問題:

消費貸借に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生じ、借主が金銭その他の物を受け取ることは、その効力発生の要件とされていない。

イ. 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができるが、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。

ウ. 利息の特約がある消費貸借において、貸主は、契約が効力を生じた日以後の利息を請求することができる。

エ. 貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものである場合に、借主がその物の価額を返還することができるのは、利息の特約のない消費貸借に限られる。

オ. 当事者が返還の時期を定めた場合には、借主は、その時期の前に返還をすることができない。

答え:

誤っているものは、ウ・エ・オの3つである。

解説:

ア 正しい。民法587条は、「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」と定め、原則として目的物の受取りを効力発生の要件としている。これに対し、同法587条の2第1項は、「前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。」と定めており、書面でする消費貸借は、目的物の受取りを待たずに合意によって効力を生ずる。なお、同条4項は、消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、同条1項から3項までの規定を適用すると定めている。

イ 正しい。民法587条の2第2項は、「書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。」と定めている。なお、同条3項は、「書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。」と定めている。

ウ 誤り。民法589条1項は、「貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。」と定め、同条2項は、「前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる。」と定めている。利息を請求できるのは、契約が効力を生じた日以後ではなく、借主が金銭その他の物を受け取った日以後である。書面でする消費貸借では契約の効力発生と目的物の受取りとが時期的にずれうるため、この区別が問題となる。

エ 誤り。民法590条1項は、「第五百五十一条の規定は、前条第一項の特約のない消費貸借について準用する。」と定め、同条2項は、「前条第一項の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる。」と定めている。借主が価額を返還することができるのは、利息の特約の有無にかかわらない。利息の特約のない消費貸借に限って適用されるのは、贈与者の引渡義務等に関する同法551条の準用(同法590条1項)のほうである。

オ 誤り。民法591条2項は、「借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。」と定め、同条3項は、「当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。」と定めている。返還の時期を定めた場合であっても、借主は、その時期の前に返還をすることができ、貸主に損害が生じたときにその賠償の問題が生ずるにとどまる。なお、同条1項は、「当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。」と定めている。

ポイント:消費貸借は目的物の受取りによって効力を生ずるのが原則であるが(民法587条)、書面(又は電磁的記録)でする消費貸借は合意によって効力を生じ(民法587条の2第1項・4項)、借主は目的物を受け取るまで解除をすることができ、貸主はこれによって受けた損害の賠償を請求できる(民法587条の2第2項)。利息の特約があっても、利息は借主が目的物を受け取った日以後の分しか請求できない(民法589条2項)。引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときに借主がその物の価額を返還できるのは、利息の特約の有無を問わない(民法590条2項)。借主は返還時期の定めの有無にかかわらずいつでも返還でき、返還時期の定めがあるときに期限前の返還によって貸主が損害を受ければ賠償の問題となる(民法591条2項・3項)。「書面なら合意で成立・受取りまで借主は解除可、利息は受け取った日から、借主はいつでも返せる」と押さえる。


問題:

権利に関する登記の抹消の申請に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

イ. 地上権が地上権者の死亡によって消滅する旨の定めがある場合には、その旨が登記されていないときであっても、地上権者の死亡によって地上権が消滅したときは、登記権利者は、単独で当該地上権の登記の抹消を申請することができる。

ウ. 登記された存続期間が満了している地上権の登記について、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき地上権者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、登記権利者は、非訟事件手続法99条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

エ. 登記義務者である抵当権者の所在が知れないため、その者と共同して抵当権の登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から10年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときは、登記権利者は、単独で当該抵当権の登記の抹消を申請することができる。

オ. 抵当権者である法人が解散し、法務省令で定める方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して抵当権の登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から30年を経過し、かつ、その法人の解散の日から30年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該抵当権の登記の抹消を申請することができる。

答え:

誤っているものは、イ・エの2つである。

解説:

ア 正しい。不動産登記法69条の2は、「買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。」と定めている。民法580条1項が、買戻しの期間は10年を超えることができず、特約でこれより長い期間を定めたときはその期間は10年とすると定めていることを踏まえ、契約の日から10年を経過した買戻しの特約の登記について共同申請の例外が認められたものと解される。

イ 誤り。不動産登記法69条は、「権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、当該権利がその死亡又は解散によって消滅したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。」と定めている。単独申請が認められるのは、権利が人の死亡によって消滅する旨が登記されている場合に限られる。その旨が登記されていないときは、同法60条の原則どおり、登記権利者と登記義務者(地上権者)の相続人とが共同して申請しなければならない。なお、同法59条5号は、「登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め」を権利に関する登記の登記事項として掲げている。

