問題:
筆界特定の申請及び手続に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 筆界特定とは、一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、筆界の現地における位置を特定することをいい、その位置を特定することができない場合に、その位置の範囲を特定することは、筆界特定には含まれない。
イ. 土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について筆界特定の申請をすることができ、この所有権登記名義人等には、所有権の登記名義人又は表題部所有者の相続人その他の一般承継人が含まれる。
ウ. 地方公共団体は、その区域内の対象土地の所有権登記名義人等の全員の同意を得なければ、当該対象土地の筆界について筆界特定の申請をすることができない。
エ. 対象土地の筆界について既に筆界特定登記官による筆界特定がされているときは、対象土地について更に筆界特定をする特段の必要があると認められる場合を除き、筆界特定の申請は却下される。
オ. 筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。
答え:
誤っているものは、ア・ウの2つである。
解説:
筆界特定は、不動産登記法第6章(第123条から第150条まで)に置かれた行政上の手続である。条文の文言そのものが問われやすい分野なので、定義規定から順に確認する。
アは誤りである。不動産登記法123条2号は、筆界特定を「一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう」と定義している。括弧書きが示すとおり、位置そのものを特定できない場合に「位置の範囲」を特定することも筆界特定に含まれる。これを除外する本肢は、条文の文言に反する。
なお、同条1号は筆界を「表題登記がある一筆の土地……とこれに隣接する他の土地……との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線」と定義する。筆界が「登記された時」を基準とする点及び「二以上の点及びこれらを結ぶ直線」という構成をとる点は、条文の文言のまま押さえておきたい。この定義と対応して、同法132条1項5号は、申請が対象土地の所有権の境界の特定その他筆界特定以外の事項を目的とするものと認められるときを却下事由としている。
イは正しい。同法131条1項は、申請権者を「土地の所有権登記名義人等」としている。その意義は同法123条5号が定めており、所有権の登記がある一筆の土地では所有権の登記名義人、所有権の登記がない一筆の土地では表題部所有者、表題登記がない土地では所有者を指し、さらに同号は「所有権の登記名義人又は表題部所有者の相続人その他の一般承継人を含む」と明記している。一般承継人が含まれる旨が定義規定の中に置かれている点が、この号の特徴である。
ウは誤りである。同法131条2項は「地方公共団体は、その区域内の対象土地の所有権登記名義人等のうちいずれかの者の同意を得たときは、筆界特定登記官に対し、当該対象土地の筆界(第十四条第一項の地図に表示されないものに限る。)について、筆界特定の申請をすることができる」と定める。同意を要する相手方は「いずれかの者」であって、全員ではない。あわせて、この項による申請の対象が「第14条第1項の地図に表示されないもの」に限られるという限定が付いている点も、あわせて記憶しておきたい。
エは正しい。同法132条1項7号は、対象土地の筆界について既に筆界特定登記官による筆界特定がされているときを却下事由として掲げたうえ、そのただし書で「対象土地について更に筆界特定をする特段の必要があると認められる場合を除く」としている。同項は他に、管轄違い(1号)、申請の権限を有しない者の申請(2号)、申請が同法131条3項の規定に違反すること(3号)、筆界特定申請情報の提供の方法が方式に適合しないこと(4号)、所有権の境界の特定その他筆界特定以外の事項を目的とするもの(5号)、既に筆界確定判決が確定していること(6号)、手数料の不納付(8号)、予納がないこと(9号)を掲げる。なお、同項柱書のただし書は、補正することができる不備について筆界特定登記官が定めた相当の期間内に補正されたときは却下しない旨を定めており、また同条2項は、この却下を登記官の処分とみなすとしている。
オは正しい。同法148条は「筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う」と定める。効力を失うのは「抵触する範囲において」であって、筆界特定の全部が当然に失効するわけではない、という限定が条文上置かれている。
手続の流れも条文の順で確認しておく。申請があったときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、その旨を公告し、かつ関係人(対象土地の所有権登記名義人等であって申請人以外のもの、及び関係土地の所有権登記名義人等)に通知しなければならない(同法133条1項本文・各号)。ただし、申請を却下すべき場合はこの限りでない(同項ただし書)。申請人及び関係人は、対象土地の筆界について意見又は資料を提出することができる(同法139条1項前段)。筆界特定登記官が提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内に提出しなければならない(同項後段)。
