この記事の要点

  • 会社以外の法人も、多くは登記をします。学校法人、医療法人、NPO法人などは設立の登記をすることで成立します。
  • 登記のルールが書かれている場所は3つに分かれます。組合等登記令という政令、法律そのもの(一般社団法人・宗教法人など)、別の政令(独立行政法人・労働組合)です。
  • 登記する法務局は、この記事の表のどの法人も、主たる事務所の所在地を管轄するところです。弁護士法人は、弁護士法の条文の言葉が「主たる法律事務所」です。
  • 代表者の名称は、理事長、代表理事、代表役員、理事、社員、学長などと法人ごとに違います。
  • この記事は主な法人の一覧で、すべての種類を載せたものではありません。どの法人を選ぶべきかの助言や、登録免許税の額を除く税金の話は扱いません。所轄庁の認可・認証は所轄庁の窓口や行政書士へ、登記はお近くの司法書士へ。

「法人」と聞くと株式会社を思い浮かべますが、学校、病院、お寺や神社、農協、マンションの管理組合にも、登記をして法人になっているものがあります。ところが、登記のルールは法人の種類ごとに書かれている場所が違い、代表者の呼び方も同じではありません。

この記事では、会社以外の法人を種類別に並べ、根拠となる法律、登記のルールの場所、登記する法務局、代表者の名称を表にします。株式会社など会社の登記は、会社の登記の全体マップにまとめています。

表の条文は、政府の法令データベース(e-Gov法令検索)で2026年11月5日時点の現行版を確かめたものです。この記事は執筆時点の制度に基づく一般的な解説です。

1. 表の読み方

表の「登記のルール」の欄は、次の3つのどれかです。

  • 組合等登記令(くみあいとうとうきれい)の別表:会社以外のさまざまな法人の登記について定めた政令です。別表に名前が載っている法人に適用されます(同令1条)。別表には60近い欄があり、1つの欄に複数の法人が入っているものもあります。
  • 法律そのもの:一般社団法人、宗教法人、中小企業等協同組合、消費生活協同組合、信用金庫は、それぞれの法律に登記の章や条文があります。
  • 別の政令:独立行政法人や国立大学法人は独立行政法人等登記令、法人である労働組合は労働組合法施行令です。

「登記する法務局」の欄は、どの法務局に登記するかを決める基準です。ここでいう法務局には、地方法務局と、それぞれの支局・出張所も含まれます。主たる事務所とは、法人の本拠として定めた事務所のことです。実際にどの法務局が担当するかは、法務局のホームページの「管轄のご案内」で確認できます。

2. 学校・福祉・医療・宗教の法人

法人 根拠法 登記のルール 登記する法務局の基準 代表者の名称
学校法人 私立学校法 組合等登記令の別表(同法22条1項) 主たる事務所の所在地 理事長(37条6項)。寄附行為で定めると代表業務執行理事も代表する(同条7項)
社会福祉法人 社会福祉法 組合等登記令の別表(同法29条1項) 主たる事務所の所在地 理事長(45条の13第3項・45条の17第1項)
医療法人 医療法 組合等登記令の別表(同法43条1項) 主たる事務所の所在地 理事長(46条の6の2第1項)
更生保護法人 更生保護事業法 組合等登記令の別表(同法8条1項) 主たる事務所の所在地 理事長(17条1項)
宗教法人 宗教法人法 同法の第7章第1節(52条以下) 主たる事務所の所在地 代表役員(18条3項)

3. 一般社団・一般財団・公益法人・NPO法人

法人 根拠法 登記のルール 登記する法務局の基準 代表者の名称
一般社団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 同法(設立の登記は301条) 主たる事務所の所在地 理事(77条1項)。代表理事を定めたときは代表理事(同項ただし書・同条3項・90条3項)
一般財団法人 同上 同法(設立の登記は302条) 主たる事務所の所在地 代表理事(302条2項6号)
公益社団法人・公益財団法人 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 一般社団法人・一般財団法人と同じ法律。認定を受けると名称を変更する登記をする(認定法9条1項・2項) 主たる事務所の所在地 一般社団法人・一般財団法人と同じ
NPO法人(特定非営利活動法人) 特定非営利活動促進法 組合等登記令の別表(同法7条1項) 主たる事務所の所在地 理事(16条。定款で代表権を制限できる)

