問題:
同時履行の抗弁、危険負担及び第三者のためにする契約に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 双務契約の当事者の一方は、相手方の債務が弁済期にないときであっても、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
イ. 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者の反対給付の債務は、契約の解除を要することなく当然に消滅する。
ウ. 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができず、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
エ. 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者の権利は、その契約の成立の時に発生する。
オ. 第三者のためにする契約により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、その契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。
答え:
正しいものは、ウ・オの2つである。
解説:
ア 誤り。民法533条は、「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」と定めている。相手方の債務が弁済期にないときは、同条ただし書により、自己の債務の履行を拒むことはできない。
イ 誤り。民法536条1項は、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」と定めるにとどまり、反対給付の債務が当然に消滅するとは定めていない。なお、民法542条1項1号は、「債務の全部の履行が不能であるとき。」を掲げ、この場合には、債権者は、同法541条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができると定めている。
ウ 正しい。民法536条2項は、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。」と定めている。なお、民法543条は、「債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。」と定めている。
エ 誤り。民法537条3項は、「第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。」と定めている。第三者の権利が発生するのは、契約の成立の時ではなく、第三者が同項の意思を表示した時である。なお、同条2項は、「前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。」と定めている。
オ 正しい。民法538条2項は、「前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。」と定めている。なお、同条1項は、「前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。」と定め、民法539条は、「債務者は、第五百三十七条第一項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。」と定めている。
ポイント:同時履行の抗弁は、相手方の債務が弁済期にないときは主張できない(民法533条ただし書)。当事者双方の責めに帰することができない事由による履行不能では、債権者は反対給付の履行を拒むことができるとされ、反対給付の債務が当然に消滅するとは定められておらず、全部の履行不能であれば催告なしで契約の解除をすることができる(民法536条1項、542条1項1号)。債権者の責めに帰すべき事由による履行不能では、債権者は反対給付の履行を拒むことができず、債務者は免れた利益を償還し、債権者は契約の解除もできない(民法536条2項、543条)。第三者のためにする契約では、第三者の権利は受益の意思を表示した時に発生し、発生後は当事者が変更又は消滅させることができず、債務者の不履行による解除には第三者の承諾を要する(民法537条3項、538条)。「弁済期前は拒めない、双方に責任なしは拒めるが消滅とは定めていない、債権者に責任ありは拒めず解除もできない、第三者の権利は受益の意思表示の時、発生後の解除は第三者の承諾」と押さえる。
問題:
民法423条その他の法令の規定により他人に代わってする登記の申請(以下「代位による登記の申請」という。)に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 代位による登記の申請をするときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因を申請情報の内容としなければならない。
イ. 代位による登記の申請をするときに提供しなければならない代位原因を証する情報は、公務員が職務上作成した情報に限られる。
ウ. 代位による登記の申請に基づいて権利に関する登記がされたときは、代位者の氏名又は名称及び住所は登記事項となるが、代位原因は登記事項とならない。
エ. 甲土地の売主Aから買主Bへの所有権の移転の登記について、Bの債権者CがBに代位してAと共同で申請した場合において、当該登記が完了したときは、当該登記に係る登記識別情報は、B及びCのいずれに対しても通知されない。
オ. 代位による登記の申請に基づく登記を完了したときは、登記官は、当該他人に対し、登記が完了した旨を通知しなければならない。
答え:
誤っているものは、イ・ウの2つである。
解説:
ア 正しい。不動産登記令3条は、申請情報の内容として、4号に「民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因」を掲げている。
イ 誤り。不動産登記令7条1項3号は、「民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、代位原因を証する情報」と定めている。同項5号イが「市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)」と定め、同項4号も同様に定めているのに対し、同項3号は情報の作成者を定めていない。公務員が職務上作成した情報に限る旨の定めはないから、代位原因を証する情報は、公務員が職務上作成した情報に限られない。
