問題:
建物の滅失の登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1か月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
イ. 共用部分である旨の登記がある建物が滅失したときは、当該建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人が、その滅失の登記を申請しなければならない。
ウ. 建物の滅失の登記の申請がない場合には、登記官は、職権でこれをすることができない。
エ. 建物の表題部所有者について相続があったときは、相続人は、当該建物の滅失の登記を申請することができない。
オ. 建物の滅失の登記を申請すべき義務がある者が、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられる。
答え:
誤っているものは、イ・ウ・エの3つである。
解説:
建物の滅失の登記は、申請義務とその主体(不動産登記法57条)、登記官の職権発動の可否(同法28条)、一般承継人による申請(同法30条)、申請義務違反に対する制裁(同法164条1項)という四つの角度から検討する必要がある。本問は、この四つの条文を過不足なく組み合わせられるかを問うものである。
アは正しい。同法57条は「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない」と定めている。かっこ書を除いた本則部分は、通常の建物についての原則を述べたものであり、その限りで正しい。
イは誤りである。57条のかっこ書は「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者」と定めており、この場合の申請義務者は表題部所有者又は所有権の登記名義人ではなく「所有者」である。共用部分である旨の登記がある建物は、登記記録上の表題部所有者や所有権の登記名義人という登記名義とは別に、実体上の所有者を申請適格者として定めている点が本条の特徴であり、通常の建物の場合の主体をそのまま持ち込むと誤りになる。
ウは誤りである。同法28条は「表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる」と定めている。建物の滅失の登記は表示に関する登記の一種であるから、申請がない場合であっても、登記官は職権でこれをすることができる。「することができない」とする点が誤りである。
エは誤りである。同法30条は「表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる」と定めている。建物の滅失の登記も表示に関する登記であるから、表題部所有者について相続があったときは、相続人がこれを申請することができる。「申請することができない」とする点が誤りである。
オは正しい。同法164条1項は、57条を含む複数の条文を掲げたうえで、「規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する」と定めている。57条の建物の滅失の登記の申請義務もこの列挙に含まれているため、正当な理由なく申請を怠れば10万円以下の過料の対象となる。
以上より、誤っているものはイ・ウ・エの3つである。57条のかっこ書は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物という特殊な場合について、申請適格者を「所有者」に置き換えるものであり、原則(表題部所有者又は所有権の登記名義人)と例外(所有者)の書き分けを正確に押さえておきたい。また、28条の職権規定と30条の一般承継人による申請は、いずれも表示に関する登記全般に及ぶ通則であって滅失の登記に限られたものではない点にも注意したい。
問題:
土地家屋調査士の義務に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 調査士は、法務省令の定める基準に従い、事務所を設けなければならない。
イ. 調査士は、正当な事由がある場合でなければ依頼を拒んではならず、この義務は、筆界特定の手続についての代理及び民間紛争解決手続代理関係業務の依頼についても及ぶ。
ウ. 調査士であった者は、業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならないという義務を負わない。
エ. 調査士は、その所属する調査士会及び調査士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図らなければならない。
オ. 調査士は、その業務を行う地域における土地の筆界を明らかにするための方法に関する慣習その他の調査士の業務についての知識を深めるよう努めなければならない。
答え:
正しいものは、ア・オの2つである。
解説:
土地家屋調査士法第4章「土地家屋調査士の義務」は、事務所(20条)、帳簿及び書類(21条)、依頼に応ずる義務(22条)、業務を行い得ない事件(22条の2)、虚偽の調査、測量の禁止(23条)、会則の遵守義務(24条)、秘密保持の義務(24条の2)、研修(25条)という順で調査士の職務上の義務を定めている。本問は、この章に置かれた義務規定の対象と性質を正確にたどれるかを問うものである。