公益社団法人・公益財団法人は、一般社団法人・一般財団法人が公益認定を受けたものをいいます(認定法2条1号・2号)。

4. 協同組合・労働組合・マンションの法人

法人 根拠法 登記のルール 登記する法務局の基準 代表者の名称
事業協同組合・信用協同組合・企業組合など(中小企業等協同組合) 中小企業等協同組合法 同法84条以下 主たる事務所の所在地(97条) 代表理事(36条の8第1項)
農業協同組合 農業協同組合法 組合等登記令の別表(同法9条1項) 主たる事務所の所在地 代表理事(35条の3第1項)
農事組合法人 農業協同組合法 組合等登記令の別表 主たる事務所の所在地 理事(72条の19)
消費生活協同組合 消費生活協同組合法 同法74条以下 主たる事務所の所在地 代表理事(30条の9第1項)
労働者協同組合 労働者協同組合法 組合等登記令の別表(同法5条1項) 主たる事務所の所在地 代表理事(42条1項)
信用金庫 信用金庫法 同法65条以下 主たる事務所の所在地 代表理事(36条4項)
法人である労働組合 労働組合法 労働組合法施行令3条以下(同法11条) 主たる事務所の所在地(施行令7条1項) 代表者(12条1項)
管理組合法人・団地管理組合法人 建物の区分所有等に関する法律 組合等登記令の別表(同法47条3項) 主たる事務所の所在地 理事(49条3項。代表すべき理事を定めることもできる。同条5項)

労働組合は、すべてが法人というわけではありません。労働委員会の証明を受けて、主たる事務所の所在地で登記をすると法人になります(労働組合法11条1項)。マンションの管理組合も、集会の決議で法人となる旨などを定め、登記をすることで法人になります(区分所有法47条1項)。

5. 士業の法人・公的な法人

法人 根拠法 登記のルール 登記する法務局の基準 代表者の名称
弁護士法人 弁護士法 組合等登記令の別表(同法30条の7第1項) 主たる法律事務所の所在地(30条の9) 業務を執行する社員(30条の13第1項。代表すべき社員を定めることもできる。同条2項)
司法書士法人 司法書士法 組合等登記令の別表(同法31条1項) 主たる事務所の所在地(33条) 社員(37条1項。代表すべき社員を定めることもできる)
独立行政法人 独立行政法人通則法 独立行政法人等登記令(同法9条1項) 主たる事務所の所在地 法人の長(19条1項)
国立大学法人 国立大学法人法 独立行政法人等登記令(同令1条) 主たる事務所の所在地 学長(11条1項)。設置する大学の全部に大学総括理事を置く法人は理事長(10条1項・11条2項)。大学総括理事も、学長(理事長を置く法人は理事長)の定めるところにより代表する(11条5項)
地方独立行政法人 地方独立行政法人法 組合等登記令の別表(同法9条1項) 主たる事務所の所在地 理事長(13条1項)。副理事長も代表する(同条2項。副理事長は定款で置かないこともできる。12条)

組合等登記令の別表には、このほか行政書士法人、税理士法人、社会保険労務士法人、土地家屋調査士法人、弁理士法人、監査法人、商工会議所、商工会、森林組合、漁業協同組合、信用保証協会、地方住宅供給公社、土地開発公社なども載っています。ここに挙げていない法人もあるので、自分の法人が気になるときは、その法人の根拠法を見るか、管轄の法務局に確認してください。

6. 組合等登記令の法人に共通すること

組合等登記令の別表に載る法人には、次のような共通のルールがあります。

登記されることは、目的及び業務、名称、事務所の所在場所、代表権を有する者の氏名・住所・資格、存続期間や解散の事由を定めたときはその内容、それに別表の「登記事項」の欄に掲げられた事項です(同令2条2項)。別表の欄の中身は法人によって違います。たとえば資産の総額は、学校法人、社会福祉法人、医療法人、更生保護法人の欄にはありますが、NPO法人の欄にはありません。

なお、2026年12月1日からは、代表権を有する者の住所を登記する申請と同時に、登記事項証明書に載る住所を市区町村までの表示にとどめるよう申し出ることができるようになります(令和8年法務省令第51号による改正後の各種法人等登記規則5条が準用する商業登記規則31条の3)。住所が登記事項であることは変わりません。対象となる役員や必要な書面は、法務省が整理して周知することを検討するとしている段階なので、管轄の登記所に確認してください。

期限は次のとおりです。

場面 期限 条文
設立の登記 設立の認可、出資の払込みなど設立に必要な手続が終わった日から2週間以内 同令2条1項
変更の登記 変更が生じてから2週間以内 同令3条1項
資産の総額の変更の登記 毎事業年度末日現在で、その末日から3か月以内 同令3条3項
官庁の認可が必要な事項 認可書が届いた時から期間を数える 同令24条

