問題:
筆界特定の手続に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、対象土地の所有権登記名義人等であって筆界特定の申請人以外のもの及び関係土地の所有権登記名義人等に通知しなければならない。ただし、当該申請を却下すべき場合は、この限りでない。
イ. 公告及び通知がされたときは、筆界特定登記官は、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を行うべき筆界調査委員を指定しなければならない。
ウ. 筆界調査委員は、対象土地の測量又は実地調査を行うときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を筆界特定の申請人及び関係人に通知して、これに立ち会う機会を与えなければならない。
エ. 筆界調査委員等が宅地又は垣、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合において、日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があるときであっても、当該土地に立ち入ることはできない。
オ. 筆界特定の申請人及び関係人は、公告があった時から筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間、筆界特定登記官に対し、当該筆界特定の手続において作成された調書及び提出された資料の閲覧を請求することができ、筆界特定登記官は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
答え:
誤っているものは、イ・エの2つである。
解説:
筆界特定の手続は、不動産登記法第6章第2節に置かれている。手続の主体には、①法務局又は地方法務局の長、②筆界特定登記官、③筆界調査委員の三者が登場し、どの行為をどの主体が行うのかが繰り返し問われる。「公告・通知・期日の主宰・筆界特定そのものは筆界特定登記官」「筆界調査委員の指定と他人の土地への立入りをさせることは法務局又は地方法務局の長」「事実の調査は筆界調査委員」という大枠を最初に固定しておくと、本節の条文は整理しやすい。もっとも、これは条文の文言そのものではなく学習上の整理であり、数人の筆界調査委員が単独で職務を行う場合の許可の主体は筆界特定登記官とされている(134条3項)ように例外もあるため、主体は条文ごとに確認したい。
アは正しい。不動産登記法133条1項は、筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、その旨を「次に掲げる者(以下「関係人」という。)」に通知しなければならないと定め、1号に「対象土地の所有権登記名義人等であって筆界特定の申請人以外のもの」、2号に「関係土地の所有権登記名義人等」を掲げている。同項ただし書は、132条1項の規定により当該申請を却下すべき場合を除外している。なお、関係人の所在が判明しないときは、掲示による通知が認められ、掲示を始めた日から2週間を経過したときに通知が到達したものとみなされる(同条2項)。ただし、この2項の通知の方法は、令和5年法律第63号(デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律)により令和8年5月21日から改められ、関係人の氏名又は名称等を法務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、書面を掲示場に掲示し又は法務局等に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとる方式となり、到達したものとみなされる時期の起算も「当該措置を開始した日」からとされた(同法附則2条により、施行日前にした通知については従前の例による)。土地家屋調査士試験は令和8年4月1日現在施行されている法令に基づいて出題されるため、本問及び本解説は同日時点の条文によっている。
イは誤りである。同法134条1項は、「法務局又は地方法務局の長は、前条第一項本文の規定による公告及び通知がされたときは、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を行うべき筆界調査委員を指定しなければならない」と定めている。指定の主体は筆界特定登記官ではなく法務局又は地方法務局の長である。筆界調査委員は、対象土地又は関係土地の所有権の登記名義人等、その配偶者又は四親等内の親族、これらの者の代理人・代表者等については指定することができない(同条2項各号)。指定を受けた筆界調査委員が数人あるときは共同して職務を行うのが原則であるが、筆界特定登記官の許可を得て単独で職務を行い、又は職務を分掌することができる(同条3項)。この「許可」の主体が筆界特定登記官であることと、「指定」の主体が法務局又は地方法務局の長であることを混同しないことが重要である。
ウは正しい。同法136条1項は、筆界調査委員が対象土地の測量又は実地調査を行うときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を筆界特定の申請人及び関係人に通知して、これに立ち会う機会を与えなければならないと定めている。この通知についても、所在不明の場合の掲示による通知(133条2項)が準用される(136条2項)。なお、筆界調査委員は、事実の調査に当たり、筆界特定が対象土地の所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならない(135条2項)。筆界は公法上の境界であり、所有権界とは概念が異なるという制度の前提を条文自体が明示している点である。
