この記事の要点
- 住宅用家屋証明書は、マイホームの登記にかかる登録免許税を軽い税率にするために、登記申請書に添付する書類です
- 発行するのは税務署でも法務局でもなく、その家屋がある市区町村(役所の資産税課・税務課など)です
- 軽減は自動では受けられません。登記を申請する前に証明書を用意しておく必要があります
マイホームを新築したり買ったりすると、所有権の登記や住宅ローンの抵当権の登記をすることになり、国に**登録免許税(とうろくめんきょぜい)を納めます。一定の要件を満たす「自分が住むための家」については、この税率が本来より軽くなる仕組みがあり、その軽減を受けるための入場券にあたるのが住宅用家屋証明書(じゅうたくようかおくしょうめいしょ)**です。
なお、この記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。
何の税金が、どの登記で軽くなるのか
住宅用家屋の軽減は、租税特別措置法に定められています。おおまかに次の3つが対応しています。
| 登記の種類 | 根拠となる条文 | 場面 |
|---|---|---|
| 所有権の保存登記 | 租税特別措置法72条の2 | 新築した家に最初の所有者を記録するとき |
| 所有権の移転登記 | 同法73条 | 建売住宅・中古住宅を買って名義を移すとき |
| 抵当権の設定登記 | 同法75条 | 住宅ローンを組んで担保を設定するとき |
いずれも建物(家屋)についての軽減であり、土地の登録免許税は別の規定によります。ここを「土地も一緒に安くなる」と誤解しやすいので注意が必要です。
軽減後の税率は、所有権の保存で1000分の1.5、所有権の移転で1000分の3、抵当権の設定で1000分の1です。また、これらの軽減はいずれも適用期限のある時限措置で、現在の期限は3つとも令和9年3月31日までです(令和6年度税制改正で3年延長されたもの)。延長が繰り返されてきた制度なので、実際に登記をされる時点で最新の期限をご確認ください。
誰が発行し、どこで取るのか
発行するのは、その家屋の所在地の市区町村です。市役所・区役所・町村役場の資産税課や税務課といった窓口が担当していることが多く、名称は自治体によって異なります。法務局でも税務署でも発行されません。
申請できるのは、原則としてその家屋を取得した本人(またはその代理人)です。実務では、登記を依頼された司法書士が委任を受けて代理で取得し、そのまま登記申請書に添付する流れが一般的です。
いつ取るのか──「登記の前」が原則
ここがいちばん大切な点です。住宅用家屋証明書は、登記申請書に添付して初めて軽減が適用されます。登記が終わってから証明書を取っても、あとから差額の税金が戻ってくるわけではありません。軽減を受けるには証明書を登記の申請書に添付することが省令で定められているからです。同じ考え方は、国税不服審判所の裁決(裁判所の判決ではなく、税務上の不服申立てに対する行政の判断です)でも示されています。決済(代金の支払い)や引渡しの段取りの中で、登記申請より前に用意しておく必要があります。
もうひとつのタイミングの制約が、新築または取得の後1年以内に登記を受けることという要件です。引っ越しや資金の都合で登記を後回しにしているうちに1年を過ぎてしまうと、軽減が使えなくなるおそれがあります。
主な要件(一般的な整理)
軽減を受けられるのは、おおむね次のような要件を満たす場合とされています。
- 個人が自分で住むための家屋であること(別荘・投資用の賃貸物件は対象外)
- 床面積が50平方メートル以上であること(マンションなどの区分建物では、専ら住宅として使う部分の床面積で見ます)
- 原則として新築または取得後1年以内に登記を受けるものであること
- 中古住宅の場合、昭和57年1月1日以後に建築されたものであるか、または耐震基準に適合することが証明されたものであること
- 区分建物(マンションなど)については、耐火建築物・準耐火建築物などの構造に関する要件があること
必要書類も自治体によって案内が異なりますが、登記事項証明書または確認済証・検査済証、住民票の写しなどを求められるのが一般的です。まだ住民票を移していない場合の取扱いなど、細かい運用は市区町村ごとに違いがあるため、事前に窓口や司法書士に確認するのが安全です。
登録免許税は司法書士に、ほかの税は税理士に
登録免許税は、税理士法2条1項が税理士の仕事の対象としている税金から、かっこ書きで除外されています。そのため、登記手続きに伴う付随的な事務として司法書士が計算・案内しても税理士法に触れません。住宅用家屋証明書の要否や添付についても、登記の依頼先である司法書士に相談できます。詳しくは登録免許税は誰に相談する税金?でも整理しています。
一方で、マイホームの取得にはほかにも税金が関わります。登記の後に都道府県から納税通知書が届く不動産取得税や、確定申告で所得税から控除を受ける住宅ローン控除などです。これらは登録免許税とは別の制度で、要件の判定や税額の計算は税理士(または税務署・都道府県税事務所)の領域になります。名前だけは頭の片隅に置いておき、詳しい話はそれぞれの窓口へお尋ねください。
まとめ
住宅用家屋証明書は、マイホームの登記にかかる登録免許税を軽くするために市区町村が発行する書類です。発行は市区町村、添付先は法務局、そしてタイミングは登記の前、という3点を押さえておけば大きく外しません。要件にあてはまるかどうか、どの書類を集めればよいかは、住宅の種類や取得の経緯によって変わります。マイホームの登記をお考えのときは、決済の段取りが固まる前の段階で、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年9月・いずれも一次情報です)。
- 租税特別措置法 第72条の2・第73条・第75条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- 租税特別措置法 令和6年法律第8号(令和6年度税制改正)による改正後の版(e-Gov法令検索・適用期限の延長を改正前の版と対照): https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026/20240401_506AC0000000008
- 租税特別措置法施行令 第41条・第42条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/332CO0000000043
- 租税特別措置法施行規則 第25条・第25条の2・第27条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000040015
- 登録免許税法 第31条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035
- 税理士法 第2条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237
- 国税不服審判所 公表裁決事例 平成15年4月18日裁決(裁決事例集No.65 973頁): https://www.kfs.go.jp/service/JP/65/59/index.html
- 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm