問題:
時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされ、その合意において当事者が協議を行う期間を2年と定めたときは、その期間を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
イ. 権利についての協議を行う旨の書面による合意によって時効の完成が猶予されている間に、再度、同様の合意が書面でされたときは、再度の合意も時効の完成猶予の効力を有するが、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることができない。
ウ. 催告によって時効の完成が猶予されている間に、権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
エ. 権利についての協議を行う旨の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなされ、当事者の一方から相手方に対してされる協議の続行を拒絶する旨の通知についても、同様である。
オ. 仮差押えがあった場合には、その事由が終了した時から、時効は、新たにその進行を始める。
答え:
誤っているものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
本問は、協議を行う旨の合意による時効の完成猶予(民法151条)と、仮差押え等による時効の完成猶予(同法149条)を問うものであり、誤っているのはア・ウ・オの3つである。
ア 誤り。民法151条1項は、「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。」と定め、その1号に「その合意があった時から一年を経過した時」を、2号に「その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時」を、3号に「当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時」を掲げている。2号の協議を行う期間は1年に満たないものに限られるから、2年の期間を定めても同号には当たらず、時効の完成が猶予されるのは、1号の「その合意があった時から一年を経過した時」(3号の通知が書面でされたときは、その通知の時から6箇月を経過した時と比べていずれか早い時)までである。2年の期間を経過するまで時効が完成しないとする本肢は誤りである。
イ 正しい。民法151条2項は、「前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。
ウ 誤り。民法151条3項は、「催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。」と定めている。催告による完成猶予の間に書面で協議を行う旨の合意をしても、同条1項による完成猶予の効力は生じないから、本肢は誤りである。
エ 正しい。民法151条4項は、「第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(中略)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。」と定め、同条5項は、「前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。」と定めている。同条1項3号の通知は協議の続行を拒絶する旨の通知であるから、電磁的記録による合意も、電磁的記録による協議の続行を拒絶する旨の通知も、書面によってされたものとみなされる。本肢は、同条4項・5項のとおりである。
オ 誤り。民法149条は、「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」と定め、その1号に「仮差押え」を、2号に「仮処分」を掲げている。同条が定めているのは、その事由が終了した時から6箇月を経過するまでの間の時効の完成猶予である。これに対し、裁判上の請求等(同法147条2項)、強制執行等(同法148条2項)及び権利の承認(同法152条1項)については、時効が「新たにその進行を始める」旨の定めが置かれているが、同法149条にはこの定めがない。条の見出しも、同法147条は「裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新」、同法148条は「強制執行等による時効の完成猶予及び更新」としているのに対し、同法149条は「仮差押え等による時効の完成猶予」としている。仮差押えがあった場合に、その事由が終了した時から時効が新たにその進行を始めるとする本肢は、同条が定めていない効果を述べるものであり、誤りである。
ポイント:権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、①合意の時から1年を経過した時、②合意で定めた協議期間(1年に満たないものに限る)を経過した時、③協議の続行を拒絶する旨の書面による通知の時から6箇月を経過した時のいずれか早い時まで、時効は完成しない(民法151条1項)。合意による完成猶予の間にされた再度の合意も完成猶予の効力を有するが、本来時効が完成すべき時から通じて5年が上限である(同条2項)。催告による完成猶予の間にされた合意は完成猶予の効力を有せず、合意による完成猶予の間にされた催告も同様である(同条3項)。合意と拒絶の通知は、電磁的記録によるときも書面によるものとみなされる(同条4項・5項)。仮差押え・仮処分は、その事由が終了した時から6箇月を経過するまでの完成猶予を定めるにとどまり(同法149条)、同法147条2項・148条2項・152条1項のような「新たにその進行を始める」旨の定めはない。協議の期間は「1年未満の定めだけが猶予の期限を左右する(2年と定めても、猶予は合意の時から1年まで)」、催告と合意は「互いに重ねられない」と押さえる。
問題:
無主物の帰属、遺失物の拾得、埋蔵物の発見及び動物の占有による権利の取得に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得するが、所有者のない不動産は、国庫に帰属する。
イ. 遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後6箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。
