問題:

建物の合体の登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 二以上の建物が合体して一個の建物となった場合には、当該合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消を申請しなければならない。

イ. 合体前の建物が、いずれも表題登記がある建物であるときは、合体による登記等の申請義務を負うのは、当該建物の表題部所有者である。

ウ. 合体前の建物がいずれも表題登記がない建物であるときの、合体後の建物についての表題登記の申請については、第47条及び第48条第1項・第2項の規定が準用される。

エ. 合体前の建物の一つについて表題登記がない建物の所有権に相当する持分を合体後に取得した者は、合体による登記等の申請義務を負うことはない。

オ. 合体による登記等の申請をすべき者が、正当な理由がないのにその申請を怠ったときであっても、過料に処せられることはない。

答え:

誤っているものは、エ・オの2つである。

解説:

建物の合体の登記等は、不動産登記法49条に規定されている。同条は、二以上の建物が合体して一個の建物となった場合の表題登記及び表題部の登記の抹消(合体による登記等)について、合体前の各建物が表題登記の有無・所有権の登記の有無に関してどのような組合せにあったかに応じて、申請義務者を場合分けして定める構造になっている。

アは正しい。同条1項は、二以上の建物が合体して一個の建物となった場合において、それぞれ当該各号に定める者は、当該合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消(合体による登記等)を申請しなければならないと定めている。

イは正しい。同条1項3号は「合体前の二以上の建物がいずれも表題登記がある建物であるとき」の申請義務者を「当該建物の表題部所有者」と定めている。ここでいう「表題登記がある建物」は、同項後段が「所有権の登記がある建物を除く。以下この条において同じ。」と定めているとおり、所有権の登記がある建物を含まない。したがって、この場合には合体前のいずれの建物にも所有権の登記がないことになり、申請義務者となり得るのは表題部所有者であって、所有権の登記名義人ではない(合体前の二以上の建物がいずれも所有権の登記がある建物であるときは、同項5号により所有権の登記名義人が申請義務者となる)。

ウは正しい。同条2項は、合体前の建物がいずれも表題登記がない建物であるときの当該建物についての表題登記の申請については、第47条並びに第48条第1項及び第2項の規定を準用すると定めている。通常の建物の表題登記の申請に関する規律(47条の申請義務、48条の区分建物の一括申請等)を、合体後の建物についての表題登記の場面に読み替えて適用する趣旨である。

エは誤りである。同条3項は、1項各号のうち合体前の建物に表題登記がない建物が含まれる場合について、合体後に当該表題登記がない建物の所有権に相当する持分を取得した者も、その取得の日から一月以内に、合体による登記等を申請しなければならないと定めている。合体時点でまだ持分を取得していなかった者であっても、事後に持分を取得すれば、その時点を起算点とする申請義務を新たに負うのであって、「申請義務を負うことはない」とする点が誤りである。

オは誤りである。同法164条1項は、過料の対象となる申請義務違反の規定を列挙する中で、「第四十九条第一項、第三項若しくは第四項」の規定による申請義務違反を明示的に掲げている。合体による登記等の申請義務者が、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられる。「過料に処せられることはない」とする点が誤りである。なお、164条には、令和8年4月1日から、所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請義務(76条の5)に違反した場合の過料(5万円以下)を定める2項が加わり、従前の規定が1項となった(民法等の一部を改正する法律〔令和3年法律第24号〕による改正・同日施行)。令和8年度の試験において適用すべき法令等は令和8年4月1日現在において施行されているもの(同日が施行日とされているものを含む。)とされているから、この改正後の条文の形が前提となる。もっとも、合体による登記等の申請義務違反が10万円以下の過料の対象とされる点自体に変更はない。

以上より、誤っているものはエ・オの2つである。合体による登記等は、通常の表題登記(47条)や区分建物の表題登記(48条)の規律を土台としつつ、合体前の建物の組合せに応じた申請義務者の場合分け(1項各号)、表題登記がない建物同士が合体した場合の準用関係(2項)、事後の持分取得者・登記名義人となった者への申請義務の拡張(3項・4項)、そして過料による担保(164条1項)までを一体として押さえておく必要がある。


問題:

土地家屋調査士の登録に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は、調査士となる資格を有しない。

イ. 調査士会連合会は、登録の申請をした者が心身の故障により調査士の業務を行うことができないと認めるときは、登録審査会の議決に基づくことなく、その登録を拒否することができる。

ウ. 調査士が死亡したときは、調査士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。

エ. 調査士が引き続き二年以上業務を行わないときは、調査士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。

オ. 調査士が未成年者に該当するに至ったときは、第五条各号のいずれかに該当するに至ったときとして、その登録が取り消される。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

調査士の登録については、資格及び欠格事由(4条・5条)、登録及びその申請(8条・9条)、登録の拒否(10条)、登録の取消し(15条・16条)という順で規律されている。本問は、これらの条文がそれぞれどのような要件と効果を定めているかを正確にたどれるかを問うものである。

アは正しい。同法5条は調査士となる資格を有しない者(欠格事由)を列挙しており、3号に「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を掲げている。

イは誤りである。同法10条1項は、調査士会連合会が、登録の申請をした者が調査士となる資格を有せず、又は同項各号のいずれかに該当すると認めたときは、その登録を拒否しなければならないと定めたうえで、後段で「当該申請者が第二号又は第三号に該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、第六十二条に規定する登録審査会の議決に基づいてしなければならない」と定めている。同項2号は「心身の故障により調査士の業務を行うことができないとき」であるから、この事由による拒否は登録審査会の議決に基づかなければならず、「議決に基づくことなく…拒否することができる」とする点が誤りである。

ウは正しい。同法15条1項は、調査士が同項各号のいずれかに該当する場合には、調査士会連合会は、その登録を取り消さなければならないと定め、2号に「死亡したとき」を掲げている。

エは誤りである。同法16条1項は、調査士が同項各号のいずれかに該当する場合には、調査士会連合会は、その登録を取り消すことができると定め、1号に「引き続き二年以上業務を行わないとき」を掲げている。15条1項の取消事由が「取り消さなければならない」という必要的なものであるのに対し、16条1項の取消事由は「取り消すことができる」という裁量的なものにとどまる。「取り消さなければならない」とする点が誤りである。

オは誤りである。同法15条1項4号は「第五条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたとき」を取消事由として掲げている。5条2号は「未成年者」であり、15条1項4号の対象から明示的に除外されている。したがって、調査士が未成年者に該当するに至ったこと自体は、15条1項4号による登録取消しの事由とはならない。「第五条各号のいずれかに該当するに至ったときとして…登録が取り消される」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。10条1項後段の登録審査会の議決を要する事由(2号・3号)、15条1項の必要的取消事由とそこから除外される5条2号(未成年者)、16条1項の裁量的取消事由という三つの区別は、いずれも「一律に同じ扱いではない」という条文の作りを反映したものであり、まとめて整理しておきたい。


問題:

水流に関する相隣関係についての次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。

イ. 他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により自己の土地に損害が及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に予防工事をさせることができるが、当該工作物の破壊又は閉塞により自己の土地に損害が現に及んでいる場合には、当該他の土地の所有者に修繕又は障害の除去をさせることはできない。

ウ. 土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。

エ. 溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その水路又は幅員を変更することができる。

オ. 高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができるが、この場合において、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ぶことを要しない。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

相隣関係のうち水に関する規定は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならないとする民法214条から、堰の設置及び使用に関する222条までに置かれている。本問が扱うのは、そのうち215条から220条までの規定である。これらの規定は、令和3年法律第24号による相隣関係の見直し(隣地の使用・継続的給付を受けるための設備の設置権等の新設、竹木の枝の切除の改正等、令和5年4月1日施行)の対象とはされておらず、条文の文言は従前のままである。

アは正しい。215条は「水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる」と定めている。

イは誤りである。216条は「他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる」と定めている。同条は「損害が及び」場合(既に生じた損害への対応としての修繕・除去)と「及ぶおそれがある」場合(将来の損害を防ぐための予防工事)の両方を対象としており、損害が現に生じている場合を除外していない。「損害が現に及んでいる場合には…修繕又は除去をさせることはできない」とする点が誤りである。

ウは正しい。218条は「土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」と定めている。

エは誤りである。219条1項は「溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない」と定めている。対岸が他人の所有に属する場合には水路・幅員の変更が禁止されるのであって、「変更することができる」とする点が誤りである。なお、両岸の土地が水流地の所有者に属するときは、その所有者は水路及び幅員を変更することができるが、水流が隣地と交わる地点において自然の水路に戻さなければならない(同条2項)。この2項の規律を1項の場面に持ち込むと、本肢のような誤りになる。

オは誤りである。220条は「高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない」と定めている。低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ぶことは、後段で明文により義務付けられており、「選ぶことを要しない」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。215条から220条までの水流の規定は、通水用工作物の使用・堰の設置及び使用(221条・222条、第92回)と並んで相隣関係のうち水にまつわる調整を図る一連の規定であるが、216条の「損害が及び、又は及ぶおそれがある」という要件の広さ、219条の対岸の所有関係による水路変更の可否の分かれ目、220条後段の低地への配慮義務という、それぞれの条文固有の急所を押さえておきたい。


問題:

下表の座標値で表される土地ABCD(A→B→C→Dの順に測点が存在する)について、対角線BDにより三角形ABD及び三角形BCDに分割し、三斜法によりそれぞれの面積を求めたうえで合算する方法により、土地全体の地積を求めた場合、最も近いものはどれか。

