問題:

土地の表題登記及び地目・地積の認定に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該土地の表題登記を申請しなければならない。

イ. 地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地等、不動産登記規則に定める二十一種類の地目のいずれかに区分して定めるものとされている。

ウ. 地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位として定めるものとされ、宅地及び鉱泉地以外の土地で十平方メートルを超えるものについては、一平方メートル未満の端数を切り捨てるものとされている。

エ. 地目の認定は、土地の一時的な利用状況の変化があれば、その都度、変更後の現況に合わせて改めるものとされている。

オ. 表題登記がない土地を共同相続した相続人が数人あるときは、各相続人は、自己の相続分に応じた持分についてのみ、表題登記を申請することができる。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

表題登記に関する不動産登記法本体の規定は近年の出題でたびたび取り上げられてきたが、地目・地積の具体的な認定基準は不動産登記規則の条文まで踏み込まないと正誤を判断できない。ここでは規則の数字を正確に押さえる。

アは正しい。不動産登記法36条は「新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」と定める。表題登記の申請義務の起算点が「所有権の取得の日」である点を押さえておきたい。

イは誤りである。不動産登記規則99条は「地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする」と定める。列挙されている地目は二十三種類であって、二十一種類ではない。数字を変えた出題に対応できるよう、種類数そのものを正確に記憶しておく必要がある。

ウは正しい。不動産登記規則100条は「地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一(宅地及び鉱泉地以外の土地で十平方メートルを超えるものについては、一平方メートル)未満の端数は、切り捨てる」と定める。宅地及び鉱泉地は地積が十平方メートルを超えても百分の一単位まで表示されるのに対し、それ以外の地目で十平方メートルを超える土地は一平方メートル未満を切り捨てて表示される。地目によって端数処理の単位が異なる点が本条の急所である。

エは誤りである。まず、不動産登記規則99条は「地目は、土地の主な用途により」区分して定めるものとしており、認定の対象は土地の主たる用途である。また、不動産登記事務取扱手続準則68条は、各号に掲げる地目を当該各号に定める土地について定めるものとした上で、この場合には土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的にわずかな差異が存するときでも土地全体としての状況を観察して定めるものとしている。一時的な利用状況の変化は、規則99条にいう「主な用途」が変わったものとは言い難く、変化のたびにその都度地目を改めるという扱いはとられていない。なお、準則68条が直接述べているのは、土地の一部分にわずかな差異があっても全体として観察するという判断の仕方であって、一時的な変化を地目の認定から除外する旨を明文で定めた規定があるわけではない。どの程度の変化をもって地目の変更とみるかは個別の判断によるため、この点は規則99条の「主な用途」という文言と準則の認定方法から導かれる実務上の取扱いとして押さえておきたい。

オは誤りである。表題登記は一筆の土地の物理的現況を登記記録上明らかにするものであり、一筆の土地について持分ごとに表題登記をするという仕組みは不動産登記法上設けられていない。自己の相続分に応じた持分についてのみ表題登記を申請することができるとする点で、オは誤りである。なお、表題登記がない土地を共同相続した場合に、相続人の一人が共有者全員のために当該土地全体について表題登記を申請することは、共有物の保存行為(民法252条5項)としてすることができると解されている。ただし、表題登記の申請が保存行為に当たる旨を定めた明文の規定があるわけではなく、これは共有物の保存行為に関する規定からの解釈であるから、本肢の正誤そのものは、持分のみの表題登記という制度がないことから導いておけばよい。


問題:

土地家屋調査士の業務範囲に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量を行うことを業とする。

イ. 調査士は、他人の依頼を受けて、筆界特定の手続についての代理を行うことを業とすることができ、この業務を行うために法務大臣の認定を受けている必要はない。

ウ. 調査士は、法務省令で定める法人が実施する研修の課程を修了し、法務大臣が必要な能力を有すると認定した者であって、土地家屋調査士会の会員であれば、依頼者が受任している弁護士の有無にかかわらず、単独で民間紛争解決手続についての代理を行うことができる。

エ. 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことができる調査士となるためには、法務省令で定める法人が実施する研修の課程を修了し、法務大臣が必要な能力を有すると認定した者であって、土地家屋調査士会の会員であることを要する。

オ. 調査士が行う不動産の表示に関する登記の申請手続又は審査請求の手続についての代理は、法務大臣の認定を受けた調査士に限り行うことができる特別な業務である。

答え:

