住宅用家屋証明書とは──登録免許税が軽くなる書類の基礎(誰が・どこで・いつ取る)

この記事の要点 住宅用家屋証明書は、マイホームの登記にかかる登録免許税を軽い税率にするために、登記申請書に添付する書類です 発行するのは税務署でも法務局でもなく、その家屋がある市区町村(役所の資産税課・税務課など)です 軽減は自動では受けられません。登記を申請する前に証明書を用意しておく必要があります マイホームを新築したり買ったりすると、所有権の登記や住宅ローンの抵当権の登記をすることになり、国に**登録免許税(とうろくめんきょぜい)を納めます。一定の要件を満たす「自分が住むための家」については、この税率が本来より軽くなる仕組みがあり、その軽減を受けるための入場券にあたるのが住宅用家屋証明書(じゅうたくようかおくしょうめいしょ)**です。 ...

2026年9月3日 · ひぐらしさとし

固定資産税は毎年見直されるの?──3年に1度の『評価替え』と据置年度のしくみ

この記事の要点 固定資産税評価額は原則として3年に1度(基準年度)に見直され(評価替え)、残りの2年間(据置年度)は同じ価格が据え置かれる 据置年度中でも、地目の変換や家屋の増改築など特別の事情があれば例外的に価格が修正されるほか、土地には地価が下落した場合に対応する修正の仕組みもある 相続や売買で登記名義が変わっても評価額や税額がすぐには動かないことがあるのは、評価替えの周期と「賦課期日」という別のルールが関係している 「去年の固定資産税の納税通知書と、今年届いた通知書を見比べたら、評価額の欄がまったく同じ数字だった」というお話や、逆に「特に何もしていないのに評価額が上がっていた」というお話を伺うことがあります。実はどちらも、固定資産税評価額が3年に1度まとめて見直される、という制度の仕組みによるものです。なお、本記事は評価替え・据置年度の一般的なしくみをご説明するものであり、個々の土地・家屋について評価額がどう計算されるか、具体的な税額がいくらになるかといった試算は行いません。あらかじめご了承ください。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

亡くなった親の固定資産税は誰が払う?──『相続人代表者指定届』のしくみ

この記事の要点 固定資産税は毎年1月1日時点の登記名義人等に課税される「賦課課税」の税金。名義人が亡くなり相続登記がまだの間も、課税自体は続く 誰が納税通知書を受け取るかを市区町村に届け出る制度が「相続人代表者指定届」(地方税法9条の2第1項)。すべての相続人またはその相続分のうちに明らかでないものがあり、かつ、相当の期間内に届出がないときは、市区町村長が相続人の一人を職権で指定できる(同条2項) この届出はあくまで書類の受取人を決めるものであり、相続登記の代わりにはならず、相続人の納税義務・税額を変えるものでもない 相続で不動産を共有名義にした場合の固定資産税は、すでに相続登記を終えて共有名義になった後、誰が連帯して納めるかという話でした。今回取り上げるのは、それより一歩手前の場面です。親などの名義人が亡くなった直後、相続登記がまだ済んでいない間、市区町村から届く固定資産税の納税通知書は、いったい誰に送られてくるのか、という疑問です。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

固定資産税の『免税点』とは──小さな土地でも税金がかからないことがある仕組み

この記事の要点 固定資産税には「免税点」があり、土地30万円未満・家屋20万円未満・償却資産150万円未満なら原則として課税されない 免税点は一筆・一棟ごとではなく、同じ市区町村内でその人が持つ土地全体(または家屋全体)の合計額で判定される(共有名義の持分の取扱いは別途確認が必要) 令和9年度(2027年度)分から家屋の免税点は30万円、償却資産は180万円に引き上げられる(土地の30万円は据え置き) 「納税通知書が来ない=相続登記もしなくていい」ではない点に注意 固定資産税の納税通知書が届かない土地がある、というご相談を受けることがあります。山林や評価額の低い小さな土地などで起こりやすい現象で、その理由のひとつが、地方税法が定める「免税点」という仕組みです。ただし、通知が届かない理由は免税点だけとは限らず、公共の用に供する道路のようにそもそも非課税とされている場合など、別の理由によることもあります。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

都市計画税とは何か──固定資産税とセットで課税される理由

この記事の要点 都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用にあてるための市町村の「目的税」で、固定資産税とは別の税金(地方税法702条) 課税できる区域は都市計画区域の中に限られ、区域区分(線引き)がある都市計画区域では「市街化区域」内の土地・家屋、線引きがない都市計画区域では条例で定める区域が対象になる(地方税法702条1項)。税率は0.3%が上限(地方税法702条の4)。課税するかどうかや実際の税率は市町村ごとに異なる 固定資産税評価額を課税標準とする点や、毎年1月1日時点の所有者に課税される点は固定資産税と共通しているため、1枚の納税通知書にまとめて記載されることが多い 固定資産税の納税通知書を見ると、「固定資産税」の欄の隣に「都市計画税」という欄が並んでいて、合計額が請求されていることがあります。この2つは名前が並んでいるため同じ税金の一部だと思われがちですが、法律上は別の税金です。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし

登録免許税はなぜ『固定資産税評価額』で計算されるの?──条文上の原則は『時価』という話

この記事の要点 登録免許税法10条1項は、課税標準を「登記の時における不動産等の価額」と定めており、この価額は一般に時価(その時点の客観的な価値)を指すと理解されている 附則7条の「当分の間」の特例により、実務では原則として固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)が用いられている 相続税評価額や実勢価格とは基準が異なるため、混同すると見積りや税額の見込みがずれる 相続登記や不動産の売買登記を依頼すると、司法書士から「固定資産税評価額を教えてください」と聞かれることがあります。実際に売買した金額(実勢価格)を伝えているのに、なぜ別の評価額を使うのか、疑問に思われる方は少なくありません。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

相続で共有名義にした不動産の固定資産税、誰が払う?──連帯納税義務と『代表者』のしくみ

この記事の要点 共有名義の不動産の固定資産税は、持分の割合にかかわらず共有者全員が全額について連帯して納める義務を負う(地方税法10条の2) 納税義務者は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者(同法343条1項・2項、359条)。登記簿や課税台帳上の所有者が賦課期日より前に亡くなっているときは、相続登記が済んでいなくても、その日に不動産を現に所有している相続人が納税義務者とされる(同法343条2項後段) 実務上は共有者の中から「代表者」が定められ、その代表者あてに納税通知書がまとめて送られるが、代表者だけが法的な納税義務を負うわけではない 相続で不動産を兄弟姉妹などと共有名義にすると、「持分に応じて、それぞれ別々に納税通知書が届いて、自分の持分の分だけ払えばいい」と考えている方が少なくありません。しかし、固定資産税に関する限り、この理解は正確ではありません。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

空き家を取り壊すと土地の固定資産税が上がるのはなぜ?──住宅用地の特例のしくみ

この記事の要点 建物が建っている土地は「住宅用地の特例」によって固定資産税の課税標準(税率をかける前の土台になる金額)が下げられている。建物を取り壊すとこの特例から外れるため、土地の固定資産税が上がることがある 軽減の割合は、200平方メートル以下の部分が価格の6分の1、それを超える部分が3分の1(地方税法349条の3の2第1項・第2項)。都市計画税にも同様の特例があるが割合は3分の1・3分の2で異なる(同法702条の3) 「更地にすると6倍になる」という言い方は正確とはいえない。負担調整措置があり、評価額も取扱いも土地ごと・市町村ごとに違うため、実際の金額はその不動産のある市町村の窓口で確かめる必要がある 結論から書きます。建物を取り壊すと土地の固定資産税が上がることがあるのは、「住宅用地の特例」という税負担を軽くする仕組みが、その土地が住宅の敷地として使われていることを前提にしているからです。建物がなくなれば前提が失われ、原則として特例の適用から外れます。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

相続税の配偶者の税額軽減とは──「1億6,000万円」の意味と、税額ゼロでも申告が必要な理由

この記事の要点 相続税には「配偶者に対する相続税額の軽減」という制度があり、配偶者が取得した遺産の額が「配偶者の法定相続分相当額」と「1億6,000万円」のいずれか多い金額までであれば、配偶者に相続税はかからない(相続税法19条の2第1項) この軽減の適用を受けるには相続税の申告書(または更正の請求書)を提出することが法律上の要件であり(同条3項)、軽減の結果として納税額がゼロになる場合でも申告書の提出は省略できない 贈与税の「おしどり贈与」(贈与税の配偶者控除)とは、かかる税目も要件も別の制度なので混同しないよう注意が必要 相続税には、亡くなった方の配偶者が遺産を受け取るときに税負担を大きく軽くする「配偶者に対する相続税額の軽減」という制度があります(相続税法19条の2)。よく耳にする「1億6,000万円」という金額の意味を、正しく理解している方は意外と多くありません。 ...

2026年8月2日 · ひぐらしさとし

相続税の基礎控除とは──「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の意味と数え方

この記事の要点 相続税には「遺産に係る基礎控除額」という枠があり、その額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される(相続税法15条1項) 人数の数え方には独自のルールがあり、相続放棄をした人も「放棄がなかったもの」として数に含める 養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか人数に算入できない 「うちは相続税がかかるのか」を考えるときの入口が基礎控除という枠です。相続税は、亡くなった方の財産すべてにいきなり課される税金ではなく、一定額までは課税されない部分が設けられています。相続税法ではこれを「遺産に係る基礎控除額」と呼びます。 ...

2026年7月29日 · ひぐらしさとし