測点 X座標(m) Y座標(m)
A 106.000 142.000
B 100.000 100.000
C 183.000 106.000
D 180.000 160.000

ア. 1,500.0 ㎡

イ. 2,250.0 ㎡

ウ. 3,000.0 ㎡

エ. 3,750.0 ㎡

オ. 7,500.0 ㎡

答え:

エ(3,750.0 ㎡)

解説:

三斜法は、多角形の土地を対角線によって複数の三角形に分割し、各三角形の面積を「底辺×高さ÷2」により個別に求めたうえで合算することにより、全体の地積を求める伝統的な求積方法である。座標が与えられている場合には、底辺となる対角線の長さと、その対角線を挟む向かい側の頂点から底辺に下ろした垂線の長さ(高さ)を、それぞれ座標から計算によって求める。

まず、対角線BDの長さを求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X_{BD}&=180.000-100.000=80.000\\ \Delta Y_{BD}&=160.000-100.000=60.000\\[4pt] BD&=\sqrt{80.000^2+60.000^2}\\ &=\sqrt{6{,}400.00+3{,}600.00}\\ &=\sqrt{10{,}000.00}=100.000 \end{aligned} $$

次に、頂点Aから対角線BDに下ろした垂線の長さ(三角形ABDの高さ)を求める。点Bから点Aへの座標差は、

$$ \begin{aligned} \Delta X_{BA}&=106.000-100.000=6.000\\ \Delta Y_{BA}&=142.000-100.000=42.000 \end{aligned} $$

であるから、

$$ \begin{aligned} h_A&=\frac{\left|\Delta X_{BD}\Delta Y_{BA}-\Delta Y_{BD}\Delta X_{BA}\right|}{BD}\\[4pt] &=\frac{\left|80.000\times42.000-60.000\times6.000\right|}{100.000}\\[4pt] &=\frac{\left|3{,}360.00-360.00\right|}{100.000}\\[4pt] &=\frac{3{,}000.00}{100.000}=30.000 \end{aligned} $$

となる。同様に、頂点Cから対角線BDに下ろした垂線の長さ(三角形BCDの高さ)を求める。点Bから点Cへの座標差は、

$$ \begin{aligned} \Delta X_{BC}&=183.000-100.000=83.000\\ \Delta Y_{BC}&=106.000-100.000=6.000 \end{aligned} $$

であるから、

$$ \begin{aligned} h_C&=\frac{\left|\Delta X_{BD}\Delta Y_{BC}-\Delta Y_{BD}\Delta X_{BC}\right|}{BD}\\[4pt] &=\frac{\left|80.000\times6.000-60.000\times83.000\right|}{100.000}\\[4pt] &=\frac{\left|480.00-4{,}980.00\right|}{100.000}\\[4pt] &=\frac{4{,}500.00}{100.000}=45.000 \end{aligned} $$

となる。三角形ABD及び三角形BCDは、いずれも底辺を対角線BD(100.000m)とする三角形であるから、三斜法によりそれぞれの面積を求めると、

$$ \begin{aligned} S_{ABD}&=100.000\times30.000\div2\\ &=1{,}500.00\ \text{㎡}\\[4pt] S_{BCD}&=100.000\times45.000\div2\\ &=2{,}250.00\ \text{㎡} \end{aligned} $$

となる。頂点A及び頂点Cは、対角線BDを挟んで互いに反対側にある(上記の垂線の長さの計算において、絶対値をとる前の値がAについて+3,000.00、Cについて−4,500.00と符号を異にすることから確かめられる)。したがって、土地ABCD全体の地積は、この二つの三角形の面積の和として求められる。

$$ \begin{aligned} S&=S_{ABD}+S_{BCD}\\ &=1{,}500.00+2{,}250.00\\ &=3{,}750.00\ \text{㎡} \end{aligned} $$

したがって、正解はエである(座標法(シューレース公式)による検算値も3,750.0 ㎡で一致する)。

アの1,500.0 ㎡は、三角形ABDの面積のみを求め、三角形BCDの面積を合算し忘れた誤りである。

イの2,250.0 ㎡は、逆に三角形BCDの面積のみを求め、三角形ABDの面積を合算し忘れた誤りである。

ウの3,000.0 ㎡は、対角線BDの長さを求める際にΔYを算入せず、ΔX(80.000)をそのまま底辺の長さとして用いてしまった誤りである。垂線の長さは正しく求めた30.000mと45.000mのままで、底辺だけを80.000mとすると、80.000×30.000÷2+80.000×45.000÷2=80.000×(30.000+45.000)÷2=80.000×75.000÷2=3,000.0となる。対角線の長さは、必ずΔXとΔYの両方を用いた三平方の定理によって求めなければならない。

