この記事の要点

  • 一般財団法人は「財産の集まり」に法人格を与える仕組みで、設立の登記をすることによって成立します(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律163条)。
  • 設立者が拠出する財産の価額の合計は300万円以上でなければなりません(同法153条2項)。金銭以外の財産で拠出することもできます。
  • 評議員・評議員会・理事・理事会・監事の5つはすべて必ず置く機関です(同法170条1項)。設立時の評議員と理事はそれぞれ3人以上必要です(同法160条1項)。
  • 手続きは「定款の作成→公証人の認証→財産の拠出→評議員・理事・監事の選任→設立時の調査→設立登記」の順に進み、登記は調査終了日などから2週間以内に申請します(同法302条1項)。
  • 登録免許税は定額6万円です。公益財団法人になるための公益認定や、財産を出すことにともなう税金の問題は、この記事の範囲外として別の専門家への相談先を案内します。

一般財団法人は、設立者が出した300万円以上の財産をもとに、評議員・理事・監事という機関をそろえ、公証人の認証を受けた定款にもとづいて設立の登記をすることで成立する法人です。人の集まりである一般社団法人と比べると、「最初に財産を出す」「評議員を置く」という2点が手続き上の大きな違いになります。

この記事では、一般財団法人の設立登記について、定款の作成から登記申請までの手続きを順に整理します。なお、この記事は執筆時点(2026年11月)の制度に基づく一般的な解説です。

1. 一般社団法人との違いは「人」か「財産」か

一般財団法人も一般社団法人も、根拠になるのは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号。以下「一般法人法」)という同じ法律です。ただし、成り立ちの考え方が異なります。

  • 一般社団法人 … 人(社員=構成員)が集まって作る法人。社員総会が最高意思決定機関です。
  • 一般財団法人 … 設立者が出した財産に法人格を与える法人。社員という構成員の仕組みはなく、評議員・評議員会が理事の選任などを通じて運営を監督します。

社員総会・理事・理事会の関係や、利益を構成員に分配できないという「非営利」の意味など、社団側の一般的なしくみは一般社団法人の設立登記の記事で整理しています。財団でも、設立者に剰余金(じょうよきん。事業で得た利益)や残余財産の分配を受ける権利を与える定款の定めは効力を持たないとされています(一般法人法153条3項2号)。

ここから先は、財団に特有の手続きを中心に見ていきます。

2. 設立手続きの全体像

一般財団法人の設立は、おおむね次の順序で進みます。

  1. 定款の作成(一般法人法152条1項)
  2. 公証人による定款の認証(同法155条)
  3. 設立者による財産の拠出の履行(同法157条)
  4. 設立時評議員・設立時理事・設立時監事の選任(定款で定めていない場合。同法159条1項)
  5. 設立時理事・設立時監事による調査(同法161条)と、設立時代表理事の選定(同法162条)
  6. 設立の登記の申請(同法302条・319条)→ 登記によって法人が成立(同法163条)

株式会社の発起設立でいえば「定款認証→出資の払込み→役員選任→調査→登記」に近い流れです。

3. 定款の作成と公証人の認証

一般財団法人を設立するには、設立者(財産を出して法人を作る人。2人以上いるときはその全員)が定款を作成し、署名または記名押印します(一般法人法152条1項)。定款は電磁的記録(電子データ)で作成することもできます(同法152条3項・10条2項)。

定款に必ず記載しなければならない事項は、次のとおりです(一般法人法153条1項)。

  • 目的
  • 名称
  • 主たる事務所の所在地
  • 設立者の氏名または名称および住所
  • 設立に際して各設立者が拠出をする財産およびその価額
  • 設立時評議員・設立時理事・設立時監事の選任に関する事項
  • 会計監査人を置く場合は、設立時会計監査人の選任に関する事項
  • 評議員の選任および解任の方法
  • 公告方法
  • 事業年度

このうち「評議員の選任および解任の方法」には制限があり、理事または理事会が評議員を選任・解任する旨の定めは効力を持ちません(一般法人法153条3項1号)。評議員は理事を監督する立場にあるため、監督される側の理事が評議員を選ぶ仕組みは認められていない、ということです。

作成した定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(一般法人法155条)。

なお、設立者は遺言で一般財団法人を設立する意思を示すこともできます。この場合は、遺言の効力が生じた後に、遺言執行者が遺言の内容に沿って定款を作成します(一般法人法152条2項)。