エは誤りである。同法137条4項は、「日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない」と定めている。占有者の承諾があれば日出前・日没後の立入りも可能であり、「承諾があるときであっても立ち入ることはできない」とする点が誤りである。立入りは法務局又は地方法務局の長が筆界調査委員又は補助職員に行わせるものであり(同条1項)、あらかじめ日時及び場所を土地の占有者に通知すること(2項)、宅地等に立ち入る際にはあらかじめその旨を占有者に告げること(3項)、身分を示す証明書の携帯及び提示(6項)、立入りによる損失の補償(7項)が定められている。なお、測量法15条以下の基本測量のための立入りと規定の建て付けが似ているため、主体と補償の主語(本条は「国」)を条文で確認しておきたい。
オは正しい。同法141条1項は、筆界特定の申請人及び関係人は、133条1項本文の公告があった時から144条1項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間、筆界特定登記官に対し、当該手続において作成された調書及び提出された資料の閲覧を請求することができるとし、筆界特定登記官は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができないと定めている。閲覧の日時及び場所は筆界特定登記官が指定することができる(同条2項)。
手続の流れは、申請→公告・通知(133条)→筆界調査委員の指定(134条)→事実の調査・測量・実地調査(135条・136条・137条)→意見又は資料の提出(139条)→意見聴取等の期日(140条)→筆界調査委員の意見の提出(142条)→筆界特定・筆界特定書の作成(143条)→筆界特定の通知及び公告(144条)→筆界特定手続記録の保管(145条)という順序になる。手続費用は原則として筆界特定の申請人の負担であり、筆界特定登記官は概算額を予納させなければならない(146条1項・5項)。
問題:
公共嘱託登記土地家屋調査士協会(以下「協会」という。)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 協会は、その名称中に公共嘱託登記土地家屋調査士協会という文字を使用する一般社団法人であって、社員である土地家屋調査士及び土地家屋調査士法人がその専門的能力を結合して官公署等による不動産の表示に関する登記に必要な調査若しくは測量又はその登記の嘱託若しくは申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とし、かつ、法定の内容の定款の定めがあるものに限り、設立することができる。
イ. 協会の社員は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を有する土地家屋調査士又は土地家屋調査士法人でなければならないものとする定款の定めを要し、この定款の定めは、これを変更することができない。
ウ. 協会に対する懲戒については、土地家屋調査士法第43条第1項、第44条及び第46条の規定が準用され、これらの規定中「法務大臣」とあるのは、協会の主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長と読み替えられる。
エ. 協会は、官公署等の依頼を受けて業務を行うほか、個人からの依頼を受けて、土地家屋調査士法第3条第1項第1号から第3号までに掲げる事務を行うことをその業務とすることができる。
オ. 協会の業務は、法務大臣の監督に属し、法務大臣は、協会の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、いつでも、当該業務及び協会の財産の状況を検査することができる。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウの3つである。
解説:
協会は、官公署等が嘱託する不動産の表示に関する登記について、土地家屋調査士及び土地家屋調査士法人が専門的能力を結合して受け皿となるための法人であり、土地家屋調査士法第9章(63条から66条まで)に規定されている。個々の調査士とは別に、①設立要件(63条)、②業務の範囲(64条)、③監督(64条の2)、④準用(65条)、⑤調査士会の助言(66条)という五つの軸で押さえるとよい(このほか、協会は成立の日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長及びその管轄区域内に設立された調査士会に成立の届出をしなければならない(63条の2))。
アは正しい。同法63条1項は、その名称中に公共嘱託登記土地家屋調査士協会という文字を使用する一般社団法人は、社員である調査士及び調査士法人がその専門的能力を結合して官庁、公署その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者(「官公署等」)による不動産の表示に関する登記に必要な調査若しくは測量又はその登記の嘱託若しくは申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とし、かつ、同項各号に掲げる内容の定款の定めがあるものに限り、設立することができると定めている。協会の法人形態は一般社団法人であり、特別の法人類型が新設されているわけではない点に注意したい。
