この記事の要点
- 「以上」「以下」は、境界となる数字(基準の数)そのものを含む
- 「超える」「未満(=満たない)」は、基準の数を含まない
- 「過半数」は「半数を超える」という意味で、ちょうど半分では足りない
法律の条文には、「〜以上」「〜以下」「〜を超える」「〜未満」といった数の区切りがよく登場します。日常会話ではどれもあいまいに使いがちですが、条文では基準となる数そのものを含むか含まないかがきっちり決まっています。結論から言うと、「以上」「以下」は基準の数を含み、「超える」「未満」は含みません。
「以上」「以下」──基準の数を含む
「以上」も「以下」も、基準となった数をその中に含みます。
たとえば会社法では、取締役会を置く会社(取締役会設置会社)について、取締役は3人以上でなければならないとされています。この「3人以上」は3人ちょうどを含みますので、取締役が3人であれば要件を満たし、2人では足りません。
「以下」も同じ考え方で、たとえば「100万円以下」といえば100万円ちょうどを含みます。上限や下限を示しつつ、その境目の数を「含む」ときに使われるのが「以上」「以下」だと覚えておくと読みやすくなります。
「超える」「未満」──基準の数を含まない
これに対して「超える」と「未満」は、基準の数を含みません。「超える」は基準の数より上、「未満」は基準の数より下を指し、どちらも境目の数はその中に入らないのがポイントです。条文では、「未満」を「満たない」、「超える」を「超過」と言い換えることもあります。
身近な例が「過半数」です。過半数とは「半数を超える」という意味ですので、ちょうど半分では足りず、半分より一つでも多い数が必要になります。株主総会のふつうの決議(普通決議)などで「議決権の過半数」という言い回しが出てきますが、これは半数ぴったりではなく、半数を超えていなければならないという意味なのです。
なぜこの違いが大事か
基準の数ちょうどのときに、要件を満たすかどうかが正反対になるからです。取締役が3人なら「3人以上」を満たしますが、議決権がちょうど半数では「過半数」に届きません。「以上・以下」なら境目の数でセーフ、「超える・未満」なら境目の数はアウト——たった一つの差が結論を分けることがあります。こうした条文の読み方の道しるべは、「又は」と「若しくは」の使い分けと同じく、知っておくと長い条文もぐっと読み解きやすくなります。
まとめ
「以上・以下」は基準の数を含み、「超える・未満」は含みません。そして「過半数」は「半数を超える」こと。この「含む・含まない」の線引きは、役員の員数や決議の要件など会社の手続きの土台に関わります。実際の登記や手続きで数の要件に迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年07月)。
- 会社法 第331条第5項(取締役会設置会社の取締役の員数)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
- 会社法 第309条第1項(株主総会の普通決議の要件)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086