この記事の要点

  • 特別送達は、訴状や支払督促などの裁判所の書類を法律に定められた方法で届け、届けた事実を証明する郵便の特殊な取扱いです(郵便法44条・49条)
  • 本物かどうか不安なときは、書面に書かれた電話番号がにせものでないかを電話帳などで確かめたうえで、裁判所に直接問い合わせるよう、裁判所自身が案内しています
  • 受け取りを拒んだり、不在で受け取れなかったりしても、差置送達や書留郵便等に付する送達によって送達があったものとして扱われることがあります。届いたら、まず期日と期限を確かめることが大切です

これは執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。届いた書類の請求に応じるべきかどうか、どう反論すべきかといった個別の判断はここでは扱いません。

特別送達とは

裁判所が訴状や期日の呼出状などの書類を当事者に正式に届ける手続きを「送達」といいます。送達は、特別の定めがある場合を除き裁判所の職権で行われ、その事務は裁判所書記官が取り扱います(民事訴訟法98条)。送達は、特別の定めがある場合を除き、郵便または執行官によって行われ(同101条1項)、郵便によって送達するときに通常使われるのが「特別送達」です。

特別送達は、郵便法が定める郵便物の特殊取扱の一つで、書留とする郵便物について行われます(郵便法44条1項・3項)。日本郵便は、民事訴訟法に定める方法で郵便物を送達し、その送達の事実を証明します(同49条1項)。具体的には、送達をした人は送達に関する事項を書面に記載して裁判所に提出することになっており(民事訴訟法100条1項)、特別送達では、送達が適正に行われたことと、その書面の記載が適正であることを郵便認証司が確認し、その旨を書面に記載して認証します(郵便法49条2項・58条2号)。

送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき本人に書類を手渡す(交付する)方法で行うのが原則です(民事訴訟法102条の2)。

本物かどうかの確かめ方

裁判所は、裁判所や裁判所職員の名前を勝手に使った請求書などが送られる例があるとして、注意を呼びかけています。裁判所が公表している不審な郵便物の例には、封筒に「特別送達」と書かれていたのに実際には普通郵便(速達)で届いたものや、はがきで「訴訟が提起された」などと知らせて連絡を促すものが挙げられています。連絡先として、実在する裁判所の部署の正規の電話番号が書かれていた例も紹介されています。

裁判所が示している確かめ方は、次のとおりです。

  • 裁判所からの郵便物は必ず内容を確認する
  • 不審な点があれば、書かれている電話番号がにせものでないか電話帳などで確かめたうえで、裁判所に直接電話で問い合わせる(届いた書面を裁判所に持参してもかまわないとされています)
  • 裁判所の職員が電話で金銭の支払いを指示することはないので、不審な電話は警察に連絡するなどする

京都地方裁判所の案内では、裁判所が連絡先として携帯電話の番号やメールアドレスを記載することはない、とも説明されています。

一方で、「怪しいから放っておく」のも危険です。裁判所の説明によれば、支払督促や少額訴訟では、申立ての段階では架空の請求かどうか裁判所にも分からず、要件を満たしていれば書類が相手方に郵便で送られます。そのため、身に覚えがないとして放置すると、架空の請求について判決などがされ、強制執行を受けることがあるとされています。本物か偽物かを自分だけで決めつけず、確かめることが出発点です。

受け取らなくても手続きが進む仕組み

「受け取らなければ裁判は始まらない」というわけではありません。民事訴訟法には、本人に手渡せない場合に備えた方法が置かれています。

  • 補充送達:住所などで本人に会えないときは、同居者や従業員などで、書類の受領について相当のわきまえのある人に渡すことができます(同106条1項)。郵便局(日本郵便株式会社の営業所)で書類を渡すときも、同じように同居者などに渡すことができます(同項後段)
  • 差置送達:本人や、補充送達で受け取るべき人が、正当な理由なく受け取りを拒んだときは、送達すべき場所に書類を差し置くことができます(同条3項)
  • 就業場所での送達:住所などが分からないときや、そこで送達するのに支障があるときは、勤務先(就業場所)で送達することもできます。本人が勤務先で書類を受け取ると申し出た場合も同じです(同103条2項)
  • 書留郵便等に付する送達(付郵便送達):補充送達や差置送達の方法によっても送達ができない場合には、裁判所書記官が住所などに宛てて書類を書留郵便等で発送することができ、その発送の時に送達があったものとみなされます(同107条1項・3項)

特に付郵便送達では、実際に手元で受け取ったかどうかにかかわらず、発送の時に送達があったものとみなされます。受け取りが遅れれば、その分だけ、次に説明する期限までの残りの日数は短くなります。

届いたら、まず期日と期限を確かめる

送達がされると、書類に書かれた期日や期限が動き出します。たとえば支払督促(現行の条文上は「電子支払督促」)では、送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないと、債権者の申立てにより仮執行の宣言がされます(同391条1項)。手続きの全体像は支払督促の手続きの流れ|申立てから仮執行宣言・強制執行までを一般向けに解説で整理しています。

訴状が届いた場合は、口頭弁論の期日や答弁書の提出期限を確認します。答弁書を出さずに期日にも出頭しなかった場合の扱いは、訴状が届いたら|答弁書を出さないとどうなるか──陳述の擬制と自白の擬制の仕組みをご覧ください。

まとめ

特別送達は、裁判所の書類を民事訴訟法に定められた方法で届け、その事実を証明する郵便の取扱いです(郵便法49条)。本物かどうか不安なときは、書面の電話番号がにせものでないかを電話帳などで確かめたうえで、裁判所に直接問い合わせるのが、裁判所の案内する方法です。また、受け取りを拒んだり不在が続いたりしても、差置送達や付郵便送達によって送達があったものとして扱われることがあります(民事訴訟法106条3項・107条)。届いたら放置せず、まず期日と期限を確かめましょう。

届いた書類の内容や期限に不安があるときは、お早めにお近くの司法書士にご相談ください。認定を受けた司法書士が代理できるのは140万円を超えない請求に限られますので、140万円を超える場合は弁護士にご相談ください。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年10月・いずれも一次情報です)。

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