと、特別養子縁組は、ひとつの戸籍だけを見ても全体がつかめません。養親の戸籍、養子について一度だけ作られる新しい戸籍、縁組前の実方(じっかた=生みの親の側)の戸籍の3か所に、それぞれ違う形で記載が残るためです。ここでは、相続手続きのために集めた戸籍の中でこの記載に行き当たったときの読み方に絞って、法令に定められた記載例に沿って整理します。 ...

2026年10月16日 · ひぐらしさとし

帰化した人が亡くなったときの相続の戸籍──帰化前の婚姻・認知・子の出生などの経過は日本の戸籍ではたどれない

この記事の要点 帰化した人の日本の戸籍は、帰化の届出を受けて記載されたところから始まり、帰化する前の身分関係の経過(前の婚姻や離婚、認知、帰化前に生まれた子など)は原則としてたどれない 帰化後に亡くなった人の相続は日本の法律によるが、相続人を確かめるには帰化前の身分関係を示す本国の公的書類とその翻訳文が必要になることがある 相続登記で書類がそろわないときにどう補うかは、提出先の法務局の取扱いによる 相続の手続きでは、亡くなった人の「出生から死亡まで」の戸籍を集めて相続人を確かめるのが基本です。ところが、亡くなった人が帰化して日本の国籍を取得した人だった場合、日本の戸籍だけでは出生までさかのぼれません。日本の戸籍は帰化したところから始まっているためです。なお、本記事は執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年10月12日 · ひぐらしさとし

相続手続きの全体マップ──「何から始めるか」をこの1本から辿れる総目次

この記事の要点 相続の手続きは「亡くなった直後/相続人を確かめる/財産を調べる/分け方を決める/名義を変える/税金/もめたとき/生前対策」の8つの段階に分けると、いま自分がどこにいるかが見えやすくなる 期限のある手続きがあるので、最初に確かめたいのは「相続放棄をするかどうか(原則3か月)」と「相続登記(原則3年)」の2つ 下の段階別の目次から、いまの自分に当てはまる段階の記事を読んでください 税額の計算は税理士、相続人どうしで争いになっているときは弁護士が相談先です 相続の手続きで「何から始めればいいのか」と迷ったときは、まず自分がいまどの段階にいるかを決め、その段階の記事から読むのが近道です。この記事は、相続に関する解説記事をまとめて案内する総目次です。制度のしくみは個別の記事にゆずり、ここでは「どの段階で、どの記事を読めばよいか」だけを並べます。本記事は、執筆時点(2026年09月)の法令に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

家族構成別・相続の目次──子なし夫婦・おひとりさま・再婚・海外、あなたのケースはどれ?

この記事の要点 誰が相続人になるかは、家族構成によって民法のルールで決まる。配偶者は常に相続人で、それ以外の家族は「子→親(親がいなければ祖父母)→兄弟姉妹」の順番で相続人になる 子のいない夫婦・おひとりさま・再婚家庭・内縁・子が先に亡くなっている場合・相続人が海外にいる場合など、ケースによって相続人の顔ぶれと注意点が変わる 下の一覧表で自分の家族構成に近い行を探し、詳しくはそれぞれの記事へ進んでください 最終的に相続人を確定するのは、亡くなった方の戸籍です。家族の認識と戸籍の内容が違うこともあります 「自分の家の場合、相続人は誰になるのか」を知りたいときは、まず自分の家族構成がどのケースに当たるかを決め、そのケースを扱った記事から読むのが近道です。相続人の範囲は民法で決まっており、家族構成が同じなら、相続人になる人の顔ぶれもおおむね同じ型になります。 ...

2026年9月27日 · ひぐらしさとし

建物滅失登記を自分で申請する手順──申請書の書き方・添付書類・相続人が申請するとき

この記事の要点 建物滅失登記は、取り壊した建物の登記記録を閉じる「表示に関する登記」で、所有者本人が自分で申請することもできる 申請書には登記の目的「建物滅失」、添付情報、申請日と提出先の法務局、申請人の住所氏名と連絡先、建物の表示、取り壊した日を書く(法務局のサイトに様式と記載例がある) 中心になる添付書類は、解体業者が発行する建物滅失証明書とその業者の印鑑証明書など。建物図面は求められない 所有者が亡くなっている場合は、相続人その他の一般承継人から申請できる(不動産登記法30条)。相続登記を先に済ませる必要はない 建物滅失登記に登録免許税はかからない。ただし建物の特定が難しいときや一部だけを取り壊したときは、土地家屋調査士に相談したほうが早い 建物を取り壊したあとに必要な建物滅失登記は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的ですが、制度上は所有者本人が自分で申請することもできます。実際、法務局は申請書の様式と記載例を公開しており、書き方の手がかりは公的なかたちで用意されています。この記事では、その記載例に沿って「自分で出す」ときの手順を、申請書の項目・添付書類・相続人が申請する場合・費用の順に整理します。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし

数次相続が起きると戸籍はどこまで増える?──亡くなった相続人にも『出生から死亡まで』が必要になる理由

この記事の要点 数次相続とは、一次相続の遺産分割が終わらないうちに相続人の一人が亡くなり、二次相続が発生している状態 亡くなったその相続人についても、本来の被相続人と同じく「出生から死亡まで」の戸籍一式を追加で集める必要がある 理由は、その人自身の相続人(二次相続人)が誰であるかを確定するため。亡くなった人数が増えるほど、収集範囲は大きく膨らむ 令和6年3月1日から始まった戸籍証明書等の「広域交付」は、直系にあたらない方の戸籍・コンピュータ化されていない戸籍・代理人による請求には使えないため、数次相続では負担の軽減が限定的 本文 相続登記や遺産分割協議のために戸籍を集めるとき、子が相続人になる一般的なケースであれば、亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡まで」の戸籍一式をひとそろい集めるのが基本の範囲になります(相続人が兄弟姉妹になる場合など、被相続人の分だけでは足りないケースもあります)。ところが数次相続が絡むと、この「ひとそろい」が何セットにも増えていきます。今回は、その増え方の仕組みを戸籍収集の実務という切り口から整理します。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし