問題:

共用部分である旨の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 共用部分である旨の登記がある建物については、所有権の登記がない建物であっても、所有者の氏名又は名称及び住所は、表示に関する登記の登記事項とされない。

イ. 共用部分である旨の登記は、当該登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者であっても、当該建物について利害関係を有する者であれば、申請することができる。

ウ. 登記官は、共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない。

エ. 共用部分である旨の登記に固有の登記事項についての変更の登記又は更正の登記は、当該共用部分である旨の登記がある建物の表題部所有者以外の者は、申請することができない。

オ. 共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合において、当該建物の表題登記を申請する義務を負うのは規約の廃止の時における所有者に限られ、その後に当該建物の所有権を取得した者は、この申請義務を負わない。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

共用部分である旨の登記及び団地共用部分である旨の登記は、不動産登記法58条に規定されている。

アは正しい。同法27条3号は、表示に関する登記の登記事項として「所有権の登記がない不動産(共用部分(区分所有法第四条第二項に規定する共用部分をいう。以下同じ。)である旨の登記又は団地共用部分(区分所有法第六十七条第一項に規定する団地共用部分をいう。以下同じ。)である旨の登記がある建物を除く。)については、所有者の氏名又は名称及び住所並びに所有者が二人以上であるときはその所有者ごとの持分」を掲げている。かっこ書により、共用部分である旨の登記がある建物は、この登記事項の対象から除かれている。ウで述べる58条4項の職権抹消と対応する規律である。

イは誤りである。同法58条2項は「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と定めている。申請権者は表題部所有者又は所有権の登記名義人に限られており、利害関係を有することを理由に第三者が申請することはできない。「利害関係を有する者であれば、申請することができる」とする点が誤りである。

なお、申請権者に該当する場合であっても、同条3項は、当該建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、その権利の登記名義人(抵当証券が発行されているときは、その所持人又は裏書人を含む。)の承諾があるときでなければ申請することができない旨を定めている。申請権者であることと、承諾を要しないこととは別の事柄である。

ウは正しい。同条4項は「登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない」と定めている。表題部所有者の登記や権利に関する登記が職権で抹消されるのは、共用部分である旨の登記がされた建物が区分所有者の共用に供されるものとして権利の客体としての扱いを異にすることによるものと説明される。アの27条3号かっこ書は、この抹消と平仄を合わせた規定である。

エは誤りである。同条5項は「第一項各号に掲げる登記事項についての変更の登記又は更正の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の所有者以外の者は、申請することができない」と定めている。申請権者として掲げられているのは「所有者」であって「表題部所有者」ではない。なお、4項により表題部所有者の登記自体が職権で抹消されるため、共用部分である旨の登記がある建物には、登記記録上の表題部所有者は存在しない。5項が「所有者」という語を用いていることは、この点と結び付けて理解することもできるが、条文がその理由を明示しているわけではなく、本肢の正誤を決めるのは2項と5項の文言の書き分けそのものである。「表題部所有者以外の者は、申請することができない」とする点が誤りである。

オは誤りである。同条6項は「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない」と定め、続く7項は「前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない」と定めている。規約の廃止後に所有権を取得した者にも、その取得の日を起算点とする申請義務が別途課されている。「この申請義務を負わない」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。58条は、申請権者を2項で表題部所有者又は所有権の登記名義人に限り、5項では固有の登記事項の変更・更正の申請権者を「所有者」としており、同じ条文の中で基準となる者の呼び方が使い分けられている。この使い分けの理由は条文自体には書かれていないから、まずはどの項がどの語を用いているかを文言どおりに押さえておきたい。


問題:

土地家屋調査士法人の設立及び社員に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士法人を設立するには、その社員となろうとする調査士が、定款を定めなければならない。

イ. 土地家屋調査士法人は、その社員となろうとする調査士が定款を定め、当該定款について公証人の認証を受けた時に成立する。

ウ. 土地家屋調査士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会の会員である社員を常駐させなければならない。

エ. 土地家屋調査士法人の社員は、自己又は第三者のためにその調査士法人の業務の範囲に属する業務を行うことを禁じられているが、他の土地家屋調査士法人の社員となることまでは禁じられていない。

オ. 土地家屋調査士法人の社員が調査士会の会員でなくなった場合には、当該社員は当然には脱退せず、総社員の同意による除名の手続を経なければ脱退しない。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

