問題:

河川区域内の土地の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 河川法第6条第1項の河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項は、不動産登記法第27条各号及び第34条第1項各号に掲げるもののほか、当該土地が河川区域内の土地である旨とされている。

イ. 河川区域内の土地である旨のほか、高規格堤防特別区域内の土地、樹林帯区域内の土地、特定樹林帯区域内の土地及び河川立体区域内の土地についても、それぞれその旨が登記事項とされている。

ウ. 土地の全部又は一部が河川区域内の土地となったときは、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が、遅滞なく、その旨の登記を申請しなければならない。

エ. 土地の一部について河川区域内の土地となった旨の登記の嘱託をするときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することができる。

オ. 河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない。

答え:

誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説:

河川区域内の土地の登記は、不動産登記法43条に規定されている。この条文は、河川区域という公法上の区域指定を登記記録に反映させるために、通常の表示に関する登記とは異なる二つの特則を置いている。第一に登記事項の特則(1項)、第二に手続の主体を河川管理者の嘱託とする特則(2項以下)である。この二つの軸を分けて押さえることが、本条の理解の出発点になる。

アは正しい。同条1項は、河川法6条1項(同法100条1項において準用する場合を含む。)の河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項は、「第二十七条各号及び第三十四条第一項各号に掲げるもののほか、第一号に掲げる土地である旨及び第二号から第五号までに掲げる土地にあってはそれぞれその旨とする」と定めている。表示に関する登記の通則的登記事項(27条)及び土地の表示に関する登記の登記事項(34条1項)に上乗せする形で、河川区域内の土地である旨が加わる構造である。

イも正しい。同条1項は、1号に河川法6条1項の河川区域内の土地を掲げたうえで、2号に同条2項の高規格堤防特別区域内の土地、3号に同条3項の樹林帯区域内の土地、4号に同法26条4項の特定樹林帯区域内の土地、5号に同法58条の2第2項の河川立体区域内の土地を掲げ、これらについてもそれぞれその旨を登記事項としている。河川区域という一つの類型だけでなく、五つの区域類型が並んでいる点が本条の特徴である。

ウは誤りである。同条2項は、土地の全部又は一部が1項各号の区域内の土地となったときは、「河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記を登記所に嘱託しなければならない」と定めている。申請の主体は表題部所有者や所有権の登記名義人ではなく、河川管理者であり、しかもその方法は申請ではなく嘱託である。区域の指定は河川管理者の権限に基づく公法上の行為であるから、その事実を登記に反映させる責任も河川管理者が負うという整理である。なお、区域内の土地でなくなったときの登記の抹消の嘱託についても同様に河川管理者の義務とされている(同条3項)。「表題部所有者又は所有権の登記名義人が申請しなければならない」とする点が誤りである。

エは正しい。同条4項は、土地の一部について2項又は3項の規定により登記の嘱託をするときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することができると定めている。土地の一部だけが区域内に取り込まれた場合、その一部を別の土地として分けなければ「その旨」を登記記録に的確に反映できないため、本来は所有者側が申請すべき分筆の登記を、河川管理者が代わって嘱託する道が開かれている。条文上「することができる」とされている点にも注意したい。

オは誤りである。同条5項は「第一項各号の河川区域内の土地の全部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない」と定め、同条6項は「第一項各号の河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の地積に関する変更の登記を登記所に嘱託しなければならない」と定めている。全部滅失であれば土地そのものが登記記録から失われるため滅失の登記、一部滅失であれば土地は残り面積だけが変わるため地積に関する変更の登記、という書き分けである。一部滅失について「滅失の登記」を嘱託するとした点が誤りである。

以上より、誤っているものはウ・オの2つである。本条は、登記事項の上乗せ(1項)、区域に入った・出たことの嘱託(2項・3項)、一部の場合の分筆の嘱託(4項)、滅失した場合の登記の書き分け(5項・6項)という四つのブロックから成る。「誰が」「申請か嘱託か」「どの登記か」の三点を各項ごとに確認しておくと、細部を入れ替えた出題に対応しやすい。


問題:

