この記事の要点
- 連れ子が再婚相手(継親)と同じ戸籍に載っていても、それだけで継親の相続人になるわけではない。相続人となるのは「被相続人の子」で、連れ子が継親の子となるのは養子縁組をしたとき
- 同じ戸籍に載る経路には、家庭裁判所の許可を得て親の氏に変える「入籍」(民法791条1項・戸籍法98条1項)と「養子縁組」(戸籍法18条3項)があり、再婚相手のほうが婚姻で子のいる戸籍に入ってくる場合もある
- 見分けるには、身分事項欄に「入籍」と「養子縁組」のどちらが記載されているか、そして養親の氏名の記載(いわゆる養父母欄)があるかを確認する
結論から言うと、連れ子が継親と同じ戸籍に載っていることは、継親の相続人であることの裏付けにはなりません。相続人となるのは「被相続人の子」であり(民法887条1項)、連れ子が継親の子となるのは、養子縁組によって「縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」(民法809条)場合です。継親と連れ子は結婚を通じてつながる姻族の関係にあり、民法725条が定める親族の範囲には入りますが、親族であることと相続人であることは別の話です。再婚家庭の相続人の範囲の全体像は、再婚家庭の相続で整理しています。
同じ戸籍に載る経路は一つではない
たとえば、離婚した母が子を連れて再婚し、再婚相手の氏(名字)を名乗った場面を考えます。母は再婚相手が筆頭者となる戸籍に載りますが(戸籍法14条1項・16条1項・2項)、子は元の戸籍に残り、母と氏が異なる状態になります。ここから子が母と同じ戸籍に移る経路は、主に二つあります。
一つ目は「入籍」です。子が父または母と氏を異にする場合、子は家庭裁判所の許可を得て届け出ることで、その父または母の氏を名乗ることができます(民法791条1項、戸籍法98条1項)。同条2項は許可なしで届け出られる場合を定めていますが、これは「父母の婚姻中に限り」とされています。実の父母が離婚した後の再婚の場面ではこの要件にあたらないため、一般に1項の許可を得る手続きによることになります。母の氏を名乗る子は母の戸籍に入るので(戸籍法18条2項)、結果として、再婚相手が筆頭者になっている戸籍に子も載ることになります。ただし、これは氏と所属する戸籍を変える手続きであり、民法791条が定めているのも氏の変更だけです。継親との親子関係がこれによって生じるわけではありません。
二つ目は「養子縁組」です。養子は養親の戸籍に入るため(戸籍法18条3項)、この場合も同じ戸籍に載りますが、こちらは先ほどの民法809条により法律上の親子関係が生じます。
このほか、子が親の戸籍に在籍していて、その親が戸籍の筆頭者であり、再婚の際にその親の氏を名乗る場合には、再婚相手のほうが婚姻によってその戸籍に入ってきます(戸籍法16条1項ただし書・2項)。この場合、子の側には何の手続きもないまま、継親と同じ戸籍に載ることになります。
戸籍のどこを見るか
見分けるポイントは二つです。
一つ目は身分事項欄(その人に起きた出来事を記録する欄)です。戸籍法施行規則35条は、戸籍法98条の入籍に関する事項は入籍した本人の身分事項欄に(9号)、養子縁組に関する事項は養親と養子の双方の身分事項欄に(3号)記載すると定めています。子の欄に記載されているのが「入籍」なのか「養子縁組」なのかを確認し、あわせて、被相続人である継親自身の身分事項欄に縁組の記載があるかも確認します。身分事項欄の読み方の基本は、戸籍の「身分事項欄」の読み方で扱っています。
二つ目は父母欄と養父母欄です。戸籍には各人について実父母の氏名と実父母との続柄が記載され、養子であるときは、養親の氏名と養親との続柄も記載されます(戸籍法13条1項5号・6号)。入籍しただけの子であれば、記載されているのは実の父母の氏名で、養親の記載はありません。養子縁組をしていれば、養親として継親の氏名が記載されます(コンピュータ化された戸籍では「養父」「養母」の項目として表示されます)。
なお、入籍した後にあらためて養子縁組をする場合もあるため、一つの記載だけで判断せず、その子の身分事項欄を最後まで読み通すことが大切です。縁組の後に離縁の記載が続いていないかも、あわせて確認します。
執筆時点(2026年11月)の制度に基づく一般的な解説です。古い時代に開始した相続では当時の法律が適用されるため(民法附則〔昭和22年法律第222号〕25条1項)、継親子の扱いが現在とは異なることがあります。
まとめ
連れ子が継親の相続人かどうかの分かれ目は、同じ戸籍に載っているかどうかではなく、養子縁組をしているかどうかです。家庭裁判所の許可を得た入籍は氏と戸籍を変える手続きであり、それだけで親子関係が生じるわけではありません。身分事項欄の「入籍」「養子縁組」の記載と、養親の氏名の記載の有無を確かめることが、見落としのない相続人確定につながります。戸籍の記載の読み取りに迷うときや、相続人の範囲に不安があるときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年11月)。
- 民法 第725条・第791条・第809条・第887条、附則(昭和22年法律第222号)第3条・第25条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 戸籍法 第13条・第14条・第16条・第18条・第98条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224
- 戸籍法施行規則 第35条、附録第一号様式(戸籍)・附録第六号(戸籍の記載のひな形)・付録第二十四号(第73条第1項の書面の記載のひな形)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000010094