意見聴取等の期日については、同法140条が置かれている。筆界特定登記官は、133条1項本文の公告をした時から筆界特定をするまでの間に、あらかじめ期日及び場所を通知して、意見を述べ又は資料を提出する機会を与えなければならない(同条1項)。適当と認める者に参考人として知っている事実を陳述させることができる(同条2項)。筆界調査委員は期日に立ち会うものとされ、筆界特定登記官の許可を得て、申請人若しくは関係人又は参考人に質問を発することができる(同条3項)。調書を作成するのは筆界特定登記官であり、当該期日における陳述の要旨を明らかにしておかなければならない(同条4項)。調書の作成主体が筆界調査委員ではない点は、引っかけとして出題されやすい。
調書等の閲覧については、申請人及び関係人は、133条1項本文の公告があった時から144条1項の規定による申請人に対する通知がされるまでの間、調書及び提出された資料の閲覧を請求することができる(同法141条1項前段)。この場合、筆界特定登記官は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、閲覧を拒むことができない(同項後段)。閲覧できる期間の始期と終期がいずれも条文上明示されている点に注意したい。
最後に、筆界調査委員は、140条1項の期日の後、必要な事実の調査を終了したときは、遅滞なく、筆界特定登記官に対し意見を提出しなければならない(同法142条)。筆界特定登記官は、その意見を踏まえ、登記記録、地図又は地図に準ずる図面及び登記簿の附属書類の内容、対象土地及び関係土地の地形、地目、面積及び形状並びに工作物、囲障又は境界標の有無その他の状況及びこれらの設置の経緯その他の事情を総合的に考慮して筆界特定をし、その結論及び理由の要旨を記載した筆界特定書を作成しなければならない(同法143条1項)。筆界特定をしたときは、遅滞なく、申請人に対し筆界特定書の内容を通知するとともに、その旨を公告し、かつ関係人に通知しなければならない(同法144条1項)。
問題:
土地家屋調査士の業務に関する規律についての次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 調査士は、法務省令の定めるところにより、業務に関する帳簿を備え、かつ、関係書類を保存しなければならない。
イ. 調査士は、その業務の補助をさせるため補助者を置くことができ、補助者を置いたときは、遅滞なく、その旨を所属の調査士会に届け出なければならない。補助者を置かなくなったときも、同様である。
ウ. 調査士は、依頼者から報酬を受けたときは、領収証正副二通を作成し、正本はこれに記名し職印を押して依頼者に交付し、副本は、作成の日から七年間保存しなければならない。
エ. 調査士は、土地家屋調査士法3条1項各号に掲げる事務を受任しようとする場合には、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない。
オ. 調査士は、業務の停止の処分を受けたときであっても、その停止の期間中、事務所に調査士の事務所である旨の表示をすることができる。
答え:
正しいものは、ア・イ・エの3つである。
解説:
本問は、土地家屋調査士法の委任を受けて土地家屋調査士法施行規則第4章(第18条から第28条まで)に置かれた規律を中心に問うものである。法律本体だけを読んでいると手薄になりやすく、保存期間などの数字が正面から問われる。
アは正しい。土地家屋調査士法21条は「調査士は、法務省令の定めるところにより、業務に関する帳簿を備え、且つ、関係書類を保存しなければならない」と定める。帳簿と関係書類の具体的な内容が法務省令(土地家屋調査士法施行規則)に委ねられている構造を押さえておきたい。
イは正しい。同規則23条1項は「調査士は、その業務の補助をさせるため補助者を置くことができる」とし、同条2項は「調査士は、補助者を置いたときは、遅滞なく、その旨を所属の調査士会に届け出なければならない。補助者を置かなくなつたときも、同様とする」と定める。届出先は所属の調査士会であって、連合会でも法務局でもない。もっとも、届出を受けた調査士会は、その旨を、その調査士会の事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に通知しなければならない(同条3項)。届出先と通知先を混同させる出題が想定されるので、二段構えの規定であることを条文で確認しておきたい。
ウは誤りである。同規則27条1項は「調査士は、依頼者から報酬を受けたときは、領収証正副二通を作成し、正本は、これに記名し、職印を押して依頼者に交付し、副本は、作成の日から三年間保存しなければならない」と定める。副本の保存期間は三年であって七年ではない。七年という数字は事件簿のものであり、同規則28条2項が「事件簿は、その閉鎖後七年間保存しなければならない」と定めている。しかも事件簿の起算点は「閉鎖後」であるのに対し、領収証副本の起算点は「作成の日から」であって、期間の長さだけでなく起算点も異なる。なお、領収証は電磁的記録をもって作成及び保存をすることができ(同規則27条2項)、受領した報酬額の内訳を詳細に記載し又は記録しなければならない(同条3項)。事件簿は連合会の定める様式により調製する(同規則28条1項)。
エは正しい。同規則21条は「調査士は、法第三条第一項各号に掲げる事務を受任しようとする場合には、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない」と定める。示すべき時期が「受任しようとする場合には、あらかじめ」とされている点、示す内容が確定額ではなく「報酬額の算定の方法その他の報酬の基準」とされている点が、条文の文言どおり出題されやすい。
オは誤りである。同規則19条1項は、調査士会に入会したときは会則の定めるところにより事務所に調査士の事務所である旨の表示をしなければならないとするが、同条3項は「調査士は、業務の停止の処分を受けたときは、その停止の期間中第一項の表示又はこれに類する表示をしてはならない」と定める。表示が禁じられるのは第1項の表示そのものだけでなく「これに類する表示」も含まれる。また、同条2項は、調査士会に入会していない調査士について、第1項の表示又はこれに類する表示をしてはならないとしている。
同章の他の規定も、条文単位で確認しておきたい。事務所は二以上設けることができない(同規則18条)。職印は、会則の定めるところにより、業務上使用するものを定めなければならない(同規則20条)。他人をしてその業務を取り扱わせてはならない(同規則22条)。不当な手段によって依頼を誘致するような行為をしてはならない(同規則24条)。依頼を拒んだ場合において依頼者の請求があるときは、その理由書を交付しなければならない(同規則25条1項)。もっとも、同項の対象からは法3条1項4号及び6号(4号に関する部分に限る。)に規定する業務並びに民間紛争解決手続代理関係業務に関する依頼が除かれており、これらの事件の依頼を承諾しないときは、速やかにその旨を依頼者に通知しなければならない(同条2項)。書類を作成したときはその末尾又は欄外に記名し職印を押さなければならず(同規則26条1項)、電磁的記録を作成したときは職名及び氏名を記録し、かつ、所定の電子署名を行わなければならない(同条2項)。書面には記名及び職印、電磁的記録には職名及び氏名の記録並びに電子署名という書き分けは、そのまま出題されうる対比である。
問題:
所有権の取得時効及び占有に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、占有の開始の時に善意であり過失がなかったかどうかにかかわらず、その所有権を取得する。
イ. 十年間の占有による所有権の取得時効が成立するためには、占有者が善意であり、かつ、過失がなかったことを要するところ、民法162条2項はこの善意及び無過失が時効期間の全体を通じて存在することを要求している。
ウ. 民法186条1項が占有者について推定する事項として掲げているのは、所有の意思、善意、平穏及び公然の四つであり、無過失はこれに掲げられていない。
エ. 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができるが、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。
オ. 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示しない限り、占有の性質が変わることはない。
答え:
誤っているものは、イ・オの2つである。
解説:
取得時効は、筆界と所有権の帰属とを区別して理解するうえでの前提となる分野である。本問は条文の文言の精読を求めるものであり、要件の基準時と列挙の範囲が判断の分かれ目になる。
アは正しい。民法162条1項は「二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」と定める。同項には善意・無過失の要件は置かれていない。善意・無過失を要件とするのは同条2項の十年の取得時効であり、この対比が同条の基本構造である。
イは誤りである。民法162条2項は「十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する」と定める。条文は「その占有の開始の時に」と基準時を明示しており、善意及び無過失が問われるのは占有開始の時点である。時効期間の全体を通じて善意無過失であることを要求する文言は、同項には置かれていない。本肢は条文が定めていない要件を付加している点で誤りである。
ウは正しい。民法186条1項は「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する」と定めており、同項が掲げるのは所有の意思、善意、平穏及び公然の四つである。無過失は同項の文言に含まれていない。なお、同条2項は「前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する」と定めており、占有の継続についても推定規定が置かれている点をあわせて確認したい。
エは正しい。民法187条1項は「占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる」と定め、同条2項は「前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する」と定める。前主の占有を併せる選択をした場合に瑕疵の承継が生じるという条文の構造を、そのまま押さえておきたい。
オは誤りである。民法185条は「権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない」と定める。占有の性質が変わる場面として、所有の意思の表示のほかに「新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始める」場合が条文上並列に掲げられている。本肢は前者のみに限定している点で誤りである。
