この記事の要点
- 司法書士は依頼を引き受けるにあたり、報酬・費用の金額や算定方法、事件の処理の方法などを依頼者に説明することが職業上のルールで求められている
- 説明を聞くだけでなく、わからない専門用語やあいまいな点はその場で聞き返してよい
- 説明を受けた内容は口頭だけで終わらせず、書面(委任契約書など)で手元に残しておくと後で見返せて安心
相続や不動産の名義変更などで司法書士に依頼をすることが決まると、業務を引き受ける前の段階で、報酬や手続きの内容について説明を受ける場面があります。この記事では、この説明で何が伝えられるのか、依頼者としてどう受け止めればよいのかを整理します。
なぜ受任前に説明があるのか
司法書士には、依頼を引き受ける際に、事件の処理の方法など依頼の趣旨を実現するために必要な事項を説明すること、報酬や費用の金額または算定方法を明示して十分に説明することが、日本司法書士会連合会が定める「司法書士行為規範」(令和5年4月1日施行)で求められています。依頼者が納得したうえで手続きを任せられるようにするための仕組みで、依頼者の意思を尊重すること自体が、司法書士の職務上の基本的な姿勢とされています。特別な儀式ではなく、依頼者が「何を、いくらで、どこまで頼んだのか」を契約前にきちんと理解し、納得したうえで依頼できるようにするための、ごく実務的な手続きだと考えるとわかりやすいでしょう(この内容を後から見返せるようにするには、後述するとおり書面に残しておくことが役立ちます)。
説明で伝えられる主な内容
具体的には、依頼された事件をどのような方法で処理するか(どの手続きを、どう進めるか)と、報酬・実費の金額または算定方法(登記の種類や不動産の個数などで変わる場合の考え方)は、司法書士行為規範上、説明が求められている中心的な事項です。これに加えて、実務では次のような点もあわせて伝えられることが多くあります。
- おおよその手続きの流れと、目安となる期間
- 必要になる書類と、依頼者側で用意するもの
- 途中経過をどのように報告してもらえるか
相談前に準備しておきたいものを整えて臨んでいても、実際に依頼する段階でこうした説明を受けると、聞くことが多く感じられるかもしれません。一度に理解しきる必要はなく、疑問点はメモしておいて構いません。
依頼者としてできる工夫
説明は一方的に聞くだけの場ではありません。専門用語が出てきて意味がつかめないときは、「今の部分をもう少しわかりやすく説明してもらえますか」とその場で聞き返してよい場面です。報酬の算定方法が複雑に感じられるときは、具体的なケースに当てはめた概算を尋ねてみるのもよいでしょう。また、その場で即決する必要はありません。持ち帰って考える時間をとってもよいですし、家族と内容を共有しておくと、あとで「聞いていなかった」という行き違いを防げます。
説明を受けた内容は、口頭で終わらせず、委任契約書や見積書など書面の形で手元に残しておくことをおすすめします。手続きが進む中で「最初にどう聞いていたか」を見返せる材料になり、依頼者・司法書士双方にとって安心材料になります。
まとめ
司法書士に依頼する際の「重要な事項の説明」は、業務の内容・報酬・手続きの流れなどを依頼者が納得したうえで任せられるようにするための説明です。わからない点はその場で聞き返してよく、説明を受けた内容は書面で残しておくと安心です。内容や進め方に迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年9月・いずれも一次情報です)。
- 日本司法書士会連合会「司法書士行為規範」第10条(意思の尊重)・第21条(受任の際の説明)・第22条(報酬の明示)・第23条(契約書の作成)(令和4年6月23日・24日第87回定時総会承認、令和5年4月1日施行): https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/09/e29210ae9981d021b289043d82d76e15.pdf