この記事の要点

  • 外国人や、日本に住所がない人でも、日本で株式会社を設立し、発起人(会社をつくる人)や取締役・代表取締役になることができる
  • 代表取締役の全員が海外に住んでいても、設立登記は受け付けられる扱いになっている(法務省の案内)
  • 日本の印鑑証明書が取れない外国人は、本国の官公署などが作る「署名証明書(サイン証明)」で代えるのが基本。外国語の書面には日本語訳を付ける
  • 出資の払込み口座は「日本の銀行の国内支店・海外支店」「外国銀行の日本支店」が対象で、外国銀行の海外の支店は使えない
  • 会社の設立登記と在留資格(「経営・管理」など)はまったく別の手続き。在留資格・入管手続きは、行政書士(申請取次行政書士)または出入国在留管理庁にご相談ください

外国人が日本で会社を作るとき、最初に押さえておきたいのは「会社の登記ができること」と「日本に住んで働けること」は別の話だ、という点です。会社法の上では、国籍や住んでいる国によって発起人や役員になれないという決まりはなく、海外に住んだまま日本の株式会社を設立することもできます。一方で、日本に住んで会社を経営するための在留資格は、出入国在留管理庁が判断する別の手続きで、会社の登記ができたからといって在留資格が取れるわけではありません。

この記事では、外国人(日本に住所がない人を含む)が株式会社を設立するときの登記の論点に絞って整理します。設立登記全体の流れ・費用・必要書類の基本は株式会社をつくるときの登記の流れの記事で扱っていますので、あわせてご覧ください。

1. 外国人でも発起人・役員になれる

会社法で取締役になれない人として挙げられているのは、法人や、一定の犯罪で刑に処せられて一定期間がたっていない人などです(会社法331条1項)。この中に「日本国籍がない人」「日本に住所がない人」は入っていません。

法務省も「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」というページで、外国人が日本で会社を設立する場合の取扱いを案内しており、代表取締役について「日本人であることも必要ありません」と明記しています。

そのため、たとえば次のような形の会社も設立登記の対象になります。

  • 海外に住む外国人が一人で発起人になり、自分が代表取締役になる
  • 日本に住む外国人と海外に住む外国人が共同で発起人になる
  • 日本人と外国人が一緒に役員になる

なお、設立登記は本店の所在地を管轄する日本の法務局に申請します。本店の所在場所は日本国内に定めることになります。

2. 代表取締役の全員が海外に住んでいてもよい

以前は「日本の会社の代表取締役のうち、少なくとも1人は日本に住所がなければならない」という取扱いがありました。この取扱いは廃止され、代表取締役の全員が日本に住所を有しない株式会社でも、設立の登記や代表取締役の重任・就任の登記を受け付ける扱いになっています(平成27年3月16日民商第29号通知)。

つまり、代表取締役が全員海外に住んでいても、日本で会社の設立登記を申請することができます。

ただし、代表取締役の住所は登記される事項で、海外の住所を登記することになります。印鑑証明書の代わりに付ける署名証明書(3.で説明します)に住所が載らない場合に、住所を確認する書面を別に求められるかどうかなど、書面の準備は個別の事情で変わることがあるため、申請先の法務局や司法書士に事前に確認しておくと安心です。

なお、株式会社の代表取締役の住所は、申出によって登記事項証明書に市区町村までしか表示しない制度があります(代表取締役の住所を非公開にする制度の記事)。ただし、外国の住所がどこまで表示されるか、また外国籍の代表取締役が外国に住んでいる場合にどの書面が必要になるかは、法務省の通達・案内では確認できませんでした。利用を考えるときは、管轄の法務局に確認してください。

3. 印鑑証明書の代わりになる「署名証明書」

日本の会社の設立登記では、取締役などの印鑑証明書(市区町村が発行する、届け出た印鑑が本人のものであることの証明)を添付する場面があります。ところが、日本に住民登録がない人は日本の市区町村で印鑑登録ができないため、印鑑証明書を取ることができません。