ウ. 他人の所有する土地の中から発見された埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後6箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者及びその土地の所有者が等しい割合でその所有権を取得する。
エ. 家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に悪意であっても、その動物が飼主の占有を離れた時から1箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。
オ. 家畜以外の動物で他人が飼育していたものを、その占有の開始の時に善意で占有した者であっても、その動物が飼主の占有を離れた時から1箇月以内に飼主から回復の請求を受けたときは、その動物について行使する権利を取得しない。
答え:
正しいものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
本問は、無主物の帰属(民法239条)、遺失物の拾得(同法240条)、埋蔵物の発見(同法241条)及び動物の占有による権利の取得(同法195条)を問うものであり、正しいのはア・ウ・オの3つである。
ア 正しい。民法239条1項は、「所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。」と定め、同条2項は、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。所有者のない不動産は、占有によって所有権を取得するのではなく、国庫に帰属する点に注意する。
イ 誤り。民法240条は、「遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。」と定めている。遺失物の期間は公告をした後3箇月であり、6箇月ではないから、本肢は誤りである。6箇月は、次の埋蔵物の期間である。
ウ 正しい。民法241条は、「埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後六箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する。」と定めている。他人の所有する土地の中から発見された埋蔵物は、同条ただし書により、発見した者とその土地の所有者が等しい割合で所有権を取得するから、本肢は正しい。
エ 誤り。民法195条は、「家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、その動物が飼主の占有を離れた時から一箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。」と定めている。同条は、占有の開始の時に善意であることを要件としているから、占有の開始の時に悪意であった者は、1箇月以内に回復の請求を受けなかったときであっても、同条によって権利を取得しない。本肢は誤りである。
オ 正しい。民法195条は、占有の開始の時に善意であることに加えて、「その動物が飼主の占有を離れた時から一箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったとき」を要件としている。善意で占有を始めた者であっても、飼主の占有を離れた時から1箇月以内に回復の請求を受けたときはこの要件を欠くから、同条によって権利を取得しない。本肢は正しい。
ポイント:所有者のない動産は所有の意思をもって占有することによって所有権を取得するが、所有者のない不動産は国庫に帰属する(民法239条)。遺失物は公告後3箇月以内に所有者が判明しないときに拾得者が(同法240条)、埋蔵物は公告後6箇月以内に所有者が判明しないときに発見者が所有権を取得し、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物は発見者とその他人が等しい割合で取得する(同法241条)。家畜以外の動物で他人が飼育していたものは、占有の開始の時に善意であり、かつ、飼主の占有を離れた時から1箇月以内に回復の請求を受けなかったときに、その動物について行使する権利を取得する(同法195条)。期間は「遺失物3箇月・埋蔵物6箇月・動物1箇月」、不動産は「先占できず国庫へ」と並べて覚える。
問題:
遺言執行者に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならず、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
イ. 未成年者は、法定代理人の同意を得たときは、遺言執行者となることができる。
ウ. 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
エ. 遺言執行者がある場合であっても、遺贈の履行は、相続人も行うことができる。
オ. 遺言執行者は、正当な事由があるときは、相続人全員の同意を得て、その任務を辞することができる。
答え:
誤っているものは、イ・エ・オの3つである。
解説:
本問は、遺言執行者の任務の開始(民法1007条)、欠格事由(同法1009条)、権利義務(同法1012条)、行為の効果(同法1015条)及び解任・辞任(同法1019条)を問うものであり、誤っているのはイ・エ・オの3つである。
ア 正しい。民法1007条1項は、「遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。」と定め、同条2項は、「遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。
イ 誤り。民法1009条は、「未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。」と定めている。同条は、法定代理人の同意があるときを除外していないから、未成年者は、法定代理人の同意を得ても遺言執行者となることができない。本肢は誤りである。
ウ 正しい。民法1015条は、「遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。