ウ 誤り。不動産登記法59条は、権利に関する登記の登記事項として、7号に「民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因」を掲げている。代位原因も登記事項である。
エ 正しい。不動産登記法21条本文は、「登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。」と定めている。Cは申請人であるが登記名義人とならず、Bは登記名義人となるが申請人ではないから、いずれも同条の「申請人自らが登記名義人となる場合」に当たらない。
オ 正しい。不動産登記規則183条1項は、登記官は、同項各号に掲げる場合には、当該各号に定める者に対し、登記が完了した旨を通知しなければならないと定め、同項2号は、「民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わってする申請に基づく登記を完了した場合」について「当該他人」を定めている。なお、同条2項は、通知を受けるべき者が二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りると定めている。申請人に対する通知については、不動産登記規則181条1項が、「登記官は、登記の申請に基づいて登記を完了したときは、申請人に対し、登記完了証を交付することにより、登記が完了した旨を通知しなければならない。」と定めている。
ポイント:代位による登記の申請では、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因が申請情報の内容となり(不動産登記令3条4号)、代位原因を証する情報を提供するが、公務員が職務上作成した情報に限る旨の定めはない(不動産登記令7条1項3号)。登記事項となるのは代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因である(不動産登記法59条7号)。登記識別情報は申請人自らが登記名義人となる場合に通知されるから、申請人であっても登記名義人とならない代位者にも、登記名義人となるが申請人でない当該他人にも通知されない(不動産登記法21条本文)。登記の完了は、申請人に登記完了証の交付により通知され(不動産登記規則181条1項)、当該他人にも通知される(不動産登記規則183条1項2号)。「申請情報と登記事項に代位原因あり、証する情報は公務員が職務上作成した情報に限られない、登記識別情報は申請人かつ登記名義人だけ、完了の通知は当該他人にも」と押さえる。
問題:
準備金の額の減少に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 株式会社が株主総会の決議によって準備金の額を減少する場合には、当該決議は、会社法309条2項に規定する決議によらなければならない。
イ. 株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときは、取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議によって、会社法448条1項各号に掲げる事項を定めることができる。
ウ. 減少する準備金の額の全部を資本金とする場合には、株式会社の債権者は、当該準備金の額の減少について異議を述べることができない。
エ. 準備金の額のみを減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)において、臨時株主総会で会社法448条1項各号に掲げる事項を定めたときであっても、減少する準備金の額が当該臨時株主総会の日における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないときは、株式会社の債権者は、当該準備金の額の減少について異議を述べることができない。
オ. 資本準備金の額の減少によってする資本金の額の増加による変更の登記の申請書には、その減少に係る資本準備金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければならない。
答え:
正しいものは、イ・ウ・オの3つである。
解説:
ア 誤り。会社法448条1項は、「株式会社は、準備金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。」と定めている。会社法309条2項9号が掲げるのは「第四百四十七条第一項の株主総会」、すなわち資本金の額の減少についての株主総会であり、同項各号に同法448条1項の株主総会は掲げられていないから、同法309条1項の決議による。
イ 正しい。会社法448条3項は、「株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。」と定めている。
ウ 正しい。会社法449条1項本文は、「株式会社が資本金又は準備金(以下この条において「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。」と定めている。全部を資本金とする場合は同項本文の括弧書きにより除かれているから、債権者は異議を述べることができない。これに対し、一部のみを資本金とする場合は除かれていない。
エ 誤り。会社法449条1項ただし書は、「準備金の額のみを減少する場合であって、次のいずれにも該当するとき」は同項本文の例外とし、1号に「定時株主総会において前条第一項各号に掲げる事項を定めること。」を、2号に減少する準備金の額が当該定時株主総会の日における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないことを掲げている。臨時株主総会で定めたときは、同項1号に該当しないから、同項ただし書の適用はなく、債権者は異議を述べることができる。なお、会社法459条3項は、同条1項の規定による定款の定めがある場合における同法449条1項1号の適用については、「定時株主総会」とあるのは「定時株主総会又は第四百三十六条第三項の取締役会」とすると定めているが、臨時株主総会は掲げられていない。