4. 設立者による財産の拠出──300万円以上

財団の手続きでもっとも特徴的なのが、財産の拠出(きょしゅつ。法人のために財産を出すこと)です。

  • 金額の下限 … 定款に記載する拠出財産の価額の合計額は、300万円を下回ってはならないとされています(一般法人法153条2項)。設立者が複数いる場合は、全員の拠出額の合計で判断します。
  • 拠出の時期 … 設立者は、定款の認証を受けた後、遅滞なく、金銭であれば全額を払い込み、金銭以外の財産であればその全部を給付しなければなりません(一般法人法157条1項)。金銭の払込みは、設立者が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所で行います(同条2項)。
  • 金銭以外の財産 … 不動産などで拠出することもできます。この場合、名義を法人に移す登記などの対抗要件を備える行為は、設立者が定めたとき(設立者が複数いるときは全員の同意があるとき)は、法人の成立後に行うこともできます(一般法人法157条1項ただし書)。
  • 財産が法人のものになる時期 … 生前の処分で拠出した財産は、法人の成立の時から法人に帰属します(一般法人法164条1項)。

いったん法人が成立した後は、設立者は錯誤・詐欺・強迫を理由に財産の拠出を取り消すことができません(一般法人法165条)。また、生前の拠出には民法の贈与の規定が、遺言による拠出には遺贈の規定が、その性質に反しない限り準用されます(同法158条)。

財産を出すことには、出す側・受け取る法人側の双方で税金の問題が関わる場合があり、扱いは個別の事情によって異なりえます。この記事では税務には立ち入りません。具体的な税務は税理士にご相談ください。

5. 評議員・理事・監事の選任──最低限そろえる顔ぶれ

一般財団法人は、評議員、評議員会、理事、理事会および監事を必ず置かなければなりません(一般法人法170条1項)。一般社団法人では理事会や監事を置くかどうかを定款で選べますが、財団ではこれらがすべて必須です。会計監査人は定款で任意に置くことができ(同条2項)、負債の合計額が200億円以上の「大規模一般財団法人」では設置が義務になります(同法171条・2条3号)。

機関 役割 人数・任期など
評議員 評議員会を構成し、理事・監事の選任や解任などを通じて運営を監督 3人以上(一般法人法173条3項)。任期は原則として選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで(同法174条1項)
理事 法人の業務を執行する。理事会を構成する 設立時は3人以上(一般法人法160条1項)。任期は原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで(同法177条で準用する66条)
代表理事 法人を代表する理事 設立時は、設立時理事の過半数で選定(一般法人法162条)
監事 理事の職務執行を監査する 必ず置く機関(一般法人法170条1項)

設立時評議員・設立時理事・設立時監事は、定款で直接定めることもできます。定款で定めなかったときは、財産の拠出の履行が完了した後、遅滞なく、定款で定めるところにより選任します(一般法人法159条1項)。

人数を考えるうえで注意したいのが、兼任の制限です。成立後の一般財団法人では、評議員は法人やその子法人の理事・監事・使用人(職員)を兼ねることができず(一般法人法173条2項)、監事も理事・使用人を兼ねることができません(同法177条で準用する65条2項)。設立の登記では設立時に選んだ人がそのまま評議員・理事・監事として登記されるため、設立の段階からこの制限に合うように、評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上を別々の人でそろえることになり、少なくとも7人の顔ぶれが必要になる計算です。また、法人は評議員・理事・監事になることができません(同法173条1項・177条で準用する65条1項1号)。

6. 設立時の調査と設立登記の申請

設立時の調査

設立時理事と設立時監事は、選任後遅滞なく、財産の拠出の履行が完了していることと、設立の手続きが法令や定款に違反していないことを調査しなければなりません(一般法人法161条1項)。違反や不当な事項があると認めるときは、設立者にその旨を通知します(同条2項)。

登記の期限

設立の登記は、主たる事務所の所在地において、次のいずれか遅い日から2週間以内に申請しなければなりません(一般法人法302条1項)。

  • 設立時理事・設立時監事による調査が終了した日
  • 設立者が定めた日

申請は、法人を代表すべき者(設立時代表理事)が行います(一般法人法319条1項)。

主な添付書面

設立登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次の書面を添付します(一般法人法319条2項)。

  • 定款(公証人の認証を受けたもの)
  • 財産の拠出の履行があったことを証する書面
  • 設立時評議員・設立時理事・設立時監事の選任に関する書面
  • 設立時代表理事の選定に関する書面
  • 設立時評議員・設立時理事・設立時監事・設立時代表理事が就任を承諾したことを証する書面
  • 設立時会計監査人を選任したときは、その選任・就任承諾などに関する書面