エ 誤り。民法1012条1項は、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と定め、同条2項は、「遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。」と定めている。遺言執行者がある場合に遺贈の履行を行うことができるのは遺言執行者のみであるから、相続人も行うことができるとする本肢は誤りである。
オ 誤り。民法1019条2項は、「遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。」と定めている。辞任に必要なのは家庭裁判所の許可であり、相続人全員の同意ではないから、本肢は誤りである。なお、解任についても、同条1項は、「遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。」と定めており、解任・辞任のいずれも家庭裁判所が関与する。遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、遺言執行者を選任することができる(同法1010条)。
ポイント:遺言執行者は、就職を承諾したときは直ちに任務を行い、任務を開始したときは遅滞なく遺言の内容を相続人に通知しなければならない(民法1007条)。未成年者と破産者は遺言執行者となることができず、法定代理人の同意による例外はない(同法1009条)。遺言執行者は遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し、遺言執行者がある場合には遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができる(同法1012条1項・2項)。遺言執行者が権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる(同法1015条)。解任は利害関係人の請求により家庭裁判所がし、辞任は正当な事由がある場合に家庭裁判所の許可を得てする(同法1019条)。遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、利害関係人の請求により家庭裁判所が選任することができる(同法1010条)。辞任・解任と、遺言執行者がない場合の選任は「すべて家庭裁判所」(遺言による指定〔同法1006条〕とは区別する)、欠格は「未成年者と破産者だけ・同意で外れない」と押さえる。
問題:
土地の地積及び地積に関する登記に関する次の記述のうち、不動産登記法、不動産登記規則及び不動産登記事務取扱手続準則の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。なお、民法423条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請する場合は考慮しないものとする。
ア. 地積が10平方メートル以下の山林の地積は、1平方メートル未満の端数を切り捨てて定める。
イ. 水平投影面積を測定した結果が25.678平方メートルであった墓地の地積は、25平方メートルと定める。
ウ. 同一の土地について申請する地目に関する変更の登記と地積に関する更正の登記は、一の申請情報によって申請することができ、これらに基づいて登記をするときは、登記記録の表題部の原因及びその日付欄に、それぞれの登記原因及びその日付に、当該変更又は更正に係る該当欄の番号を冠記して記録する。
エ. 所有権の登記がある土地の地積に関する更正の登記は、当該土地の所有権の登記名義人のほか、当該土地を目的とする地上権の登記名義人も申請することができる。
オ. 甲土地の一部を分筆して乙土地とする分筆の登記と甲土地の地積に関する更正の登記は、一の申請情報によって申請することができる。
答え:
誤っているものは、ア・エの2つである。
解説:
本問は、地積の定め方(不動産登記規則100条)、一の申請情報によって申請することができる場合(同規則35条6号・7号)、土地の表題部の変更の登記又は更正の登記の記録方法(不動産登記事務取扱手続準則73条)及び土地の表題部の更正の登記の申請人(不動産登記法38条)を問うものであり、誤っているのはア・エの2つである。
ア 誤り。不動産登記規則100条は、「地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一(宅地及び鉱泉地以外の土地で十平方メートルを超えるものについては、一平方メートル)未満の端数は、切り捨てる。」と定めている。山林は宅地及び鉱泉地以外の土地であるが、地積が10平方メートル以下であれば括弧書は適用されず、1平方メートルの100分の1未満の端数を切り捨てることになる。1平方メートル未満の端数を切り捨てるとする本肢は誤りである。
イ 正しい。不動産登記規則99条は、地目の区分として墓地を掲げている。墓地は宅地及び鉱泉地以外の土地であり、本肢の土地は10平方メートルを超えるから、アで引用した同規則100条の括弧書により、1平方メートル未満の端数を切り捨てて地積を定める。したがって、地積は25平方メートルとなり、本肢は正しい。
ウ 正しい。不動産登記令4条は、「申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときは、この限りでない。」と定め、これを受けた不動産登記規則35条は、6号で「同一の不動産について申請する二以上の登記が、いずれも不動産の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記であるとき。」を掲げている。地目に関する変更の登記と地積に関する更正の登記は、いずれも土地の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記であるから、一の申請情報によって申請することができる。そして、準則73条は、「地番、地目又は地積に関する変更の登記又は更正の登記をする場合において、登記記録の表題部の原因及びその日付欄の記録をするときは、変更し、又は更正すべき事項の種類に応じて、当該変更又は更正に係る該当欄の番号を登記原因及びその日付の記録に冠記してするものとする。」と定め、その例として、地目の変更をするときは登記原因及びその日付に②を冠記し、一の申請情報によって地目の変更の登記と地積の更正の登記の申請があった場合においてこれらに基づいて登記をするときは、原因及びその日付欄に、それぞれの登記原因及びその日付に②及び③を冠記して記録するものとしている。本肢は、これらの規定のとおりである。
