この記事の要点

  • 裁判の期日の変更は、当事者の申立てにより、または職権で、裁判長が行います(民事訴訟法93条1項)。申立てをするときは、変更が必要な事由を明らかにします(民事訴訟規則36条)
  • 口頭弁論と弁論準備手続の期日の変更は、原則として「顕著な事由」がある場合に限り許されます。ただし、最初の期日は当事者の合意があれば変更が許されます(民事訴訟法93条3項)
  • 弁論準備手続を経た後の口頭弁論の期日は、「やむを得ない事由」がなければ変更できず、さらに条件が厳しくなります(同条4項)

結論から言うと、裁判の期日(裁判所で手続きが行われる日時)に都合がつかないときは、裁判所に「期日の変更」を申し立てることができます。ただし、変更が許されるのは条文が定める場合に限られ、申し立てれば必ず変わるわけではありません。本記事は執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。個別の事情で変更が認められるかどうかの見通しは扱いません。

期日を決めるのも変えるのも裁判長

民事訴訟法93条1項は、期日の指定と変更は、申立てにより、または職権で、裁判長が行うと定めています。つまり、当事者ができるのは「変更してほしい」と申し立てることまでで、変えるかどうかを決めるのは裁判長です。

申立ての方法について、民事訴訟規則36条は、期日の変更を必要とする事由を明らかにしてしなければならないとしています。「都合が悪い」とだけ伝えるのではなく、なぜ変更が必要なのかを示す必要があるということです。

変更が許される場合──原則は「顕著な事由」

口頭弁論(法廷で主張を述べ合う手続き)と弁論準備手続(争点を整理するための手続き)の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許されます(民事訴訟法93条3項本文)。何が顕著な事由に当たるかは条文に具体的には書かれておらず、裁判長が事案ごとに判断します。

一方、民事訴訟規則37条は、次の事由に基づいては期日の変更を許してはならないと定めています(やむを得ない事由があるときを除く)。

  • 当事者の一方に訴訟代理人が数人いる場合に、その一部の代理人について変更の事由が生じたこと
  • 期日が指定された後に、同じ日時が他の事件の期日に指定されたこと

最初の期日は、当事者の合意でも変更できる

93条3項にはただし書があり、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許すとされています。訴えが起こされると、裁判長は口頭弁論の期日を指定して当事者を呼び出します(同法139条)。条文のいう「最初の期日」の変更については、顕著な事由がなくても、当事者の合意があれば許される仕組みです。もっとも、この場合も期日を変更するのは裁判長です(同法93条1項)。

これに対して、弁論準備手続を経た後の口頭弁論の期日の変更は、3項の規定にかかわらず、やむを得ない事由がある場合でなければ許すことができません(同条4項)。争点の整理が済んだ後の期日は、条件がより厳しくなるということです。

変更が認められないまま欠席するとどうなるか

期日の変更が許されないまま欠席した場合の扱いは、別の条文で定められています。答弁書などの書面を出していれば、その内容を陳述したものとみなされることがあります(同法158条。簡易裁判所では続行の期日にも準用、同法277条)。詳しくは訴状が届いたら|答弁書を出さないとどうなるかで整理しています。また、簡易裁判所では、裁判官の許可を得て家族などに代理人として出てもらう仕組みもあります(代理人許可の基礎)。

なお、令和4年の民事訴訟法改正(令和4年法律第48号)により、2024年(令和6年)3月1日から、裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いたうえで、ウェブ会議(映像と音声のやり取り)の方法で口頭弁論の期日の手続を行えるようになっています(民事訴訟法87条の2第1項)。この方法で手続に加わった当事者は、期日に出頭したものとみなされます(同条3項)。ただし、ウェブ会議によるかどうかを決めるのも裁判所で、期日の変更の申立てとは別の仕組みです。

まとめ

期日の変更は、申立てにより、または職権で裁判長が行い(民事訴訟法93条1項)、申立てには変更が必要な事由を明らかにします(民事訴訟規則36条)。口頭弁論・弁論準備手続の期日の変更は原則として顕著な事由が必要ですが、最初の期日は当事者の合意でも許されます(民事訴訟法93条3項)。弁論準備手続を経た後の口頭弁論の期日は、やむを得ない事由が必要です(同条4項)。

期日の都合がつかないとわかったら、早めにお近くの司法書士(訴訟の目的の価額が140万円を超える場合は弁護士)にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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