関連する規定も条文の位置とともに確認しておきたい。時効の効力はその起算日にさかのぼる(民法144条)。時効は当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない(同法145条)。また、同法164条は「第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する」と定めており、この規定は同法163条の所有権以外の財産権の取得時効について準用される(同法165条)。取得時効に固有の中断の規定である点に注意したい。
問題:
ある土地の測量において、任意に定めた座標系(以下「任意座標系」という。)で観測を行い、各点の座標値として次の値を得た。
点a(x=0.000m、y=0.000m)
点b(x=80.000m、y=60.000m)
点c(x=30.000m、y=40.000m)
その後、点a及び点bについて平面直角座標系による座標値が判明し、それぞれ次のとおりであった。
点A(X=2,000.000m、Y=5,000.000m)
点B(X=2,100.000m、Y=5,000.000m)
任意座標系と平面直角座標系との関係が、原点の平行移動及び座標軸の回転のみによって表され、縮尺の伸縮はないものとするとき、点cに対応する平面直角座標系上の点Cの座標値として正しいものはどれか。
ア. X=2,000.000m、Y=5,050.000m
イ. X=2,014.000m、Y=5,048.000m
ウ. X=2,030.000m、Y=5,040.000m
エ. X=2,048.000m、Y=5,014.000m
オ. X=2,050.000m、Y=5,000.000m
答え:
エ(X=2,048.000m、Y=5,014.000m)
解説:
任意座標系で観測した成果を、共通する二点(本問の点a・点b)の平面直角座標系での座標値を手がかりに変換する問題である。土地家屋調査士試験では電卓を使用することができる(プログラム機能があるもの、プリント機能があるもの、アルファベットやカナ文字が入力できるもの及び電池式以外のものは使用できず、予備を含めて二台までとされている)が、本問は逆三角関数を用いなくても解ける形になっている。
第一段階として、縮尺の伸縮がないという前提を数値で確かめる。任意座標系における点aから点bまでの距離は次のとおりである。
$$ \begin{aligned} S_{ab} &= \sqrt{80.000^2+60.000^2}\\[4pt] &= \sqrt{10000.000}\\[4pt] &= 100.000 \end{aligned} $$平面直角座標系における点Aから点Bまでの距離は次のとおりである。
$$ \begin{aligned} S_{AB} &= \sqrt{100.000^2+0.000^2}\\[4pt] &= 100.000 \end{aligned} $$両者が一致するので、伸縮率は1.000であり、問題文の前提と整合する。
第二段階として、座標軸の回転角θを求める。θは、任意座標系での方向角$T_{ab}$を平面直角座標系での方向角$T_{AB}$に一致させるための回転量であるから、次の関係にある。
$$ \theta = T_{AB}-T_{ab} $$ここで、方向角そのものを度分秒で求める必要はない。加法定理により、θの余弦と正弦は次のように書ける。
$$ \begin{aligned} \cos\theta &= \cos T_{AB}\cos T_{ab}+\sin T_{AB}\sin T_{ab}\\[4pt] \sin\theta &= \sin T_{AB}\cos T_{ab}-\cos T_{AB}\sin T_{ab} \end{aligned} $$各方向角の余弦・正弦は、座標差を距離で除すれば直ちに得られる。
$$ \begin{aligned} \cos T_{ab} &= \frac{80.000}{100.000}=0.800\\[4pt] \sin T_{ab} &= \frac{60.000}{100.000}=0.600\\[4pt] \cos T_{AB} &= \frac{100.000}{100.000}=1.000\\[4pt] \sin T_{AB} &= \frac{0.000}{100.000}=0.000 \end{aligned} $$これを代入する。
$$ \begin{aligned} \cos\theta &= 1.000\times 0.800+0.000\times 0.600\\[4pt] &= 0.800\\[4pt] \sin\theta &= 0.000\times 0.800-1.000\times 0.600\\[4pt] &= -0.600 \end{aligned} $$正弦が負であることは、回転が方向角を減らす向き(本問では$T_{ab}$が約36°52′12″であるのに対し$T_{AB}$が0°00′00″)であることを示している。参考までに角度で表せば、θ=−36°52′12″である。
第三段階として、点aを基点とする座標差を回転させる。任意座標系における点aから点cへの座標差は次のとおりである。