イも正しい。同項1号は、社員は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を有する調査士又は調査士法人でなければならないものとすることを定款の必要的記載事項としている。同項2号は、この1号に規定する調査士又は調査士法人が社員になろうとするときは、正当な理由がなければこれを拒むことができないものとすること、3号は、理事の員数の過半数は社員(社員である調査士法人の社員を含む。)でなければならないものとすることを掲げる。そして同条2項は、「前項に規定する定款の定めは、これを変更することができない」と定めている。協会の性格を維持するための定款自治の制限であり、通常の一般社団法人との違いが問われやすい。
ウも正しい。同法65条は、22条(依頼に応ずる義務)の規定は協会の業務について、43条1項、44条及び46条の規定は協会に対する懲戒について、それぞれ準用するとし、この場合において、43条1項、44条1項から3項まで及び46条中「法務大臣」とあるのは「第六十四条の二第一項に規定する法務局又は地方法務局の長」と読み替えるものとしている。64条の2第1項にいう法務局又は地方法務局の長とは、協会の主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長である。準用されるのは43条1項・44条・46条であって、調査士に対する懲戒の規定(42条)や除斥期間の規定(45条の2)がそのまま並ぶわけではないため、条番号の範囲まで確認しておきたい。
エは誤りである。同法64条1項は、協会は、63条1項に規定する目的を達成するため、「官公署等の依頼を受けて」、3条1項1号から3号までに掲げる事務(2号及び3号に掲げる事務にあっては、1号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関するものに限る。)及びこれらの事務に関する同項6号に掲げる事務を行うことをその業務とすると定めている。依頼者は官公署等に限られており、個人からの依頼を受けてこれらの事務を行うことは協会の業務の範囲を超える。そして、協会が業務の範囲を超えて64条1項に規定する事務を行うことを業とすることができない旨は、非調査士等の取締りの規定に明文で置かれており(68条2項)、本肢の扱いは条文上認められない。また、協会は、その業務に係る64条1項の事務を、調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者に取り扱わせてはならない(64条2項)。
オも誤りである。同法64条の2第1項は、「協会の業務は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長の監督に属する」と定め、同条2項は、当該法務局又は地方法務局の長が、協会の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、いつでも、当該業務及び協会の財産の状況を検査し、又は協会に対し、当該業務に関し監督上必要な命令をすることができると定めている。監督の主体は法務大臣ではない。調査士に対する懲戒の主体(42条)が法務大臣であるのと対比して押さえたい。あわせて、調査士会は、所属の会員が社員である協会に対し、その業務の執行に関し必要な助言をすることができる(66条)。
問題:
付合、混和及び加工に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
イ. 所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する。分離するのに過分の費用を要するときも、同様である。
ウ. 他人の動産に工作を加えた者があるときは、その加工物の所有権は、加工者に帰属する。ただし、材料の価格が工作によって生じた価格を著しく超えるときは、材料の所有者がその加工物の所有権を取得する。
エ. 付合により物の所有権が消滅した場合において、その物の所有者が合成物の共有者となったときは、その物について存する他の権利は、以後その持分について存する。
オ. 付合、混和又は加工に関する規定の適用によって損失を受けた者は、民法第703条及び第704条の規定に従い、その償金を請求することができる。
答え:
正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。
解説:
付合・混和・加工は、民法第2編第3章第2節「所有権の取得」に置かれた添付の規定である(242条から248条まで)。土地家屋調査士試験との関係では、建物の増築部分が既存建物に付合して独立性を失う場合には床面積等を改める建物の表題部の変更の登記により、独立性を保つ場合には別個の建物又は附属建物として扱われ、さらに既存の数個の建物が接続して一個の建物となる場合には合体による登記等によることになるというように、242条の理解が登記の選択に直結する。
アは正しい。242条本文は、不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得すると定め、同条ただし書は、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げないと定めている。ただし書の「権原」とは、地上権、賃借権など、他人の不動産に自己の物を附属させることを正当化する権利をいう。もっとも、権原に基づいて附属させた場合であっても、附属させた物が独立性を失って不動産の構成部分となったときは、附属させた者は独立の所有権を主張することができないと解されており、建物の増築部分(賃借建物の屋上に賃貸人の承諾を得て構築した二階部分)が既存建物の構造の一部を成し、それ自体では取引上の独立性を有しない場合には、承諾を受けていても242条ただし書の適用はなく、その所有権は構築当初から既存建物の所有者に属するとした判例がある(最判昭和44年7月25日民集23巻8号1627頁)。なお、この点については、附属物が独立性を完全に失って不動産の構成部分となる場合(強い付合)と、独立性を保ったまま結合するにとどまる場合(弱い付合)とを区別し、242条ただし書が働くのは後者であると整理するのが学説上一般的であり、附属させた物の独立性の有無を基準とする点で上記の判例とも整合する。ただし「強い付合」「弱い付合」は条文の用語ではなく、講学上の整理である。学説上は、ただし書が附属物の独立性を明文の要件としていないことから、独立性を要求することの当否やその判断基準(構造上・利用上の独立性で足りるか)をめぐる議論があるが、試験対策としては判例・通説の整理によって差し支えない。
