問題:
区分建物に係る敷地権及び敷地権である旨の登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 区分建物の敷地利用権は、それが登記されていない場合であっても、専有部分と分離して処分することができないものであるときは、敷地権として当該区分建物の登記記録の表題部に登記される。
イ. 敷地権となる権利は所有権又は地上権に限られ、賃借権が敷地権となることはない。
ウ. 登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、敷地権である旨の登記をしなければならない。
エ. 登記官は、区分建物である建物の登記記録の表題部に敷地権を記録するときは、敷地権の登記原因及びその日付のほか、敷地権の目的である土地の地目及び地積をも記録しなければならない。
オ. 敷地権である旨の登記は、敷地権の目的である土地の登記記録の表題部にする。
答え:
誤っているものは、ア・イ・オの3つである。
解説:
アは誤りである。不動産登記法44条1項9号は、建物の表示に関する登記の登記事項として、区分建物について「区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権」を掲げている。ここでは「登記されたものに限る」という限定が付されており、敷地権として登記されるためには、①敷地利用権が登記されていること、②専有部分と分離して処分することができないものであること、の二つがともに必要である。分離処分ができないという点だけを満たしても、敷地利用権自体が登記されていなければ敷地権としての登記はされない。かっこ書の限定を落とすと、本記述のような引っかけに気付けない。
イは誤りである。区分所有法2条6項は、敷地利用権を「専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利」と定義しており、権利の種類を限定していない。また、不動産登記法46条も、敷地権である旨の登記の対象を「当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利」としており、所有権及び地上権に限っていない。したがって、登記された賃借権であって専有部分と分離して処分することができないものは、敷地権となり得る。「その他の権利」という文言が置かれている条文で、例示された二つに限定する記述は、まず疑ってかかりたい。
ウは正しい。不動産登記法46条は、「登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない」と定めている。建物側の表題部に敷地権が記録されることと、土地側の登記記録に敷地権である旨が記録されることは別の登記であり、後者は登記官の職権によって行われる。「最初に登記をするとき」という限定が付されている点も、条文の文言どおりに押さえておきたい。
エは正しい。不動産登記規則118条は、登記官が区分建物である建物の登記記録の表題部に法44条1項9号の敷地権を記録するときは、敷地権の登記原因及びその日付のほか、次の事項を記録しなければならないと定めている。すなわち、1号として敷地権の目的である土地に関する事項(イ 当該土地を記録する順序に従って付した符号、ロ 当該土地の不動産所在事項、ハ 地目、ニ 地積)、2号として敷地権の種類、3号として敷地権の割合である。土地の地目及び地積は1号ハ・ニに掲げられているため、本記述は正しい。敷地権の種類と割合だけを記録するという記述にすり替えられやすい部分である。
オは誤りである。不動産登記規則119条1項は、登記官が法46条の敷地権である旨の登記をするときは、①敷地権である旨、②当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番、③当該一棟の建物の構造及び床面積又はその名称、④当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは当該一部の建物の家屋番号、⑤登記の年月日を、「敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区」に記録しなければならないと定めている。表題部ではなく権利部であり、しかも所有権が敷地権であれば甲区、地上権や賃借権が敷地権であれば乙区というように、権利の種別に応じた区に記録される(不動産登記規則4条4項は、権利部を甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものと定めている)。なお、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、登記官は遅滞なくその登記所に記録すべき事項を通知し、通知を受けた登記所の登記官が遅滞なく権利部の相当区に記録する(同条2項・3項)。申請人が別途その土地の管轄登記所に申請するのではない点も、あわせて確認しておきたい。
問題:
土地家屋調査士会及び土地家屋調査士会連合会に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 調査士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、一個の調査士会を設立しなければならない。調査士会は、法人とする。
イ. 登録の申請をする者は、その申請と同時に、申請を経由すべき調査士会に入会する手続をとらなければならず、当該入会の手続をとった時に、当該調査士会の会員となる。
ウ. 変更の登録の申請をした調査士は、当該申請に基づく変更の登録の時に、従前所属していた調査士会を退会する。
エ. 調査士法人は、その成立の時に、主たる事務所の所在地の調査士会の会員となり、その清算の結了の時又は破産手続開始の決定を受けた時に、所属するすべての調査士会を退会する。