土地家屋調査士及び土地家屋調査士法人に対する懲戒に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 調査士が土地家屋調査士法又は同法に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士に対し、戒告、2年以内の業務の停止又は業務の禁止の処分をすることができる。

イ. 調査士法人が土地家屋調査士法又は同法に基づく命令に違反したときに法務大臣がすることができる処分は、戒告、2年以内の業務の全部の停止及び解散の3種類であり、業務の一部の停止を命ずることはできない。

ウ. 法務大臣が調査士に対し懲戒処分をしようとする場合において、行政手続法第15条第1項の通知を発送し、又は同条第3項前段の掲示をした後直ちにその旨の通告を受けた調査士会連合会は、法務大臣から当該処分の手続が結了した旨の通知を受けるまでは、当該調査士について、業務を廃止したこと又は引き続き2年以上業務を行わないこと等を理由とする登録の取消しをすることができない。

エ. 懲戒の事由があったときから5年を経過したときは、法務大臣は、調査士又は調査士法人に対する懲戒の処分の手続を開始することができない。

オ. 懲戒の手続における聴聞の期日における審理は、処分の公正を担保する必要があることから、当該調査士又は当該調査士法人からの請求の有無にかかわらず、常に公開により行わなければならない。

答え:

誤っているものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

調査士に対する懲戒は、土地家屋調査士法42条以下に定められている。処分の種類(42条・43条)、手続(44条)、登録取消しとの調整(45条)、除斥期間(45条の2)、公告(46条)という順序で条文が並んでおり、それぞれ問われる角度が異なる。

アは正しい。同法42条は、調査士が同法又は同法に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士に対し、1号「戒告」、2号「二年以内の業務の停止」、3号「業務の禁止」に掲げる処分をすることができると定めている。処分権者が土地家屋調査士会や連合会ではなく法務大臣である点、業務の停止の上限が2年である点が基本の確認事項である。

イは誤りである。同法43条1項は、調査士法人に対する処分として、1号「戒告」、2号「二年以内の業務の全部又は一部の停止」、3号「解散」を掲げている。法人については業務の一部の停止も明文で認められており、「業務の一部の停止を命ずることはできない」とする点が誤りである。個人に対する42条2号が「二年以内の業務の停止」と定めるのに対し、法人に対する43条1項2号は「全部又は一部」と幅を持たせている点、また個人の最も重い処分が「業務の禁止」であるのに対し法人の最も重い処分が「解散」である点が、両者の書き分けである。なお、処分の手続に付された調査士法人は、清算が結了した後においても、同章の規定の適用については当該手続が結了するまでなお存続するものとみなされる(同条2項)。

ウは正しい。同法45条1項は、法務大臣は、調査士に対し42条各号の処分をしようとする場合においては、行政手続法15条1項の通知を発送し、又は同条3項前段の掲示をした後直ちに調査士会連合会にその旨を通告しなければならないと定める。そのうえで同条2項は、通告を受けた連合会は、法務大臣から処分の手続が結了した旨の通知を受けるまでは、当該調査士について、15条1項1号(業務を廃止したとき)又は16条1項各号(引き続き2年以上業務を行わないとき、心身の故障により業務を行うことができないとき)の規定による登録の取消しをすることができないと定めている。懲戒の手続中に登録が取り消されて処分の名宛人が失われる事態を防ぐための規定である。なお、45条1項の「同条第3項前段の掲示をした後」という部分は、令和5年法律第63号(デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律)による行政手続法15条の改正に伴い、令和8年5月21日施行で「同条第4項前段の措置をとつた後」に改められている。もっとも、令和8年度の試験の法令基準日は令和8年4月1日であり、この改正は令和8年4月2日以降施行のため今年度の出題範囲外であるから、本問は基準日時点の条文によっている。

エは誤りである。同法45条の2は「懲戒の事由があつたときから七年を経過したときは、第四十二条又は第四十三条第一項の規定による処分の手続を開始することができない」と定めている。除斥期間は5年ではなく7年である。起算点が「懲戒の事由があったとき」であって、法務大臣が事由を知ったときではない点も併せて確認しておきたい。

