問題:
権利能力及び意思能力に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 私権の享有は、出生に始まり、外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
イ. 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、取り消すことができる。
ウ. 胎児は、損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされるから、父が他人の不法行為によってその生命を侵害された当時胎児であった子は、出生後、民法711条に規定する被害者の子として、加害者に対し損害の賠償を請求することができる。
エ. 胎児は、相続については既に生まれたものとみなされ、この規定は受遺者について準用されるが、胎児が死体で生まれたときであっても、相続については、相続開始の時に既に生まれていたものとみなされる。
オ. 父は、胎内に在る子を認知することができ、この場合において、母の承諾を得ることを要しない。
答え:
誤っているものは、イ・エ・オの3つである。
解説:
本問は、権利能力の始期(民法3条)、意思能力(同法3条の2)と、胎児の権利能力に関する個別の規定(同法721条・886条・965条)及び胎児の認知(同法783条)を問うものであり、誤っているのはイ・エ・オの3つである。
ア 正しい。民法3条1項は、「私権の享有は、出生に始まる。」と定め、同条2項は、「外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
イ 誤り。民法3条の2は、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」と定めている。意思能力を有しなかった場合の効果は無効であり、取り消すことができるとする本肢は誤りである。
ウ 正しい。民法721条は、「胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。」と定め、同法711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」と定めている。父の生命が侵害された当時胎児であった子も、同法721条により損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされるから、出生後、同法711条の「子」として加害者に対し損害の賠償を請求することができる。本肢は正しい。
エ 誤り。民法886条1項は、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」と定め、同法965条は、「第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。」と定めている。しかし、同法886条2項は、「前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。」と定めている。したがって、胎児が死体で生まれたときは、相続について既に生まれたものとはみなされないから、本肢は誤りである。
オ 誤り。民法783条1項は、「父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。」と定めている。胎児の認知には母の承諾が必要であるから、母の承諾を要しないとする本肢は誤りである。なお、同条2項は、「前項の子が出生した場合において、第七百七十二条の規定によりその子の父が定められるときは、同項の規定による認知は、その効力を生じない。」と定めている。
ポイント:胎児は、権利能力の原則(民法3条1項)の例外として、損害賠償の請求権(同法721条)、相続(同法886条1項)、遺贈(同法965条による準用)について既に生まれたものとみなされるが、死体で生まれたときは相続についてこの扱いを受けない(同法886条2項)。意思能力を欠く法律行為は「取り消すことができる」ではなく「無効」(同法3条の2)であり、胎児の認知には母の承諾が要る(同法783条1項)と、効果と要件の文言で整理する。
問題:
抵当権の順位の変更、被担保債権の範囲、抵当権の処分及び抵当不動産の第三取得者に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができ、利害関係を有する者があるときはその承諾を得なければならないが、順位の変更は、その登記をしなければ第三者に対抗することができないにとどまり、当事者間では、合意の時にその効力を生ずる。
イ. 抵当権者は、利息を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使することができるが、債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有するときは、利息とは別に、その最後の2年分についても抵当権を行使することができる。
ウ. 抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。また、抵当権の処分は、民法467条の規定に従い、主たる債務者に通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
エ. 抵当不動産について地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。また、主たる債務者の保証人は、抵当不動産を取得した場合であっても、抵当権消滅請求をすることができない。