そこで使われるのが署名証明書(しょめいしょうめいしょ。いわゆるサイン証明。書類にした署名が本人のものであることを証明する書面)です。法務省の案内では、商業・法人登記の申請書に添付する外国人の署名証明書は、次のような本国の官公署(「本国官憲」といいます)や本国の公証人が作成したものでよいとされています(本国官憲の署名証明書については平成28年6月28日民商第100号通達〔平成29年2月10日民商第15号通達で一部改正〕。次の一覧の区分は法務省の案内によるものです)。

  • 本国にある本国の行政機関が作成したもの
  • 日本にある本国の大使館などが作成したもの
  • 住んでいる第三国にある本国の大使館などが作成したもの
  • 本国の公証人が作成したもの

本国の官公署で署名証明書を取れない「やむを得ない事情」がある場合には、その事情を書いた上申書を付けたうえで、日本の公証人または住んでいる国の官公署が作成した署名証明書で代えることができます(同通達第3)。法務省の案内では、住んでいる国の公証人が作成した署名証明書も認められる場合があるとされています。どういう事情なら認められるかは個別の判断になるため、管轄の法務局への相談が案内されています。

このほか、押さえておきたい点が2つあります。

  • 外国語の書面には日本語訳が必要:外国語で作られた書面を添付するときは、原則としてそのすべてに日本語の訳文を付けます(一定の場合には翻訳の一部省略が認められています)
  • 日本に住民登録がある外国人:日本に住んで住民登録をしている外国人は、住んでいる市区町村で印鑑登録をして印鑑証明書を取ることができる場合があります。印鑑登録の扱いは市区町村ごとに確認してください

海外に住む家族が相続手続きで署名証明書を取るときの流れは、相続人が海外在住のときの記事でも扱っています。会社の設立でも、在外公館(大使館・総領事館)の予約や郵送のやりとりに時間がかかる点は共通です。

また、会社の実印(代表者印)を法務局に届け出る「印鑑届」は、オンライン申請では任意になっています。届け出るかどうかの考え方は会社の実印と印鑑届の記事をご覧ください。

4. 出資の払込みはどの口座にするか

株式会社を発起設立(発起人だけが出資して会社をつくる方法)するときは、出資のお金を払い込んだことを証明する書面を登記の申請書に添付します。払い込む先は「払込取扱機関」(はらいこみとりあつかいきかん。出資金を受け入れる銀行など)の口座で、法務省の案内では次のように整理されています。

口座のある場所 払込取扱機関に当たるか
日本の銀行の国内の本店・支店 当たる
日本の銀行の海外支店(現地法人は除く) 当たる
外国銀行の日本国内の支店(内閣総理大臣の認可を受けたもの) 当たる
外国銀行の海外の本店・支店 当たらない

日本の銀行の海外支店が含まれる点は、平成28年12月20日民商第179号通達によるものとされています。ただし、外国の法律にもとづいて作られた現地法人は「日本の銀行の海外支店」ではないので使えません。海外の口座を使いたいときは、その支店が対象になるかを先に確かめておく必要があります。

口座の名義人は、原則として発起人または設立時取締役です(設立時取締役の名義にするときは、発起人から受領の権限を任されたことを示す委任状を付けます)。さらに、発起人と設立時取締役の全員が日本に住所を持たない場合に限り(そのことが添付書面の記載から明らかな場合)、それ以外の人(法人を含む)の名義の口座も使えるという特例があります(平成29年3月17日民商第41号通達)。この場合も、発起人からの委任状が必要です。

外貨の預金に払い込んだときは、払い込んだ日の為替相場と、それにもとづいて日本円に換算した金額を書面に書き添える必要があります。

5. 会社の登記と在留資格は別の手続き

ここが一番誤解の多いところです。

  • 会社の設立登記:法務局が、会社法や商業登記法にもとづいて行う手続き。司法書士が申請の代理や書類作成を担います
  • 在留資格:日本に住んで活動するための資格で、出入国在留管理庁が審査します。会社を経営する場合の在留資格として「経営・管理」などがありますが、要件の確認や申請書類の作成・申請の取次ぎは、行政書士(申請取次行政書士)や弁護士の分野です