アは正しい。同法20条は「調査士は、法務省令の定める基準に従い、事務所を設けなければならない」と定めている。
イは誤りである。同法22条は「調査士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼(第三条第一項第四号及び第六号(第四号に関する部分に限る。)に規定する業務並びに民間紛争解決手続代理関係業務に関するものを除く。)を拒んではならない」と定めている。かっこ書により、3条1項4号(筆界特定の手続についての代理)及び6号のうち4号に関する部分(筆界特定の手続についての代理に関する相談)、並びに民間紛争解決手続代理関係業務(3条1項7号・8号、いわゆるADR代理)に関するものは、応諾義務の対象から除かれている。表示に関する登記の調査・測量・申請代理・書類作成といった本来業務には応諾義務が及ぶのに対し、紛争性を帯びた筆界特定手続代理や民間紛争解決手続代理関係業務については、受任するかどうかの判断に一定の裁量を認めた規定であると読める。「この義務は……依頼についても及ぶ」とする点が誤りである。
ウは誤りである。同法24条の2は「調査士又は調査士であつた者は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱つた事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない」と定めている。秘密保持義務の名宛人は「調査士」だけでなく「調査士であつた者」も含まれており、調査士でなくなった後もこの義務は存続する。「義務を負わない」とする点が誤りである。
エは誤りである。同法25条1項は「調査士は、その所属する調査士会及び調査士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない」と定めている。文末の「努めなければならない」は、「研修を受け」ることと「その資質の向上を図る」こととの双方を受けており、研修の受講も資質の向上も、いずれも努力義務の形で定められている。本肢はこれを「図らなければならない」という確定的な義務として述べており、その点が誤りである。
オは正しい。同法25条2項は「調査士は、その業務を行う地域における土地の筆界を明らかにするための方法に関する慣習その他の調査士の業務についての知識を深めるよう努めなければならない」と定めている。1項の研修受講と並んで、地域の慣習を含めた知識の研鑽が努力義務として掲げられている。
以上より、正しいものはア・オの2つである。第4章の義務規定は、20条・21条・24条のように「しなければならない」と確定的に定めるもの、23条・24条の2のように禁止の形で定めるもの、25条のように「努めなければならない」という努力義務にとどまるものが混在している。条文の末尾がどの形で結ばれているかを、意識して読み分けておきたい。あわせて、22条の応諾義務が及ぶ範囲は、3条1項各号の業務のうち何が除かれているかという形で定められており、除外される業務(筆界特定の手続についての代理とその相談、及び民間紛争解決手続代理関係業務)を正確に覚えておく必要がある。
問題:
囲障の設置に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 二筆の土地がその所有者を異にし、かつ、その境界に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
イ. 前記アの場合において、当事者間に協議が調わないときは、囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ2メートルのものでなければならない。
ウ. 囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が、その土地の広狭に応じて負担する。
エ. 相隣者の一人は、前記イの材料より良好なものを用い、又は前記イの高さを増して囲障を設けることができるが、これによって生ずる費用の増加額は、自ら負担しなければならない。
オ. 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものとみなす。
答え:
誤っているものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
囲障に関する規定は、設置の要件(民法225条1項)、協議が調わない場合の囲障の内容(同条2項)、設置及び保存の費用の負担(同法226条)、相隣者の一人による設置の加重とその費用負担(同法227条)、境界線上に設けた囲障等の共有の推定(同法229条)という順で置かれている。本問は、これらの条文の要件と効果を正確にたどれるかを問うものである。
アは誤りである。民法225条1項は「二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる」と定めている。ここでの要件は「二棟の建物」であって「二筆の土地」ではない。囲障の設置は建物相互の間の空地を対象とする規定であり、土地の境界一般について定める境界標の設置(同法223条)とは対象が異なる。「二筆の土地」とする点が誤りである。