エ 誤り。不動産登記法38条は、「第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに限る。)又は第三十四条第一項第一号、第三号若しくは第四号に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。」と定めている。地積は同法34条1項4号に掲げる登記事項であるから、地積に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は申請することができない。問題文のなお書きのとおり、民法423条その他の法令の規定により他人に代わって申請する場合は考慮しないから、地上権の登記名義人も申請することができるとする本肢は誤りである。
オ 正しい。不動産登記規則35条は、7号で「同一の不動産について申請する二以上の登記が、不動産の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記及び土地の分筆の登記若しくは合筆の登記又は建物の分割の登記、建物の区分の登記若しくは建物の合併の登記であるとき。」を掲げている。甲土地の地積に関する更正の登記と甲土地の分筆の登記は、同一の不動産について申請する表題部の登記事項に関する更正の登記及び土地の分筆の登記であるから、一の申請情報によって申請することができ、本肢は正しい。
ポイント:地積は水平投影面積により平方メートルを単位として定め、1平方メートルの100分の1未満の端数を切り捨てるのが原則であり、宅地及び鉱泉地以外の土地で10平方メートルを超えるものに限り1平方メートル未満の端数を切り捨てる(不動産登記規則100条)。同一の土地についての表題部の変更・更正の登記どうし、又はこれらと分筆・合筆の登記は、一の申請情報によって申請することができ(同規則35条6号・7号)、表題部の原因及びその日付欄には該当欄の番号を冠記して記録する(準則73条)。地積に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は申請することができない(不動産登記法38条・34条1項4号)。「10平方メートル以下なら地目を問わず100分の1まで」と押さえる。
問題:
建物が区分建物となった場合等の表題部の変更の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び不動産登記規則の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 表題登記がある甲建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物である乙建物が新築されて一棟の建物となったことにより甲建物が区分建物になった場合において、甲建物について表題部の変更の登記をするときは、登記官は、甲建物について新たに登記記録を作成し、その権利部の相当区に、変更前の甲建物の登記記録から権利に関する登記を移記し、登記の年月日及び移記した旨を記録しなければならない。
イ. Cが所有権の登記名義人である表題登記がある丙建物と、Dが所有権の登記名義人である表題登記がある丁建物(いずれも区分建物を除く。)とが、増築工事により相互に接続して区分建物になった場合において、Dが既に死亡しているときは、Cは、Dの相続人Eに代わって、丁建物について表題部の変更の登記を申請することができる。
ウ. イの場合において、丙建物及び丁建物についての表題部の変更の登記の申請は、各別にすることができる。
エ. 区分建物である建物が区分合併以外の原因により区分建物でない建物となった場合において、その建物について表題部の変更の登記をするときは、登記官は、従前の登記記録の表題部に変更後の登記事項を記録すれば足り、新たに登記記録を作成することを要しない。
オ. イの場合において、丙建物及び丁建物について表題部の変更の登記をするときは、登記官は、丙建物及び丁建物のそれぞれについて新たに登記記録を作成し、変更前の各建物の登記記録を閉鎖しなければならない。
答え:
誤っているものは、ウ・エの2つである。
解説:
本問は、区分建物となったことによる建物の表題部の変更の登記の申請(不動産登記法52条)並びにその場合及び区分建物が区分建物でない建物となった場合の登記記録の作成・移記・閉鎖(不動産登記規則140条)を問うものであり、誤っているのはウ・エの2つである。
ア 正しい。不動産登記法52条1項は、「表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となったことにより当該表題登記がある建物が区分建物になった場合における当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請は、当該新築に係る区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。」と定めている。そして、不動産登記規則140条1項は、「登記官は、法第五十二条第一項及び第三項に規定する表題部の登記事項に関する変更の登記をするときは、当該変更の登記に係る区分建物である建物について新たに登記記録を作成し、当該登記記録の表題部に本項の規定により登記を移記した旨を記録しなければならない。」と定め、同条2項は、「登記官は、前項の場合には、新たに作成した登記記録の権利部の相当区に、変更前の建物の登記記録から権利に関する登記を移記し、登記の年月日及び本項の規定により登記を移記した旨を記録しなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
イ 正しい。不動産登記法52条3項は、「いずれも表題登記がある二以上の建物(区分建物を除く。)が増築その他の工事により相互に接続して区分建物になった場合における当該表題登記がある二以上の建物についての表題部の変更の登記の申請は、一括してしなければならない。」と定め、同条4項は、「前項の場合において、当該表題登記がある二以上の建物のうち、表題登記がある一の建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、表題登記がある他の建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある他の建物について表題部の変更の登記を申請することができる。」と定めている。丙建物の所有権の登記名義人であるCは、丁建物の所有権の登記名義人Dの相続人Eに代わって、丁建物について表題部の変更の登記を申請することができるから、本肢は正しい。