イも正しい。243条は、所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属するとし、分離するのに過分の費用を要するときも同様であると定めている。主従の区別をすることができないときに初めて、各動産の所有者がその付合の時における価格の割合に応じて合成物を共有する(244条)。原則は「主たる動産の所有者への帰属」であり、共有は主従の区別ができない場合の処理である。この順序を逆に覚えていると誤りやすい。なお、これらの規定は、所有者を異にする物が混和して識別することができなくなった場合について準用される(245条)。
ウは誤りである。246条1項は、他人の動産に工作を加えた者(加工者)があるときは、「その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する」とし、ただし書で「工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する」と定めている。原則は材料の所有者への帰属であり、加工者が所有権を取得するのは工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超える例外の場合である。本肢は原則と例外を入れ替えている点で誤りである。なお、加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者が加工物の所有権を取得する(同条2項)。
エは正しい。247条1項は、242条から246条までの規定により物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も消滅すると定める。そのうえで同条2項は、物の所有者が合成物、混和物又は加工物の単独所有者となったときはその物について存する他の権利は以後その合成物等について存し、共有者となったときは以後その持分について存すると定めている。1項が権利消滅の原則、2項がその例外として他の権利の存続を認める処理という構造である。
オも正しい。248条は、242条から247条までの規定の適用によって損失を受けた者は、703条及び704条の規定に従い、その償金を請求することができると定めている。添付の規定は所有権の帰属という物権的な効果を定めるにとどまり、当事者間の価値の調整は不当利得の規定に従って行われる。償金請求権の根拠条文が703条・704条であることまで条文に書かれている点が特徴である。
問題:
測量業者に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 測量業者は、その営業所ごとに測量士を1人以上置かなければならない。ただし、測量業者(法人である場合においては、その役員のうちいずれかの役員)が測量士であるときは、その者が自ら主として業務を行う営業所については、この限りでない。
イ. 測量業者は、いかなる方法をもってするかを問わず、その請け負った測量を一括して他人に請け負わせ、又は他の測量業者から当該他の測量業者の請け負った測量を一括して請け負ってはならない。ただし、元請負人があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合は、この限りでない。
ウ. 個人である測量業者が死亡した場合には、その相続人は、その日から30日以内に、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。
エ. 国土交通大臣は、測量業者が不正の手段により測量業者の登録を受けたときは、当該測量業者に対し、6月以内の期間を定めて、その営業の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその登録を取り消すことができる。
オ. 測量業者の登録が消除された場合には、測量業者であった者又はその一般承継人は、登録が消除される以前に締結された請負契約に係る測量であっても、これを引き続いて実施することはできない。
答え:
誤っているものは、エ・オの2つである。
解説:
測量業者に関する規定は、測量法第6章「測量業者」(55条から)に置かれている。登録の申請・有効期間(55条から55条の4まで)に続いて、登録の実施と拒否(55条の5・55条の6)、変更登録(55条の7)、書類の提出義務(55条の8)、廃業等の届出(55条の9)、登録の消除(55条の10)、消除後の測量の措置(55条の11)、登録簿等の閲覧(55条の12)、測量士の設置(55条の13)、無登録営業の禁止(55条の14)が並び、さらに業務処理の原則(56条)、一括下請負の禁止(56条の2)、測量業者以外の者に対する下請負の禁止(56条の3)、下請負人の変更請求(56条の4)、登録の取消し又は営業の停止(57条)が続く。本問は登録後の規律を対象としている。