このほか、本人確認のための書類などが必要になる場合があります。具体的な書類の組み方は、お近くの司法書士にご相談ください。

登記される主な事項

登記事項には、目的・名称・主たる事務所および従たる事務所の所在場所のほか、評議員・理事・監事の氏名、代表理事の氏名および住所、公告方法などが含まれます(一般法人法302条2項)。評議員の氏名も登記事項になっている点は、一般社団法人にはない財団ならではの特徴です。

登録免許税

一般財団法人の設立登記の登録免許税は、申請1件につき6万円の定額です(登録免許税法別表第一第24号(一)ロ)。株式会社のように資本金の額に連動する仕組みではありません。

7. 設立後に気をつけたいこと

純資産300万円を割り込む状態が続くと解散

300万円は設立時だけの要件ではありません。ある事業年度とその翌事業年度の貸借対照表上の純資産額がいずれも300万円未満となった場合、一般財団法人は、その翌事業年度に関する定時評議員会の終結の時に解散するとされています(一般法人法202条2項)。設立後も財産の規模を意識した運営が求められます。

役員・評議員が替わったら変更登記

評議員・理事・監事の氏名、代表理事の氏名・住所は登記事項なので、任期満了による交代や重任(同じ人の再任)のたびに、2週間以内の変更登記が必要です(一般法人法303条)。登記を怠ると、理事などが100万円以下の過料(かりょう)に処せられることがあります(同法342条1号)。また、最後の登記から5年を経過した一般財団法人は「休眠一般財団法人」としてみなし解散の対象になります(同法203条1項)。

公益財団法人を目指す場合

一般財団法人が公益目的事業を行う場合、行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)の認定を受けて公益財団法人になる道があります(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律3条・4条)。公益認定は、法人の設立登記とは別に行政庁へ申請する手続きで、行政書士などが扱う領域です。

また、法人を作るほどではない規模の財産を社会貢献に役立てたい場合には、公益信託という別の仕組みもあります。

まとめ

  • 一般財団法人は、設立者が拠出した財産に法人格を与える法人で、設立の登記をすることによって成立します(一般法人法163条)。
  • 拠出財産の価額の合計は300万円以上が必要です(一般法人法153条2項)。設立後も、純資産300万円未満が2期続くと解散事由になります(同法202条2項)。
  • 評議員・評議員会・理事・理事会・監事はすべて必須で、評議員と理事はそれぞれ3人以上、兼任の制限から少なくとも7人の顔ぶれが必要になります。
  • 登記は調査終了日などのいずれか遅い日から2週間以内に申請し、登録免許税は定額6万円です。

定款に書くべき事項や機関の顔ぶれなど、財団ならではの準備が多い手続きです。設立登記を進めたいときは、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 一般財団法人の設立には、どのくらいの費用がかかりますか? 法務局に納める登録免許税は定額6万円です(登録免許税法別表第一第24号(一)ロ)。公証人の定款認証手数料は、一般財団法人の場合は5万円です(公証人手数料令35条3号)。このほか証明書の取得などの実費がかかります。なお、設立者が拠出する300万円以上の財産は、手数料ではなく、成立した法人の財産になるものです。

Q. いつまでに登記しなければならないなどの期限や、放置した場合のリスクはありますか? 設立の登記は、設立時理事・設立時監事の調査が終了した日と設立者が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に申請します(一般法人法302条1項)。成立後も、評議員・理事・監事の交代や重任のたびに2週間以内の変更登記が必要で、怠ると100万円以下の過料の対象になります(同法303条・342条1号)。最後の登記から5年を経過するとみなし解散の対象にもなります(同法203条1項)。

Q. 自分で設立登記をすることはできますか?どこに相談すればよいですか? 設立登記は、法人を代表すべき者が申請するものとされており(一般法人法319条1項)、制度上はご自身で申請することもできます。ただし、定款の必要的記載事項や評議員の選任方法の制限、7人以上の機関の顔ぶれなど、準備すべき点が多い手続きです。登記手続きについてはお近くの司法書士に、財産の拠出にともなう税務は税理士に、公益認定を目指す場合の行政庁への申請は行政書士などにご相談ください。