イは正しい。同条2項は「当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない」と定めている。協議が調う場合には当事者の合意した内容によることができるが、協議が調わない場合の内容がこの2項によって法定されている。
ウは誤りである。同法226条は「前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する」と定めている。土地の広狭に応じた按分ではなく、等しい割合での負担が原則である。土地の広狭に応じた分担は、境界標の設置及び保存の費用ではなく測量の費用について定められたもの(同法224条ただし書)であり、これと混同すると誤る。「その土地の広狭に応じて負担する」とする点が誤りである。
エは正しい。同法227条は「相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる」としたうえで、ただし書で「これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない」と定めている。良好な材料や高い囲障を望む相隣者は、自らその意思で設置の内容を加重することができるが、その分の費用増加は自己負担となる。他の相隣者に増加額を求めることはできない。
オは誤りである。同法229条は「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する」と定めている。本条の効果は「推定する」であって「みなす」ではない。推定規定であるから、境界線上の境界標や囲障を相隣者の一方のみが自己の費用で設けたことを証明するなど、反証を挙げればこの共有の推定を覆すことができる。これに対し「みなす」という効果であれば、反証によっても覆すことのできない確定的な効果となる点で、両者は法的な性質が異なる。「共有に属するものとみなす」とする点が誤りである。
以上より、誤っているものはア・ウ・オの3つである。229条の共有の推定には及ばない場合も条文上定められており、同法230条1項は、一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については229条の規定を適用しないとしている。また、共有の障壁について相隣者の一人がその高さを増す工事をした場合には、同法231条2項により、高さを増した部分はその工事をした者の単独の所有に属するものとされ、229条の共有関係がそのまま及ぶわけではない。囲障の設置(225条)・費用負担(226条)・加重した場合の費用負担(227条)という設置・費用の場面と、229条以下が定める所有関係(共有の推定とその適用除外・変動)の場面とは、条文上連続して置かれている一連の規律として、あわせて押さえておきたい。
問題:
平面直角座標系における筆界点A、B及びCの座標値が、次のとおり与えられている。
A(X=100.000m、Y=100.000m)
B(X=200.000m、Y=100.000m)
C(X=230.000m、Y=151.962m)
三角形ABCの内角のうち、頂点Bにおける内角(∠B)として、最も近いものはどれか。
ア. 21°47′12″
イ. 38°12′48″
ウ. 60°00′00″
エ. 102°22′25″
オ. 120°00′00″
答え:
オ(120°00′00″)
解説:
三角形の一つの内角を余弦定理によって求めるには、その内角を挟む2辺の長さと、対辺の長さが必要になる。ここでは頂点Bを挟む辺AB・辺BCの長さと、その対辺である辺CAの長さを、与えられた座標からまず計算する。
各2点間の座標差を求める。
$$ \begin{aligned} \Delta X_{AB}&=200.000-100.000\\ &=100.000\\ \Delta Y_{AB}&=100.000-100.000=0.000 \end{aligned} $$$$ \begin{aligned} \Delta X_{BC}&=230.000-200.000=30.000\\ \Delta Y_{BC}&=151.962-100.000=51.962 \end{aligned} $$$$ \begin{aligned} \Delta X_{CA}&=100.000-230.000\\ &=-130.000\\ \Delta Y_{CA}&=100.000-151.962=-51.962 \end{aligned} $$三平方の定理により、各辺の長さを求める。
$$ \begin{aligned} AB&=\sqrt{100.000^2+0.000^2}\\ &=100.000 \end{aligned} $$$$ \begin{aligned} BC&=\sqrt{30.000^2+51.962^2}\\ &=\sqrt{900.000+2700.05}\\ &=\sqrt{3600.05}\\ &\approx60.000 \end{aligned} $$$$ \begin{aligned} CA&=\sqrt{130.000^2+51.962^2}\\ &=\sqrt{16900.00+2700.05}\\ &=\sqrt{19600.05}\\ &\approx140.000 \end{aligned} $$辺BC・辺CAの計算では、Cの座標を小数点以下第3位までに丸めていることによる1mm未満の誤差が生ずるが、これは測量座標を扱ううえで通常生ずる丸めの範囲内であるから、以下ではAB=100.000m、BC=60.000m、CA=140.000mとして計算を進める。