オは誤りである。同法44条5項は「前項の聴聞の期日における審理は、当該調査士又は当該調査士法人から請求があつたときは、公開により行わなければならない」と定めており、公開は本人からの請求があった場合に義務づけられるものである。常に公開とするものではない。あわせて、同条3項は、法務大臣が42条1号(戒告)若しくは2号(業務の停止)又は43条1項1号(戒告)若しくは2号(業務の全部又は一部の停止)の処分をしようとするときは、行政手続法13条1項の意見陳述のための手続の区分にかかわらず聴聞を行わなければならないと定め、同条4項は、これらの処分及び業務の禁止・解散の処分に係る行政手続法15条1項の通知は聴聞の期日の1週間前までにしなければならないと定めている。

以上より、誤っているものはイ・エ・オの3つである。懲戒は、処分の種類が個人と法人とで対応しつつも文言が異なること、聴聞に関する行政手続法の特則が置かれていること、除斥期間が7年であることの三点が問われやすい。なお、法務大臣は42条又は43条1項の規定により処分をしたときは、遅滞なくその旨を官報をもって公告しなければならない(46条)。


問題:

境界標及び囲障の設置に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。

イ. 境界標の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担するが、測量の費用については、その土地の広狭に応じて分担する。

ウ. 2棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地がある場合において、囲障の設置につき当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ3メートルのものでなければならない。

エ. 相隣者の一人は、民法第225条第2項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができるが、この場合において生ずる費用の増加額は、相隣者が等しい割合で負担する。

オ. 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定されるが、一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、この推定は適用されない。

答え:

誤っているものは、ウ・エの2つである。

解説:

境界標及び囲障に関する規定は、民法223条から230条までに置かれている。土地家屋調査士の業務に直結する境界標の設置の場面と、建物相互の間の囲障の設置の場面とが並んでおり、費用の負担のルールがそれぞれ異なる点が学習上の要所である。

アは正しい。民法223条は「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる」と定めている。設置の主体を「土地の所有者」とし、その費用を隣地の所有者との「共同の費用」としたうえで、次条224条が費用の負担割合を定めており、相隣者双方が費用を分担して境界標を設けることを予定した規定である。もっとも、これは私法上の相隣関係の規定であって、不動産登記法上の筆界そのものを確定する効力を持つものではない。

イも正しい。民法224条は「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する」と定めている。境界標そのものの設置・保存は隣接する双方が等しく利益を受けるため等分とし、測量は面積が大きいほど手間と費用がかかるため広狭に応じた分担とする、という区別である。等分と広狭按分のどちらが適用される費用かを入れ替える出題がされやすい。

ウは誤りである。民法225条1項は、2棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができると定め、同条2項は「当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない」と定めている。高さは3メートルではなく2メートルである。

エは誤りである。民法227条は「相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない」と定めている。より良い材料を用いる、あるいは高さを増すという判断は、その者の希望によるものであるから、標準を超える部分の費用は増設を望んだ者が単独で負担する。「相隣者が等しい割合で負担する」とする点が誤りである。なお、囲障の設置及び保存の費用そのものは相隣者が等しい割合で負担する(226条)。同条は「前条の囲障」の設置及び保存の費用と定めており、227条ただし書が単独で負担すべきものとするのは、そのうち225条2項の材料・高さの標準を超えることによって生ずる増加額である。

オは正しい。民法229条は「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する」と定め、民法230条1項は「一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない」と定めている。建物の一部を構成する障壁は、その建物と一体をなすものであるから、境界線上にあることだけを理由に相隣者の共有と推定するのはなじまない、という趣旨である。同条2項は、高さの異なる2棟の隣接する建物を隔てる障壁の高さが低い建物の高さを超えるときは、その障壁のうち低い建物を超える部分についても同様とし、ただし防火障壁についてはこの限りでないとしている。

以上より、誤っているものはウ・エの2つである。この分野は、①費用を等分するのか広狭に応じて分担するのか、②標準を超える部分の費用を誰が負担するのか、③共有推定が及ぶ範囲はどこまでか、という三つの切り口で条文を並べ直しておくと整理しやすい。なお、225条から227条までの規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う(228条)。