宗教法人(宗教法人法52条・53条)や一般社団法人(同法301条)のように法律そのものにルールがある法人は、その法律の条文を確認します。

7. 認可・認証と登記は別の手続

法人の種類によっては、登記の前に、所轄庁(しょかつちょう。その法人を監督する役所)の認可や認証が必要です。たとえば宗教法人の設立の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から2週間以内にします(宗教法人法52条1項)。

認可や認証を受けただけでは登記をしたことにはならず、登記をしただけで認可や認証の代わりになるものでもありません。認可・認証の要件や申請書類は、所轄庁の窓口や行政書士にご相談ください。登記の手続は、お近くの司法書士の領域です。

8. この一覧に入れていないもの

  • 会社:株式会社や合同会社の登記は会社の登記の全体マップへ。合名会社・合資会社も会社なので一覧の対象外です。合名会社・合資会社の記事をご覧ください。
  • 認可地縁団体(町内会・自治会などが市町村長の認可を受けたもの):条文で定められているのは市町村長の告示で、第三者に主張できるかどうかも告示の有無で決まります(地方自治法260条の2第1項・第10項・第13項)。
  • 有限責任事業組合(LLP):登記はありますが(有限責任事業組合契約に関する法律57条)、組合契約によって成立する組合であり(同法2条)、同法に法人とする定めは見当たりません。

まとめ

会社以外の法人の登記のルールは、組合等登記令の別表、それぞれの法律、別の政令の3つに分かれます。どの法人も登記する法務局を決める基準は主たる事務所(弁護士法人は主たる法律事務所)の所在地で、代表者の名称は法人ごとに違います。

この記事は主な法人の一覧で、すべての種類を載せたものではありません。どの法人を選ぶかは目的や事情で変わるため、この記事では扱っていません。所轄庁の認可・認証は所轄庁の窓口や行政書士へ、登録免許税以外の税金のことは税理士へ。登記の手続で迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 法人の登記には、どのくらい費用がかかりますか?

法務局に納める登録免許税は、法人の種類で違います。一般社団法人・一般財団法人の設立の登記は1件6万円です(登録免許税法別表第一第24号(一)ロ)。医療法人、社会福祉法人、宗教法人、NPO法人の法人としての登記は同じ別表第一に掲げられておらず、登録免許税はかかりません(同法2条)。法人が持つ不動産の登記は別の話です。このほか登記事項証明書などの取得費用がかかり、専門家に依頼する場合は報酬が別にかかります。一覧のほかの法人は、種類ごとに確認してください。

Q. 登記の期限を過ぎたり、放置したりするとどうなりますか?

組合等登記令の法人の変更の登記は、原則として2週間以内です(同令3条1項)。怠ると過料の対象になることがあり、額は法律で違います。たとえばNPO法人と医療法人は20万円以下(特定非営利活動促進法80条1号、医療法93条1号)、宗教法人は10万円以下(宗教法人法88条9号)、一般社団法人・一般財団法人は100万円以下(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律342条1号)です。また、登記すべき事項は、登記の後でなければ第三者に主張できないとする規定が各法律にあります(社会福祉法29条2項など)。一般社団法人・一般財団法人は、最後の登記から5年が過ぎると、法務大臣の公告と届出の手続を経て解散したものとみなされることがあります(同法149条1項・203条1項)。

Q. 自分で登記できますか?どこに相談すればいいですか?

法人自身で申請することも制度上は可能です。ただ、法人の種類ごとに根拠となる条文と添付書類が違うので、まずその法人のルールがどこに書かれているかを確かめることが出発点になります。登記の手続はお近くの司法書士に、所轄庁の認可・認証は所轄庁の窓口や行政書士に、登録免許税以外の税金のことは税理士に、もめごとは弁護士に、と分けて相談するのが確実です。


【さらに深掘り】組合等登記令の読み方──商業登記法の準用、法人ごとの登記事項と期限、代表者の登記、認可書の添付

ご注意 以下は執筆時点(2026年11月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

本文の一覧を、登記の申請書を組み立てる観点から読み直します。ここでも主な法人を例に挙げているだけで、すべての種類を網羅したものではなく、法人を選ぶための比較でもありません。以下で「法務局の記載例」というときは、法務局ホームページ「商業・法人登記の申請書様式」に掲載されている各法人の登記申請書の記載例(2026年11月5日閲覧)を指します。