$$ \begin{aligned} \Delta x &= 30.000-0.000=30.000\\[4pt] \Delta y &= 40.000-0.000=40.000 \end{aligned} $$方向角をθだけ変化させる回転は、次の式で表される。
$$ \begin{aligned} \Delta X &= \Delta x\cos\theta-\Delta y\sin\theta\\[4pt] \Delta Y &= \Delta x\sin\theta+\Delta y\cos\theta \end{aligned} $$数値を代入する。
$$ \begin{aligned} \Delta X &= 30.000\times 0.800-40.000\times(-0.600)\\[4pt] &= 24.000+24.000\\[4pt] &= 48.000 \end{aligned} $$$$ \begin{aligned} \Delta Y &= 30.000\times(-0.600)+40.000\times 0.800\\[4pt] &= -18.000+32.000\\[4pt] &= 14.000 \end{aligned} $$第四段階として、基点である点Aの座標値を加える(平行移動)。
$$ \begin{aligned} X_C &= 2000.000+48.000\\[4pt] &= 2048.000\\[4pt] Y_C &= 5000.000+14.000\\[4pt] &= 5014.000 \end{aligned} $$したがって点Cの座標値はX=2,048.000m、Y=5,014.000mであり、正解はエである。
検算は、回転と平行移動が距離と角を変えないことを利用する。まず距離を確かめる。
$$ \begin{aligned} S_{ac} &= \sqrt{30.000^2+40.000^2}=50.000\\[4pt] S_{AC} &= \sqrt{48.000^2+14.000^2}=50.000 \end{aligned} $$$$ \begin{aligned} S_{bc} &= \sqrt{(-50.000)^2+(-20.000)^2}=53.852\\[4pt] S_{BC} &= \sqrt{(-52.000)^2+14.000^2}=53.852 \end{aligned} $$いずれも一致する。次に、点aにおける挟角を確かめる。任意座標系では$T_{ac}$=53°07′48.4″、$T_{ab}$=36°52′11.6″であるから、挟角は16°15′36.7″となる。平面直角座標系では$T_{AC}$=16°15′36.7″、$T_{AB}$=0°00′00″であるから、挟角も16°15′36.7″となり、一致する。
なお、ここに掲げた方向角の秒は、いずれも四捨五入後の表示値である。表示値どうしを引くと48.4″−11.6″=36.8″となるが、丸める前の値で計算した差は36.74″であり、これを四捨五入した36.7″が正しい。先にθ=−36°52′12″と示したのも、同じ角を秒未満で四捨五入した表示である。表示値の引き算で0.1″程度のずれが出るのは丸めによるものであって、計算の誤りではない。
誤答肢の生じ方も確認しておきたい。アは、回転の向きを逆にしてθ=+約36°52′12″(すなわち$\sin\theta$=+0.600)として計算した場合の値である。イは、求めたΔXとΔYを入れ替えて加算した場合の値である。ウは、回転を行わず平行移動だけを行った場合の値である。オは、点cの座標をx=40.000m、y=30.000mと読み違えた場合の値である。座標系の変換では、回転の向きと座標軸の対応の二点で誤りが生じやすいので、必ず距離と挟角の両方で検算しておきたい。
問題:
建物の種類及び構造の定め方に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 建物の表示に関する登記の登記事項には、建物の種類、構造及び床面積が含まれ、これらに関し必要な事項は法務省令で定めるものとされている。
イ. 建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定めるものとされ、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとされている。
ウ. 建物の主な用途が二以上ある場合には、そのうち床面積が最も大きい用途によって建物の種類を定めるものとされている。
エ. 建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により区分して定めるものとされ、構成材料による区分としては、木造、土蔵造、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造が掲げられている。
オ. 建物の構造のうち階数による区分は、平家建及び二階建の二つとされており、三階建以上の建物については二階建として定めるものとされている。
答え:
誤っているものは、ウ・オの2つである。
解説:
建物の種類及び構造は、不動産登記法が登記事項として掲げ、その具体的な定め方を不動産登記規則に委ねている領域である。列挙の内容と括弧書きの処理が、条文の文言のまま問われる。