問題:

公共測量の実施の手続に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 測量計画機関は、公共測量を実施しようとするときは、当該公共測量に関し観測機械の種類、観測法、計算法その他国土交通省令で定める事項を定めた作業規程を定め、あらかじめ、国土交通大臣の承認を得なければならず、これを変更しようとするときも同様である。

イ. 国土交通大臣は、作業規程の準則を定めなければならない。

ウ. 測量計画機関は、公共測量を実施しようとするときは、あらかじめ、目的、地域及び期間並びに精度及び方法を記載した計画書を提出して、国土交通大臣の技術的助言を求めなければならない。

エ. 公共測量を実施する者は、当該測量において設置する測量標に、公共測量の測量標であることを表示すれば足り、測量計画機関の名称までを表示することは要しない。

オ. 作業規程の承認、公共測量の調整、計画書についての助言並びに永久標識を設置し又は移転等をした場合の国土地理院の長への通知に関する規定は、国土地理院が実施する公共測量については適用しない。

答え:

誤っているものは、イ・ウ・エの3つである。

解説:

公共測量は、測量計画機関が実施計画を立て、作業規程を定め、国土地理院の長の技術的助言を受けたうえで実施するという流れをとる。測量法33条から39条までが、この一連の手続を定めている。誰の承認・助言を要するのかという「相手方」の違いが繰り返し問われる分野である。

アは正しい。測量法33条1項は、測量計画機関は、公共測量を実施しようとするときは、当該公共測量に関し観測機械の種類、観測法、計算法その他国土交通省令で定める事項を定めた作業規程を定め、あらかじめ、国土交通大臣の承認を得なければならず、これを変更しようとするときも同様であると定めている。作業規程の承認権者は国土交通大臣である。そして同条2項により、公共測量はこの承認を得た作業規程に基づいて実施しなければならない。

イは誤りである。測量法34条は「国土交通大臣は、作業規程の準則を定めることができる」と定めており、義務ではなく権限として規定されている。実務上、作業規程の準則は現に定められて広く用いられているが、条文の文言としては「定めることができる」であり、「定めなければならない」ではない。33条1項の作業規程の承認(測量計画機関の義務)と、34条の作業規程の準則(国土交通大臣の権限)とを混同しないことが重要である。

ウは誤りである。測量法36条は、測量計画機関は、公共測量を実施しようとするときは、あらかじめ、1号「目的、地域及び期間」、2号「精度及び方法」を記載した計画書を提出して、「国土地理院の長」の技術的助言を求めなければならず、その計画書を変更しようとするときも同様であると定めている。記載事項の内容は設問のとおりであるが、助言を求める相手方は国土交通大臣ではなく国土地理院の長である。作業規程の承認は国土交通大臣、計画書についての技術的助言は国土地理院の長、という主体の違いが本条群の最大の確認事項である。なお、国土交通大臣は、測量の正確さを確保し、又は測量の重複を除くためその他必要があると認めるときは、測量計画機関に対し、公共測量の計画若しくは実施について必要な勧告をし、又は長期計画若しくは年度計画の報告を求めることができる(35条)。

エは誤りである。測量法37条1項は「公共測量を実施する者は、当該測量において設置する測量標に、公共測量の測量標であること及び測量計画機関の名称を表示しなければならない」と定めている。表示すべき事項は、公共測量の測量標である旨と測量計画機関の名称の両方である。「名称までを表示することは要しない」とする点が誤りである。なお、同条2項は、公共測量を実施する者は関係市町村長に対して当該測量を実施するために必要な情報の提供を求めることができるとし、同条3項・4項は、測量計画機関が公共測量において永久標識を設置したとき、また自ら実施した公共測量の永久標識を移転し、撤去し、又は廃棄したときは、遅滞なく国土地理院の長に通知しなければならないと定めている。