正しいものは、ア・イ・エの3つである。

解説:

土地家屋調査士法3条1項は、調査士が行いうる事務を1号から8号まで列挙する。このうち7号・8号(民間紛争解決手続代理関係業務)だけが認定を要する特別な業務であって、それ以外の号は認定を受けていない調査士でも行うことができる一般業務である。この一般業務と認定業務の切り分けを正確に押さえているかが本問の急所である。

アは正しい。同法3条1項1号は「不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量」を調査士の事務として掲げる。

イは正しい。同項4号は「筆界特定の手続(中略)についての代理」を掲げており、これは1号から6号までの一般業務に含まれる。7号・8号の民間紛争解決手続代理関係業務とは異なり、この業務を行うために法務大臣の認定を受けている必要はない。

ウは誤りである。同条2項は、前項7号及び8号に規定する業務(民間紛争解決手続代理関係業務)は、法務省令で定める法人が実施する研修の課程を修了した者であること、法務大臣が必要な能力を有すると認定した者であること、土地家屋調査士会の会員であることのいずれにも該当する調査士に限り行うことができるとした上で、「この場合において、同項第七号に規定する業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる」と定める。すなわち、7号の代理業務は、認定を受けた調査士であっても、弁護士が同一の依頼者から当該事件を受任している場合に限って行うことができるのであり、そのような弁護士の受任がない事件について代理をすることはできない。ウは、認定の3要件のみを挙げて弁護士の受任の有無を問わないとする点で、この2項後段の限定を落としており、誤りである。

エは正しい。ウの解説で引用した同条2項の3要件(研修修了・法務大臣の認定・調査士会の会員であること)のとおりである。

オは誤りである。不動産の表示に関する登記の申請手続又は審査請求の手続についての代理は、同条1項2号に掲げる一般業務であって、認定を受けた調査士に限られる特別な業務ではない。


問題:

相隣関係のうち水に関する規定についての次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。

イ. 水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。

ウ. 他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及ぶおそれがある場合であっても、当該他の土地の所有者に工作物の修繕又は予防工事をさせることができるのは、現に損害が生じている場合に限られる。

エ. 土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。

オ. 溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、自己の土地における水路又は幅員を自由に変更することができる。

答え:

誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説:

民法の相隣関係のうち、境界線付近の建築・掘削の制限や囲繞地通行権、竹木の枝根の切除等はこれまでの出題で繰り返し取り上げてきたが、水に関する一連の規定(214条から222条まで)は手薄になりやすい。原文の文言の範囲を正確に押さえる。

アは正しい。民法214条は「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない」と定める。自然的排水に対する妨害の禁止を定めた規定である。

イは正しい。同法215条は「水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる」と定める。工事の費用は高地の所有者が自ら負担する。

ウは誤りである。同法216条は「他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる」と定める。条文は「損害が及び、又は及ぶおそれがある場合」の双方を対象としており、現に損害が生じている場合に限定していない。損害発生前の予防的な請求も認められる点が本条の急所である。

エは正しい。同法218条は「土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」と定める。

オは誤りである。同法219条1項は「溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない」と定める。対岸が他人の所有に属する場合は変更が禁止されており、自由に変更できるわけではない。同条2項は、両岸の土地が水流地の所有者に属するときは水路及び幅員を変更することができるとしつつ、水流が隣地と交わる地点においては自然の水路に戻さなければならないとする。両岸を所有する場合と対岸が他人所有の場合とで結論が逆になる点を対比して押さえておきたい。


問題:

測量法の目的及び定義に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 測量法は、国若しくは公共団体が費用の全部若しくは一部を負担し、若しくは補助して実施する土地の測量等について、その実施の基準及び実施に必要な権能を定め、測量の重複を除き、並びに測量の正確さを確保するとともに、測量業を営む者の登録の実施、業務の規制等により、測量業の適正な運営とその健全な発達を図ることを目的の一つとしている。

イ. 土地の測量は、他の法律に特別の定がある場合を除いて、測量法の定めるところによる。

ウ. 測量法において「基本測量」とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう。

エ. 測量法において「公共測量」とは、基本測量以外の測量のうち、その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施する測量等をいい、建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものも、これに含まれる。

オ. 国土地理院以外の者が、すべての測量の基礎となる測量を実施した場合であっても、その測量は、測量法にいう「基本測量」に該当する。

答え:

誤っているものは、エ・オの2つである。

解説:

測量法の目的規定や定義規定は、測量業者の登録や公共測量の作業規程など手続面の出題の陰に隠れて手薄になりやすいが、基本測量と公共測量の定義の切り分けは条文の文言どおり出題されうる。

アは正しい。測量法1条は「この法律は、国若しくは公共団体が費用の全部若しくは一部を負担し、若しくは補助して実施する土地の測量又はこれらの測量の結果を利用する土地の測量について、その実施の基準及び実施に必要な権能を定め、測量の重複を除き、並びに測量の正確さを確保するとともに、測量業を営む者の登録の実施、業務の規制等により、測量業の適正な運営とその健全な発達を図り、もつて各種測量の調整及び測量制度の改善発達に資することを目的とする」と定める。

イは正しい。同法2条は「土地の測量は、他の法律に特別の定がある場合を除いて、この法律の定めるところによる」と定める。

ウは正しい。同法4条は「この法律において『基本測量』とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう」と定める。

エは誤りである。同法5条は、公共測量を基本測量以外の測量のうち一定のものと定めた上で、「建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く」としている。条文は当該測量を公共測量の範囲から除外しているのであって、これに含めているのではない。含む・除くを逆にした誤りである。

オは誤りである。同法4条の定義は「国土地理院の行うもの」であることを要件としており、すべての測量の基礎となる測量であっても、国土地理院以外の者が実施したものは、測量法にいう「基本測量」には該当しない。


問題:

筆界特定登記官及び筆界調査委員に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 筆界特定は、登記官のうちから法務局又は地方法務局の長が指定する者である筆界特定登記官が行う。

イ. 法務局及び地方法務局には、筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出させるため、筆界調査委員若干人が置かれる。

ウ. 筆界調査委員の任期は三年とされており、再任されることはできない。

エ. 筆界特定登記官は、対象土地又は関係土地について所有権の登記名義人である場合には、当該筆界特定を行うことができない。

オ. 筆界調査委員は、常勤の職員として法務局又は地方法務局に置かれる。

答え:

誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説:

筆界特定制度については、これまで申請権者・却下事由・申請手続を中心に扱ってきたが、筆界特定登記官と筆界調査委員という制度を支える組織面の規定も、条文の数字がそのまま問われやすい分野である。

アは正しい。不動産登記法125条は「筆界特定は、筆界特定登記官(登記官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が行う」と定める。

イは正しい。同法127条1項は「法務局及び地方法務局に、筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出させるため、筆界調査委員若干人を置く」と定める。

ウは誤りである。同条3項は「筆界調査委員の任期は、二年とする」と定めており、三年ではない。また、同条4項は筆界調査委員は再任されることができると定めており、再任を排除していない。任期の年数と再任の可否のいずれについても誤っている記述である。

エは正しい。同法126条1号は、対象土地又は関係土地について所有権の登記名義人等である者を筆界特定登記官の除斥事由として掲げている。自らが利害関係を有する土地について筆界特定を行うことができないようにする趣旨である。

オは誤りである。同法127条5項は「筆界調査委員は、非常勤とする」と定めており、常勤の職員ではない。結論は5項の文言から直接導かれる。なお、同条2項は「筆界調査委員は、前項の職務を行うのに必要な専門的知識及び経験を有する者のうちから、法務局又は地方法務局の長が任命する」と定めており、外部の専門家を任命して事実の調査に当たらせるという制度の建て付けが、非常勤とされていることの背景にある。


出題分野の振り分け

出題分野 論点
第1問 不動産登記法/不動産登記規則 土地の表題登記の申請義務、地目の種類、地積の端数処理、地目認定の考え方、持分のみの表題登記の可否
第2問 土地家屋調査士法 業務範囲(3条1項各号)、民間紛争解決手続代理関係業務の認定要件と弁護士の同時受任要件
第3問 民法(相隣関係) 自然的排水の妨害禁止、水流障害の除去、工作物の破壊・閉塞への対応、雨水の直接注入禁止、水流の変更制限
第4問 測量法 測量法の目的、他の法律との関係、基本測量・公共測量の定義
第5問 不動産登記法(筆界特定制度) 筆界特定登記官の指定、筆界調査委員の設置・任期・常勤性、筆界特定登記官の除斥事由