オ. 抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に抵当権消滅請求をしなければならず、民法383条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者が、その送付を受けた後3箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、その債権者は、第三取得者が提供した代価又は金額を承諾したものとみなされる。
答え:
正しいものは、ウ・エの2つである。
解説:
本問は、抵当権の順位の変更(民法374条)、被担保債権の範囲(同法375条)、抵当権の処分とその対抗要件(同法376条・377条)、代価弁済(同法378条)及び抵当権消滅請求(同法379条以下)の規定を問うものであり、正しいのはウ・エの2つである。
ア 誤り。民法374条1項は、「抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。」と定め、同条2項は、「前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。」と定めている。順位の変更の登記は、第三者に対する対抗要件ではなく効力発生要件であるから、当事者間では合意の時に効力を生ずるとする本肢は誤りである。
イ 誤り。民法375条1項は、「抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。」と定め、同条2項は、「前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。」と定めている。損害の賠償については、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができないから、利息とは別に最後の2年分について抵当権を行使することができるとする本肢は誤りである。
ウ 正しい。民法376条1項は、「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。」と定め、同条2項は、「前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。」と定めている。また、同法377条1項は、「前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同条2項は、「主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。」と定めている。
エ 正しい。民法378条は、「抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。」と定めている。また、同法380条は、「主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同法381条は、「抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。」と定めている。
オ 誤り。民法382条は、「抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。」と定めており、本肢の前半はこの規定のとおりである。しかし、同法384条は、「次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。」と定め、同条1号は、「その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。」を掲げている。期間は3箇月ではなく2箇月であるから、本肢は誤りである。なお、同法386条は、「登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。」と定めている。
ポイント:抵当権の順位の変更は、利害関係人の承諾と登記が要り、登記は効力発生要件である(民法374条2項)。被担保債権の範囲は、利息その他の定期金と損害の賠償を通算して最後の2年分(同法375条)、抵当権の処分の対抗要件は主たる債務者への通知又はその承諾(同法377条1項)である。代価弁済は所有権又は地上権を買い受けた第三者(同法378条)、抵当権消滅請求は主たる債務者・保証人とその承継人には認められず(同法380条)、競売による差押えの効力発生前に(同法382条)、書面送付後2箇月のみなし承諾(同法384条1号)と、主体・時期・数字を条文の文言で押さえる。
問題:
遺言能力、遺言の証人、共同遺言及び遺言書の検認に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例の趣旨に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 16歳の未成年者は、法定代理人の同意を得ることなく、単独で遺言をすることができ、その遺言は、法定代理人の同意を得ていないことを理由として取り消すことができない。
イ. 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、家庭裁判所の許可を得たうえで、医師1人以上の立会いがなければならない。
ウ. 遺言者の推定相続人の配偶者は、遺言の証人となることができないが、受遺者の直系血族は、遺言の証人となることができる。
エ. 同一の証書に二人の遺言が記載されている場合は、そのうちの一方につき氏名を自書しない方式の違背があるときでも、その遺言は、民法975条により禁止された共同遺言に当たる。