オは正しい。測量法38条は「第三十三条、第三十五条、第三十六条並びに前条第三項及び第四項の規定は、国土地理院が実施する公共測量については、適用しない」と定めている。適用が除外されるのは、33条(作業規程の承認)、35条(公共測量の調整のための勧告及び計画の報告の求め)、36条(計画書についての技術的助言)並びに37条3項及び4項(永久標識に関する国土地理院の長への通知)である。国土地理院自身が測量計画機関となる場合には、国土交通大臣の承認や勧告を受け、あるいは国土地理院の長に対して助言を求め、又は通知をするという手続を課す意味が乏しいため、これらの適用が除外されている。

以上より、誤っているものはイ・ウ・エの3つである。なお、測量法39条は、基本測量に関する14条から26条までの規定を公共測量に準用し、その際「国土地理院の長」とあるのを原則として「測量計画機関」と読み替えるなどの読替えを定めている。基本測量の規定がどこまで公共測量に及ぶのかは、この準用規定を通じて確認することになる。なお、36条については、令和8年法律第27号(地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律)により、国土地理院の長が技術的助言を行うものとし測量計画機関は助言を受けた後でなければ公共測量を実施してはならない旨の2項が新設されるとともに36条の2が新設され、これに伴い38条の引用部分も「第三十五条から第三十六条の二まで」に改められる。ただし、この部分の施行は令和8年12月3日であり、令和8年4月2日以降施行のため今年度の出題範囲外である。


問題:

登記所に備え付ける地図の作成方法に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 地図は、地番区域又はその適宜の一部ごとに、正確な測量及び調査の成果に基づき作成するものとされるが、地番区域の全部又は一部とこれに接続する区域を一体として地図を作成することを相当とする特段の事由がある場合には、当該接続する区域を含めて地図を作成することができる。

イ. 地図の縮尺は、市街地地域にあっては250分の1又は500分の1、村落・農耕地域にあっては500分の1又は1000分の1、山林・原野地域にあっては1000分の1又は2500分の1によるものとされ、土地の状況その他の事情によりこれらの縮尺によることが適当でない場合であっても、他の縮尺によることはできない。

ウ. 地図を作成するための測量は、測量法第2章の規定による基本測量の成果である三角点及び電子基準点、国土調査法第19条第2項の規定により認証され、若しくは同条第5項の規定により指定された基準点又はこれらと同等以上の精度を有すると認められる基準点を基礎として行うものとされている。

エ. 地図を作成するための一筆地測量及び地積測定における誤差の限度は、市街地地域については国土調査法施行令別表第四に掲げる精度区分甲二まで、村落・農耕地域については精度区分乙一まで、山林・原野地域については精度区分乙三までとされている。

オ. 国土調査法第20条第1項の規定により登記所に送付された地籍図の写しは、同条第2項又は第3項の規定による登記が完了する前であっても、直ちに地図として備え付けるものとされている。

答え:

誤っているものは、イ・オの2つである。

解説:

登記所に備え付けられる地図の作成方法は、不動産登記規則10条に定められている。同条は、作成の単位(1項)、縮尺(2項)、測量の基礎(3項)、誤差の限度(4項)、地籍図の写しの取扱い(5項・6項)という順に、地図が備えるべき水準を数値と基準で示している。

アは正しい。同条1項は「地図は、地番区域又はその適宜の一部ごとに、正確な測量及び調査の成果に基づき作成するものとする」と定め、ただし書で、地番区域の全部又は一部とこれに接続する区域を一体として地図を作成することを相当とする特段の事由がある場合には、当該接続する区域を含めて地図を作成することができるとしている。地番区域という行政的な単位を原則としつつ、現地の実情に応じた例外を認める構造である。

イは誤りである。同条2項は、市街地地域は250分の1又は500分の1、村落・農耕地域は500分の1又は1000分の1、山林・原野地域は1000分の1又は2500分の1という縮尺を掲げているが、同項にはただし書があり、「土地の状況その他の事情により、当該縮尺によることが適当でない場合は、この限りでない」とされている。したがって、他の縮尺によることが一切できないわけではない。なお、市街地地域とは主に宅地が占める地域及びその周辺の地域、村落・農耕地域とは主に田、畑又は塩田が占める地域及びその周辺の地域、山林・原野地域とは主に山林、牧場又は原野が占める地域及びその周辺の地域をいうと、同項各号が定義している。