会社の設立登記が終わっても、それだけで在留資格が得られるわけではありません。海外に住んだまま日本の会社の代表取締役になって設立登記をすること自体は、2.で見たとおり法務省の案内で認められていますが、日本に住んで会社を経営するかどうかは在留資格の問題として別に考える必要があります。在留資格が取れるかどうか、資本金をいくらにすれば足りるかといった点は、制度の見直しもあるため、この記事では扱いません。在留資格・入管手続きについては、行政書士(申請取次行政書士)または出入国在留管理庁にご確認ください。

このほか、設立の前後で関わる手続きと相談先は次のとおりです。

  • 定款の認証:株式会社の定款は公証人の認証を受けます(会社法30条1項)。外国人の発起人の本人確認書類や署名証明書の扱いは、公証役場に事前に確認してください(合同会社の定款には認証の定めがなく、法務省の案内でも認証は不要とされています)
  • 税金の届出:会社設立後の税務署などへの届出や税金の相談は、税理士または税務署へ
  • 外国からの出資:外国に住む人や外国の会社からの出資には、外国為替及び外国貿易法(外為法)にもとづく手続きが関わる場合があります。対象になるかどうかは、財務省・日本銀行の案内で確認してください

まとめ

  • 外国人や日本に住所がない人でも、日本で株式会社を設立し、発起人・取締役・代表取締役になれる
  • 代表取締役の全員が海外に住んでいても、設立登記は受け付けられる扱いになっている
  • 日本の印鑑証明書が取れない外国人は、本国の官公署などが作る署名証明書で代えるのが基本で、外国語の書面には日本語訳が必要
  • 出資の払込み口座は、外国銀行の海外の支店は使えないなど決まりがある
  • 在留資格は会社の登記とは別の手続きで、行政書士(申請取次行政書士)または出入国在留管理庁が相談先

海外の書類は取り寄せや翻訳に時間がかかり、書類の形式が合わないと登記をやり直すことにもなりかねません。設立登記の進め方に不安があるときは、お近くの司法書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 外国人が会社を設立するとき、費用はどれくらいかかりますか? 株式会社の設立登記の登録免許税は、日本人が設立する場合と同じく資本金の額×0.7%(最低15万円)です。このほか定款認証の手数料がかかり、外国人の場合は署名証明書の取得費用や翻訳の費用なども加わります。署名証明書の手数料は国や在外公館によって異なるため、取得先で確認してください。

Q. 設立登記に期限はありますか?準備が遅れるとどうなりますか? 発起設立では、設立時取締役による調査が終わった日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に、設立登記をすることとされています(会社法911条1項)。会社は登記をして初めて成立するため(会社法49条)、登記が遅れるほど会社名義での契約や手続きも始められません。海外の書類は時間がかかるので、署名証明書や翻訳を先にそろえてから調査・申請の日程を組むのが安全です。

Q. 自分で手続きできますか?どこに相談すればいいですか? 外国人でも自分で設立登記を申請することはできます。ただ、署名証明書の作成者や翻訳、払込み口座の条件など外国人特有の確認点が多いため、登記はお近くの司法書士にご相談ください。在留資格は行政書士(申請取次行政書士)または出入国在留管理庁、定款認証は公証役場、税金は税理士が相談先です。


【さらに深掘り】外国人が役員になる設立登記の添付書面──署名証明書・本人確認証明書・訳文・払込みの証明

ご注意 以下は執筆時点(2026年11月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。 ここから先は専門的な内容です。一般の方はここまでの内容で十分です。

署名証明書は「就任承諾書の署名」についての証明

株式会社の設立登記で印鑑証明書が必要になるのは、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面(就任承諾書)に押した印鑑についてです(商業登記規則61条4項)。取締役会設置会社では、対象が設立時代表取締役(指名委員会等設置会社では設立時代表執行役)に置き換わります(同条5項)。

外国人の設立時取締役などが就任承諾書に押印ではなく署名をしたときは、その署名が本人のものであることを本国官憲(その国の領事や、日本における権限がある官憲を含みます)が証明した書面を付ければ、市町村長が作成した印鑑証明書に代えることができます(平成28年6月28日民商第100号通達・平成29年2月10日民商第15号通達による改正後の第2の1)。