オ. 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないが、公正証書による遺言及び遺言書保管所に保管されている遺言書については、この規定は適用されない。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
答え:
正しいものは、ア・エ・オの3つである。
解説:
本問は、遺言能力(民法961条〜963条)、成年被後見人の遺言(同法973条)、証人及び立会人の欠格事由(同法974条)、共同遺言の禁止(同法975条)及び遺言書の検認(同法1004条)を問うものであり、正しいのはア・エ・オの3つである。
ア 正しい。民法961条は、「十五歳に達した者は、遺言をすることができる。」と定め、同法962条は、「第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。」と定めている。未成年者の法律行為に法定代理人の同意を要し、同意を得ないでした法律行為を取り消すことができるとする同法5条の規定は、遺言には適用されないから、15歳に達した16歳の未成年者は、法定代理人の同意を得ることなく単独で遺言をすることができ、同意を得ていないことを理由としてその遺言を取り消すことはできない。本肢は正しい。なお、同法963条は、「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。」と定めている。
イ 誤り。民法973条1項は、「成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。」と定めている。立会いを要する医師は2人以上であり、また、同項は家庭裁判所の許可を要件としていないから、本肢は誤りである。なお、同条2項本文は、「遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。」と定めている。
ウ 誤り。民法974条は、「次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。」と定め、同条2号は、「推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族」を掲げている。推定相続人の配偶者が証人となることができない点は正しいが、受遺者の直系血族も証人となることができないから、本肢は誤りである。なお、同条1号は「未成年者」を、同条3号は「公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」を掲げている。
エ 正しい。民法975条は、「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。」と定めている。最判昭和56年9月11日(民集35巻6号1013頁)の裁判要旨は、「同一の証書に二人の遺言が記載されている場合は、そのうちの一方につき氏名を自書しない方式の違背があるときでも、右遺言は、民法九七五条により禁止された共同遺言にあたる。」(要旨三)というものである。本肢は、この裁判要旨に沿っている。
オ 正しい。民法1004条1項は、「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。」と定め、同条2項は、「前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。」と定めている。また、法務局における遺言書の保管等に関する法律11条は、「民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。」と定めている。さらに、民法1004条3項は、「封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同法1005条は、「前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。」と定めている。
ポイント:遺言能力は15歳(民法961条)で、行為能力の制限に関する規定(同法5条・9条・13条・17条)は遺言に適用されない(同法962条)。成年被後見人の遺言は医師2人以上の立会い(同法973条1項)、証人の欠格は推定相続人・受遺者だけでなくその配偶者・直系血族にも及ぶ(同法974条2号)。共同遺言は一方に方式違背があっても禁止に当たり(最判昭和56年9月11日)、検認は公正証書遺言と遺言書保管所に保管されている遺言書には不要(同法1004条2項、遺言書保管法11条)と、数字・範囲・例外をセットで整理する。
問題:
不動産登記法に規定する用語の意義に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 不動産登記法上の「不動産の表示」には、表示に関する登記の登記事項のうち、登記原因及びその日付は含まれるが、登記の年月日は含まれない。
イ. 登記記録は、表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに作成される電磁的記録であり、表題部及び権利部に区分して作成される。
ウ. 「区分建物」とは、一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律2条3項に規定する専有部分であるものをいい、同法4条2項の規定により共用部分とされたものは含まれない。
エ. 「附属建物」とは、表題登記がある建物に附属する建物であって、当該表題登記がある建物と一体のものとして一個の建物として登記されるものをいう。