組合等登記令だけでは決まらないこと

別表に名前があれば組合等登記令が適用されますが、同令1条には「他の法令に別段の定めがある場合を除くほか」という留保があります。さらに、次の登記や添付書面は、別表の根拠法の欄に掲げる法律の規定によって、その法人に当てはまるかどうかが決まります。

  • 参事その他の代理人の登記(同令6条)
  • 継続の登記(同令7条の2)
  • 出資一口の金額の減少による変更の登記で、債権者への公告・催告を証する書面を添付する場面(同令17条2項)
  • 合併による変更の登記で、同じ趣旨の書面を添付する場面(同令20条2項)

組合等登記令を開いただけでは足りず、根拠法と往復して読むことになります。

商業登記法は、どの条文で、どこまで準用されるか

商業登記法を準用する条文は、登記のルールの置き場所ごとに別々です。

法人 商業登記法を準用する条文 添付書面を定める条文
組合等登記令の別表の法人 同令25条 同令16条〜23条
中小企業等協同組合 同法103条 同法98条〜102条
一般社団法人・一般財団法人 一般法人法(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)330条 同法317条以下

このほか、消費生活協同組合は同法92条、信用金庫は同法85条、独立行政法人等は独立行政法人等登記令15条が準用の条文で、範囲は同じではありません。たとえば会社の支配人の登記を定めた商業登記法45条は、中小企業等協同組合法103条(組合の登記について)と信用金庫法85条には挙がっていますが、組合等登記令25条には挙がっていません。組合等登記令の法人の代理人の登記は、前述の同令6条に定められています。

組合等登記令25条が準用するのは、登記所・登記簿・証明書に関する規定(商業登記法1条の3〜5条、7条〜15条)、申請書の方式と添付の通則(17条〜19条の3)、受付や却下など(21条〜27条。24条は15号を除く)、主たる事務所の移転(51条〜53条)などです。一方で、株式会社の申請でよく見る次の条文は挙がっていません。

  • 商業登記法46条(添付書面の通則。議事録の添付は2項)
  • 同法47条(設立の登記の添付書面)
  • 同法54条(取締役等の変更の登記。就任を承諾したことを証する書面など)

46条については、各種法人等登記規則5条が1項だけを各種法人の登記に準用しています。1項は同意や「ある取締役若しくは清算人の一致」を証する書面の規定で、議事録の添付を定める2項は入っていません。

それでも法務局の記載例には、議事録や就任承諾書が添付書類として挙がっています。これらは、組合等登記令16条2項の「組合等を代表すべき者の資格を証する書面」や、17条1項の「その事項の変更を証する書面」の中身として求められていると読めます。学校法人については、法務省の通知(令和7年3月19日法務省民商第44号)が、理事長の選定を証する理事会の議事録と就任承諾書などをこれらの書面に当たるとしています。定款で選定された特定の理事だけが代表するNPO法人については、法務省の通知(平成24年2月3日法務省民商第298号)が、定款、定款所定の方法で代表権を有する理事に選定されたことを証する書面、就任承諾書などをこれらの書面に当たるとしています。これら以外については、法人ごとの通知の有無まで確かめたものではなく、条文と記載例からの推論です(記載例は根拠条文を示していません)。同じ議事録でも、一般社団法人・一般財団法人には一般法人法317条2項に明文があります。法人ごとに根拠の置き場所が違うので、株式会社の条文番号をそのまま当てはめないように注意が必要です。

印鑑証明書の扱いは社会福祉法人の記事、主たる事務所の移転の手続は医療法人の記事、宗教法人法が準用する範囲は宗教法人の記事の深掘りで扱っています。

法人ごとの登記事項と、期限の違い

別表の「登記事項」の欄は法人ごとに違い、空欄の法人もあります(土地開発公社、地方住宅供給公社など)。空欄の法人が登記するのは、組合等登記令2条2項1号〜5号の事項です。逆に、学校法人の「設置する私立学校、私立専修学校又は私立各種学校の名称」のように、その法人に特有の事項もあります。

