問題:

表題部所有者についての更正の登記及び変更に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 不動産の所有者とその不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない。

イ. アの場合における表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者が申請するものであるから、表題部所有者の承諾を得ることなく、申請することができる。

ウ. 不動産の表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記は、当該共有者以外の者は、申請することができない。

エ. ウの更正の登記は、当該更正の登記によってその持分に変更が生ずることとなる他の共有者があっても、当該他の共有者の承諾を得ることを要しない。

オ. 表題部所有者からの売買によりその所有権を取得した者は、当該所有権の移転を登記記録に反映させるため、33条の更正の登記によって表題部所有者の氏名を自己の氏名に書き改めることができる。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

表題部所有者についての更正の登記は不動産登記法33条に、表題部所有者又はその持分についての変更の登記手続は同法32条に、それぞれ規定されている。

アは正しい。同法33条1項は「不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない」と定めている。表題部所有者の記録が実体上の所有者と食い違っている場合に、真実の所有者からその是正を求める手続である。

イは誤りである。同条2項は「前項の場合において、当該不動産の所有者は、当該表題部所有者の承諾があるときでなければ、申請することができない」と定めている。申請権者が所有者に限られること(1項)と、その申請に表題部所有者の承諾を要すること(2項)とは別の要件であり、申請権者であることから当然に承諾が不要になるわけではない。「承諾を得ることなく、申請することができる」とする点が誤りである。

ウは正しい。同条3項は「不動産の表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記は、当該共有者以外の者は、申請することができない」と定めている。

エは誤りである。同条4項は「前項の更正の登記をする共有者は、当該更正の登記によってその持分を更正することとなる他の共有者の承諾があるときでなければ、申請することができない」と定めている。自己の持分を更正しようとする共有者の申請であっても、これによって持分が連動して更正されることになる他の共有者がいる以上、その承諾を要する。「承諾を得ることを要しない」とする点が誤りである。

オは誤りである。同法32条は「表題部所有者又はその持分についての変更は、当該不動産について所有権の保存の登記をした後において、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記することができない」と定めている。33条によるか32条によるかの振り分けは、同法2条の定義規定に根拠を求めることができる。同条16号は更正の登記を「登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記」と定義し、同条15号は変更の登記を「登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記」と定義しているからである。33条の更正の登記は、16号の定義のとおり、当初の登記の時点から表題部所有者の記録が実体と食い違っていた場合の是正であるのに対し、売買による所有権の取得は、当初の登記に錯誤又は遺漏があったわけではなく、登記後に生じた事後的な権利変動である。したがってこの場合の登記は33条の更正の登記によることはできず、32条により、まず表題部所有者名義で所有権の保存の登記をしたうえで、買主への所有権の移転の登記をする手続によらなければならない。「33条の更正の登記によって……書き改めることができる」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。33条の更正の登記が「当初から実体と食い違っていた記録を正す」ものであるのに対し、32条が規律する変更は「当初は正しかった記録が事後の権利変動によって実体と食い違うに至った」場合であり、この振り分けは、2条16号(更正の登記=錯誤又は遺漏の訂正)と同条15号(変更の登記=変更があった場合の変更)という定義規定に対応している。後者は表題部の更正という形ではなく、権利部における保存・移転の登記を経由させる点に、両条の役割分担がある。


問題:

土地家屋調査士の使命及び職責に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もつて国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

イ. 土地家屋調査士法1条は、調査士の使命について、不動産に関する権利の明確化に寄与することと並べて、「国民の権利の擁護に資すること」を掲げている。

ウ. 調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。

エ. 2条が定める品位の保持及び業務に関する法令・実務への精通は、努力義務として規定されており、これに従わなくても直ちに同条違反とはならない。

オ. 1条は調査士の使命を、2条は調査士の職責をそれぞれ規定しているが、両条は名宛人及び内容を同じくする規定であって、実質的に同一の事項を重複して定めたものである。

答え:

正しいものは、ア・ウの2つである。

解説:

調査士の使命は土地家屋調査士法1条に、職責は同法2条に、それぞれ規定されている。

アは正しい。同法1条は「土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界……を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もつて国民生活の安定と向上に資することを使命とする」と定めている。

イは誤りである。アのとおり、1条が掲げる使命の文言は「もつて国民生活の安定と向上に資すること」であって、「国民の権利の擁護に資すること」ではない。いずれも「……に資すること」という同じ形をとるため、入れ替えても文としては通ってしまうが、1条が掲げているのは前者である。

ウは正しい。同法2条は「調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」と定めている。

エは誤りである。2条は「行わなければならない」という文言で品位の保持等を義務として規定しており、「努めなければならない」といった努力義務の文言は用いられていない。研修についての同法25条1項のような努力義務規定とは規定の仕方が異なり、「努力義務として規定されており……直ちに同条違反とはならない」とする点が誤りである。