オ. 登記事項に錯誤があった場合に当該登記事項を訂正する登記は「更正の登記」であるが、登記事項に遺漏があった場合に当該登記事項を補う登記は「変更の登記」である。
答え:
誤っているものは、ウ・オの2つである。
解説:
本問は、不動産登記法2条の定義規定と、これに関連する同法12条・27条の規定を問うものであり、誤っているのはウ・オの2つである。
ア 正しい。不動産登記法2条2号は、「不動産の表示」の意義を、「不動産についての第二十七条第一号、第三号若しくは第四号、第三十四条第一項各号、第四十三条第一項、第四十四条第一項各号又は第五十八条第一項各号に規定する登記事項をいう。」と定めている。同法27条は、土地及び建物の表示に関する登記の登記事項として、1号で「登記原因及びその日付」、2号で「登記の年月日」を掲げているが、2条2号が掲げているのは27条の1号・3号・4号であり、2号は掲げられていない。したがって、「不動産の表示」には、登記原因及びその日付は含まれるが、登記の年月日は含まれない。本肢は正しい。
イ 正しい。不動産登記法2条5号は、「登記記録」の意義を、「表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに第十二条の規定により作成される電磁的記録(…)をいう。」と定め、同法12条は、「登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成する。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同法2条7号は「表題部」を「登記記録のうち、表示に関する登記が記録される部分をいう。」と、同条8号は「権利部」を「登記記録のうち、権利に関する登記が記録される部分をいう。」と定めている。
ウ 誤り。不動産登記法2条22号は、「区分建物」の意義を、「一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項の規定により共用部分とされたものを含む。)をいう。」と定めている。括弧書により、区分所有法4条2項の規定により共用部分とされたものも区分建物に含まれるから、これを含まないとする本肢は誤りである。
エ 正しい。不動産登記法2条23号は、「附属建物」の意義を、「表題登記がある建物に附属する建物であって、当該表題登記がある建物と一体のものとして一個の建物として登記されるものをいう。」と定めている。本肢は、同号のとおりである。
オ 誤り。不動産登記法2条15号は、「変更の登記」を「登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記をいう。」と定め、同条16号は、「更正の登記」を「登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記をいう。」と定めている。登記事項に遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記も、錯誤の場合と同じく更正の登記であって、変更の登記ではないから、本肢は誤りである。
ポイント:定義規定は、「不動産の表示」が27条のうち1号・3号・4号の登記事項を指し、2号の登記の年月日を含まないこと、区分建物には区分所有法4条2項により共用部分とされたものを含むこと、更正の登記は錯誤と遺漏の双方を対象とすることのように、条文の括弧書や号の範囲で差がつく箇所を押さえる。
問題:
登記所の管轄に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合において、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所の指定がされるまでの間は、登記の申請は、当該二以上の登記所のうち、一の登記所にすることができる。
イ. 不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合には、当該不動産に関する登記の事務は、当該二以上の登記所のうち最初に登記の申請を受けた登記所がつかさどる。
ウ. 不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合において、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所に指定された登記所の登記官は、当該指定に係る不動産について登記を完了したときは、速やかに、その旨を他の登記所に通知するものとされている。
エ. 不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合において、登記所の指定がされる前に一の登記所に登記の申請がされ、その後、他の登記所が当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所に指定されたときは、申請を受けた登記所の登記官は、当該申請を却下しなければならない。
オ. 不動産の所在地が甲登記所の管轄から乙登記所の管轄に転属したときは、甲登記所の登記官は、当該不動産の登記記録並びに地図等及び登記簿の附属書類を乙登記所に移送し、移送した登記記録並びに電磁的記録に記録されている地図等及び土地所在図等を閉鎖するものとされている。
答え:
誤っているものは、イ・エの2つである。
解説:
本問は、登記所の管轄に関する不動産登記法6条と、管轄区域がまたがる場合の移送等(不動産登記規則40条)及び管轄転属による移送(同規則32条)を問うものであり、誤っているのはイ・エの2つである。