土地家屋調査士法人(以下「調査士法人」という。)の設立及び社員に関する規律は、土地家屋調査士法26条以下に置かれている。

アは正しい。同法31条1項は「調査士法人を設立するには、その社員となろうとする調査士が、定款を定めなければならない」と定めている。定款の記載事項は同条3項が定めており、目的、名称、主たる事務所及び従たる事務所の所在地、社員の氏名及び住所、社員の出資に関する事項の5つが、少なくとも記載しなければならない事項として掲げられている。

イは誤りである。同法32条は「調査士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する」と定めている。成立時期の基準は設立の登記であって、定款の認証ではない。もっとも、同法31条2項が会社法30条1項(定款は公証人の認証を受けなければその効力を生じない旨の規定)を調査士法人の定款について準用しているから、定款の認証が必要であること自体は記述のとおりである。誤っているのは、認証の時に法人が成立するとする点である。

なお、成立後の手続として、同法33条は、調査士法人が成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を主たる事務所の所在地の調査士会及び調査士会連合会に届け出なければならない旨を定めている。

ウは正しい。同法36条は「調査士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会の会員である社員を常駐させなければならない」と定めている。条文の文言は「その事務所に」であって主たる事務所に限定されていないから、主たる事務所だけでなく従たる事務所についても、その所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会の会員である社員の常駐が求められると解される。同法53条4項は、調査士法人がその事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域外に事務所を設けたときは、当該事務所(従たる事務所を設けたときは当該従たる事務所)の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会の会員となる旨を定めており、調査士会との結び付きが事務所ごとに生じる仕組みがとられている点も、この読み方と整合する。

エは誤りである。同法37条1項は「調査士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその調査士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の調査士法人の社員となつてはならない」と定めている。競業行為の禁止と他の調査士法人の社員となることの禁止とが、いずれも同項に並べて規定されている。「他の土地家屋調査士法人の社員となることまでは禁じられていない」とする点が誤りである。

なお、同条2項は、社員が1項に違反して自己又は第三者のためにその調査士法人の業務の範囲に属する業務を行ったときは、当該業務によって当該社員又は第三者が得た利益の額を調査士法人に生じた損害の額と推定する旨を定めている。

オは誤りである。同法38条は、調査士法人の社員が脱退する理由として、1号に調査士の登録の取消し、2号に定款に定める理由の発生、3号に総社員の同意、4号に28条2項各号のいずれかに該当することとなったこと、5号に除名を掲げている。そして28条2項3号は「調査士会の会員でない者」を社員となることができない者として掲げているから、社員が調査士会の会員でなくなったことは、38条4号を通じて法定脱退の理由に当たる。除名(5号)は別個の脱退事由であって、これを経なければ脱退しないという関係にはない。「除名の手続を経なければ脱退しない」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。調査士法人については、設立の手続(31条)、成立の時期(32条)、成立の届出(33条)が別々の条文で段階的に規律されており、どの時点で何が効力を生じるのかを条文ごとに切り分けて押さえておきたい。社員については、社員となる資格の制限(28条)と法定脱退(38条)とが4号を介して連動している点が、条文相互の関係として問われやすい。


問題:

付合に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

イ. 所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属するが、損傷せずに分離することはできるものの分離するのに過分の費用を要するにとどまる場合には、この規定は適用されない。

ウ. 付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における価格の割合にかかわらず、等しい割合でその合成物を共有する。

エ. 付合により物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も消滅する。この場合において、物の所有者が合成物の単独所有者となったときは、その物について存する他の権利は、以後その合成物について存する。

オ. 付合の規定の適用によって損失を受けた者は、不法行為に関する規定に従い、その償金を請求することができる。

答え:

誤っているものは、イ・ウ・オの3つである。

解説:

付合に関する規律は民法242条以下に置かれており、不動産の付合が242条、動産の付合が243条・244条、混和が245条、加工が246条、これらの効果が247条、償金の請求が248条に、それぞれ規定されている。

アは正しい。同法242条は「不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない」と定めている。本文が不動産所有者による所有権取得の原則を、ただし書が権原に基づいて附属させた者の権利の留保を、それぞれ定める構造である。

なお、ただし書の適用範囲については、建物の賃借人が賃貸人の承諾を得てした増築部分が問題となった事案において、権原に基づいて附属させた場合であっても、附属させた部分が取引上の独立性を有しないときはただし書の適用がないとした判例がある(最高裁昭和44年7月25日第三小法廷判決・民集23巻8号1627頁)。同判決が判断したのは建物の増築部分についてであり、あらゆる附属物に一律に及ぶ基準として述べられたものではないが、権原の有無だけでただし書の適用が決まるわけではないことを示す例として押さえておきたい。

