この記事の要点

  • 相談中にメモを取ること自体は基本的に問題なく、「メモを取らせていただいてよいですか」と一言添えれば失礼にはあたりません
  • 録音・録画は、無断で行わず事前に確認するのが一般的なマナーとされています
  • 司法書士には秘密保持義務がありますが、これは司法書士側が負う義務であり、相談者自身が記録した内容の管理にも気を配ると安心です

初回相談では、「言われたことを覚えていられるだろうか」「あとで家族にきちんと説明できるだろうか」という不安から、メモを取っておきたい、あるいは録音しておきたいと考える方が少なくありません。ただ、面談の場でどこまでしてよいのか迷う声もよく聞きます。この記事では、相談を記録するときの一般的な心得を整理します。

メモは一言添えれば問題ない

相談中に自分のためのメモを取ること自体は、基本的に問題ありません。むしろ、聞いた話をあとで振り返るために役立ちます。ただ、断りなく手元でメモを取り始めるより、「メモを取らせていただいてもよいですか」と一言添えるほうが、話す側も内容の伝え方を合わせやすくなります。弁護士会の相談窓口の案内でも、相談中は逐次メモを取ることを勧め、結論や今後の流れは特に確認しながら書き留めるよう案内されている例があります。司法書士の相談でも、基本的な考え方は変わらないと考えてよいでしょう。

録音・録画は、事前の確認が基本

一方、録音や録画はメモとは扱いが異なります。弁護士会の相談窓口の案内では、録音・録画は相談を担当する弁護士に事前に確認し、その指示に従うよう求めている例があります。無断で録音していたことがあとで分かると、内容そのものに問題がなくても、その後の信頼関係に影響しかねません。録音しておきたい事情があるときは、相談の冒頭で「録音してもよいですか」と尋ね、了承を得てから行うのが基本的なマナーです。断られることも当然あり得ますが、それ自体は不自然なことではありません。

秘密保持義務は「司法書士側」の義務

司法書士には、司法書士法第24条により秘密保持の義務が課されています。条文は「司法書士又は司法書士であつた者は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱つた事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない」と定めており、義務を負うのは現役の司法書士だけではありません。事務所を離れたあとも、廃業したあとも、相談で知った秘密を漏らしてはならない義務は続きます。

違反した場合の罰則は、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(同法第76条第1項)。なお、この刑の種類は、懲役と禁錮を「拘禁刑」に一本化する刑法改正にあわせた関係法律の整備(令和4年法律第68号)が令和7年6月1日に施行されたことに伴い、それまでの「懲役」から改められたものです。また、この罪は告訴がなければ起訴できない親告罪とされています(同条第2項)。

これは司法書士が依頼者の秘密を漏らさないための義務であり、相談者自身がメモや録音で自分のための記録を残すことを制限するものではありません。ただし、相談の内容には他の相続人など第三者に関する情報が含まれることもあるため、取ったメモや録音データをどこまで、誰と共有するかは、相談者自身も気に留めておくとよいでしょう。記録した内容を家族と共有するときの整理のしかたは、聞いた話を同席しなかった家族にどう伝える?で扱っています。

執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

  • メモは基本的に自由に取ってよく、「取らせていただいてよいですか」と一言添えれば十分です
  • 録音・録画は無断で行わず、事前に確認して了承を得るのが一般的なマナーです
  • 司法書士の秘密保持義務は司法書士側の義務であり、記録した内容の管理には相談者自身も配慮するとよいでしょう

メモの取り方や録音の可否についての具体的な対応は、事務所によって異なります。迷ったときは、相談の予約時や面談の冒頭で率直に確認し、分からないことがあればお近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年9月)。

※ 次の資料は一次情報ではなく、法律事務所の解説記事(二次資料)ですが、内容確認の参考にしたため一次情報と区別して掲載しています。

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