オ. 調査士会は、所属の会員の業務に関する紛議については、当該会員又は当事者その他関係人の請求がなくても、職権で調停をすることができる。
答え:
誤っているものは、イ・オの2つである。
解説:
アは正しい。土地家屋調査士法47条1項は、「調査士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、一個の調査士会を設立しなければならない」と定め、同条3項は「調査士会は、法人とする」と定めている。同条2項は、調査士会の目的を「会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うこと」としている。また、調査士会は政令で定めるところにより登記をしなければならず、登記をしなければならない事項は登記の後でなければ第三者に対抗することができない(同法50条1項・2項)。
イは誤りである。土地家屋調査士法52条1項は、9条1項の規定による登録の申請又は13条1項の変更の登録の申請をする者は、その申請と同時に、申請を経由すべき調査士会に入会する手続をとらなければならないと定めている。もっとも、同条2項は、「前項の規定により入会の手続をとつた者は、当該登録又は変更の登録の時に、当該調査士会の会員となる」と定めており、会員となる時点は入会の手続をとった時ではなく、登録又は変更の登録がされた時である。入会の手続と会員資格の取得時期がずれている点が、この条文の要である。
ウは正しい。土地家屋調査士法52条3項は、「第十三条第一項の変更の登録の申請をした調査士は、当該申請に基づく変更の登録の時に、従前所属していた調査士会を退会する」と定めている。新たな調査士会の会員となる時期(同条2項)と、従前の調査士会を退会する時期(同条3項)が、いずれも変更の登録の時とされており、空白が生じない仕組みになっている。同条は退会の届出を退会の要件としていない。
エは正しい。土地家屋調査士法53条1項は「調査士法人は、その成立の時に、主たる事務所の所在地の調査士会の会員となる」と定め、同条2項は「調査士法人は、その清算の結了の時又は破産手続開始の決定を受けた時に、所属するすべての調査士会を退会する」と定めている。調査士個人の入会が登録の時点に結び付けられているのに対し、調査士法人の入会は法人の成立の時点に結び付けられている。なお、同条4項・5項は、管轄区域外に事務所を設け、又は移転した場合等について、その旨の登記をした時を基準に会員資格の得喪を定めており、同条6項・7項は、その場合の届出(会員となった日又は退会の日から二週間以内)を定めている。時点の基準が「登録」「成立」「登記」と使い分けられている点が問われやすい。
オは誤りである。土地家屋調査士法54条は、「調査士会は、所属の会員の業務に関する紛議につき、当該会員又は当事者その他関係人の請求により調停をすることができる」と定めている。調停をするには請求が必要であり、請求なく職権で調停をすることができるとする規定は置かれていない。また、条文は「することができる」としており、請求があった場合に調停をすることが義務付けられているわけでもない。なお、紛議の調停に関する規定は、調査士会の会則の必要的記載事項でもある(同法48条8号)。
補足として、調査士会連合会は、全国の調査士会が会則を定めて設立しなければならない団体であり(同法57条1項)、その目的は、調査士会の会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、調査士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務を行い、並びに調査士の登録に関する事務を行うことにある(同条2項)。登録事務が連合会の目的として明示されている点は、登録の申請が調査士会を経由して連合会に対してされる仕組みと結び付けて理解しておきたい。
問題:
共有物の使用、管理及び変更に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができるが、共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
イ. 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができず、その形状又は効用の著しい変更を伴わない変更についても、同様に他の共有者全員の同意を得なければならない。
ウ. 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないときは、裁判所は、当該他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
エ. 共有者が共有物に賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する場合において、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決することができるのは、樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等にあっては十年、それ以外の土地の賃借権等にあっては五年、建物の賃借権等にあっては三年、動産の賃借権等にあっては六箇月を、それぞれ超えないものに限られる。
オ. 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならず、これに違反して行った行為は共有者に対してその効力を生じないが、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
答え:
誤っているものは、イ・ウの2つである。
解説:
アは正しい。民法249条1項は「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」と定め、同条2項は「共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う」と定めている。令和3年法律第24号による改正で新設され、令和5年4月1日から施行されている規律である。さらに同条3項は、共有物を使用する共有者に善良な管理者の注意義務を課している。持分に応じた使用ができることと、持分を超える使用について対価の償還義務を負うことは矛盾せず、両立する。
イは誤りである。民法251条1項は「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない」と定めている。かっこ書によって、形状又は効用の著しい変更を伴わない変更、いわゆる軽微変更は、全員の同意を要する「変更」から除かれている。そして民法252条1項かっこ書は、共有物の管理に関する事項から「共有物に前条第一項に規定する変更を加えるもの」を除いており、その反面として、251条1項のかっこ書で除外された軽微変更は、管理に関する事項として各共有者の持分の価格に従いその過半数で決することになる。全員の同意が必要な変更の範囲を、かっこ書の限定を落として広く捉えると誤る。
ウは誤りである。共有者の所在等が不明な場合と、催告に対して賛否を明らかにしない場合とで、裁判所がすることができる裁判の対象が異なる。民法251条2項は、「共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」に限って、裁判所が、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができるとしている。これに対し、民法252条2項は、1号として「共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」、2号として「共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき」の二つを掲げ、共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判の対象としている。すなわち、賛否を明らかにしない共有者がいる場合の裁判は管理に関する事項についてのみ用意されており、変更についての裁判は所在等不明共有者の場合に限られる。二つの条文の要件の並びを見比べておきたい。
エは正しい。民法252条4項は、共有者が同条1項から3項までの規定により共有物に賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定することができる期間の上限として、1号に樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等につき十年、2号に前号以外の土地の賃借権等につき五年、3号に建物の賃借権等につき三年、4号に動産の賃借権等につき六箇月を掲げている。これらの期間を超える賃借権等の設定は、この規定によることができない。なお、同条5項は、各共有者が保存行為をすることができることを定めている。
オは正しい。民法252条の2第3項は「共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない」と定め、同条4項は「前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない」と定めている。同項ただし書は第三者の保護要件を「善意」とのみ定めており、無過失であることは条文の文言上の要件とはされていない。また、同条1項ただし書により、管理者であっても、共有物に変更(軽微変更を除く)を加えるには共有者全員の同意を要する。管理者は管理に関する行為をする権限を与えられているにとどまる、という位置づけを押さえておきたい。
問題:
平面直角座標系上に既知点A及びBがあり、その座標値は次のとおりである。
・点A:X=1,000.000m、Y=2,000.000m
・点B:X=1,060.000m、Y=2,080.000m
新点Pは、点Aからの平面距離が80.000m、点Bからの平面距離が60.000mとなる位置にある。この条件を満たす点は二つ存在するが、そのうちX座標の値が大きい方を点Pとする。点Pの座標値として正しいものはどれか。なお、測定誤差はないものとし、計算結果はメートル単位で小数点以下第3位まで求めるものとする。
ア. X=1,000.000m、Y=2,080.000m
イ. X=1,076.800m、Y=2,022.400m
ウ. X=1,038.400m、Y=2,051.200m
エ. X=1,048.000m、Y=2,064.000m
オ. X=1,060.000m、Y=2,000.000m
答え:
イ(X=1,076.800m、Y=2,022.400m)
解説:
二つの既知点からの距離だけが与えられ、角度の観測値が与えられていない場合の新点の位置は、各既知点を中心とする二つの円の交点として定まる。点Aを中心とする半径80.000mの円と、点Bを中心とする半径60.000mの円を式に表す。
$$ \begin{aligned} (X-1000)^2+(Y-2000)^2&=80^2\\[4pt] (X-1060)^2+(Y-2080)^2&=60^2\\ \end{aligned} $$二次の項は両式で共通であるから、辺々を引くと二次の項が消え、一次式が得られる。