オは誤りである。1条・2条がいずれも調査士を名宛人とする規定である点は、記述のとおりである。しかし1条は、調査士を「不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家」と位置づけ、その存在意義・社会的な使命を宣言する規定であるのに対し、2条は、調査士が現実に業務を行うに当たって遵守すべき行為規範(品位保持、法令実務への精通、公正誠実な業務遂行)を定める規定であって、両条は定める内容を異にする。名宛人が共通することから直ちに同一の事項の重複になるわけではなく、「内容を同じくする規定であって……実質的に同一の事項を重複して定めたもの」とする点が誤りである。

以上より、正しいものはア・ウの2つである。1条が調査士制度そのものの存在理由を語る使命規定であるのに対し、2条は個々の調査士が業務を行う際の行動規範を定める職責規定であり、両条は抽象度の異なる別個の規律として位置づけられている。


問題:

境界線付近の掘削の制限に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 井戸を掘るには、境界線から二メートル以上の距離を保たなければならない。

イ. 池又は穴蔵を掘るには、境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない。

ウ. 導水管を埋めるには、境界線からその深さの二分の一以上の距離を保たなければならず、この二分の一の距離がどれだけ長くなっても、常にその二分の一の距離を保たなければならない。

エ. 境界線の付近において導水管を埋める工事をする際に土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をすべき義務は、井戸を掘る工事など、導水管を埋める工事以外の工事には及ばない。

オ. 井戸を掘る場合の境界線からの距離制限についても、境界線付近の建築の制限における取扱いと同様に、これと異なる慣習があるときはその慣習に従う旨が明文で定められている。

答え:

誤っているものは、ウ・エ・オの3つである。

解説:

境界線付近の掘削の制限は民法237条に、掘削工事に伴う注意義務は同法238条に、それぞれ規定されている。

アは正しい。同法237条1項は「井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から二メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない」と定めている。

イも正しい。アで引用した237条1項の後段のとおりである。

ウは誤りである。同条2項は「導水管を埋め、又は溝若しくは堀を掘るには、境界線からその深さの二分の一以上の距離を保たなければならない」と定めたうえ、ただし書で「一メートルを超えることを要しない」と定めている。二分の一の距離が一メートルを超える深さの導水管等であっても、実際に保つべき距離は一メートルで足りるのであって、二分の一の距離を際限なく要求するものではない。「どれだけ長くなっても、常にその二分の一の距離を保たなければならない」とする点が誤りである。

エは誤りである。民法238条は「境界線の付近において前条の工事をするときは、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない」と定めている。「前条の工事」とは237条が規定するすべての工事、すなわち井戸・用水だめ・下水だめ・肥料だめ・池・穴蔵・し尿だめを掘る工事、及び導水管を埋め又は溝若しくは堀を掘る工事の全体を指しており、導水管を埋める工事に限定されるものではない。「導水管を埋める工事以外の工事には及ばない」とする点が誤りである。

オは誤りである。民法236条は「前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」と定めているが、ここにいう「前二条」は236条の直前の2箇条である234条(境界線付近の建築の制限)及び235条(目隠しの設置義務)を指す。237条は236条より後に置かれた条文であるから、236条の「前二条」に237条が含まれる余地はなく、236条の見出しも「境界線付近の建築に関する慣習」とされている。したがって237条の距離制限については、これと異なる慣習に従う旨を定めた明文は置かれていない。「境界線付近の建築の制限における取扱いと同様に……明文で定められている」とする点が誤りである。なお、本問が問うているのは236条のような明文が置かれているかどうかであって、237条の距離制限について慣習がおよそ考慮される余地がないかどうかは、これとは別に検討を要する問題である。

以上より、誤っているものはウ・エ・オの3つである。237条は井戸等の掘削(1項)と導水管等の埋設(2項)とで規律を分けたうえ、2項にのみ「一メートルを超えることを要しない」という上限を設けている点、238条の注意義務が237条の工事全体に及ぶ点、236条が慣習に従う旨を明文で定めているのは234条・235条の2箇条についてであって、237条にはこれに対応する明文が置かれていない点の3つが、本問の主な引っかけどころである。


問題:

次のような閉合トラバースA→B→C→D→Aを測量した。測線の長さは、AB=120.000m、BC=150.000m、CD=100.000m、DA=130.000m(合計500.000m)である。観測の結果、緯距(ΔX)の代数和は+0.100m、経距(ΔY)の代数和は−0.050mとなった。この閉合誤差を、コンパス法則(各測線の長さに比例して配分する方法)により配分することとした場合、測線BCに配分すべき補正量として、最も近いものはどれか。