アは正しい。55条の13第1項は、測量業者は、その営業所ごとに測量士を1人以上置かなければならないと定め、同条2項は、測量業者(法人である場合においては、その役員のうちいずれかの役員)が測量士であるときは、その者が自ら主として業務を行う営業所については1項の規定を適用しないと定めている。営業所についてこの要件を欠く者は登録を拒否される(55条の6第1項8号)。
イも正しい。56条の2第1項は一括下請負を禁止し、同条2項は、元請負人があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合には1項の規定を適用しないと定めている。さらに同条3項により、注文者は、書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより元請負人の承諾を得て、電磁的方法であって国土交通省令で定めるものによりその旨の通知をすることができ、この場合には書面による承諾をしたものとみなされる。なお、測量業者は、その請け負った測量(4条から6条までに規定する測量に限る。すなわち、基本測量(4条)、公共測量(5条)及び「基本測量及び公共測量以外の測量」(6条)の三つである。)を測量業者以外の者に請け負わせてはならない(56条の3)。一括下請負の禁止と測量業者以外の者への下請負の禁止は別条であり、承諾による例外が置かれているのは前者だけである点が問われやすい。
ウも正しい。55条の9第1項は、測量業者が同項各号に掲げる場合に該当することとなったときは、当該各号に掲げる者は、その日から30日以内に、国土交通大臣にその旨を届け出なければならないと定め、1号に「個人である測量業者が死亡した場合その相続人」を掲げている。以下、合併による解散の場合はその法人を代表する役員であった者(2号)、破産手続開始の決定による解散の場合は破産管財人(3号)、合併又は破産手続開始の決定以外の理由による解散の場合は清算人(4号)、測量業を廃止した場合は測量業者であった個人又は法人を代表する役員(5号)とされている。届出義務者が場合ごとに書き分けられている点が出題されやすい。
エは誤りである。57条1項は、国土交通大臣は、測量業者が同項各号のいずれかに該当するときは、当該測量業者の登録を「取り消さなければならない」と定め、1号に「不正の手段により第五十五条の五第一項の規定による登録を受けたとき」を掲げている。すなわち必要的取消事由であり、営業停止処分を選択する余地はない。これに対し、変更登録の申請をせず若しくは虚偽の申請をしたとき(同条2項1号)、書類の提出を怠り若しくは虚偽の記載をして提出したとき(2号)、一括下請負の禁止に違反したとき(3号)、測量業者以外の者に対する下請負の禁止に違反したとき(4号)などは、6月以内の期間を定めて営業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は登録を取り消すことができる任意的な処分事由である。必要的取消事由と任意的処分事由の振り分けが本条の中心論点である。
オも誤りである。55条の11第1項は、55条の10第1項の規定により測量業者の登録が消除された場合においては、測量業者であった者又はその一般承継人は、55条の14の規定(無登録営業の禁止=55条の5第1項の規定による登録を受けない者は測量業を営むことができない旨の規定)にかかわらず、登録が消除される以前に締結された請負契約に係る測量を引き続いて実施することができると定めている。この場合、測量業者であった者又はその一般承継人は、登録を消除された後、遅滞なく、その旨を当該測量の注文者に通知しなければならない(同項後段)。注文者は、その通知を受けた日又は登録が消除されたことを知った日から30日以内に限り、その測量の請負契約を解除することができる(同条2項)。既存契約の履行を認めつつ、注文者に解除権を与えて調整する構造である。
問題:
建物の認定並びに建物の種類、構造及び床面積に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。
イ. 建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとされ、建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとされている。
ウ. 建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとされている。
エ. 建物の床面積は、区分建物であるかどうかを問わず、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により定めるものとされている。
オ. 建物の床面積は、平方メートルを単位として定め、1平方メートルの100分の1未満の端数は、四捨五入するものとされている。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウの3つである。
解説:
建物の認定、種類、構造及び床面積は、不動産登記規則111条及び113条から115条までに置かれている(間の112条は家屋番号の規定である)。表示に関する登記の登記事項のうち建物固有のもの(不動産登記法44条1項)を、規則がどのように具体化しているかという関係で押さえるとよい。
アは正しい。規則111条は、「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない」と定めている。①外気分断性(屋根及び周壁又はこれらに類するもの)、②土地への定着性、③用途性(目的とする用途に供し得る状態)という三要素が条文上そのまま読み取れる。実務上の細目(建物として取り扱うもの・取り扱わないものの例示)は不動産登記事務取扱手続準則77条に定められているが、要素そのものは規則111条が根拠である。