ウ 誤り。イで引用した不動産登記法52条3項のとおり、いずれも表題登記がある二以上の建物(区分建物を除く。)が増築その他の工事により相互に接続して区分建物になった場合における表題部の変更の登記の申請は、一括してしなければならない。各別にすることができるとする本肢は誤りである。
エ 誤り。不動産登記規則140条4項は、「前三項の規定は、区分合併以外の原因により区分建物である建物が区分建物でない建物となったときについて準用する。この場合において、第一項中「区分建物である建物」とあるのは、「建物」と読み替えるものとする。」と定めている。したがって、区分建物である建物が区分合併以外の原因により区分建物でない建物となったときも、登記官は、当該建物について新たに登記記録を作成して登記を移記し、変更前の登記記録を閉鎖することになる。新たに登記記録を作成することを要しないとする本肢は誤りである。
オ 正しい。アで引用した不動産登記規則140条1項は、不動産登記法52条3項に規定する表題部の登記事項に関する変更の登記をするときも対象としている。そして、同規則140条3項は、「登記官は、第一項の場合には、変更前の建物の登記記録の表題部に同項の規定により登記を移記した旨及び従前の建物の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ポイント:区分建物でない建物に接続して区分建物が新築された場合の表題部の変更の登記は、新築に係る区分建物の表題登記の申請と併せてし(不動産登記法52条1項)、二以上の区分建物でない建物が増築等で接続して区分建物になった場合の表題部の変更の登記は一括してしなければならず、一の建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、他の建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって申請することができる(同条3項・4項)。これらの変更の登記をするときは、登記官は新たに登記記録を作成して権利に関する登記を移記し、変更前の登記記録を閉鎖する(不動産登記規則140条1項〜3項)。区分合併以外の原因により区分建物でない建物となったときも同じ処理となる(同条4項)。「区分建物になるときも、区分建物でなくなるときも、登記記録は新しく作る」と押さえる。
問題:
筆界特定の手続に関する次の記述のうち、不動産登記法及び不動産登記規則の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 筆界特定の申請人が、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について写真を資料として提出するときは、所定の事項のほか、資料の表示、作成者及びその作成年月日並びに当該資料の提出の趣旨を明らかにすれば足り、撮影の対象並びに日時及び場所を明らかにすることを要しない。
イ. 筆界特定登記官は、筆界特定申請情報が提供されたときは、当該筆界特定申請情報に係る筆界特定の申請の受付をしなければならず、受付をしたときは、当該筆界特定の申請に手続番号を付さなければならない。
ウ. 筆界特定登記官は、筆界調査委員に対し、筆界調査委員が行う対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査の経過又は結果その他必要な事項について報告を求めることができる。
エ. 筆界特定手続記録のうち筆界特定書等以外のものの閲覧の請求をするときは、所定の事項のほか、利害関係を有する理由及び閲覧する部分を請求情報の内容とし、利害関係がある理由を証する書面を提示しなければならない。
オ. 筆界特定書等の写しの交付の請求は、送付の方法によるかどうかにかかわらず、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。
答え:
誤っているものは、ア・オの2つである。
解説:
本問は、筆界特定の申請の受付(不動産登記規則214条)、意見又は資料の提出(不動産登記法139条1項、同規則218条)、筆界調査委員の調査の報告(同法135条1項、同規則229条)並びに筆界特定手続記録の閲覧及び筆界特定書等の写しの交付の請求(同法149条、同規則238条・239条)を問うものであり、誤っているのはア・オの2つである。
ア 誤り。不動産登記法139条1項前段は、「筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見又は資料を提出することができる。」と定めている。そして、不動産登記規則218条1項は、同法139条1項の規定による意見又は資料の提出は、手続番号、提出する者の氏名又は名称等の同項各号に掲げる事項を明らかにしてしなければならないと定め、同条2項は、「法第百三十九条第一項の規定による資料の提出は、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。」と定めて、1号で「資料の表示」、2号で「作成者及びその作成年月日」、3号で「写真又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録することができる物を含む。)にあっては、撮影、録画等の対象並びに日時及び場所」、4号で「当該資料の提出の趣旨」を掲げている。写真を資料として提出するときは、撮影の対象並びに日時及び場所も明らかにしなければならないから、本肢は誤りである。
イ 正しい。不動産登記規則214条1項は、「筆界特定登記官は、法第百三十一条第五項において読み替えて準用する法第十八条の規定により筆界特定申請情報が提供されたときは、当該筆界特定申請情報に係る筆界特定の申請の受付をしなければならない。」と定め、同条2項は、「筆界特定登記官は、筆界特定の申請の受付をしたときは、当該筆界特定の申請に手続番号を付さなければならない。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。