ウ 正しい。不動産登記法70条1項は、「登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。」と定めている。そして、同条2項は、同条1項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同条1項の規定を適用すると定めている。なお、同条3項は、同条1項又は2項の場合(「前二項の場合」)において、非訟事件手続法106条1項に規定する除権決定があったときは、同法60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で同条1項に規定する登記の抹消を申請することができると定めている。

エ 誤り。不動産登記法70条4項後段は、同条1項に規定する場合において、「被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたとき」も、登記権利者は、単独で先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができると定めている。要件となる期間は、弁済期から10年ではなく20年である。なお、同項前段は、同条1項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときも、登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができると定めている。

オ 正しい。不動産登記法70条の2は、「登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。」と定めている。同法70条4項後段と異なり、供託は要件とされていない。

ポイント:権利に関する登記の抹消は共同申請が原則であるが(不動産登記法60条)、次の場合には登記権利者が単独で申請できる。①権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合に、その死亡又は解散によって権利が消滅したとき(不動産登記法69条。消滅する旨の登記がなければ単独申請はできない)、②買戻しの特約の登記について契約の日から10年を経過したとき(不動産登記法69条の2)、③登記義務者の所在が知れない場合に除権決定を得たとき(不動産登記法70条1項・3項。存続期間等が満了した地上権・永小作権・質権・賃借権・採石権・買戻しの特約の登記は、法務省令で定める方法による調査を尽くせば所在が知れないものとみなされる=不動産登記法70条2項)、④担保権の登記で、被担保債権の消滅を証する政令所定の情報を提供したとき、又は弁済期から20年経過後に元利金・損害金の全額を供託したとき(不動産登記法70条4項)、⑤担保権者である法人が解散し清算人の所在が判明しない場合に、弁済期から30年かつ解散の日から30年を経過したとき(不動産登記法70条の2。供託は不要)。「買戻しは10年、供託型は20年、解散法人は30年と30年」と数字を区別して押さえる。


問題:

特別支配株主の株式等売渡請求に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 特別支配株主は、株式売渡請求をする場合において、特別支配株主完全子法人に対しては、その請求をしないことができる。

イ. 取締役会設置会社である対象会社が株式売渡請求の承認をするか否かの決定をするには、株主総会の特別決議によらなければならない。

ウ. 特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をしようとするときは、対象会社は、新株予約権売渡請求のみを承認することができる。

エ. 特別支配株主は、対象会社から株式売渡請求の承認を受けた後は、取得日の前日までに対象会社の承諾を得た場合に限り、売渡株式等の全部について株式等売渡請求を撤回することができる。

オ. 対象会社が公開会社でない場合において、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得の無効は、取得日から6か月以内に、訴えをもってのみ主張することができる。

答え:

正しいものは、ア・エの2つである。

解説:

ア 正しい。会社法179条1項は、株式会社の特別支配株主(総株主の議決権の10分の9〔これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合〕以上を当該株式会社以外の者及び当該者が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人〔特別支配株主完全子法人〕が有している場合における当該者)は、当該株式会社の株主(当該株式会社及び当該特別支配株主を除く。)の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができると定め、同項ただし書は、「ただし、特別支配株主完全子法人に対しては、その請求をしないことができる。」と定めている。

イ 誤り。会社法179条の3第1項は、特別支配株主は、株式売渡請求(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、株式売渡請求及び新株予約権売渡請求)をしようとするときは、対象会社に対し、その旨及び同法179条の2第1項各号に掲げる事項を通知し、その承認を受けなければならないと定め、同法179条の3第3項は、「取締役会設置会社が第一項の承認をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならない。」と定めている。取締役会設置会社では取締役会の決議によって決定するのであり、株主総会の決議は要しない。

ウ 誤り。会社法179条の3第2項は、「対象会社は、特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をしようとするときは、新株予約権売渡請求のみを承認することはできない。」と定めている。

エ 正しい。会社法179条の6第1項は、「特別支配株主は、第百七十九条の三第一項の承認を受けた後は、取得日の前日までに対象会社の承諾を得た場合に限り、売渡株式等の全部について株式等売渡請求を撤回することができる。」と定めている。なお、同条2項は、取締役会設置会社が同条1項の承諾をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならないと定めている。