ア 正しい。不動産登記法6条2項は、「不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合は、法務省令で定めるところにより、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定する。」と定め、同条3項は、「前項に規定する場合において、同項の指定がされるまでの間、登記の申請は、当該二以上の登記所のうち、一の登記所にすることができる。」と定めている。本肢は、同条3項のとおりである。なお、同条1項は、「登記の事務は、不動産の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。」と定めている。
イ 誤り。肢アのとおり、不動産登記法6条2項は、不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合には、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定すると定めている。最初に登記の申請を受けた登記所が当然に登記の事務をつかさどるとする規定はないから、本肢は誤りである。同条3項は、指定がされるまでの間の申請先を定めたものであり、その申請を受けた登記所が登記の事務をつかさどる登記所となることを定めたものではない(肢エ参照)。
ウ 正しい。不動産登記規則40条3項は、「法第六条第二項の登記所に指定された登記所の登記官は、当該指定に係る不動産について登記を完了したときは、速やかに、その旨を他の登記所に通知するものとする。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。なお、同条4項は、「前項の通知を受けた登記所の登記官は、適宜の様式の帳簿にその通知事項を記入するものとする。」と定めている。
エ 誤り。不動産登記規則40条1項は、「法第六条第三項の規定に従って登記の申請がされた場合において、他の登記所が同条第二項の登記所に指定されたときは、登記の申請を受けた登記所の登記官は、当該指定がされた他の登記所に当該申請に係る事件を移送するものとする。」と定め、同条2項は、「登記官は、前項の規定により事件を移送したときは、申請人に対し、その旨を通知するものとする。」と定めている。この場合に定められているのは事件の移送と申請人への通知であって、申請の却下ではないから、本肢は誤りである。
オ 正しい。不動産登記規則32条1項は、「不動産の所在地が甲登記所の管轄から乙登記所の管轄に転属したときは、甲登記所の登記官は、当該不動産の登記記録(共同担保目録及び信託目録を含む。次項において同じ。)並びに地図等及び登記簿の附属書類(電磁的記録に記録されている地図等及び登記簿の附属書類を含む。)を乙登記所に移送するものとする。」と定め、同条2項は、「前項の場合において、甲登記所の登記官は、移送した登記記録並びに電磁的記録に記録されている地図等及び土地所在図等を閉鎖するものとする。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ポイント:管轄区域がまたがる不動産は、登記所の指定をするのが法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長であること、指定前はいずれか一の登記所に申請でき、後に他の登記所が指定されたときは却下ではなく事件の移送と申請人への通知になること、指定登記所は登記完了を他の登記所に通知することを、管轄転属の場合の移送・閉鎖と区別して押さえる。
問題:
土地家屋調査士試験に関する次の記述のうち、土地家屋調査士法の規定に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 法務大臣は、毎年1回以上、土地家屋調査士試験を行わなければならず、その試験の実施については、国土交通大臣の同意を得なければならない。
イ. 土地家屋調査士試験は、筆記及び口述の方法により行い、口述試験は、筆記試験に合格した者につき、申請手続及び審査請求の手続に関する知識について行う。
ウ. 一級建築士となる資格を有する者は、その申請により、土地及び家屋の調査及び測量に関する事項についての筆記試験の免除を受けることができるが、二級建築士となる資格を有する者は、この免除を受けることができない。
エ. 筆記試験に合格した者は、その申請により、次回の土地家屋調査士試験の筆記試験の免除を受けることができるが、その後に行われる土地家屋調査士試験においては、筆記試験の免除を受けることができない。
オ. 法務省に、土地家屋調査士試験の問題の作成及び採点を行わせるため、土地家屋調査士試験委員が置かれ、土地家屋調査士試験委員は、試験を行うについて必要な学識経験のある者のうちから、試験ごとに、法務大臣が任命する。
答え:
正しいものは、イ・オの2つである。
解説:
本問は、土地家屋調査士試験の方法・内容・免除(土地家屋調査士法6条)と土地家屋調査士試験委員(同法7条)を問うものであり、正しいのはイ・オの2つである。
ア 誤り。土地家屋調査士法6条1項は、「法務大臣は、毎年一回以上、土地家屋調査士試験を行わなければならない。」と定め、同条6項は、「法務大臣は、第一項の試験の実施について国土交通大臣の意見を聴かなければならない。」と定めている。国土交通大臣については意見を聴くことが定められているのであって、その同意を得なければならないとはされていないから、本肢は誤りである。