ア. ΔX=−0.030m、ΔY=+0.015m

イ. ΔX=+0.030m、ΔY=−0.015m

ウ. ΔX=−0.024m、ΔY=+0.012m

エ. ΔX=+0.015m、ΔY=−0.030m

オ. ΔX=−0.100m、ΔY=+0.050m

答え:

ア(ΔX=−0.030m、ΔY=+0.015m)

解説:

閉合トラバースは出発点に戻る多角形であるから、観測に誤差がなければ、各測線の緯距(ΔX)の代数和も経距(ΔY)の代数和も、それぞれ0になるはずである。現実の観測ではこれが0にならず、残った値がそのまま観測誤差の累積を表す。これが閉合誤差であり、本問の緯距+0.100m・経距−0.050mがこれに当たる。コンパス法則は、この閉合誤差を各測線の長さに比例して配分し、閉合誤差を解消する調整方法である。長さに比例させるのは、誤差が測線の長さに応じて累積するとみる考え方によるものである。測線の長さの合計を$\Sigma L$、ある測線の長さを$L_i$、緯距の閉合誤差を$E_X$、経距の閉合誤差を$E_Y$とすると、当該測線に配分する補正量$\Delta X_i’$、$\Delta Y_i’$は次の式で求められる。

$$ \begin{aligned} \Delta X_i' &= -E_X\times\frac{L_i}{\Sigma L}\\[4pt] \Delta Y_i' &= -E_Y\times\frac{L_i}{\Sigma L} \end{aligned} $$

閉合誤差と符号が逆になるように配分することで、四測線の補正量の合計がちょうど閉合誤差を打ち消し、補正後の緯距・経距の代数和がそれぞれ0になる。

本問では、$\Sigma L=500.000$m、$E_X=+0.100$m、$E_Y=-0.050$mであり、測線BCの長さは150.000mであるから、まずBCの配分比率を求める。

$$ \begin{aligned} \frac{L_{BC}}{\Sigma L} &= \frac{150.000}{500.000}\\[4pt] &= 0.300 \end{aligned} $$

この比率を用いて、測線BCに配分すべき補正量を求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X_{BC}' &= -0.100\times0.300\\[4pt] &= -0.030\\[4pt] \Delta Y_{BC}' &= -(-0.050)\times0.300\\[4pt] &= +0.015 \end{aligned} $$

したがって、測線BCへの補正量はΔX=−0.030m、ΔY=+0.015mであり、正解はアである。

イの「ΔX=+0.030m、ΔY=−0.015m」は、補正量の符号を閉合誤差と同じ符号にしてしまった誤りである。閉合誤差を打ち消すためには、閉合誤差と逆符号で配分しなければならない。

ウの「ΔX=−0.024m、ΔY=+0.012m」は、配分比率の計算にBCの長さ150.000mではなく、ABの長さ120.000mを用いてしまった誤りである($-0.100\times(120.000\div500.000)=-0.024$、$-(-0.050)\times(120.000\div500.000)=+0.012$)。

エの「ΔX=+0.015m、ΔY=−0.030m」は、緯距用の閉合誤差$E_X$と経距用の閉合誤差$E_Y$を取り違え、ΔXの補正に$E_Y$を、ΔYの補正に$E_X$を用いてしまった誤りである。

オの「ΔX=−0.100m、ΔY=+0.050m」は、測線の長さに応じた比例配分をせず、閉合誤差の全量をそのままBC一測線に負担させてしまった誤りである。コンパス法則は測線の長さに応じて閉合誤差を案分するものであり、特定の一測線に全量を負担させるものではない。

検算として、AB・CD・DAについても同じ式で補正量を求めると、ΔXはそれぞれ−0.024m・−0.020m・−0.026m、ΔYはそれぞれ+0.012m・+0.010m・+0.013mとなる。BCの分も含めた四測線の合計は、ΔXが$-0.024-0.030-0.020-0.026=-0.100$($=-E_X$)、ΔYが$0.012+0.015+0.010+0.013=0.050$($=-E_Y$)となり、いずれも閉合誤差を過不足なく打ち消していることが確認できる。

なお、閉合誤差の配分方法には、測線の長さに比例して配分するコンパス法則のほか、緯距・経距の大きさそのものに比例して配分するトランシット法則もあり、配分の基準が異なる以上、いずれの方法によるかによって配分結果は一般に異なる。関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められている土地家屋調査士試験では、この程度の比例計算自体が負担になることはない一方、閉合誤差と補正量の符号関係、配分に用いる測線の長さの取り違えが誤りの生じやすいところである。


問題:

建物図面及び各階平面図の作成単位に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 建物図面及び各階平面図は、一個の建物ごとに作成しなければならない。

イ. 附属建物がある建物について建物図面及び各階平面図を作成する場合には、主である建物と附属建物とを合わせて一個の建物として作成しなければならない。

ウ. 建物図面と各階平面図とでは作成単位に関する規律が異なっており、附属建物があるときは、各階平面図についてのみ主である建物と合わせて作成すれば足りる。

エ. 附属建物があるときに主である建物と合わせて一個の建物として作成すべき旨を定める規定は、あわせて、いかなる建物が附属建物に当たるかについての定義も置いている。

オ. 分筆の登記の際に提供する地積測量図についても、建物図面及び各階平面図の作成単位に関する規律と同様に、分筆後の一筆の土地ごとに作成しなければならない。

答え:

正しいものは、ア・イの2つである。

解説:

建物図面及び各階平面図の作成単位は、不動産登記規則81条に規定されている。

アは正しい。同条は「建物図面及び各階平面図は、一個の建物(附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とする。)ごとに作成しなければならない」と定めている。

イも正しい。アで引用した81条のかっこ書のとおり、附属建物があるときは、主である建物と附属建物とを合わせて一個の建物として扱い、これをあわせて一組の建物図面及び各階平面図を作成する。附属建物について、主である建物とは別に単独の建物図面を作成するものではない。

ウは誤りである。81条は「建物図面及び各階平面図は……一個の建物……ごとに作成しなければならない」と規定しており、建物図面と各階平面図の双方に共通する作成単位を定めるものであって、附属建物がある場合の取扱いについて両者を区別する規定は置かれていない。「各階平面図についてのみ主である建物と合わせて作成すれば足りる」とする点が誤りである。

エは誤りである。81条は、附属建物があるときの建物図面及び各階平面図の作成単位を定める規定にとどまり、いかなる建物が附属建物に当たるかについての定義規定ではない。同条のかっこ書は、附属建物があるときはこれを主である建物と合わせて「一個の建物」として扱うという作成単位の擬制を定めるものであって、附属建物の意義そのものは、不動産登記法2条23号が「表題登記がある建物に附属する建物であって、当該表題登記がある建物と一体のものとして一個の建物として登記されるもの」と定義している。「附属建物に当たるかについての定義も置いている」とする点が誤りである。

オは誤りである。81条は、建物図面及び各階平面図という建物に関する図面の作成単位を定める規定であって、地積測量図など土地に関する図面の作成単位を規律するものではない。土地に関する図面の作成単位は不動産登記規則75条が定めており、同条1項は「土地所在図及び地積測量図は、一筆の土地ごとに作成しなければならない」と定める一方、同条2項は「分筆の登記を申請する場合において提供する分筆後の土地の地積測量図は、分筆前の土地ごとに作成するものとする」と定めている。すなわち分筆の場合は、分筆後の各筆ごとに別々の地積測量図を作成するのではなく、分筆前の土地を単位として一つの地積測量図を作成し、その中に分筆前の土地を図示したうえ分筆線を明らかにして分筆後の各土地を表示する(同規則78条)。したがってオは、作成単位の根拠を81条に求めている点が誤りであるだけでなく、「分筆後の一筆の土地ごとに作成しなければならない」という結論自体も75条2項に反しており、二重に誤りである。

以上より、正しいものはア・イの2つである。81条の「一個の建物」という作成単位は、附属建物を主である建物と切り離さずに一体として扱う点に特徴があり、建物の個数の認定(附属建物として扱うか独立の建物として扱うか)が先行する別の問題であることと合わせて理解しておきたい。あわせて、建物の図面が81条により「附属建物を含めた一個の建物ごと」であるのに対し、土地の図面は75条1項により「一筆の土地ごと」を原則としつつ、分筆の場合は同条2項により「分筆前の土地ごと」となる点を、建物と土地の対比として押さえておきたい。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示) 表題部所有者についての更正の登記(申請適格、承諾要件、共有持分の更正)と、事後の権利変動による表題部所有者の変更の登記手続との区別 不動産登記法33条1項〜4項、32条(更正・変更の定義につき同法2条16号・15号)
第2問 土地家屋調査士法 調査士の使命(不動産に関する権利の明確化、国民生活の安定と向上)及び職責(品位保持、法令実務への精通、公正誠実な業務遂行) 土地家屋調査士法1条、2条
第3問 民法(相隣関係) 境界線付近の掘削の制限(掘るものの種類による距離の区別、導水管等の距離の上限)、掘削工事に伴う注意義務の及ぶ範囲、慣習優先規定の射程 民法237条1項・2項、238条、236条
第4問 測量計算 閉合トラバースの閉合誤差の配分(コンパス法則による測線の長さに比例した補正量の算出)
第5問 作図・書式 建物図面及び各階平面図の作成単位(一個の建物ごとの作成、附属建物がある場合の取扱い)、土地の図面の作成単位との対比 不動産登記規則81条(エにつき不動産登記法2条23号、オにつき同規則75条1項・2項、78条)