オ 正しい。商業登記法69条は、「資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記の申請書には、その減少に係る資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければならない。」と定めている。なお、商業登記法46条2項は、「登記すべき事項につき株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならない。」と定めている。
ポイント:準備金の額の減少は株主総会の決議によって定めるが(会社法448条1項)、会社法309条2項9号に掲げられているのは資本金の額の減少についての株主総会であり、準備金の額の減少についての株主総会は同項各号に掲げられていない。株式の発行と同時に減少し、減少の効力が生ずる日の後の準備金の額が前の額を下回らないときは、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては取締役会の決議)で足りる(会社法448条3項)。債権者が異議を述べることができないのは、減少する準備金の額の全部を資本金とする場合(会社法449条1項本文括弧書き)と、準備金の額のみを減少する場合であって定時株主総会で定め、かつ減少額が欠損の額を超えない場合である(会社法449条1項ただし書。定款の定めがある場合につき同法459条3項)。準備金の額の減少による資本金の額の増加の登記の申請書には、その準備金の額が計上されていたことを証する書面を添付する(商業登記法69条)。「準備金の減少は309条2項の列挙になし、株式の発行と同時で下回らなければ取締役の決定等で可、全部を資本金なら異議なし、欠損の額までの減少は定時株主総会で定めれば異議なしで臨時株主総会は当たらない、登記には計上されていたことを証する書面」と押さえる。
問題:
選定当事者に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 共同の利益を有する多数の者が法人でない社団を構成している場合において、当該社団に代表者の定めがあるときであっても、当該多数の者は、民事訴訟法30条1項の規定により、その中から全員のために原告又は被告となるべき者を選定することができる。
イ. 訴訟の係属の後、共同の利益を有する多数の者がその中から原告となるべき者を選定したときは、他の当事者は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。
ウ. 係属中の訴訟の原告と共同の利益を有する者で当事者でないものが、その原告を自己のためにも原告となるべき者として選定した場合には、その原告は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者のために請求の追加をすることができる。
エ. 選定者は、その選定を取り消し、又は選定当事者を変更することができるが、その取消し及び変更は、相手方に通知しなければ、その効力を生じない。
オ. 選定当事者のうちの一部の者が死亡したときは、訴訟代理人がある場合を除き、訴訟手続は中断し、選定者の全員又は新たな選定当事者が訴訟手続を受け継がなければならない。
答え:
誤っているものは、ア・イ・オの3つである。
解説:
ア 誤り。民事訴訟法30条1項は、「共同の利益を有する多数の者で前条の規定に該当しないものは、その中から、全員のために原告又は被告となるべき一人又は数人を選定することができる。」と定めている。同法29条は、「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」と定めている。共同の利益を有する多数の者が代表者の定めがある法人でない社団を構成している場合には、その社団が同法29条の規定に該当するから、当該多数の者は同法30条1項の「前条の規定に該当しないもの」に当たらず、同項の規定による選定をすることはできない。
イ 誤り。民事訴訟法30条2項は、「訴訟の係属の後、前項の規定により原告又は被告となるべき者を選定したときは、他の当事者は、当然に訴訟から脱退する。」と定めている。相手方の承諾を要するのは、同法47条1項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合の参加前の原告又は被告の脱退である(民事訴訟法48条前段)。
ウ 正しい。民事訴訟法30条3項は、「係属中の訴訟の原告又は被告と共同の利益を有する者で当事者でないものは、その原告又は被告を自己のためにも原告又は被告となるべき者として選定することができる。」と定め、同法144条1項は、「第三十条第三項の規定による原告となるべき者の選定があった場合には、その者は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者のために請求の追加をすることができる。」と定めている。なお、同条2項は、被告となるべき者の選定があった場合には、原告が、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者に係る請求の追加をすることができると定めている。
エ 正しい。民事訴訟法30条4項は、「第一項又は前項の規定により原告又は被告となるべき者を選定した者(以下「選定者」という。)は、その選定を取り消し、又は選定された当事者(以下「選定当事者」という。)を変更することができる。」と定めている。同法36条1項は、「法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。」と定め、同条2項は、「前項の規定は、選定当事者の選定の取消し及び変更について準用する。」と定めている。
オ 誤り。民事訴訟法30条5項は、「選定当事者のうち死亡その他の事由によりその資格を喪失した者があるときは、他の選定当事者において全員のために訴訟行為をすることができる。」と定めている。訴訟手続が中断するのは、同法124条1項6号の「選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失」の場合であり、この場合に受け継がなければならないのは「選定者の全員又は新たな選定当事者」である。なお、同条2項は、「前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。」と定めている。