イ 正しい。土地家屋調査士法6条2項は、「前項の試験は、筆記及び口述の方法により行う。」と定め、同条3項は、「筆記試験は、不動産の表示に関する登記について必要な次に掲げる事項に関する知識及び技能について行う。」として、1号で「土地及び家屋の調査及び測量」、2号で「申請手続及び審査請求の手続」を掲げている。同条4項は、「口述試験は、筆記試験に合格した者につき、前項第二号に掲げる事項に関する知識について行う。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ウ 誤り。土地家屋調査士法6条5項は、「次の各号に掲げる者に対しては、その申請により、それぞれ当該各号に定める試験を免除する。」と定め、同項1号は、「測量士若しくは測量士補又は一級建築士若しくは二級建築士となる資格を有する者」について、「第三項第一号に掲げる事項についての筆記試験」を掲げている。二級建築士となる資格を有する者も同号に掲げられており、同条3項1号の「土地及び家屋の調査及び測量」に関する事項についての筆記試験の免除を受けることができるから、本肢は誤りである。
エ 誤り。土地家屋調査士法6条5項2号は、「筆記試験に合格した者」について、「次回の第一項の試験の筆記試験及びその後に行われる第一項の試験における前号に定める筆記試験」を掲げている。筆記試験に合格した者は、次回の試験の筆記試験の免除を受けることができるほか、その後に行われる試験においても、同項1号に定める筆記試験(同条3項1号の土地及び家屋の調査及び測量に関する事項についての筆記試験)の免除を受けることができるから、その後の試験では筆記試験の免除を受けることができないとする本肢は誤りである。
オ 正しい。土地家屋調査士法7条1項は、「法務省に、前条第一項の試験の問題の作成及び採点を行なわせるため、土地家屋調査士試験委員を置く。」と定め、同条2項は、「土地家屋調査士試験委員は、前条第一項の試験を行なうについて必要な学識経験のある者のうちから、試験ごとに、法務大臣が任命する。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ポイント:土地家屋調査士試験は、試験を行うのは法務大臣で、国土交通大臣は試験の実施について意見を聴く相手であること、口述試験は申請手続及び審査請求の手続に関する知識のみ、免除は測量士・測量士補・一級建築士・二級建築士となる資格を有する者が調査及び測量の筆記試験、筆記試験合格者が次回の筆記試験とその後の調査及び測量の筆記試験、という対応で、主体と範囲を条文の文言のまま整理する。
問題:
筆界特定の手続に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 筆界特定の申請があった場合に筆界特定登記官がする公告は、法務局若しくは地方法務局の掲示場その他法務局若しくは地方法務局内の公衆の見やすい場所に掲示して行う方法又はインターネットを使用する所定の方法により、2週間行うものとされている。
イ. 筆界特定の申請人及び関係人に対し、対象土地の筆界について意見を述べ、又は資料を提出する機会を与えるための期日は、対象土地の所在地を管轄する登記所において開かなければならず、それ以外の場所において開くことはできない。
ウ. 筆界特定登記官は、意見聴取等の期日において、発言を許し、又はその指示に従わない者の発言を禁ずることができ、また、適当と認める者に意見聴取等の期日の傍聴を許すことができる。
エ. 筆界特定の申請人又は関係人が筆界特定登記官に対して書面で資料を提出したときは、筆界特定の手続が終了するまでの間は、当該資料の還付を請求することができない。
オ. 筆界特定書に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、筆界特定登記官は、いつでも、当該筆界特定登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得ることなく、これを更正することができる。
答え:
誤っているものは、イ・エ・オの3つである。
解説:
本問は、筆界特定の手続のうち、申請の公告、意見聴取等の期日、資料の還付及び筆界特定書の更正に関する不動産登記規則の規定を問うものであり、誤っているのはイ・エ・オの3つである。
ア 正しい。不動産登記法133条1項本文は、筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、その旨を関係人に通知しなければならないと定めている。これを受けて、不動産登記規則217条1項は、「法第百三十三条第一項の規定による公告は、法務局若しくは地方法務局の掲示場その他法務局若しくは地方法務局内の公衆の見やすい場所に掲示して行う方法又は法務局若しくは地方法務局の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法であってインターネットに接続された自動公衆送信装置を使用する方法により二週間行うものとする。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。なお、同法133条1項ただし書は、同法132条1項の規定により当該申請を却下すべき場合は、この限りでないと定めている。