通達の文言は「就任を承諾したことを証する書面の署名」が本人のものであることの証明となっています。署名証明書を取りに行く前に就任承諾書の文面を固めておき、署名証明書の形式(就任承諾書そのものに証明を付けてもらうのか、署名を証明する別の書面でよいのか)を管轄の法務局に確認しておくと、取り直しを防げます。

本国官憲の証明が取れないときは「上申書」も付ける

本文で触れた「やむを得ない事情」があり、日本の公証人または住んでいる国の官憲が作成した署名証明書を使う場合は、その事情を書いた上申書(登記の申請書に押印すべき者が作成するもの)もあわせて付けることとされています(同通達第3)。

どのような場合が「やむを得ない事情」に当たるかについて、平成29年2月10日民商第16号依命通知は次の例を挙げています。

  • 本国に署名を証明する制度そのものがなく、本国官憲で証明書が取れない
  • 本国では取れるが、住んでいる国(本国以外)にある本国官憲では証明書を出していない
  • 住んでいる国(本国以外)に本国官憲がない(第三国にある本国官憲が兼ねて管轄している場合を含む)

上申書には、本国官憲に確認したところ証明書を発行していないとの回答があったこと、または本国官憲がないことを書けば足りるとされています。また、日本にある本国の領事などが署名証明書を出していない場合や、日本に本国官憲がない場合は、日本以外の国にある本国官憲で取れるときでも「やむを得ない事情」があるものとして扱い、上申書と日本の公証人が作成した署名証明書で代えることができるとされています(同依命通知2)。

日本に住民登録がある外国人の場合

上記の通達は、題名のとおり「その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等」の取扱いを定めたものです。日本に住民登録があり、市区町村で印鑑登録をしている外国人であれば、就任承諾書に登録した印鑑を押して印鑑証明書を付ける方法がとれます。印鑑登録ができるかどうか、登録できる印鑑の文字(カタカナ表記など)は、市区町村の条例などで定められているため、住んでいる市区町村で確認してください。

印鑑証明書を付けない役員には「本人確認証明書」

設立登記では、印鑑証明書を付ける人を除き、設立時取締役・設立時監査役などについて、就任承諾書に書いた氏名・住所と同じ氏名・住所が載っている公務員作成の証明書(本人確認証明書)を付けます(商業登記規則61条7項)。たとえば取締役会設置会社で、代表権のない設立時取締役や設立時監査役が外国人の場合がこれに当たります。

本人確認証明書になる書面は、平成27年2月20日民商第18号通達で例示されています(同通達は改正当時の条番号である「61条5項」で書かれています)。

  • 日本に住んでいる人:住民票の写しのほか、在留カード・特別永住者証明書・運転免許証などの写しで、本人が「原本と相違ない」旨を書いて署名または記名押印したもの
  • 外国に住んでいる人:外国官憲が作成した、氏名と住所が載っている証明書(宣誓供述証明書を含む)や、外国官憲が発行した身分証明書など(住所の記載があるものに限る)の写しで、本人が「原本と相違ない」旨を書いて署名または記名押印したもの

外国に住んでいる人の身分証明書は「住所の記載があるもの」に限られているため、旅券(パスポート)の写しを使う場合も、住所の記載がなければこの要件を満たしません。外国語の証明書には日本語の訳文を付けます(同通達)。

代表取締役の住所と、氏名の表記をそろえる

登記されるのは、取締役については氏名、代表取締役については氏名と住所です(会社法911条3項13号・14号)。海外に住む代表取締役の場合、外国の住所が登記されることになります。

代表取締役の住所については、住所を登記する申請と同時に申し出ることで、登記事項証明書などに住所の行政区画(都道府県・市区町村)より先を表示しない「代表取締役等住所非表示措置」を受けられます(商業登記規則31条の3、令和6年7月26日民商第116号通達)。住所そのものは登記簿に記録され、証明書での表示が省略されるだけです。上場会社以外の会社が申し出るときは、本店の実在を証する書面、代表取締役の住所を証する書面、実質的支配者の本人特定事項を証する書面を付けます(同条1項1号)。同通達は、住所を証する書面の例として住民票の写し・戸籍の附票の写し・日本国領事が作成した証明書・運転免許証などの写しを挙げています。一方、日本国領事の証明書を取ることができない外国籍の代表取締役が外国に住んでいる場合にどの書面で足りるか、外国の住所のどこまでが表示されるかは、通達・法務省の案内では確認できませんでした。利用を考えるときは管轄の法務局に確認してください。