$$ \begin{aligned} 120X+160Y&=452800\\ 3X+4Y&=11320\\ Y&=2830-0.75X\\ \end{aligned} $$この一次式は、二つの交点をともに通る直線である。これを円の式に代入する。計算を見通しよくするため、$u=X-1000$ とおくと、$2830-0.75X-2000=80-0.75u$ となるので、次のようになる。
$$ \begin{aligned} u^2+(80-0.75u)^2&=6400\\ 1.5625u^2-120u&=0\\ u(1.5625u-120)&=0\\ u&=0\ \text{または}\ u=76.800\\ \end{aligned} $$したがって解は二つある。$u=0$ のとき $X=1000.000$、$Y=2830-750.000=2080.000$ であり、$u=76.800$ のとき $X=1076.800$、$Y=2830-807.600=2022.400$ である。問題の条件はX座標の値が大きい方を点Pとするものであるから、点Pの座標値は $X=1076.800$、$Y=2022.400$ となり、イが正しい。
検算として、求めた点と各既知点との距離を実際に計算する。
$$ \begin{aligned} A\to P:\quad &\Delta X=76.800,\ \Delta Y=22.400\\ &AP=\sqrt{5898.24+501.76}\\ &\ \ \ \ \ =\sqrt{6400}=80.000\\[4pt] B\to P:\quad &\Delta X=16.800,\ \Delta Y=-57.600\\ &BP=\sqrt{282.24+3317.76}\\ &\ \ \ \ \ =\sqrt{3600}=60.000\\ \end{aligned} $$いずれも与えられた距離と一致する。
誤りの選択肢についても、どの段階で誤ると出てくる数値なのかを確認しておきたい。
アは、二つの交点のうちX座標の値が小さい方である。距離の条件自体は満たしているため(AP=80.000m、BP=60.000m)、計算だけでは絞り込めず、二つの解のどちらを採るかという条件の読み取りで正誤が決まる。距離だけを与えて新点を求める場合、解は原則として二つ現れるので、どちら側の解を採るのかを必ず確認する必要がある。
ウは、点Pから直線ABに下ろした垂線の足(二つの交点を結ぶ線分の中点でもある)であり、点Aからの距離が $AH=AP^2/AB=6400/100=64.000$ m の位置にある点である。AB方向の単位量は $(\Delta X,\Delta Y)=(0.600,0.800)$ であるから、$1000+64\times0.600=1038.400$、$2000+64\times0.800=2051.200$ となる。この点は先ほどの一次式 $3X+4Y=11320$ を満たすため一見もっともらしいが、点Aからの距離は64.000mであって80.000mではなく、条件を満たさない。途中計算で止めてしまった場合に生じる誤りである。
エは、AB方向に80.000mだけ進めた点である。$1000+80\times0.600=1048.000$、$2000+80\times0.800=2064.000$ となる。点Aからの距離は80.000mになるが、点Bからの距離は20.000mにしかならず、二つ目の条件を満たさない。距離交会を放射計算と取り違え、方向を既知点間の方向としてしまった場合の数値である。
オは、AとBに与えられた距離を取り違え、点Aからの距離を60.000m、点Bからの距離を80.000mとして計算した場合の解の一つである。実際に検算すると、この点は点Aから60.000m、点Bから80.000mの位置にある。どちらの既知点にどちらの距離が対応するのかを最初に固定してから式を立てることで防げる誤りである。
なお、実際に距離だけから新点を求める場面では、まず既知点間の距離ABを座標から求め、三辺の長さから既知点における挟角を求めて、既知点間の方向角に対してその角を加減し、放射計算で新点を求める解き方も用いられる。本問の数値では、AB=100.000m、AP=80.000m、BP=60.000mであり、この三辺は $80^2+60^2=100^2$ を満たすので点Pにおける角が直角となる。三辺の関係に着目すると、計算の見通しがつきやすい。
問題:
表示に関する登記における登記官の調査及び職権による登記の手続に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 登記官は、表示に関する登記をする場合には、不動産登記法29条の規定により実地調査を行わなければならないのが原則である。
イ. 土地家屋調査士が代理人として登記を申請する場合において、当該土地家屋調査士が作成した申請に係る不動産の調査に関する報告が申請情報と併せて提供されたときは、登記官は、実地調査を省略しなければならない。
ウ. 登記官は、表示に関する登記についての調査をする場合において、必要があると認めるときは、時間の制限なく当該不動産を検査することができる。
エ. 登記官は、実地調査を行った場合には、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。
オ. 登記官は、地図又は地図に準ずる図面を訂正しようとするときは職権表示登記等事件簿に所定の事項を記録しなければならないが、土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図を訂正しようとするときは、その記録をすることを要しない。
答え:
誤っているものは、イ・ウ・オの3つである。
解説:
アは正しい。不動産登記規則93条本文は、「登記官は、表示に関する登記をする場合には、法第二十九条の規定により実地調査を行わなければならない」と定めている。不動産登記法29条1項は、登記官が表示に関する登記について申請があった場合及び職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときに不動産の表示に関する事項を調査することができるとする規定であり、規則93条本文は、表示に関する登記をする場面についてこれを原則として行うべきものとしている。
イは誤りである。不動産登記規則93条ただし書は、「申請に係る不動産の調査に関する報告(土地家屋調査士又は土地家屋調査士法人が代理人として登記を申請する場合において、当該土地家屋調査士(土地家屋調査士法人の場合にあっては、その代表者)が作成したものに限る。)その他の申請情報と併せて提供された情報又は公知の事実若しくは登記官が職務上知り得た事実により登記官が実地調査をする必要がないと認めたときは、この限りでない」と定めている。実地調査を要しないと認めるかどうかは登記官の判断に係らしめられており、調査に関する報告が提供されれば当然に省略されるという構造にはなっていない。「省略することができる」ではなく「省略しなければならない」とする点で誤りである。また、省略の根拠となる情報は調査に関する報告に限られず、その他の申請情報と併せて提供された情報、公知の事実、登記官が職務上知り得た事実も掲げられている。
ウは誤りである。不動産登記法29条2項は、「登記官は、前項の調査をする場合において、必要があると認めるときは、日出から日没までの間に限り、当該不動産を検査し、又は当該不動産の所有者その他の関係者に対し、文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示を求め、若しくは質問をすることができる」と定めている。検査等ができるのは日出から日没までの間に限られる。同項後段は、この場合において登記官はその身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときはこれを提示しなければならないと定めており、提示が必要となるのは請求があったときである。なお、電磁的記録に記録された事項の表示方法は、書面に出力する方法又は出力装置の映像面に表示する方法であり、身分を証する書面は別記第四号様式による(不動産登記規則94条1項・2項)。
エは正しい。不動産登記規則95条は、「登記官は、実地調査を行った場合には、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない」と定めている。実地調査書の作成は義務であり、作成するかどうかが登記官の裁量に委ねられているわけではない。実地調査を行うかどうか(規則93条)と、行った場合に調書を作成するかどうか(規則95条)とで、条文の書き分けが異なる点に注意したい。
オは誤りである。不動産登記規則96条2項は、「登記官は、地図若しくは地図に準ずる図面を訂正しようとするとき(第十六条の申出により訂正するときを含む。)又は土地所在図、地積測量図、建物図面若しくは各階平面図を訂正しようとするとき(第八十八条の申出により訂正するときを含む。)は、職権表示登記等事件簿に事件の種別、立件の年月日及び立件番号並びに不動産所在事項を記録しなければならない」と定めており、地図等の訂正と土地所在図等の訂正とを同じ規律の下に置いている。図面の種類によって記録の要否が分かれるわけではない。なお、同条1項は、登記官が職権で表示に関する登記をしようとするときは、職権表示登記等事件簿に登記の目的、立件の年月日及び立件番号並びに不動産所在事項を記録しなければならないと定めており、1項が記録すべき事項として「登記の目的」を掲げているのに対し、2項は「事件の種別」を掲げている点も、条文の文言どおり区別して覚えておきたい。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 敷地権の定義における二つの要件(登記されたものであること・分離処分ができないもの)、敷地権となり得る権利の種類、敷地権である旨の登記の職権性と記録される区、表題部に記録する敷地権の事項、他の登記所への通知 | 不動産登記法44条1項9号、46条、不動産登記規則4条4項、118条1号〜3号、119条1項〜3項(建物の区分所有等に関する法律2条6項、22条1項) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 調査士会の設立単位及び法人格、調査士の入会の手続と会員となる時期のずれ、変更の登録による従前の調査士会の退会、調査士法人の入会・退会の基準時、紛議の調停の要件 | 土地家屋調査士法47条1項〜3項、50条1項・2項、52条1項〜3項、53条1項〜7項、54条、57条1項・2項(48条8号) |
| 第3問 | 民法(共有) | 持分に応じた使用と持分を超える使用の対価の償還義務、軽微変更の除外、所在等不明共有者の場合と賛否不明の場合とで裁判の対象が異なること、共有物に設定できる賃借権等の期間の上限、共有物の管理者の権限と善意の第三者の保護 | 民法249条1項〜3項、251条1項・2項、252条1項〜5項、252条の2第1項・3項・4項(令和3年法律第24号・令和5年4月1日施行) |
| 第4問 | 測量計算 | 距離交会法(二つの既知点からの距離による新点の座標計算)、二円の式の差による一次式の導出、二解の存在と条件による選択、中間値・方向の取り違え・距離の取り違えによる誤答の分析 | ― |
| 第5問 | 作図・書式(不動産登記規則) | 実地調査の原則と省略の要件、省略の判断主体、登記官の検査等の時間的制限と身分証明書の提示、実地調査書の作成義務、職権表示登記等事件簿への記録事項と図面の訂正 | 不動産登記規則93条、94条1項・2項、95条、96条1項・2項(不動産登記法29条1項・2項) |