本文で触れた資産の総額のほかにも、事業年度の末日を基準にできる登記があり、期限は同じではありません。

登記事項 法人の例 期限 根拠
資産の総額 学校法人、更生保護法人、信用保証協会など 事業年度の末日から3か月以内 組合等登記令3条3項
出資の総口数・払い込んだ出資の総額 農業協同組合・農事組合法人(出資をさせるもの)、森林組合、労働者協同組合など 事業年度の末日から4週間以内 同条2項
出資の総口数・払込済出資総額 事業協同組合など 事業年度の末日から4週間以内 中小企業等協同組合法85条2項
出資の総口数・払い込んだ出資の総額 消費生活協同組合 事業年度の終了後4週間以内 消費生活協同組合法75条2項
出資の総口数・総額 信用金庫 事業年度の末日から4週間以内 信用金庫法66条2項
資産の総額 日本赤十字社 事業年度の末日から4か月以内 独立行政法人等登記令3条2項・別表
資本金 地方独立行政法人 変更が生じてから2週間以内 組合等登記令3条1項・別表

資本金の行は、組合等登記令3条2項・3項に資本金が挙がっていないことからの読み方です。出資一口の金額も同条2項には挙がっていないので、同じく原則の2週間と読めます。

添付書面の例として、学校法人の記載例は資産の総額について財産目録または資産の総額が判明する貸借対照表を、事業協同組合の記載例は出資の総口数と払込済出資総額について監事の証明書を挙げています。登記する資産の総額の中身については、医療法人の記事の深掘りをご覧ください。

登記簿に載る人の範囲

組合等登記令2条2項4号で登記するのは「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」です。ただ、誰が代表権を持つかは根拠法と定款などで変わるので、登記簿に載る人の範囲は次のように分かれます。

型 法人の例 登記簿に載る人 根拠
代表者だけ 学校法人(理事長。代表業務執行理事を置けばその理事も)、農業協同組合(代表理事) 代表権を有する者。ほかの理事は登記事項にない 組合等登記令2条2項4号、法務局の記載例、法務省民商第44号通知(学校法人)
理事が各自代表するのが原則 NPO法人、管理組合法人、農事組合法人 各自代表なら理事全員。特定の理事だけが代表する定めがあれば、その理事 同号、特定非営利活動促進法16条、区分所有法49条3項〜5項、農業協同組合法72条の19、法務局の記載例
代表者のほかの社員も載る 司法書士法人、弁護士法人、税理士法人など 代表権を有する社員に加え、それ以外の社員の氏名・住所 同号、組合等登記令の別表
代表者のほかの理事の氏名も載る 一般社団法人、一般財団法人 理事の氏名(監事を置けば監事の氏名も。一般財団法人は評議員・理事・監事の氏名)と、代表理事の氏名・住所 一般法人法301条2項5号・6号・8号、302条2項5号・6号

農事組合法人の法務局の記載例は、理事が各自代表する形で理事全員を登記するものです。特定の理事だけが代表する形の記載例はありません。

この違いは、申請書の作り方に次のように表れます。

  • 資格の表示は法人内の肩書と同じとは限りません。NPO法人の法務局の記載例は、定款で理事長など特定の理事だけが代表すると定めた場合でも、その理事を「理事」の資格で登記するとしています。学校法人の記載例の資格は「理事長」、農業協同組合の記載例の資格は「代表理事」です。
  • 理事全員を登記する型では、全員が重任すれば全員分を記載します(NPO法人・農事組合法人の法務局の記載例「理事全員重任」)。NPO法人でも特定の理事だけが代表する定款であれば、記載するのはその理事だけです(同じ記載例)。
  • 理事が各自代表する法人では、申請人の欄の理事は1名で構いません(NPO法人・農事組合法人の法務局の記載例)。
  • 代表権を有する者の氏、名、住所の変更の登記には、変更を証する書面の添付がいりません(組合等登記令17条1項ただし書)。士業の法人の、代表すべき社員以外の社員についても同じです(同令27条)。その社員の住所も別表の登記事項なので、変更が生じれば2週間以内の登記の対象になります(同令3条1項)。
  • 2026年12月1日からの住所の表示の申出(本文の6節)は、士業の法人では代表権のない社員の住所も対象です(令和8年法務省令第51号による改正後の各種法人等登記規則5条の読替え)。一般社団法人・一般財団法人は、一般社団法人等登記規則3条が同じ条文を準用します。

代表権の範囲・制限の定め

別表には「代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め」という事項があり、載っている法人は一部です。学校法人、NPO法人、司法書士法人、行政書士法人、社会保険労務士法人、土地家屋調査士法人などの欄にはありますが、弁護士法人、税理士法人、弁理士法人、監査法人、医療法人、社会福祉法人の欄にはありません。管理組合法人の欄は「共同代表の定めがあるときは、その定め」で(区分所有法49条5項参照)、言葉が別です。