イ 誤り。不動産登記法140条1項は、筆界特定登記官は、同法133条1項本文の規定による公告をした時から筆界特定をするまでの間に、筆界特定の申請人及び関係人に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、対象土地の筆界について、意見を述べ、又は資料(電磁的記録を含む。)を提出する機会を与えなければならないと定めている。そして、不動産登記規則222条は、「法第百四十条第一項の期日(以下「意見聴取等の期日」という。)は、法務局又は地方法務局、対象土地の所在地を管轄する登記所その他筆界特定登記官が適当と認める場所において開く。」と定めている。対象土地の所在地を管轄する登記所に限られず、法務局又は地方法務局その他筆界特定登記官が適当と認める場所で開くこともできるから、本肢は誤りである。
ウ 正しい。不動産登記規則224条1項は、「筆界特定登記官は、意見聴取等の期日において、発言を許し、又はその指示に従わない者の発言を禁ずることができる。」と定め、同条3項は、「筆界特定登記官は、適当と認める者に意見聴取等の期日の傍聴を許すことができる。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同条2項は、筆界特定登記官は、意見聴取等の期日の秩序を維持するため必要があるときは、その秩序を妨げ、又は不穏な言動をする者を退去させることができると定めている。
エ 誤り。不動産登記法139条1項前段は、「筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見又は資料を提出することができる。」と定めている。不動産登記規則221条1項は、「法第百三十九条第一項の規定により資料(第二百十九条各号に掲げる方法によって提出したものを除く。以下この条において同じ。)を提出した申請人又は関係人は、当該資料の還付を請求することができる。」と定め、同条2項は、「筆界特定登記官は、前項の規定による請求があった場合において、当該請求に係る資料を筆界特定をするために留め置く必要がなくなったと認めるときは、速やかに、これを還付するものとする。」と定めている。同規則219条は、同法139条2項の電磁的方法として、電子情報処理組織を使用して情報を送信する方法、磁気ディスクその他の電磁的記録を提出する方法等を定めているから、書面で提出した資料は、同規則221条1項の括弧書により除外されるものに当たらない。還付の請求をすることについて、筆界特定の手続が終了するまでの間はできないとする制限は定められておらず、筆界特定登記官は、留め置く必要がなくなったと認めるときは速やかに還付するものとされているから、本肢は誤りである。なお、同規則225条は、同規則221条の規定を、意見聴取等の期日において申請人又は関係人が資料を提出する場合について準用している。
オ 誤り。不動産登記規則246条1項は、「筆界特定書に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、筆界特定登記官は、いつでも、当該筆界特定登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得て、更正することができる。」と定めている。更正は、いつでもすることができるが、当該筆界特定登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得てするものであるから、許可を得ることなく更正することができるとする本肢は誤りである。
ポイント:筆界特定の手続の細目は、公告は掲示又はインターネットにより2週間、意見聴取等の期日の場所は法務局又は地方法務局・対象土地の所在地を管轄する登記所その他筆界特定登記官が適当と認める場所、期日の傍聴は筆界特定登記官が適当と認める者に許すことができ、提出資料は還付を請求でき留め置く必要がなくなれば速やかに還付、筆界特定書の更正は監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得ていつでも、と規則の文言で整理する。
問題:
登記記録の編成及び管理に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 区分建物である建物の登記記録において、共用部分である旨は、一棟の建物の表題部の原因及びその日付欄に記録される。
イ. 登記官は、登記を移記し、又は転写するときは、法令に別段の定めがある場合を除き、現に効力を有する登記のみを移記し、又は転写しなければならず、登記を移記したときは、移記前の登記記録を閉鎖しなければならない。
ウ. 登記官は、登記記録に記録されている事項が過多となったことその他の事由により取扱いが不便となったときは、登記を移記することができるが、この場合であっても、現に効力を有しない登記を移記することはできない。
エ. 土地の登記記録の表題部の地図番号欄には、地図の番号又は図郭の番号のほか、筆界特定の年月日及び手続番号が記録される。
オ. 法務大臣は、登記記録に記録されている事項と同一の事項を記録する副登記記録を調製するものとされ、登記官は、登記簿に記録した登記記録によって登記の事務を行うことができないときは、副登記記録によってこれを行うことができ、この場合において、副登記記録に記録した事項は、登記記録に記録した事項とみなされる。
答え:
正しいものは、イ・エ・オの3つである。
解説:
本問は、登記記録の表題部の編成(不動産登記規則4条・別表一・別表三)、移記・転写(同規則5条・6条)及び副登記記録(同規則9条)を問うものであり、正しいのはイ・エ・オの3つである。
ア 誤り。不動産登記規則4条3項は、「区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。」と定めている。別表三は、区分建物の表題部の専有部分の建物の表示欄のうち原因及びその日付欄に記録する事項として、区分建物に係る登記の登記原因及びその日付とともに、「共用部分である旨」及び「団地共用部分である旨」を掲げており、一棟の建物の表題部の各欄には、これらを掲げていない。したがって、共用部分である旨は、区分建物の表題部の原因及びその日付欄に記録されるのであって、一棟の建物の表題部の原因及びその日付欄に記録されるとする本肢は誤りである。
