この記事の要点

  • 相続人が18歳未満のときは「未成年者控除」、85歳未満の障害者のときは「障害者控除」として、その人の相続税額から一定額が差し引かれる(相続税法19条の3・19条の4)
  • 控除額は、18歳または85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)で決まり、本人の税額から引ききれない分は扶養義務者の税額から差し引ける
  • 以前の相続ですでに控除を受けている人は、今回差し引ける額が制限される

相続税には、財産を受け取った人の年齢や障害の有無に着目して、税額を軽くする仕組みがあります。相続人が未成年の場合の「未成年者控除」と、障害のある場合の「障害者控除」です。

どちらも、遺産の総額から差し引く相続税の基礎控除とは異なり、いったん計算したその人の相続税額から直接差し引く「税額控除」です。そのため、遺産が基礎控除の範囲に収まり相続税がかからない場合は、差し引く対象の税額がありません。

対象になる人

未成年者控除の対象は、相続や遺贈(遺言によって財産を贈ること)で財産を取得した人のうち、亡くなった方の相続人に当たり、かつ18歳未満の人です(相続税法19条の3第1項)。障害者控除の対象は、同じく相続人に当たり、かつ障害者である人です(同法19条の4第1項)。障害者控除の控除額は85歳に達するまでの年数で決まるため、国税庁の解説では「85歳未満の障害者」と説明されています。

ここでいう「相続人」は、相続放棄をした人も、放棄がなかったものとして数えます。そのため、相続放棄をした子が遺言や死亡保険金などで財産を受け取った場合も対象になりえます。反対に、相続人ではない人(たとえば、子が健在のため相続人にならない孫)が遺言で財産を受け取っても、対象にはなりません。

また、財産を取得したときの住所(日本国内か国外か)や国籍などによって対象外になる場合があります。障害者控除はこの点の要件が未成年者控除より狭く、原則として財産を取得したときに日本国内に住所がある人に限られます(同法19条の4第1項かっこ書・1条の3第1項)。

障害者の範囲は政令で定められており、そのうち重度の障害がある人は「特別障害者」として区別されます(同法19条の4第2項)。

なお、成年年齢の引下げにあわせて、未成年者控除の年齢は「20歳」から「18歳」に改められています(令和4年4月1日以後に相続や遺贈で取得する財産から適用。所得税法等の一部を改正する法律〔平成31年法律第6号〕附則23条1項)。

控除額の決まり方

  • 未成年者控除:18歳に達するまでの年数1年につき10万円
  • 障害者控除:85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)

年数に1年未満の端数があるときは、切り上げて1年として数えます(同法19条の3第1項・19条の4第1項)。

引ききれない分は扶養義務者から

控除額が本人の相続税額より大きく、全額を引ききれないことがあります。その場合、引ききれない部分は、その人の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます(同法19条の3第2項、19条の4第3項による準用)。扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の人をいいます(同法1条の2第1号・民法877条、相続税法基本通達1の2-1)。ただし、差し引けるのは、その扶養義務者が同じ亡くなった方から相続や遺贈で財産を取得している場合に限られます。

未成年の子どもの場合、ふだんは親が子を代理しますが、親と子がともに相続人になると、遺産分割では家庭裁判所が選ぶ特別代理人が必要になることがあります。税金の控除とは別の手続きなので、あわせて確認しておくと安心です。

以前の相続で控除を受けた場合の制限

同じ人が過去の相続ですでに未成年者控除や障害者控除を受けている場合(扶養義務者の税額から差し引いた場合を含みます)、今回差し引ける額は、最初の相続のときに受けられた控除額のうちまだ使っていない残りの範囲内に限られます(同法19条の3第3項、19条の4第3項による準用)。なお、未成年者控除について、最初の相続が令和4年3月31日以前(控除の年齢が「20歳」だった時期)のものである場合は、経過措置により、最初の相続のときの控除額を「18歳」を基準に計算し直した額をもとに残りを判断します(平成31年法律第6号附則23条2項)。親が亡くなり、続いて祖父母が亡くなったといった、相続が続く場面で関係するルールです。

執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

未成年者控除と障害者控除は、相続人が18歳未満の人や障害のある人のとき、算出された相続税額から一定額を差し引く仕組みです。控除額は、18歳または85歳までの年数に応じて決まります。本人の税額から引ききれない分は扶養義務者の税額から差し引くことができ、以前の相続で控除を受けている場合は額が制限されます。ご自身のケースで具体的な税額や控除を受けられるかどうか、障害の程度による区分の判定や申告が必要かどうかについては、税理士にご確認ください。相続にともなう不動産の名義変更(相続登記)や、未成年の相続人がいる場合の遺産分割の手続きについては、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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