  • 学校法人では、寄附行為で定めるところにより代表業務執行理事が法人を代表します(私立学校法37条7項)。法務省の通知(令和7年3月19日法務省民商第44号、同年7月10日一部訂正)は、代表業務執行理事を置いた学校法人はその理事の氏名・住所・資格を登記し、登記上の資格は「理事」とし、代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときはその旨も登記するとしています。法務局の学校法人の記載例(設立、理事長の退任・就任、理事長の重任)に代表業務執行理事の例はありませんが、通知の別紙に登記の記録の例があります。
  • 司法書士法人では、簡裁訴訟代理等関係業務について特定社員のみが各自法人を代表するとされ(司法書士法37条2項)、別表には特定社員である旨の事項も並んでいます。
  • NPO法人では、別表にこの事項があります。内閣府NPOホームページの案内(2026年11月5日閲覧)は、定款に代表権の範囲又は制限の定めがあればその定めを登記するとしたうえで、特定の理事だけが代表する定めがあれば、その理事以外の理事は登記しなくてよいとしています。法務局の記載例も、特定の理事だけが代表する定款の例でその理事を「理事」の資格で記載する形を示すだけで、定款の定めそのものを記載する行は示していません。法務省の通知(平成24年2月3日法務省民商第298号)は、代表権の一部が制限された理事についてはその定めも登記するとし、特定の理事だけが代表する定款についてはその理事のみを「理事」の資格で登記するとして、手続を分けて説明しています。このことから、この定款では定めそのものの登記は求められていないと読めますが、通知の本文に明言はなく、法務省のホームページに掲載された通知には別紙の登記記録例が付いていないので、申請書を作る前に登記所に確認してください。

認可書・認証書が添付書面になる場面

組合等登記令25条などが準用する商業登記法19条は、「官庁の許可を要する事項の登記を申請するには、申請書に官庁の許可書又はその認証がある謄本を添附しなければならない」と定めています。条文の言葉は「許可」で、認可や認証を名指ししていません。法務局の記載例や個別の法律が挙げる書面を、場面ごとに確かめる必要があります。

場面 挙げられている書面 出どころ
学校法人の設立 認可書(又は所轄庁の認証のある謄本)。申請書に認可書到達の年月日も記載 法務局の記載例
事業協同組合の設立 認可書(又は行政庁若しくは主務大臣の認証のある認可書の謄本)。申請書に認可書到達の年月日も記載 法務局の記載例
NPO法人の設立 認証書。申請書に認証書到達の年月日も記載 法務局の記載例
公益認定を受けたことによる名称の変更 公益認定を受けたことを証する書面 認定法9条2項
管理組合法人の設立 記載例の添付書類に所轄庁の書面はなく、集会の議事録と理事の就任承諾書など 法務局の記載例、区分所有法47条1項
農事組合法人の設立 記載例の添付書類に認可書はなく、定款、出資の書面、役員選任決議書、就任承諾書 法務局の記載例

記載例の添付書類は一例として示されているものもあるので、表に挙がっていないことをもって、その法人に所轄庁の手続が一切ないとは言えません。

到達日と登記の期間の関係も、法人で違います。

  • 組合等登記令24条は、官庁の認可を要する登記事項について、認可書の到達した時から期間を数えると定めています。学校法人の記載例は、登記の事由の日付を「所轄庁の認可があった日(認可書到達の年月日)」としています。
  • NPO法人の記載例は、登記の事由の日付を認証書の到達した日としています。なお、設立の認証があった日から6か月を過ぎても登記をしないと、所轄庁は認証を取り消すことができます(特定非営利活動促進法13条3項)。
  • 中小企業等協同組合の設立の登記は、出資の払込みがあった日から2週間以内です(同法84条1項)。事業協同組合の記載例は、認可書到達の年月日を別に記載させたうえで、登記の事由の日付を出資の第1回払込みまたは全額の払込みのあった年月日としています(出資のない商工組合等は認可書到達の年月日)。
  • 設立の登記の期間の起算点は、消費生活協同組合では出資の第1回の払込みがあった日(同法74条1項)、信用金庫では出資の払込みがあった日(信用金庫法65条1項)です。

認可や認証を受けた日付をそのまま起算点にせず、その法人の登記のルールがある条文で確かめることになります。

どの事項に認可・認証が必要か、その要件や申請書類については、所轄庁の窓口や行政書士に確認してください。ここで整理したのは、受けた書面を登記でどう扱うかという点だけです。


参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年11月・いずれも一次情報です)。

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