イは誤りである。同法243条は「所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する。分離するのに過分の費用を要するときも、同様とする」と定めている。第2文により、物理的には分離できるが分離に過分の費用を要する場合も、損傷しなければ分離できない場合と同様に扱われる。「この規定は適用されない」とする点が誤りである。

ウは誤りである。同法244条は「付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する」と定めている。共有持分の割合の基準は付合の時における価格の割合であって、等しい割合ではない。「価格の割合にかかわらず、等しい割合で」とする点が誤りである。

エは正しい。同法247条1項は「第二百四十二条から前条までの規定により物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も、消滅する」と定め、同条2項は「前項に規定する場合において、物の所有者が、合成物、混和物又は加工物(以下この項において「合成物等」という。)の単独所有者となったときは、その物について存する他の権利は以後その合成物等について存し、物の所有者が合成物等の共有者となったときは、その物について存する他の権利は以後その持分について存する」と定めている。所有権が消滅する側の物に付いていた権利は消滅するのが原則であるが(1項)、その物の所有者が合成物等の単独所有者又は共有者となった場合には、権利が合成物等又はその持分の上に移って存続する(2項)。

オは誤りである。同法248条は「第二百四十二条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第七百三条及び第七百四条の規定に従い、その償金を請求することができる」と定めている。703条・704条は不当利得に関する規定であり、不法行為に関する規定ではない。付合等による所有権の帰属は法律の規定によって生じるものであって、それ自体が違法な行為であることを前提とするものではなく、損失の調整は条文上、不当利得の枠組みによることとされている。「不法行為に関する規定に従い」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはイ・ウ・オの3つである。付合の規定群は、所有権の帰属を定める規定(242条〜246条)、帰属が変動した結果として他の権利がどうなるかを定める規定(247条)、帰属の変動によって生じた損失をどう調整するかを定める規定(248条)の3層に分かれている。どの条文がどの層を担っているかを整理しておくと、条文相互の関係を問う出題に対応しやすい。


問題:

平面直角座標系において、筆界点AとBの座標値がそれぞれA(X=1,000.000m、Y=2,000.000m)、B(X=1,060.000m、Y=2,045.000m)である。直線ABの延長上に点Pをとり、点Pが線分ABを5対2に外分する点(すなわちAP対PBが5対2となり、点Pが点Bの側にある点)となるようにするとき、点Pの座標値として正しいものはどれか。

ア. X=1,100.000m、Y=2,075.000m

イ. X=1,042.857m、Y=2,032.143m

ウ. X=960.000m、Y=1,970.000m

エ. X=1,150.000m、Y=2,112.500m

オ. X=1,160.000m、Y=2,120.000m

答え:

ア(X=1,100.000m、Y=2,075.000m)

解説:

2点A、Bを結ぶ線分をm対nに外分する点Pの座標は、内分点の公式の一方の比の符号を反転させた形で表される。すなわち、次の式による。

$$ \begin{aligned} X_P &= \frac{-n\,X_A + m\,X_B}{m-n}\\[4pt] Y_P &= \frac{-n\,Y_A + m\,Y_B}{m-n} \end{aligned} $$

この式は、点Aを基点として、AからBへ向かうベクトルを$\frac{m}{m-n}$倍だけ伸ばした位置に点Pがあると読み替えることもできる。すなわち次のとおりである。

$$ \begin{aligned} X_P &= X_A+\frac{m}{m-n}\,\Delta X\\[4pt] Y_P &= Y_A+\frac{m}{m-n}\,\Delta Y \end{aligned} $$

本問では、まず点Aから点Bへの座標差を求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X &= 1060.000-1000.000\\[4pt] &= 60.000\\[4pt] \Delta Y &= 2045.000-2000.000\\[4pt] &= 45.000 \end{aligned} $$

外分比はm対n=5対2であるから、伸長率は次のとおりである。

$$ \begin{aligned} \frac{m}{m-n} &= \frac{5}{5-2}\\[4pt] &= \frac{5}{3} \end{aligned} $$