ウは正しい。同条3項は、地図を作成するための測量は、測量法2章の規定による基本測量の成果である三角点及び電子基準点、国土調査法19条2項の規定により認証され、若しくは同条5項の規定により指定された基準点又はこれらと同等以上の精度を有すると認められる基準点(これらを「基本三角点等」と総称する。)を基礎として行うものとすると定めている。この「基本三角点等」という語は、地積測量図の記録事項を定める規則77条など他の条文でも用いられる基本用語である。

エも正しい。同条4項は、地図を作成するための一筆地測量及び地積測定における誤差の限度について、1号で市街地地域は国土調査法施行令別表第四に掲げる精度区分(以下「精度区分」という。)甲二まで、2号で村落・農耕地域は精度区分乙一まで、3号で山林・原野地域は精度区分乙三までと定めている。宅地が集まる市街地地域ほど高い精度が要求され、山林・原野地域では緩やかな精度が許容されるという対応関係になっている。地域区分・縮尺・精度区分の三つは、対応する組合せで覚えることが求められる。

オは誤りである。同条5項は「国土調査法第二十条第一項の規定により登記所に送付された地籍図の写しは、同条第二項又は第三項の規定による登記が完了した後に、地図として備え付けるものとする」と定めている。備え付けるのは登記が完了した後であり、完了前に直ちに備え付けるものではない。また、同項ただし書は、地図として備え付けることを不適当とする特別の事情がある場合はこの限りでないとしている。なお、同条6項は、この5項の規定を、土地改良登記令5条2項3号又は土地区画整理登記令4条2項3号の土地の全部についての所在図その他これらに準ずる図面について準用している。

以上より、誤っているものはイ・オの2つである。地図に関する規定は、不動産登記法14条が「何を備え付けるか」を定めるのに対し、不動産登記規則10条は「どのような水準で作るか」を定めるという役割分担にある。数値が多く出てくる条文であるから、地域区分ごとの縮尺と精度区分を表の形で対応させて記憶しておきたい。

出題分野の振り分け

分野 主な論点 主な根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 河川区域内の土地の登記事項の上乗せ、河川管理者による嘱託(区域に入った場合・出た場合)、土地の一部の場合の分筆の登記の嘱託、全部滅失と一部滅失の登記の書き分け 不動産登記法43条1項〜6項(27条、34条1項、河川法6条1項〜3項、26条4項、58条の2第2項)
第2問 土地家屋調査士法(懲戒) 調査士に対する処分の種類、調査士法人に対する処分の種類(業務の全部又は一部の停止)、懲戒手続と登録取消しの調整、除斥期間7年、聴聞の公開が請求による点 土地家屋調査士法42条、43条1項・2項、44条3項〜5項、45条1項・2項、45条の2、46条(15条1項1号、16条1項各号)
第3問 民法(相隣関係) 境界標の設置と費用(等分と広狭按分の区別)、囲障の材料及び高さの標準(2メートル)、標準を超える部分の費用負担、境界標等の共有推定とその適用除外 民法223条、224条、225条1項・2項、226条、227条、228条、229条、230条1項・2項
第4問 測量法(公共測量) 作業規程の承認(国土交通大臣)、作業規程の準則が権限規定であること、計画書についての技術的助言(国土地理院の長)、測量標への表示事項、国土地理院が実施する公共測量への適用除外 測量法33条1項・2項、34条、35条、36条、37条1項〜4項、38条、39条
第5問 不動産登記規則(地図) 地図の作成単位と接続区域の例外、地域区分ごとの縮尺とただし書、基本三角点等を基礎とする測量、地域区分ごとの精度区分(甲二・乙一・乙三)、地籍図の写しの備付けの時期 不動産登記規則10条1項〜6項(不動産登記法14条、国土調査法19条2項・5項、20条1項〜3項、国土調査法施行令別表第四)