イも正しい。規則113条1項は、建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物についてはこれに準じて定めるものとすると定めている。列挙されているのは12種類であり、限定列挙ではなく、該当しないものは「これに準じて」定める仕組みである。また同条2項は、建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとすると定めており、「居宅・店舗」のように併記する扱いの根拠となる。
ウも正しい。規則114条柱書は、建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により、同条各号のように区分して定め、これらの区分に該当しない建物についてはこれに準じて定めるものとすると定めている。1号(構成材料による区分)は木造、土蔵造、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の8種、2号(屋根の種類による区分)はかわらぶき、スレートぶき、亜鉛メッキ鋼板ぶき、草ぶき、陸屋根の5種、3号(階数による区分)は平家建、二階建(三階建以上の建物にあってはこれに準ずるものとする)である。三つの軸を組み合わせて一つの構造を表示するという建て付けを条文で確認しておきたい。
エは誤りである。規則115条は、建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により定めると規定している。区分建物については括弧書きで「内側線」とされており、「区分建物であるかどうかを問わず中心線による」とする点が誤りである。区分建物について内側線によるのは、床面積を壁その他の区画の内側で測る扱いであり、区分建物以外の建物について中心線によるのと対照的である。なお、区分所有権の対象となる専有部分と共用部分との境界をどこに引くかについては、躯体の内側の上塗り部分までを専有部分とする見解、壁その他の区画の中心線を境界とする見解、内側の空間のみを専有部分とする見解が対立しており、登記記録上の床面積の算定方法から直ちにいずれかの見解が採用されていると断定することはできない。試験では、規則115条が区分建物について括弧書きで内側線によるとしていることを条文どおり押さえれば足りる。
オも誤りである。同条は、床面積を平方メートルを単位として定め、「一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする」と定めている。四捨五入ではなく切捨てである。なお、土地の地積についても、規則100条において端数処理が定められており、単位と端数処理の扱いを土地と建物で対照して整理しておくとよい。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(筆界特定制度) | 筆界特定の申請の公告及び関係人への通知、筆界調査委員の指定の主体(法務局又は地方法務局の長)と単独職務の許可の主体(筆界特定登記官)の区別、測量・実地調査の立会いの機会、立入調査における日出前・日没後の承諾、調書等の閲覧請求と拒絶事由 | 不動産登記法133条1項・2項、134条1項〜4項、135条2項、136条1項・2項、137条1項〜7項、141条1項・2項(139条、140条、142条〜146条) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法(公共嘱託登記土地家屋調査士協会) | 協会の設立要件(一般社団法人・定款の必要的記載事項)、定款の定めの変更禁止、懲戒規定の準用と「法務大臣」の読替え、業務は官公署等の依頼に限られること、監督の主体が主たる事務所所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長であること | 土地家屋調査士法63条1項1号〜3号・2項、64条1項・2項、64条の2第1項・2項、65条、66条(3条1項1号〜3号・6号、22条、42条、43条1項、44条、46条、68条2項) |
| 第3問 | 民法(所有権の取得・添付) | 不動産の付合と権原による附属の例外、動産の付合における主従の区別と共有の順序、加工における原則(材料の所有者)と例外(加工者)の振り分け、付合等による他の権利の消滅と持分への移行、償金請求の根拠が不当利得の規定であること | 民法242条、243条、244条、245条、246条1項・2項、247条1項・2項、248条(703条・704条、最判昭和44年7月25日民集23巻8号1627頁) |
| 第4問 | 測量法(測量業者) | 営業所ごとの測量士の設置とその適用除外、一括下請負の禁止と注文者の書面による承諾の例外、廃業等の届出義務者と30日の期間、必要的取消事由(不正の手段による登録)と任意的処分事由(営業停止又は取消し)の区別、登録消除後の既存契約に係る測量の継続と注文者の解除権 | 測量法55条の9第1項1号〜5号・2項、55条の10第1項、55条の11第1項・2項、55条の13第1項・2項、56条の2第1項〜3項、56条の3、57条1項1号・2項1号〜7号(55条の6第1項8号) |
| 第5問 | 不動産登記規則(建物の表示に関する登記) | 建物の認定の三要素(外気分断性・定着性・用途性)、建物の種類の区分12種と主な用途が二以上の場合、建物の構造の三つの区分軸、床面積の算定方法(区分建物は内側線)、床面積の端数処理(100分の1未満は切捨て) | 不動産登記規則111条、113条1項・2項、114条1号〜3号、115条(不動産登記法44条1項、不動産登記規則100条、不動産登記事務取扱手続準則77条) |