ウ 正しい。不動産登記法135条1項は、筆界調査委員は、同法134条1項の規定による指定を受けたときは、対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすること等、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査をすることができると定めている。そして、不動産登記規則229条は、「筆界特定登記官は、筆界調査委員に対し、法第百三十五条の規定による事実の調査の経過又は結果その他必要な事項について報告を求めることができる。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
エ 正しい。不動産登記法149条2項は、「何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。ただし、筆界特定書等以外のものについては、請求人が利害関係を有する部分に限る。」と定めている。そして、不動産登記規則238条2項は、同法149条2項の規定により筆界特定書等以外の筆界特定手続記録の閲覧の請求をするときは、請求人の氏名又は名称及び手続番号のほか、同項各号に掲げる事項を請求情報の内容とすると定め、4号で「法第百四十九条第二項ただし書の利害関係を有する理由及び閲覧する部分」を掲げ、同条3項は、「前項の閲覧の請求をするときは、同項第四号の利害関係がある理由を証する書面を提示しなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
オ 誤り。不動産登記規則239条1項は、「前条第一項の交付の請求又は同項若しくは同条第二項の閲覧の請求は、請求情報を記載した書面を登記所に提出する方法によりしなければならない。」と定め、同条2項前段は、「送付の方法による筆界特定書等の写しの交付の請求は、前項の方法のほか、法務大臣の定めるところにより、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。」と定めている。電子情報処理組織を使用する方法によることができるのは、送付の方法による筆界特定書等の写しの交付の請求に限られるから、本肢は誤りである。
ポイント:筆界特定登記官は、筆界特定申請情報が提供されたときは受付をし、手続番号を付す(不動産登記規則214条)。申請人及び関係人は対象土地の筆界について意見又は資料を提出することができ(不動産登記法139条1項)、資料の提出では資料の表示、作成者及び作成年月日、写真等の撮影等の対象・日時・場所、提出の趣旨も明らかにする(同規則218条2項)。筆界特定登記官は、筆界調査委員に事実の調査の経過又は結果等の報告を求めることができる(同規則229条)。筆界特定書等以外の筆界特定手続記録の閲覧は利害関係を有する部分に限られ、利害関係を有する理由等を請求情報の内容とし、理由を証する書面を提示する(同法149条2項、同規則238条2項・3項)。写しの交付等の請求は書面の提出が原則で、電子情報処理組織を使用できるのは送付の方法による写しの交付の請求に限られる(同規則239条1項・2項)。「電子で請求できるのは送付による写しの交付だけ」と押さえる。
問題:
地籍調査に関する次の記述のうち、国土調査法の規定に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 地籍調査の結果に基づいて作成された地図及び簿冊が一般の閲覧に供された場合において、当該地図及び簿冊に測量若しくは調査上の誤り又は政令で定める限度以上の誤差があると認める者は、その閲覧の期間内に、当該地籍調査を行った者に対して、その旨を申し出ることができる。
イ. 地籍調査を実施する市町村は、その実施のために必要がある場合であっても、当該地籍調査に係る土地の所有者その他の利害関係人に対し、当該土地の所在する市町村内の事務所への出頭を求めることはできない。
ウ. 国土交通大臣、事業所管大臣又は都道府県知事は、国土調査の成果を認証した場合においては、その国土調査の成果の写しを、それぞれ当該都道府県知事又は市町村長に送付しなければならず、送付を受けた都道府県知事又は市町村長は、これを保管し、一般の閲覧に供しなければならない。
エ. 国土調査を実施する者から土地の所有者等関係情報の提供を求められた者は、国の機関及び地方公共団体以外の者に対しこれを提供しようとするときは、あらかじめ、所有者その他の利害関係人の同意を得なければならず、この同意は、その所在が判明していない者を含む全員から得なければならない。
オ. 国土調査法6条3項の規定により都道府県知事の指定を受けて地籍調査を行う市町村は、当該地籍調査に係る土地に関する筆界特定手続記録のうち筆界特定書等以外のものについても、利害関係を有する部分に限られることなく、その閲覧を請求することができる。
答え:
正しいものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
本問は、地籍調査(国土調査法2条5項)の結果に基づいて作成された地図及び簿冊の閲覧と誤りの申出(同法17条)、国土調査の成果の保管(同法21条)、立会又は出頭(同法25条)、所有者等関係情報の利用及び提供(同法31条の2)並びに地籍調査を行う地方公共団体等による筆界特定手続記録の閲覧請求の特例(同法32条の3)を問うものであり、正しいのはア・ウ・オの3つである。国土調査法2条5項は、「第一項第三号の「地籍調査」とは、毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成することをいう。」と定めており、同条1項3号が定めるとおり、所定の指定を受けた地籍調査等は国土調査に当たる。
ア 正しい。国土調査法17条1項は、国土調査を行った者は、調査及び測量の結果に基づいて地図及び簿冊を作成した場合においては、遅滞なく、その旨を公告し、当該国土調査を行った者の事務所(地籍調査にあっては、当該地籍調査が行われた市町村の事務所)において、その公告の日から20日間当該地図及び簿冊を一般の閲覧に供しなければならないと定めている。そして、同条2項は、「前項の規定により一般の閲覧に供された地図及び簿冊に測量若しくは調査上の誤り又は政令で定める限度以上の誤差があると認める者は、同項の期間内に、当該国土調査を行つた者に対して、その旨を申し出ることができる。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同条3項は、申出があった場合において、その申出に係る事実があると認めたときは、当該国土調査を行った者は、遅滞なく、当該地図及び簿冊を修正しなければならないと定めている。