これを座標差に乗じて点Pの座標を求める。

$$ \begin{aligned} X_P &= 1000.000+\frac{5}{3}\times 60.000\\[4pt] &= 1000.000+100.000\\[4pt] &= 1100.000\\[4pt] Y_P &= 2000.000+\frac{5}{3}\times 45.000\\[4pt] &= 2000.000+75.000\\[4pt] &= 2075.000 \end{aligned} $$

したがって点Pの座標はX=1,100.000m、Y=2,075.000mであり、正解はアである。

検算として、各点間の距離を求める。線分ABの長さは次のとおりである。

$$ \begin{aligned} AB &= \sqrt{60.000^2+45.000^2}\\[4pt] &= \sqrt{3600+2025}\\[4pt] &= \sqrt{5625}=75.000 \end{aligned} $$

APは$AB\times\frac{5}{3}=125.000$m、PBは点Pが点Bの外側にあるから$125.000-75.000=50.000$mとなる。AP対PB=125.000対50.000=5対2となり、外分比が題意と一致することが確認できる。

イの「X=1,042.857m、Y=2,032.143m」は、外分点を求めるべきところ内分点の公式(伸長率$\frac{m}{m+n}=\frac{5}{7}$)を用いてしまった誤りである($1000.000+\frac{5}{7}\times60.000=1042.857$、$2000.000+\frac{5}{7}\times45.000=2032.143$)。内分点は線分ABの内部に、外分点は線分ABの外部にそれぞれ位置するから、求めた点が線分の内側に来た時点で公式の取り違えに気づける。

ウの「X=960.000m、Y=1,970.000m」は、外分比の向きを取り違え、AP対PBを2対5として外分した誤りである(伸長率$\frac{2}{2-5}=-\frac{2}{3}$となり、$1000.000-\frac{2}{3}\times60.000=960.000$、$2000.000-\frac{2}{3}\times45.000=1970.000$)。この場合の点は点Aを挟んで点Bの反対側に出るから、点Bの側にあるという題意に反する。

エの「X=1,150.000m、Y=2,112.500m」は、伸長率を$\frac{m}{m-n}$とすべきところ$\frac{m}{n}=\frac{5}{2}$としてしまった誤りである($1000.000+2.5\times60.000=1150.000$、$2000.000+2.5\times45.000=2112.500$)。この点ではAPが187.500m、PBが112.500mとなり、比は5対3となって題意の5対2に合わない。

オの「X=1,160.000m、Y=2,120.000m」は、伸長率$\frac{5}{3}$は正しく求めたものの、これを基点である点Aからではなく点Bから適用してしまった誤りである($1060.000+\frac{5}{3}\times60.000=1160.000$、$2045.000+\frac{5}{3}\times45.000=2120.000$)。外分点の公式は、比の前項に対応する点(本問ではAP側の起点である点A)を基点として組み立てる必要がある。

土地家屋調査士試験では、プログラム機能のない関数電卓を2台まで持ち込むことができるから、この程度の比例計算そのものが負担になることはない。誤りが生じやすいのは、内分と外分の取り違え、比の向きの取り違え、伸長率の分母を$m-n$とすべきところを$n$や$m+n$としてしまう点であり、求めた点が線分の内側にあるのか外側にあるのか、どちらの端点の側に出るのかを図で確認する習慣が有効である。


問題:

表示に関する登記の申請情報及び添付情報に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない申請情報の内容には、申請人の氏名又は名称及び住所並びに登記の目的が含まれる。

イ. 土地の表示に関する登記を申請するときは、土地の所在する市、区、郡、町、村及び字、地番、地目並びに地積を申請情報の内容としなければならないが、土地の表題登記を申請する場合には、地番は申請情報の内容とすることを要しない。

ウ. 建物の表示に関する登記を申請するときは家屋番号を申請情報の内容としなければならず、建物の表題登記を申請する場合であっても、家屋番号を申請情報の内容とすることを要する。

エ. 代理人によって登記を申請するときは、法務省令で定める場合を除き、当該代理人の権限を証する情報を提供しなければならない。

オ. 表題部所有者又は所有権の登記名義人の相続人その他の一般承継人が不動産登記法30条の規定により表示に関する登記を申請するときは、添付情報として登記原因を証する情報を提供しなければならない。

答え:

正しいものは、ア・イ・エの3つである。

解説:

登記の申請情報の内容は不動産登記令3条に、添付情報は同令7条に、それぞれ規定されている。

アは正しい。同令3条は、法18条の申請情報の内容として掲げる事項のうち、1号に「申請人の氏名又は名称及び住所」を、5号に「登記の目的」を掲げている。これらは表示に関する登記であるか権利に関する登記であるかを問わず、申請情報の内容となる。