【さらに深掘り】一般財団法人の設立登記申請──登記事項・添付書面・原始定款の設計

ご注意 以下は執筆時点(2026年11月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

登記事項の組み立て──評議員・理事・監事は「氏名」、代表理事は「氏名と住所」

一般財団法人の設立登記で登記すべき事項は、一般法人法302条2項に列挙されています。機関に関する部分は、次のように整理できます。

  • 評議員・理事・監事 … 氏名を登記します(一般法人法302条2項5号)。
  • 代表理事 … 氏名と住所を登記します(同項6号)。
  • 会計監査人 … 会計監査人設置一般財団法人であるときは、その旨と会計監査人の氏名または名称を登記します(同項7号)。一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名または名称も登記事項です(同項8号)。

一般社団法人の登記事項には「理事会設置一般社団法人であるときは、その旨」「監事設置一般社団法人であるときは、その旨及び監事の氏名」という項目があります(一般法人法301条2項7号・8号)。一方、一般財団法人について定める302条2項には理事会や監事を置く旨を登記する項目はなく、監事の氏名が評議員・理事の氏名と並んで登記事項とされています。理事会と監事が一般財団法人では必ず置く機関とされていること(同法170条1項)とあわせて押さえておくと、申請書の「登記すべき事項」を組み立てやすくなります。法務局が公開している一般財団法人設立登記申請書の記載例でも、「役員に関する事項」として、評議員・理事・監事は氏名のみ、代表理事は住所と氏名を記載する形が示されています。

定款の定めがそのまま登記事項になるものもあります。存続期間や解散の事由についての定め(302条2項4号)、役員等の責任の免除についての定め(同項9号)、非業務執行理事等が負う責任の限度に関する契約についての定め(同項10号)は、定款に置いた場合に登記事項となります。原始定款にこれらを入れるかどうかは、設立登記の内容にも影響します。

添付書面──319条2項の各号と、実際にそろえる書類

設立登記の申請書に添付する書面は一般法人法319条2項に列挙されており、その項目は本文で紹介したとおりです。ここでは、各号の書面として具体的にどのような書類を用意するかを、法務局の記載例(令和8年5月11日更新)に沿って整理します。

  • 財産の拠出の履行があったことを証する書面(2号) … 金銭で拠出した場合は、払込取扱機関が作成した払込金受入証明書か、設立時代表理事が作成した払い込まれた金額を証明する書面に預金通帳の写しや取引明細表などを合わせてとじたものが例示されています。通帳の写しを使う場合の口座は、設立者もしくは遺言執行者またはこれらの者から委任を受けた設立時代表理事の名義に限るとされています。金銭以外の財産で拠出した場合は、設立時理事・設立時監事が作成した調査報告書がこの書面に当たるとされています。
  • 設立時評議員・設立時理事・設立時監事の選任に関する書面(3号) … 定款でこれらの者を直接定めていないときは、財産の拠出の履行が完了した後、遅滞なく、定款で定めるところにより選任します(一般法人法159条1項)。登記すべき事項について設立者全員の同意またはある設立者の一致を要するときは、その同意・一致があったことを証する書面も添付します(同法319条3項)。記載例では、定款で定めるところにより設立者が設立時評議員等を選任した場合や、設立者が主たる事務所の所在場所等を定めた場合に「設立者全員の決議書」を添付する形が示されています。
  • 設立時代表理事の選定に関する書面(4号) … 設立時代表理事の選定は、設立時理事の過半数をもって決定します(一般法人法162条1項・3項)。
  • 就任を承諾したことを証する書面(5号) … 対象は設立時評議員・設立時理事・設立時監事・設立時代表理事です。株式会社の設立にはない「評議員の就任承諾書」が加わる点が財団の特徴です。記載例では、設立時代表理事が選定の席上で就任を承諾し、その旨が選定に関する書面に記載されている場合は、その記載を援用することで別途の就任承諾書の添付を要しないとされています。ただし、この援用ができるのは、設立時代表理事がその選定書に市町村に登録した印鑑を押した場合に限るとされています(設立時代表理事の就任承諾書に押した印鑑については、次に述べるとおり印鑑証明書を添付する必要があるためです)。
  • 設立時会計監査人を選任したとき(6号) … 選任に関する書面と就任承諾書のほか、会計監査人が法人であればその法人の登記事項証明書(その法人の主たる事務所が申請先の登記所の管轄区域内にある場合を除く)、法人でなければ公認会計士であることを証する書面を添付します。

印鑑証明書と本人確認証明書──本人確認証明書は評議員も対象になる

一般社団法人等登記規則3条は、商業登記規則61条1項と4項から8項までの規定を、一般社団法人・一般財団法人の登記に準用しています。このうち商業登記規則61条7項は、設立の登記などの申請書に、就任承諾書に記載した氏名・住所と同一の氏名・住所が記載された市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(いわゆる本人確認証明書)を添付するという規定です。一般社団法人等登記規則3条は、この61条7項を準用する際に「設立時取締役、設立時監査役……」を「設立時理事、設立時監事、設立時評議員……」と読み替えると明記しています。つまり、一般財団法人の設立登記では、設立時評議員も本人確認証明書の対象になります。