イ 誤り。国土調査法25条2項は、「国土調査を実施する国の機関又は地方公共団体は、その実施のために必要がある場合においては、当該国土調査に係る土地の所有者その他の利害関係人又はこれらの者の代理人に、当該国土調査に係る土地の所在する市町村内の事務所への出頭を求めることができる。」と定めている。市町村は地方公共団体であるから、地籍調査の実施のために必要がある場合には、土地の所有者その他の利害関係人に対し出頭を求めることができ、本肢は誤りである。なお、同条1項は、国土調査を実施する者は、その実施のために必要がある場合においては、土地の所有者その他の利害関係人又はこれらの者の代理人を現地に立ち会わせることができると定めている。
ウ 正しい。国土調査法21条1項は、「国土交通大臣、事業所管大臣又は都道府県知事は、第十九条第二項の規定により国土調査の成果を認証した場合においては、その国土調査の成果の写しを、それぞれ当該都道府県知事又は市町村長に、送付しなければならない。」と定め、同条2項は、「都道府県知事又は市町村長は、前項の規定により送付された国土調査の成果の写しを保管し、一般の閲覧に供しなければならない。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。
エ 誤り。国土調査法31条の2第2項は、「国土調査を実施する者は、その実施のために必要がある場合においては、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、当該国土調査に係る土地の所有者等関係情報の提供を求めることができる。」と定め、同条3項は、「前項の求めを受けた者は、国の機関及び地方公共団体以外の者に対し所有者等関係情報を提供しようとするときは、あらかじめ、当該所有者等関係情報を提供することについて第一項に規定する所有者その他の利害関係人の同意を得なければならない。」と定め、同条4項は、「前項の同意は、その所在が判明している者に対して求めれば足りる。」と定めている。所在が判明していない者を含む全員から同意を得なければならないとする本肢は誤りである。
オ 正しい。国土調査法32条の3第2項は、「前項に規定する地方公共団体又は土地改良区等は、不動産登記法第百四十九条第二項ただし書の規定にかかわらず、その行う地籍調査に係る土地に関する同項の筆界特定手続記録の閲覧を請求することができる。」と定めている。同条1項に規定する地方公共団体又は土地改良区等には、同法6条3項の規定による指定を受けて地籍調査を行う地方公共団体が含まれ、同項は、市町村が行う調査について都道府県知事が国土調査として指定する旨を定めている。不動産登記法149条2項ただし書は、筆界特定書等以外のものの閲覧について請求人が利害関係を有する部分に限るとしているが、地籍調査を行う市町村はこのただし書の適用を受けないから、本肢は正しい。
ポイント:地籍調査の結果に基づく地図及び簿冊は公告の日から20日間閲覧に供され、測量若しくは調査上の誤り又は政令で定める限度以上の誤差があると認める者はその期間内に申し出ることができる(国土調査法17条)。認証された国土調査の成果の写しは都道府県知事又は市町村長に送付されて保管・閲覧に供される(同法21条)。国土調査を実施する者は利害関係人を現地に立ち会わせることができ、国の機関又は地方公共団体は市町村内の事務所への出頭を求めることができる(同法25条)。所有者等関係情報を国の機関・地方公共団体以外の者に提供するには利害関係人の同意を要するが、同意は所在が判明している者に求めれば足りる(同法31条の2第3項・4項)。指定を受けて地籍調査を行う地方公共団体等は、利害関係の限定なく筆界特定手続記録の閲覧を請求することができる(同法32条の3第2項)。「出頭を求められるのは国の機関と地方公共団体」「同意は所在判明者で足りる」と押さえる。
問題:
表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律(以下「表題部所有者不明土地法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 表題部所有者不明土地とは、所有権(その共有持分を含む。)の登記がない一筆の土地のうち、表題部に所有者の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が登記されていないものをいい、国が所有していることが登記記録上明らかである土地もこれに含まれる。
イ. 所有者等探索委員は、法務局又は地方法務局の長が任命し、その任期は2年とされ、再任されることができる。
ウ. 登記官は、利害関係人の申出がなければ、表題部所有者不明土地について、その所有者等の探索を行うことができない。
エ. 裁判所は、所有者等特定不能土地について、必要があると認めるときは、職権で、特定不能土地等管理者による管理を命ずる処分をすることができる。
オ. 登記官は、所有者等の特定をしたときは、当該表題部所有者不明土地につき、職権で、遅滞なく、表題部所有者の登記を抹消し、表題部に所有者等の特定の区分に応じて定められた事項を登記するが、この登記をしようとするときは、あらかじめ、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。
答え:
正しいものは、イ・オの2つである。
解説:
本問は、表題部所有者不明土地法の定義(2条1項)、登記官による所有者等の探索の開始(3条1項)、所有者等探索委員(9条)、表題部所有者の登記(15条)及び特定不能土地等管理命令(19条1項)を問うものであり、正しいのはイ・オの2つである。
ア 誤り。表題部所有者不明土地法2条1項は、「この法律において「表題部所有者不明土地」とは、所有権(その共有持分を含む。次項において同じ。)の登記がない一筆の土地のうち、表題部に所有者の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が登記されていないもの(国、地方公共団体その他法務省令で定める者が所有していることが登記記録上明らかであるものを除く。)をいう。」と定めている。国が所有していることが登記記録上明らかであるものは除かれるから、本肢は誤りである。