イ 正しい。不動産登記規則5条1項は、「登記官は、登記を移記し、又は転写するときは、法令に別段の定めがある場合を除き、現に効力を有する登記のみを移記し、又は転写しなければならない。」と定め、同条3項は、「登記官は、登記を移記したときは、移記前の登記記録を閉鎖しなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同条2項は、「登記官は、登記を移記し、又は転写したときは、その年月日を新たに記録した登記の末尾に記録しなければならない。」と定めている。
ウ 誤り。不動産登記規則6条は、「登記官は、登記記録に記録されている事項が過多となったことその他の事由により取扱いが不便となったときは、登記を移記することができる。この場合には、表示に関する登記及び所有権の登記であって現に効力を有しないものも移記することができる。」と定めている。同条後段により、表示に関する登記及び所有権の登記であって現に効力を有しないものも移記することができるから、現に効力を有しない登記を移記することはできないとする本肢は誤りである。
エ 正しい。不動産登記規則4条1項は、「土地の登記記録の表題部は、別表一の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。」と定めている。別表一は、地図番号欄に記録する事項として、「地図の番号又は図郭の番号並びに筆界特定の年月日及び手続番号」を掲げている。本肢は、これらの規定のとおりである。
オ 正しい。不動産登記規則9条1項は、「法務大臣は、登記記録に記録されている事項(共同担保目録及び信託目録に記録されている事項を含む。)と同一の事項を記録する副登記記録を調製するものとする。」と定め、同条2項は、「登記官は、登記簿に記録した登記記録によって登記の事務を行うことができないときは、前項の副登記記録によってこれを行うことができる。この場合において、副登記記録に記録した事項は、登記記録に記録した事項とみなす。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同条3項は、登記官は、登記簿に記録した登記記録によって登記の事務を行うことができるようになったときは、直ちに、同条2項の規定により副登記記録に記録した事項を登記記録に記録しなければならないと定めている。
ポイント:登記記録の管理は、移記・転写は現に効力を有する登記のみが原則で、記録事項過多による移記は表示に関する登記及び所有権の登記であって現に効力を有しないものも移記できること、副登記記録は法務大臣が調製し、登記記録によって事務を行えないときに登記官が用いることを押さえ、表題部の欄については、地図番号欄に筆界特定の年月日及び手続番号が記録されること、共用部分である旨は区分建物の表題部の原因及びその日付欄に記録されることを、規則の別表で確認する。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 民法(総則・権利能力) | 権利能力の始期と外国人の私権、意思能力を欠く法律行為の効果、胎児の権利能力(損害賠償・相続・遺贈)、胎児の認知 | 民法3条1項・2項、3条の2、711条、721条、783条1項・2項、886条、965条 |
| 第2問 | 民法(物権・抵当権) | 抵当権の順位の変更、被担保債権の範囲(最後の2年分)、抵当権の処分と対抗要件、代価弁済、抵当権消滅請求(請求できない者・時期・みなし承諾) | 民法374条〜378条、380条〜382条、384条、386条 |
| 第3問 | 民法(相続・遺言) | 遺言能力、成年被後見人の遺言、証人及び立会人の欠格事由、共同遺言の禁止、遺言書の検認と開封 | 民法961条〜963条、973条〜975条、1004条、1005条、遺言書保管法11条 |
| 第4問 | 不動産登記法(定義規定) | 不動産の表示の範囲、登記記録・表題部・権利部、区分建物と規約共用部分、附属建物、変更の登記と更正の登記 | 不動産登記法2条2号・5号・7号・8号・15号・16号・22号・23号、12条、27条 |
| 第5問 | 不動産登記法・同規則(登記所の管轄) | 管轄区域がまたがる不動産の登記所の指定、指定前の申請先、指定後の事件の移送と申請人への通知、指定登記所の登記完了の通知、管轄転属による移送と閉鎖 | 不動産登記法6条、不動産登記規則32条、40条 |
| 第6問 | 土地家屋調査士法(土地家屋調査士試験) | 試験の実施と国土交通大臣の意見、筆記試験と口述試験の内容、測量士・建築士等の筆記試験の免除、筆記試験合格者の免除、土地家屋調査士試験委員 | 土地家屋調査士法6条、7条 |
| 第7問 | 不動産登記法・同規則(筆界特定の手続) | 申請の公告の方法と期間、意見聴取等の期日の場所、期日における筆界特定登記官の権限と傍聴、提出資料の還付請求、筆界特定書の更正 | 不動産登記法133条1項、139条1項、140条1項、不動産登記規則217条1項、219条、221条、222条、224条、225条、246条1項 |
| 第8問 | 不動産登記規則(登記記録の編成・管理) | 区分建物の表題部と共用部分である旨の記録欄、移記・転写の原則、記録事項過多による移記、地図番号欄の記録事項、副登記記録 | 不動産登記規則4条1項・3項、5条、6条、9条、別表一、別表三 |