オ 誤り。会社法846条の2第1項は、「株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得の無効は、取得日から六箇月以内(対象会社が公開会社でない場合にあっては、当該取得日から一年以内)に、訴えをもってのみ主張することができる。」と定めている。対象会社が公開会社でない場合の提訴期間は、取得日から1年以内である。なお、同法179条の9第1項は、株式等売渡請求をした特別支配株主は、取得日に、売渡株式等の全部を取得すると定めている。

ポイント:特別支配株主(総株主の議決権の10分の9〔定款でこれを上回る割合を定めればその割合〕以上を自己と特別支配株主完全子法人とで有する者)は、他の株主全員に対して株式の全部の売渡しを請求でき、特別支配株主完全子法人に対しては請求しないことができる(会社法179条1項)。売渡請求には対象会社の承認が必要で、取締役会設置会社では取締役会の決議で承認するか否かを決め、新株予約権売渡請求を併せてした場合に新株予約権売渡請求のみを承認することはできない(会社法179条の3第1項〜3項)。承認後の撤回は、取得日の前日までに対象会社の承諾を得た場合に限り、売渡株式等の全部についてのみできる(会社法179条の6第1項)。売渡株式等の取得の無効の訴えの提訴期間は、取得日から6か月以内、公開会社でない対象会社では1年以内である(会社法846条の2第1項)。「承認は取締役会、撤回は承諾つきで全部だけ、無効の訴えは6か月(非公開1年)」と押さえる。


問題:

民事訴訟における弁論準備手続に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 裁判所は、事件を弁論準備手続に付するには、当事者の同意を得なければならない。

イ. 裁判所は、弁論準備手続において、相当と認める者の傍聴を許すことができ、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない。

ウ. 裁判所は、当事者双方の申立てがあるときは、弁論準備手続に付する裁判を取り消さなければならない。

エ. 弁論準備手続を経た事件については、当事者は、その後の口頭弁論において、弁論準備手続の結果を陳述することを要しない。

オ. 弁論準備手続の終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、弁論準備手続の終結前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない。

答え:

正しいものは、イ・ウ・オの3つである。

解説:

ア 誤り。民事訴訟法168条は、「裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる。」と定めている。要件は当事者の意見を聴くことであり、当事者の同意は要しない。

イ 正しい。民事訴訟法169条1項は、「弁論準備手続は、当事者双方が立ち会うことができる期日において行う。」と定め、同条2項は、「裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。ただし、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない。」と定めている。弁論準備手続は公開の法廷で行う口頭弁論とは異なり、傍聴は裁判所が相当と認める者に許すことができるとされているが、当事者が申し出た者の傍聴は原則として許さなければならない。

ウ 正しい。民事訴訟法172条は、「裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、弁論準備手続に付する裁判を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消さなければならない。」と定めている。

エ 誤り。民事訴訟法173条は、「当事者は、口頭弁論において、弁論準備手続の結果を陳述しなければならない。」と定めている。弁論準備手続は口頭弁論ではないため、その結果を口頭弁論に上程するには当事者の陳述を要する。

オ 正しい。民事訴訟法174条は、準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者の説明義務を定める同法167条の規定を、弁論準備手続の終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用している。同法167条は、「準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、準備的口頭弁論の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない。」と定めている。同法174条・167条が定めているのは、相手方の求めがあるときの説明義務である。

ポイント:裁判所は、争点及び証拠の整理のため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて(同意は不要)事件を弁論準備手続に付することができる(民事訴訟法168条)。弁論準備手続は当事者双方が立ち会うことができる期日において行い、相当と認める者の傍聴を許すことができ、当事者が申し出た者の傍聴は、手続に支障を生ずるおそれがある場合を除き許さなければならない(民事訴訟法169条)。付する裁判は相当と認めるときに申立て又は職権で取り消すことができ、当事者双方の申立てがあれば取り消さなければならない(民事訴訟法172条)。当事者は口頭弁論において弁論準備手続の結果を陳述しなければならない(民事訴訟法173条)。終結後に攻撃防御方法を提出した当事者は、相手方の求めがあれば終結前に提出できなかった理由を説明しなければならない(民事訴訟法174条・167条)。「付するときは意見聴取、双方申立てなら取消し必須、結果は口頭弁論で陳述、終結後の提出には説明義務」と押さえる。


問題:

譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権の譲渡と供託に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。なお、当該債権は預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権ではないものとする。

ア. 譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、債務者は、譲受人がその譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合に限り、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。