オの7,500.0 ㎡は、三角形ごとの面積を求める段階で2による除算を失念し、倍面積(底辺×高さ)の合計をそのまま地積としてしまった誤りである。三斜法は、各三角形について底辺×高さの値をいったん求めた後、必ずこれを2で除して面積とする点に注意を要する。

三斜法は、座標法(シューレース公式)や倍横距法(ダブル・メリディアン・ディスタンス法、第92回)と並んで、多角形の土地の地積を求める代表的な方法の一つであり、対角線によって三角形に分割した後は、各三角形について底辺と高さを正確に求められるかどうかが計算の急所となる。関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められている土地家屋調査士試験では、本問のような四則演算と平方根の計算は電卓の基本機能で正確に処理できる一方、対角線の長さと垂線の長さをどの座標差から求めるかを図に整理しながら進めることが有効である。


問題:

地役権図面に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 地役権図面には、地役権設定の範囲を明確にし、方位、縮尺、地番及び隣地の地番並びに申請人の氏名又は名称を記録しなければならない。

イ. 地役権図面は、地積測量図や建物図面と同様に、原則として二百五十分の一又は五百分の一の縮尺により作成しなければならない。

ウ. 地役権図面には、作成の年月日を記録しなければならない。

エ. 地役権図面が書面である場合には、当該図面の作成者が署名し、又は記名押印しなければならない。

オ. 登記官は、地役権の登記の抹消をしたときは、従前の地役権図面を閉鎖しなければならない。

答え:

誤っているものは、イ・エの2つである。

解説:

地役権図面の内容は不動産登記規則79条に、その閉鎖は同規則87条に規定されている。

アは正しい。同規則79条1項は「地役権図面には、地役権設定の範囲を明確にし、方位、縮尺、地番及び隣地の地番並びに申請人の氏名又は名称を記録しなければならない」と定めている。

イは誤りである。同条2項は「地役権図面は、適宜の縮尺により作成することができる」と定めている。これに対し、地積測量図は「二百五十分の一の縮尺により作成するものとする」(同規則77条4項)、建物図面は「五百分の一の縮尺により作成しなければならない」(同規則82条3項本文。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでないとされている〔同項ただし書〕)とされており、条文上、特定の縮尺が定められている。地役権図面については、このような特定の縮尺の定めがなく、適宜の縮尺によることができる。「原則として二百五十分の一又は五百分の一の縮尺により作成しなければならない」とする点が誤りである。

ウは正しい。同条3項は「地役権図面には、作成の年月日を記録しなければならない」と定めている。

エは誤りである。同条4項は「地役権図面(書面である場合に限る。)には、地役権者が署名し、又は記名押印しなければならない」と定めている。署名又は記名押印をすべき主体は「地役権者」であって、「作成者」ではない。土地所在図・地積測量図・建物図面・各階平面図について、書面である場合に申請人が記名し作成者が署名又は記名押印しなければならないとする規律(同規則74条2項)とは、主体の定め方が異なる。「当該図面の作成者が署名し、又は記名押印しなければならない」とする点が誤りである。

オは正しい。同規則87条1項は「登記官は、地役権の登記の抹消をしたとき又は地役権図面を添付情報とする申請に基づく分筆の登記、合筆の登記若しくは地役権の変更の登記若しくは更正の登記をしたときは、従前の地役権図面を閉鎖しなければならない」と定めている。

以上より、誤っているものはイ・エの2つである。地役権図面は、地役権設定の範囲を明確にするための図面である(79条1項)。特定の縮尺の定めがなく適宜の縮尺により作成することができる点(同条2項)、署名又は記名押印の主体が作成者ではなく地役権者とされている点(同条4項)は、いずれも、土地所在図・地積測量図・建物図面・各階平面図についての規律(74条2項、77条4項、82条3項)と条文の定め方が異なる部分である。両者を対比する形で、条文の文言そのものを押さえておきたい。

出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示) 建物の合体の登記(申請義務者の場合分け、表題登記がない建物同士の合体の準用関係、事後の持分取得者の申請義務、過料) 不動産登記法49条1項・2項・3項、164条1項
第2問 土地家屋調査士法 調査士の登録(欠格事由、登録拒否と登録審査会の議決、登録の取消し〔必要的・裁量的〕) 土地家屋調査士法5条、10条1項、15条1項、16条1項
第3問 民法(相隣関係) 水流に関する相隣関係(水流の障害の除去、工作物の修繕等、雨水の禁止、水流の変更、低地の通水) 民法215条、216条、218条、219条1項・2項、220条
第4問 測量計算 三斜法による面積計算(対角線による三角形分割、底辺と垂線の長さの算出、座標法による検算)
第5問 作図・書式 地役権図面の内容及び閉鎖(記録事項、適宜の縮尺、署名又は記名押印の主体、閉鎖事由) 不動産登記規則79条1項〜4項、87条1項