アは正しい。不動産登記法44条1項3号は、建物の表示に関する登記の登記事項として「建物の種類、構造及び床面積」を掲げる。そして同条2項は「前項第三号、第五号及び第七号の建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める」と定めており、この委任を受けて不動産登記規則113条以下が置かれている。なお、同条1項5号は附属建物の種類・構造・床面積を、同項7号は区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積を掲げており、委任の対象がこの三つの号にわたる点も条文で確認しておきたい。
イは正しい。不動産登記規則113条1項は「建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする」と定める。掲げられている用途は十二であり、これが限定列挙ではなく、該当しないものは「これに準じて定める」とされている点が同項の要点である。
ウは誤りである。同規則113条2項は「建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとする」と定める。条文が求めているのは、二以上の用途によって種類を定めること、すなわち複数の用途を併せて表示することであって、そのうち一つを床面積の大小によって選び出すことではない。床面積の大小による優劣を定める文言は同項に置かれていない。
エは正しい。同規則114条柱書は「建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により、次のように区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする」とし、同条1号は構成材料による区分として、イ木造、ロ土蔵造、ハ石造、ニれんが造、ホコンクリートブロック造、ヘ鉄骨造、ト鉄筋コンクリート造、チ鉄骨鉄筋コンクリート造の八つを掲げる。構造が「構成材料」「屋根の種類」「階数」という三つの要素の組合せで定められることが、同条の骨格である。
オは誤りである。同規則114条3号は階数による区分として「イ 平家建」「ロ 二階建(三階建以上の建物にあっては、これに準ずるものとする。)」を掲げる。ロの括弧書きは、三階建以上の建物についてはこの区分に準じて定めるものとする趣旨であり、三階建以上の建物を一律に二階建として定めることを求めるものではない。柱書にも「これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする」という同旨の定めが置かれている。
同条2号の屋根の種類による区分も、あわせて押さえておきたい。掲げられているのは、イかわらぶき、ロスレートぶき、ハ亜鉛メッキ鋼板ぶき、ニ草ぶき、ホ陸屋根の五つである。
前提となる規定も確認しておく。同規則111条は「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない」と定める。また、家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるものとされ、二個以上の建物が一筆の土地の上に存するとき、一個の建物が二筆以上の土地の上に存するとき、その他特別の事情があるときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により定めるものとされている(同規則112条1項)。附属建物には符号を付す(同条2項)。床面積の定め方については同規則115条が別に規定を置いており、種類・構造とは条文が分かれている点に注意したい。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(筆界特定) | 筆界特定の定義と位置の範囲の特定、申請権者と一般承継人、地方公共団体の申請における同意の範囲、却下事由、筆界確定判決との関係、意見聴取等の期日と調書等の閲覧 | 不動産登記法123条1号・2号・5号、131条1項・2項、132条1項各号・2項、133条1項、139条1項、140条1項〜4項、141条1項、142条、143条1項、144条1項、148条 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 業務に関する帳簿及び関係書類、補助者の設置と届出・通知、領収証副本の保存期間と事件簿の保存期間の対比、報酬の基準を明示する義務、業務停止期間中の事務所の表示の禁止 | 土地家屋調査士法21条、土地家屋調査士法施行規則18条〜28条(特に19条1項〜3項、20条、21条、22条、23条1項〜3項、25条1項、26条1項・2項、27条1項〜3項、28条1項・2項) |
| 第3問 | 民法(取得時効・占有) | 二十年の取得時効と十年の取得時効の要件の対比、善意無過失の基準時、186条1項の推定事項の範囲、占有の承継と瑕疵の承継、占有の性質の変更の二つの方法 | 民法162条1項・2項、186条1項・2項、187条1項・2項、185条、144条、145条、164条、165条 |
| 第4問 | 測量計算 | 座標変換(共通二点による回転角の算出、加法定理を用いた余弦・正弦の導出、回転と平行移動による点の座標値の算出、距離及び挟角による検算) | ― |
| 第5問 | 作図・書式(不動産登記規則) | 建物の種類の区分と主な用途が二以上の場合の定め方、建物の構造の三要素と構成材料・屋根の種類・階数の区分、三階建以上の建物の取扱い | 不動産登記法44条1項3号・5号・7号・2項、不動産登記規則111条、112条1項・2項、113条1項・2項、114条柱書・1号〜3号、115条 |