イは正しい。同令3条7号は「土地の表示に関する登記又は土地についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項」として、イに「土地の所在する市、区、郡、町、村及び字」、ロに「地番(土地の表題登記を申請する場合……を除く。)」、ハに「地目」、ニに「地積」を掲げている。地番はロのかっこ書により、土地の表題登記を申請する場合が除外されている。地番は登記所が一筆の土地ごとに付すものとされており(不動産登記法35条)、表題登記によって初めて登記記録が起こされる場面では、申請の時点ではまだ地番が定まっていないためと解される。同令3条7号ロのかっこ書が除外している場面は、土地の表題登記を申請する場合のほか、法74条1項2号又は3号に掲げる者が表題登記がない土地について所有権の保存の登記を申請する場合と、表題登記がない土地について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合であり、いずれも表題登記がない土地に関するものである点も、この理解と整合する。

ウは誤りである。同令3条8号は、建物の表示に関する登記等を申請するときの事項として、ロに「家屋番号(建物の表題登記(合体による登記等における合体後の建物についての表題登記を含む。)を申請する場合……を除く。)」を掲げている。イで述べた土地の地番と同じく、建物の表題登記を申請する場合には家屋番号が除外されている。「建物の表題登記を申請する場合であっても、家屋番号を申請情報の内容とすることを要する」とする点が誤りである。

エは正しい。同令7条1項2号は、添付情報として「代理人によって登記を申請するとき(法務省令で定める場合を除く。)は、当該代理人の権限を証する情報」を掲げている。

オは誤りである。同令7条1項4号は「法第三十条の規定により表示に関する登記を申請するときは、相続その他の一般承継があったことを証する市町村長……、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)」を掲げている。一般承継人が表示に関する登記を申請する場合に求められているのは、一般承継があったことを証する情報であって、登記原因を証する情報ではない。登記原因を証する情報は、同項5号ロが「権利に関する登記を申請するとき」の添付情報として掲げているものである。「登記原因を証する情報を提供しなければならない」とする点が誤りである。

以上より、正しいものはア・イ・エの3つである。不動産登記令3条は、申請人・代理人に関する事項(1号〜4号)、登記そのものに関する事項(5号・6号)、不動産の表示に関する事項(7号・8号)、表題部所有者又は登記名義人となる者が2人以上である場合の持分(9号)、法30条により表示に関する登記を申請する場合に申請人が一般承継人である旨(10号)、権利に関する登記に固有の事項(11号)、登記識別情報を提供することができない理由(12号)という順に並び、最後の13号で別表の申請情報欄に送る構造をとっている。同令7条1項も、申請人・代理人・代位者に関する添付情報(1号〜3号)、法30条により表示に関する登記を申請する場合の添付情報(4号)、権利に関する登記に固有の添付情報(5号)、別表の添付情報欄に送る規定(6号)という構造をとっており、表示に関する登記と権利に関する登記とで求められる情報が条文上どこで分かれているかを意識して読むと、本問のような取り違えを防ぎやすい。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示) 共用部分である旨の登記(申請適格、承諾要件、職権抹消、固有の登記事項の変更・更正の申請適格、規約廃止後の表題登記の申請義務) 不動産登記法58条1項〜7項、27条3号
第2問 土地家屋調査士法 土地家屋調査士法人の設立の手続・成立の時期・成立の届出、社員の常駐、社員の競業の禁止、法定脱退 土地家屋調査士法31条1項・2項・3項、32条、33条、36条、37条1項・2項、38条各号、28条2項3号
第3問 民法(物権・付合) 不動産の付合と権原による附属、動産の付合における過分の費用、主従の区別がつかない場合の共有割合、付合の効果と他の権利の帰趨、償金請求の法的枠組み 民法242条、243条、244条、247条1項・2項、248条(703条・704条)
第4問 測量計算 外分点の座標計算(線分を5対2に外分する点の座標値の算出、内分点との区別及び伸長率の設定)
第5問 書式(申請情報・添付情報) 表示に関する登記の申請情報の内容(表題登記における地番・家屋番号の除外)及び添付情報(代理権限証明情報、一般承継人による申請の場合の添付情報) 不動産登記令3条1号・5号・7号ロ・8号ロ、7条1項2号・4号・5号ロ(不動産登記法18条・30条・35条)