一方、印鑑証明書については、設立の登記の申請書に設立時代表取締役などの就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書を添付する商業登記規則61条4項・5項も一般社団法人等登記規則3条の準用対象に含まれていますが、同条が読み替えを明記しているのは61条7項についてであり、4項・5項の読み替えは条文上は示されていません。法務局の記載例では、設立時代表理事については就任承諾書に押した印鑑につき市町村長が作成した印鑑証明書を添付し、印鑑証明書を添付しない設立時理事・設立時監事については、住民票記載事項証明書や、本人が原本と相違ない旨を記載して記名した運転免許証のコピー(裏面も含む)などの本人確認証明書を添付する扱いが示されています。添付書類の一覧にも、設立時理事・設立時監事とあわせて設立時評議員の本人確認証明書が挙げられています。評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上がそろう財団では集める証明書の数も多くなるため、誰についてどの書類を用意するかを一覧にしておくと漏れを防ぎやすくなります。

なお、記載例では、代表理事が申請書や委任状に印鑑を押す場合は登記所に提出した印鑑を押す必要があり、印鑑の提出は印鑑届書によって行うとされています。

登記期間の起算点──手続の順序から逆算する

本文のとおり、設立の登記の期間は、設立時理事・設立時監事による調査が終了した日と設立者が定めた日のいずれか遅い日から起算します(一般法人法302条1項)。

この調査は、設立時理事・設立時監事が「その選任後遅滞なく」行うものとされ(同法161条1項)、定款で設立時評議員等を定めていない場合の選任は「財産の拠出の履行が完了した後、遅滞なく」行うものとされています(同法159条1項)。定款で定めていない場合には、条文上、財産の拠出→設立時評議員等の選任→調査→登記という順序が組み込まれているため、拠出の完了日・選任日・調査終了日の前後関係が書類どうしでくい違っていないかを確認しておくことが大切です。調査の結果、法令・定款に違反し、または不当な事項があると認めるときは、設立時理事・設立時監事は設立者にその旨を通知しなければなりません(同法161条2項)。

原始定款で決めておきたいこと

評議員の選任・解任方法と目的は、あとから変えにくい

一般財団法人は、成立後、評議員会の決議によって定款を変更できますが、目的(一般法人法153条1項1号)と評議員の選任及び解任の方法(同項8号)に係る定めは、この方法では変更できないとされています(同法200条1項ただし書)。例外は、設立者が原始定款(同法152条1項・2項の定款)で「評議員会の決議によって変更することができる」旨を定めておいた場合(同法200条2項)と、設立の当時予見することのできなかった特別の事情により、変更しなければ運営の継続が不可能または著しく困難となるに至ったときに、裁判所の許可を得て評議員会の決議で変更する場合(同条3項)です。

評議員の選任・解任方法は、理事または理事会が評議員を選任・解任する定めにはできない(同法153条3項1号)という制約もあるため、原始定款の段階で、実際に機能する方法を検討しておくことが重要です。法務局が公開している定款の記載例では、評議員の選任・解任を「評議員選定委員会」で行い、その委員会を評議員・監事・事務局員・外部委員で構成する方式が例示されています。目的についても同じく変更の制約があるため、将来の事業の広がりも見込んで記載を検討しておく必要があります。

基本財産を定めるかどうか

一般法人法は、法人の財産のうち目的である事業を行うために不可欠なものとして定款で定めた「基本財産」があるときは、理事は定款で定めるところによりこれを維持しなければならず、かつ、目的である事業を行うことを妨げることとなる処分をしてはならないと定めています(同法172条2項)。基本財産は定款で定めることによって生じる仕組みであり、どの財産を対象にするか、処分や除外の手続をどうするかは定款の設計事項です。法務局の定款記載例では、拠出財産をこの法人の基本財産とし、その一部を処分しようとするときや基本財産から除外しようとするときは、あらかじめ評議員会の特別決議を経るとする規定が示されています。

基本財産は302条2項の登記事項には含まれていませんが、設立後の財産の管理と運営に長く影響する定めです。登記申請の準備とあわせて、原始定款の内容を確定させる段階で検討しておくことが大切です。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年11月・いずれも一次情報です)。

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