頂点Bの内角の余弦は、次の式によって求められる。∠Bを挟む2辺がAB・BCであり、その対辺がCAである。
$$ \begin{aligned} \cos B&=\frac{AB^2+BC^2-CA^2}{2\cdot AB\cdot BC} \end{aligned} $$まず分子を計算する。
$$ \begin{aligned} AB^2+BC^2-CA^2\\ =100.000^2+60.000^2\\ \quad-140.000^2\\ =10000.000+3600.000\\ \quad-19600.000\\ =-6000.000 \end{aligned} $$続いて分母を計算する。
$$ \begin{aligned} 2\times AB\times BC\\ =2\times100.000\times60.000\\ =12000.000 \end{aligned} $$したがって、cos Bは次のとおりとなる。
$$ \begin{aligned} \cos B&=\frac{-6000.000}{12000.000}\\ &=-0.500 \end{aligned} $$cos B=-0.500となる角は120°であるから、∠B=120°00′00″である。
検算として、他の2つの内角も同じ方法で求めておく。∠Aを挟む2辺はAB・CAであり、その対辺はBCである。
$$ \begin{aligned} \cos A&=\frac{AB^2+CA^2-BC^2}{2\cdot AB\cdot CA}\\ &=\frac{10000+19600-3600}{2\times100\times140}\\ &=\frac{26000}{28000}\\ &=0.928571\cdots \end{aligned} $$この値からA≒21°47′12″が得られる。∠Cを挟む2辺はBC・CAであり、その対辺はABである。
$$ \begin{aligned} \cos C&=\frac{BC^2+CA^2-AB^2}{2\cdot BC\cdot CA}\\ &=\frac{3600+19600-10000}{2\times60\times140}\\ &=\frac{13200}{16800}\\ &=0.785714\cdots \end{aligned} $$この値からC≒38°12′48″が得られる。A+B+C≒21°47′12″+120°00′00″+38°12′48″=180°00′00″となり、三角形の内角の和と一致するので、計算は整合している。
誤答肢は、いずれも余弦定理を適用する際にありがちな取り違えから現れる値である。アの21°47′12″は、対辺を取り違えて頂点Bではなく頂点Aの内角を求めてしまった場合の値である。イの38°12′48″は、同様に頂点Cの内角を求めてしまった場合の値である。ウの60°00′00″は、cos Bの符号を誤り、-0.500ではなく+0.500として逆余弦を求めた場合の値である。エの102°22′25″は、分母を2・AB・BCではなく2・AB・CAとして計算した場合、すなわちcos B’=-6000/28000≒-0.214286から得られる値である。いずれも、内角とその対辺の対応、そして余弦定理の分子・分母に置く辺の組み合わせを正確に対応させられるかどうかを試すものである。
土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められており、この点は令和8年度も変更がない。プリント機能付きのもの、アルファベットやカナを入力できるもの、電池式以外のものは使用が認められないという条件もあわせて維持されている。余弦定理そのものの計算は電卓があれば負担にならないが、差がつくのは、どの内角を求めようとしているのかに応じて、分子・分母に置く辺の組み合わせを取り違えないことである。本問の数値と有効桁は試験の答案作成を前提に設定したものであり、実務における測量方法や許容誤差の判断を示すものではない。
問題:
地積測量図の記録事項等に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 地積測量図には、国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号、及び基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録しなければならない。
イ. 地積測量図に境界標の表示を記録するには、境界標の存する筆界点に符号を付し、適宜の箇所にその符号及び境界標の種類を記録する方法その他これに準ずる方法によってするものとする。
ウ. 地図を作成するための一筆地測量及び地積測定における誤差の限度に関する規定は、地積測量図の作成には準用されない。
