この記事の要点

  • 相談前に用意すると役に立つのは、正式な図ではなく亡くなった方を中心に家族の名前を並べただけの手書きメモで十分
  • 書く項目の目安は、配偶者/子/先に亡くなった人/(子がいなければ)親・兄弟姉妹/再婚・養子縁組・認知の有無/連絡が取れない人
  • 分からないところは空欄のままでよい。戸籍を取り寄せて相続人を確定するのは司法書士側の仕事で、メモはその出発点になる

相続の相談に行く前に、紙一枚に家族の名前を書き出しておくと、初回相談の話は目に見えて早く進みます。用意するのは、きれいに整った図である必要はまったくありません。亡くなった方を真ん中に置いて、配偶者と子の名前を線でつないだだけの走り書きで十分です。

ここでいう家族構成メモは、登記や金融機関の手続きに提出する正式な書類ではありません。提出用の図には相続関係説明図と法定相続情報一覧図という別のものがあり、それぞれ役割と書き方が決まっています。相談前のメモは、あくまで話をするための下書きです。

書いておきたい項目

  • 亡くなった方の氏名と、亡くなった日(日付は「令和○年の春ごろ」といった程度でも構いません)
  • 配偶者がいるか、いる場合は存命か
  • が何人いるか、それぞれ存命か
  • 先に亡くなっている人がいれば、その人に子(亡くなった方から見た孫)がいるか
  • 子がいない場合は、親が存命か、兄弟姉妹が何人いるか
  • 再婚・養子縁組・認知があるか(前の配偶者との間の子、養子、認知した子)
  • 連絡が取れない人・所在が分からない人がいるか

この7つを書き出すだけで、相談の入口はかなり違ってきます。誰が相続人になるかは、民法が家族の形ごとに定めているからです。配偶者は常に相続人になり(民法890条)、子がいれば子が相続人になります(同887条1項)。子が亡くなった方より先に亡くなっていれば、その子(孫)が代わって相続人になります(同887条2項。代襲相続といいます)。子も、代わって相続人になる孫などもいないときは直系尊属(親や祖父母)、それもいないときは兄弟姉妹という順になります(同889条1項)。

つまり、家族の形が変わると、相続人の範囲も、集める戸籍の範囲も変わります。最初にその形が見えているかどうかで、同じ時間の相談でも話せる中身の濃さが変わります。

前の結婚のことや認知のことは、口に出しにくく感じるかもしれません。ただ、これは相談で言いにくいことほど先に伝えたい理由と同じで、相続人の範囲に直接かかわる事実です。メモに一言添えておけば、その場で切り出す負担も軽くなります。

分からないところは空欄でよい

いざ書き始めると、「叔父の名前の漢字が思い出せない」「いとこが何人いるか知らない」と手が止まりがちです。そこは空欄のままで構いません。 むしろ、分からない部分に「?」を付けておくほうが役に立ちます。

相続人が誰かを最終的に確定させるのは、記憶ではなく戸籍です。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をたどって相続人を確認していく作業は、依頼を受けた司法書士側が行います。手書きのメモは戸籍の代わりではなく、どの市区町村に、どの範囲の戸籍を請求すればよいかの見当をつけるための出発点として使うものです。

ですから、記憶違いがあっても後から戸籍で正されます。書いた内容が間違っていたらどうしよう、と身構える必要はありません。また「連絡が取れない相続人がいる」「音信不通の兄弟がいる」という事情そのものが、手続きの進め方を左右する大切な情報です。空欄や「分からない」という記載は、足りない情報ではなく、それ自体が相談の材料になります。

本記事は、執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。

まとめ

相談前の家族構成メモは、手書きの走り書きで十分です。亡くなった方を中心に、配偶者・子・先に亡くなった人・親や兄弟姉妹・再婚や養子縁組の有無・連絡が取れない人を書き出しておくと、初回相談の聞き取りが早く進みます。分からないところは空欄のままで構いません。戸籍で相続人を確定するのは司法書士側の仕事です。メモを手に、お近くの司法書士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年9月・いずれも一次情報です)。

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