イ 正しい。表題部所有者不明土地法9条1項は、「法務局及び地方法務局に、第三条第一項の探索のために必要な調査をさせ、登記官に意見を提出させるため、所有者等探索委員若干人を置く。」と定め、同条2項は、「所有者等探索委員は、前項の職務を行うのに必要な知識及び経験を有する者のうちから、法務局又は地方法務局の長が任命する。」と、同条3項は、「所有者等探索委員の任期は、二年とする。」と、同条4項は、「所有者等探索委員は、再任されることができる。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ウ 誤り。表題部所有者不明土地法3条1項は、「登記官は、表題部所有者不明土地(第十五条第一項第四号に定める登記があるものを除く。以下この章において同じ。)について、当該表題部所有者不明土地の利用の現況、当該表題部所有者不明土地の周辺の地域の自然的社会的諸条件及び当該地域における他の表題部所有者不明土地の分布状況その他の事情を考慮して、表題部所有者不明土地の登記の適正化を図る必要があると認めるときは、職権で、その所有者等の探索を行うものとする。」と定めている。所有者等の探索は登記官が職権で行うものであるから、利害関係人の申出がなければ行うことができないとする本肢は誤りである。
エ 誤り。表題部所有者不明土地法19条1項は、「裁判所は、所有者等特定不能土地について、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、その申立てに係る所有者等特定不能土地を対象として、特定不能土地等管理者(次条第一項に規定する特定不能土地等管理者をいう。第五項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下「特定不能土地等管理命令」という。)をすることができる。」と定めている。特定不能土地等管理命令は利害関係人の申立てによってするものであるから、職権ですることができるとする本肢は誤りである。なお、同法2条3項は、「所有者等特定不能土地」を、同法15条1項4号イに定める登記がある表題部所有者不明土地(表題部所有者不明土地の共有持分について当該登記がされている場合にあっては、その共有持分)と定義している。
オ 正しい。表題部所有者不明土地法15条1項は、前段で「登記官は、所有者等の特定をしたときは、当該所有者等の特定に係る表題部所有者不明土地につき、職権で、遅滞なく、表題部所有者の登記を抹消しなければならない。」と定め、後段で、この場合において、登記官は、不動産登記法27条3号の規定にかかわらず、当該表題部所有者不明土地の表題部に、所有者等の特定の区分に応じて同項各号に定める事項を登記するものとしている。そして、表題部所有者不明土地法15条2項は、「登記官は、前項の規定による登記をしようとするときは、あらかじめ、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ポイント:表題部所有者不明土地は、所有権の登記がない一筆の土地のうち表題部に所有者の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が登記されていないものであり、国、地方公共団体等の所有が登記記録上明らかなものは除かれる(表題部所有者不明土地法2条1項)。登記官は、登記の適正化を図る必要があると認めるときは職権で所有者等の探索を行い(同法3条1項)、法務局及び地方法務局には、法務局又は地方法務局の長が任命する任期2年・再任可の所有者等探索委員が置かれる(同法9条)。所有者等の特定をしたときは、登記官は職権で遅滞なく表題部所有者の登記を抹消して特定の区分に応じた事項を登記し、その登記の前に公告をする(同法15条1項・2項)。特定不能土地等管理命令は、利害関係人の申立てにより裁判所が発する(同法19条1項)。「探索は登記官の職権、管理命令は利害関係人の申立て」と対で押さえる。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 民法(総則・時効の完成猶予) | 協議を行う旨の合意による時効の完成猶予(協議期間の定めは1年未満に限ること、再度の合意と5年の上限、催告との関係、電磁的記録による合意と拒絶の通知)、仮差押えによる時効の完成猶予と「新たにその進行を始める」旨の定めの有無 | 民法147条2項、148条2項、149条、151条、152条1項 |
| 第2問 | 民法(物権・所有権の取得) | 所有者のない動産の先占と所有者のない不動産の国庫帰属、遺失物の拾得(公告後3箇月)、埋蔵物の発見(公告後6箇月・他人の所有する物の中から発見された場合の等しい割合での取得)、家畜以外の動物の占有による権利の取得(占有開始時の善意・1箇月以内の回復の請求) | 民法195条、239条、240条、241条 |
| 第3問 | 民法(相続・遺言執行者) | 任務の開始と遺言の内容の通知、欠格事由(未成年者・破産者)、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うこと、遺言執行者の行為の効果、解任・辞任と家庭裁判所の関与、選任 | 民法1007条、1009条、1010条、1012条1項・2項、1015条、1019条 |
| 第4問 | 不動産登記法・不動産登記規則・準則(土地の地積) | 地積の端数処理、一の申請情報による申請、表題部の原因及びその日付欄の記録方法、地積に関する更正の登記の申請人 | 不動産登記法34条1項・38条、不動産登記令4条、不動産登記規則35条6号・7号・99条・100条、不動産登記事務取扱手続準則73条 |
| 第5問 | 不動産登記法・不動産登記規則(区分建物となった場合の登記) | 区分建物となったことによる表題部の変更の登記の一括申請と代わってする申請、新たな登記記録の作成・移記・閉鎖、区分建物でない建物となった場合 | 不動産登記法52条、不動産登記規則140条 |
| 第6問 | 不動産登記法・不動産登記規則(筆界特定) | 申請の受付と手続番号、資料の提出の際に明らかにする事項、筆界調査委員の報告、手続記録の閲覧と写しの交付の請求方法 | 不動産登記法135条1項・139条1項・149条、不動産登記規則214条・218条・229条・238条・239条 |
| 第7問 | 国土調査法(地籍調査) | 地図及び簿冊の閲覧と誤りの申出、成果の写しの保管と閲覧、出頭の求め、所有者等関係情報の提供と同意、筆界特定手続記録の閲覧請求の特例 | 国土調査法2条・6条3項・17条・21条・25条・31条の2・32条の3 |
| 第8問 | 表題部所有者不明土地法 | 表題部所有者不明土地の定義、登記官による職権探索、所有者等探索委員、表題部所有者の登記と公告、特定不能土地等管理命令 | 表題部所有者不明土地法2条1項・3項・3条1項・9条・15条・19条1項 |