この記事の要点
- 相談中に分からない言葉が出てきたら、その場で聞き返してかまわない。意味がずれたまま答えると、事実の確認が食い違うおそれがある
- 聞き方のコツは「言葉をそのまま繰り返して尋ねる」「自分の言葉で言い直して確かめる」「自分の家族に当てはめてもらう」の3つ
- 被相続人・法定相続人・登記名義人・遺産分割協議など、相続の相談でよく出る言葉の言い換えを知っておくと、聞き取りやすくなる
相続の相談では、ふだん使わない言葉がいくつも出てきます。「話の腰を折るのは悪い」「こんなことも知らないのかと思われたくない」と、分からないまま聞き流してしまう方もいるかもしれません。結論から言うと、分からない言葉はその場で聞き返してかまいません。
「聞き返してよい」ことは、依頼前の「重要な事項の説明」や高齢の家族と相談に行くときの配慮の記事でも一言触れました。この記事では、具体的な聞き方のコツと、相続の相談でよく出る言葉の言い換えに絞って整理します。
分からないまま進めると、答えがずれることがある
相談は、聞かれたことに答えながら事実を確認していくやり取りです。言葉の意味を取り違えたまま答えると、確認したつもりの事実が食い違ってしまうことがあります。たとえば「法定相続人は誰ですか」と聞かれて、同居している家族だけを思い浮かべて答えてしまう、といった行き違いです。
また、分からない言葉が残ったままだと、帰宅後に家族へ説明するときにも困ります。分からないまま進めるより、その場で確かめたほうが、相談の時間を有効に使えます。
聞き返し方の3つのコツ
- 言葉をそのまま繰り返して尋ねる:「今の『登記名義人』というのは、どういう意味ですか」と、引っかかった言葉をそのまま口にすると、どこが分からないのかが相手に伝わりやすくなります。
- 自分の言葉で言い直して確かめる:「つまり、話し合いで誰が家を受け継ぐかを決める、ということですか」と言い直してみると、理解が合っているかどうかをその場で確かめられます。
- 自分の家族に当てはめてもらう:「うちの場合だと、誰がそれにあたりますか」と尋ねると、一般論ではなく自分のケースに引きつけて理解できます。
その場で聞きそびれた言葉は、メモに書き留めておき、区切りのよいところでまとめて尋ねてもかまいません。メモの取り方は相談中にメモを取っても録音してもいい?で整理しています。
相続の相談でよく出る言葉の言い換え例
- 被相続人:亡くなった方のこと。財産を残して、相続される側の人です。
- 法定相続人:民法の定めによって相続人になる人のこと。配偶者は常に相続人となり、そのほかに子(子が先に亡くなっている場合などは、その子に代わって孫など)、子の側に相続人がいなければ親などの直系尊属、それもいなければ兄弟姉妹、という順番で決まります。
- 登記名義人:登記記録(いわゆる登記簿)に、その不動産の所有者などの権利者として名前が記録されている人のこと。親が亡くなったあとも、名義が親のまま残っていることがあります。
- 遺産分割協議:相続人どうしで話し合い、遺産をだれがどのように受け継ぐかを決めることです。
ここに挙げたのは、おおまかな意味をつかむための言い換えです。実際の範囲や順番には細かな決まりがあるため、自分のケースにどう当てはまるかは、相談の場で確かめてください。執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。
まとめ
相続の相談中に分からない言葉が出てきたら、その場で聞き返してかまいません。言葉をそのまま繰り返して尋ねる、自分の言葉で言い直して確かめる、自分の家族に当てはめてもらう、という3つの聞き方を覚えておくと、遠慮せずに確かめやすくなります。言葉の意味や手続きの進め方に迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。
- 民法 第887条・第889条・第890条(相続人の範囲と順位)・第907条(遺産の分割の協議)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 不動産登記法 第2条(登記名義人の定義)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123