なお、商業登記規則31条の3は商業登記規則等の一部を改正する省令(令和8年法務省令第51号)により改正され、2026年12月1日から、株式会社以外の会社の代表者や支配人なども対象に加わります。株式会社の代表取締役が対象であることや、住所を登記する申請と同時に申し出る点は変わりません。同じ省令は、設立登記の添付書面を定める商業登記規則61条(印鑑証明書・本人確認証明書)は改正していません。

本人確認証明書は、就任承諾書に書いた氏名・住所と「同一の」氏名・住所が載っていることが要件です(商業登記規則61条7項)。この要件が直接かかるのは本人確認証明書ですが、署名証明書を使う場合も含めて、次の書類どうしで氏名のつづり(ミドルネームの有無を含む)や住所の書き方をそろえておくと、申請前の確認がしやすくなります。

  • 就任承諾書に書く氏名・住所
  • 署名証明書・本人確認証明書に載っている氏名・住所
  • それらの日本語訳文での氏名(カタカナなど)・住所の書き方

署名証明書に住所が記載されない場合に住所を確認する書面を別に求められるかどうかや、外国人の役員の氏名・外国の住所を登記簿にどの文字で記録するかは、申請前に管轄の法務局に確認しておくと確実です。

訳文の省略と、日本語で作る書面

外国語の書面には原則としてすべてに訳文を付けますが、法務省の案内「商業登記の申請書に添付される外国語で作成された書面の翻訳について」では、外国官憲が発行する各種証明書(サイン証明書・本人確認証明書・宣誓供述書・パスポートの写しなど)について、次の扱いが示されています。

  • 登記の内容や証明の対象と関係のない部分(本国官憲が使う欄、手数料の領収部分など)は翻訳を省略できる。その場合は訳文に「本国官憲使用欄につき翻訳省略」などと書く
  • 証明書を発行した者(領事・公証人など)に関する記載は省略できない
  • 同じ内容が2つの言語(その国の公用語と英語など)で書かれている証明書は、どちらか一方の訳で足りる

一方、同じ案内は、日本の会社法にもとづいて設立される会社(内国会社)の株主総会議事録・取締役会議事録など、会社法上作成が義務づけられている書面は、日本の公用語(日本文字)で作成する必要があるとしています。外国人の役員向けに外国語の資料を用意する場合でも、登記に使う議事録などは日本語で作ります。

払込みを証する書面の組み立て

発起設立の登記では、出資の払込みがあったことを証する書面を添付します(商業登記法47条2項5号)。法務省の案内では、次の2つを合わせたものを、この書面として扱うことができるとされています。

  1. 設立時代表取締役(または設立時代表執行役)が作成する、払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面
  2. 払込取扱機関の口座の預金通帳の写し、または取引明細表など払込取扱機関が作成した書面(インターネットバンキングの取引明細を印刷したものを含む)

2.の書面には、金融機関の名称(口座のある支店名まで)、出資金の払込みの履歴、口座の名義人がすべて載っている必要があります(同じページになければ複数ページにわたってもよいとされています)。海外支店の明細が外国語であれば、訳文も付けることになります。

日本の銀行の海外支店が払込取扱機関に含まれるのは、銀行法8条2項にもとづき内閣総理大臣の認可を受けて外国に置いた支店も、同法2条1項の銀行として払込取扱機関に含まれると解されるためです(平成28年12月20日民商第179号通達)。その口座がこうした支店かどうかは、銀行の登記事項証明書などで確認できるとされています。

また、設立時取締役や第三者(発起人と設立時取締役の全員が日本に住所を持たない場合の特例)の名義の口座を使うときに付ける受領権限の委任状は、発起人のうち1人からの委任があれば足り、発起人全員や過半数で決める必要はないとされています(法務省の案内)。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年11月・いずれも一次情報です)。

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