エ. 基本三角点等とは、測量法第2章の規定による基本測量の成果である三角点及び電子基準点、国土調査法19条2項の規定により認証され、若しくは同条5項の規定により指定された基準点、又はこれらと同等以上の精度を有すると認められる基準点の総称をいう。
オ. 市街地地域における地図作成のための一筆地測量及び地積測定における誤差の限度は、国土調査法施行令別表第4に掲げる精度区分乙一までである。
答え:
誤っているものは、ウ・オの2つである。
解説:
地積測量図の記録事項は不動産登記規則77条に、その基礎となる基本三角点等の定義や測量の誤差の限度は同規則10条に、それぞれ定められている。本問は、77条が10条の規定をどこまで準用しているか、そして10条の内部で市街地・村落農耕・山林原野の各地域ごとの誤差の限度がどう書き分けられているかを問うものである。
アは正しい。同規則77条1項7号は「国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号」を、8号は「基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値」を、それぞれ地積測量図の記録事項として掲げている。もっとも、同条2項は「近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、前項第七号及び第八号に掲げる事項に代えて、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録しなければならない」と定めており、7号・8号の記録事項には例外が置かれている。本肢は1項の原則を述べたものであり、その限りで正しい。
イは正しい。同条3項は「第一項第九号の境界標の表示を記録するには、境界標の存する筆界点に符号を付し、適宜の箇所にその符号及び境界標の種類を記録する方法その他これに準ずる方法によってするものとする」と定めている。
ウは誤りである。同条5項は「第十条第四項の規定は、地積測量図について準用する」と定めている。10条4項は、地図を作成するための一筆地測量及び地積測定における誤差の限度を、市街地地域・村落農耕地域・山林原野地域の別に応じて定めた規定であり、77条5項によってこの規定が地積測量図の作成にも準用される。「準用されない」とする点が誤りである。
エは正しい。同規則10条3項は「地図を作成するための測量は、測量法……第二章の規定による基本測量の成果である三角点及び電子基準点、国土調査法……第十九条第二項の規定により認証され、若しくは同条第五項の規定により指定された基準点又はこれらと同等以上の精度を有すると認められる基準点(以下「基本三角点等」と総称する。)を基礎として行うものとする」と定めている。77条1項7号・8号、2項にいう「基本三角点等」は、この10条3項の定義を前提とする語である。
オは誤りである。同条4項は、地図を作成するための一筆地測量及び地積測定における誤差の限度について、1号で「市街地地域については、国土調査法施行令別表第四に掲げる精度区分(以下「精度区分」という。)甲二まで」、2号で「村落・農耕地域については、精度区分乙一まで」、3号で「山林・原野地域については、精度区分乙三まで」と定めている。市街地地域の誤差の限度は精度区分甲二までであって、乙一までとされているのは村落・農耕地域である。地域の区分と精度区分の対応を入れ替えている点が誤りである。
以上より、誤っているものはウ・オの2つである。10条3項が定義する「基本三角点等」という語は、77条1項7号・8号や2項の座標値の記録にも用いられており、地図と地積測量図の双方にまたがって使われている。77条5項が10条4項を準用する形で誤差の限度についても地積測量図に及ぼしている点、そして10条4項が定める市街地・村落農耕・山林原野の三区分と精度区分(甲二・乙一・乙三)の対応関係は、10条と77条を横断して出題されやすい部分であり、あわせて整理しておきたい。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 建物の滅失の登記の申請義務者(原則と共用部分の場合の例外)、登記官の職権発動、一般承継人による申請、申請義務違反の過料 | 不動産登記法57条、28条、30条、164条1項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 調査士の義務(事務所、依頼に応ずる義務とその除外業務、秘密保持義務の対象者、研修の努力義務としての性質) | 土地家屋調査士法3条1項4号・6号〜8号、20条、22条、24条の2、25条1項・2項 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 囲障の設置の要件(建物相互間の空地)、協議不調時の囲障の内容、設置・保存費用の等分負担、加重した場合の費用負担、境界線上の囲障等の共有の推定 | 民法225条1項・2項、226条、227条、229条 |
| 第4問 | 測量計算 | 三角形の3頂点の座標から辺長を求め、余弦定理により内角を算出する計算 | ― |
| 第5問 | 作図・書式(不動産登記規則) | 地積測量図の座標値・境界標の記録事項、基本三角点等の定義、地図作成のための誤差の限度の地積測量図への準用 | 不動産登記規則77条1項7号・8号、3項、5項、10条3項・4項 |