ポイント:選定当事者を選定することができるのは、共同の利益を有する多数の者で、法人でない社団等の当事者能力を定める民事訴訟法29条の規定に該当しないものである(民事訴訟法30条1項)。訴訟の係属の後に選定したときは、他の当事者は当然に脱退し(民事訴訟法30条2項)、相手方の承諾を得て脱退する民事訴訟法48条の訴訟脱退と異なる。係属中の訴訟の原告を選定した場合は、その原告が選定者のために請求を追加することができる(民事訴訟法30条3項、144条1項)。選定の取消し及び選定当事者の変更は、相手方に通知しなければ効力を生じない(民事訴訟法30条4項、36条2項)。選定当事者の一部が資格を喪失したときは他の選定当事者が全員のために訴訟行為をすることができ、全員が資格を喪失したときに訴訟手続が中断する(民事訴訟法30条5項、124条1項6号)。「29条の社団は対象外、選定すれば当然脱退、追加的選定は請求の追加、取消し・変更は通知で効力、中断は全員が資格を失ったとき」と押さえる。
問題:
供託官の処分等に対する審査請求に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 供託官の処分に不服がある者のほか、供託官の不作為に係る処分の申請をした者も、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。
イ. 審査請求は、供託官を経由してすることも、監督法務局又は地方法務局の長に対して直接することもできる。
ウ. 供託官は、処分についての審査請求を理由があると認めるときは、相当の処分をして、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
エ. 供託官は、処分についての審査請求を理由があると認めるとき等以外の場合には、意見を付して、審査請求があった日から3日以内に、監督法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。
オ. 供託官の処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときは、正当な理由がある場合を除き、することができない。
答え:
正しいものは、ア・ウの2つである。
解説:
ア 正しい。供託法1条ノ4は、「供託官ノ処分ニ不服アル者又ハ供託官ノ不作為ニ係ル処分ノ申請ヲ為シタル者ハ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ審査請求ヲ為スコトヲ得」と定めている。
イ 誤り。供託法1条ノ5は、「審査請求ハ供託官ヲ経由シテ之ヲ為スコトヲ要ス」と定めている。
ウ 正しい。供託法1条ノ6第1項は、「供託官ハ処分ニ付テノ審査請求ヲ理由アリト認ムルトキ又ハ審査請求ニ係ル不作為ニ係ル処分ヲ為スベキモノト認ムルトキハ相当ノ処分ヲ為シテ其旨ヲ審査請求人ニ通知スルコトヲ要ス」と定めている。
エ 誤り。供託法1条ノ6第2項は、「供託官ハ前項ニ規定スル場合ヲ除クノ外意見ヲ付シ審査請求アリタル日ヨリ五日内ニ之ヲ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ送付スルコトヲ要ス」と定めている。期間は5日である。これに対し、登記官の処分についての審査請求では、不動産登記法157条2項が「審査請求の日から三日以内に」と定めている。
オ 誤り。行政不服審査法18条1項は、「処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」と定めているが、供託法1条ノ9は、行政不服審査法18条の規定を供託法1条ノ4の審査請求について適用しないと定めているから、本肢のような審査請求期間の定めは及ばない。なお、供託法1条ノ7第1項は、「法務局又ハ地方法務局ノ長ハ処分ニ付テノ審査請求ヲ理由アリト認ムルトキ又ハ審査請求ニ係ル不作為ニ係ル処分ヲ為スベキモノト認ムルトキハ供託官ニ相当ノ処分ヲ命スルコトヲ要ス」と定めている。
ポイント:供託官の処分に不服がある者又は供託官の不作為に係る処分の申請をした者は、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができ(供託法1条ノ4)、審査請求は供託官を経由しなければならない(供託法1条ノ5)。供託官は、理由があると認めるとき等は相当の処分をして審査請求人に通知し(供託法1条ノ6第1項)、それ以外の場合は意見を付して審査請求があった日から5日内に送付する(供託法1条ノ6第2項)。登記官の処分についての審査請求の3日以内(不動産登記法157条2項)と取り違えない。行政不服審査法18条の審査請求期間の規定は適用されない(供託法1条ノ9)。「処分だけでなく不作為も、必ず供託官経由、供託官が理由ありなら自ら処分、送付は5日内で登記官は3日以内、審査請求期間の規定は適用なし」と押さえる。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 民法(債権・契約の効力) | 同時履行の抗弁と弁済期、債権者の責めに帰することができない場合の反対給付、債権者の責めに帰すべき場合の反対給付と償還、第三者の権利の発生時期、権利の発生後の解除 | 民法533条、536条、537条2項・3項、538条、539条、542条1項1号、543条 |
| 第2問 | 不動産登記法(代位による登記の申請) | 申請情報の内容、代位原因を証する情報、登記事項、登記識別情報の通知、当該他人に対する通知 | 不動産登記法21条、59条7号、不動産登記令3条4号、7条1項3号、不動産登記規則181条1項、183条1項2号・2項 |
| 第3問 | 会社法・商業登記法(準備金の額の減少) | 株主総会の決議の要件、株式の発行と同時にする減少、全部を資本金とする場合の債権者異議、定時株主総会と欠損の額、資本金の額の増加の登記の添付書面 | 会社法309条1項・2項9号、448条1項・3項、449条1項、459条3項、商業登記法46条2項、69条 |
| 第4問 | 民事訴訟法(選定当事者) | 選定の要件と法人でない社団、訴訟の係属後の選定と脱退、請求の追加、選定の取消し・変更の通知、資格の喪失と中断 | 民事訴訟法29条、30条、36条、48条、124条1項6号・2項、144条 |
| 第5問 | 供託法(審査請求) | 審査請求の対象と審査請求先、供託官の経由、供託官による処分、意見の送付の期間、審査請求期間の規定の不適用 | 供託法1条ノ4〜1条ノ7、1条ノ9、不動産登記法157条2項、行政不服審査法18条1項 |