イ. 譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたことにより債務者が供託をする場合において、債務の履行地が債権者の現在の住所により定まるときは、譲渡人の現在の住所の供託所に供託することもできる。

ウ. 譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたことにより供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならない。

エ. 譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたことにより債務者が供託をした金銭については、譲渡人及び譲受人のいずれも、還付を請求することができる。

オ. 譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権の全額が譲渡され、譲受人がその債権の譲渡を債務者その他の第三者に対抗することができる場合において、譲渡人について破産手続開始の決定があったときは、譲受人は、譲渡制限の意思表示がされたことを知っていたときであっても、債務者にその債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託させることができる。

答え:

誤っているものは、ア・エの2つである。

解説:

ア 誤り。民法466条の2第1項は、「債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。」と定めている。同項は、譲受人が譲渡制限の意思表示について悪意又は重大な過失により知らなかったことを供託の要件としていない。なお、同法466条2項は、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」と定めている。

イ 正しい。民法466条の2第1項括弧書きは、債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、債務の履行地に譲渡人の現在の住所を含むと定めている。譲渡の効力は妨げられない(同法466条2項)ため譲受人が債権者となるが、債務者は、譲渡人の現在の住所の供託所にも供託することができる。

ウ 正しい。民法466条の2第2項は、「前項の規定により供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならない。」と定めている。

エ 誤り。民法466条の2第3項は、「第一項の規定により供託をした金銭は、譲受人に限り、還付を請求することができる。」と定めている。譲渡人は、還付を請求することができない。

オ 正しい。民法466条の3前段は、同法466条の2第1項に規定する場合において、譲渡人について破産手続開始の決定があったときは、譲受人(同項の債権の全額を譲り受けた者であって、その債権の譲渡を債務者その他の第三者に対抗することができるものに限る。)は、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかったときであっても、債務者にその債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託させることができると定めている。同法466条の3後段は、この場合に同法466条の2第2項及び3項の規定を準用しており、債務者は譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならず、供託金は譲受人に限り還付を請求することができる。

ポイント:譲渡制限の意思表示があっても債権の譲渡は効力を妨げられず(民法466条2項)、金銭債権が譲渡されたときは、債務者は、譲受人の善意・悪意を問わず、債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債権者の現在の住所で定まる場合は譲渡人の現在の住所を含む)の供託所に供託することができる(民法466条の2第1項)。供託をした債務者は遅滞なく譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならず(民法466条の2第2項)、供託金の還付を請求できるのは譲受人に限られる(民法466条の2第3項)。譲渡人について破産手続開始の決定があったときは、債権の全額を譲り受けて第三者対抗要件を備えた譲受人は、悪意・重過失であっても債務者に供託させることができ、この場合も通知と還付請求権者の規定が準用される(民法466条の3)。「供託は善意・悪意を問わない権利、通知は譲渡人と譲受人の双方へ、還付は譲受人だけ、譲渡人破産なら全額譲受人が供託させられる」と押さえる。


出題分野の振り分け

問 分野 主な論点 主な根拠条文
第1問 民法(契約・消費貸借) 要物契約の原則と書面でする消費貸借、受取り前の借主の解除と貸主の損害賠償、利息の発生時期、引き渡された物の契約不適合と価額の返還、期限前の返還 民法587条、587条の2、589条、590条、591条
第2問 不動産登記法(登記の抹消の単独申請) 死亡・解散による権利消滅の定めの登記と抹消、買戻しの特約の登記の抹消、登記義務者の所在不明と公示催告・除権決定、弁済期から20年経過後の供託による抹消、解散法人の担保権の登記の抹消 不動産登記法59条5号、60条、69条、69条の2、70条、70条の2、民法580条1項
第3問 会社法(特別支配株主の株式等売渡請求) 特別支配株主と特別支配株主完全子法人、対象会社の承認と決定機関、新株予約権売渡請求のみの承認の禁止、撤回の要件、売渡株式等の取得の無効の訴えの提訴期間 会社法179条1項、179条の3、179条の6第1項、179条の9第1項、846条の2第1項
第4問 民事訴訟法(弁論準備手続) 弁論準備手続に付する要件、期日と傍聴、付する裁判の取消し、結果の陳述、終結後の攻撃防御方法の提出と説明義務 民事訴訟法167条、168条、169条、172条、173条、174条
第5問 供託法(譲渡制限の意思表示がされた債権の譲渡と供託) 債務者の供託の要件、供託所、供託の通知、還付請求権者、譲渡人の破産と譲受人の供託請求 民法466条2項、466条の2、466条の3