問題:

建物の表題部の更正の登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物の表題部に記録された登記原因及びその日付についての更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

イ. 建物の名称についての更正の登記は、不動産登記法53条1項が申請人を限定する登記事項には含まれていない。

ウ. 建物が共用部分である旨についての更正の登記は、不動産登記法53条1項が申請人を限定する登記事項には含まれていない。

エ. 表題部所有者の氏名又は住所についての更正の登記は、不動産登記法53条1項の規定により、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

オ. 区分建物について、その属する一棟の建物の構造及び床面積に関する表題部の更正の登記がされたときは、登記官は、職権で、当該一棟の建物に属する他の区分建物について、当該登記事項に関する更正の登記をしなければならない。

答え:

誤っているものは、イ・エの2つである。

解説:

建物の表題部の更正の登記の申請人については、不動産登記法53条1項が「第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに限る。)又は第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)以外の者は、申請することができない」と定めている。本問は、この条文が引く「27条1号・2号・4号」と「44条1項各号(2号及び6号を除く)」という登記事項の範囲を、条文どおりに切り分けられるかを問うものである。

アは正しい。不動産登記法27条1号は「登記原因及びその日付」を表示に関する登記の登記事項としており、53条1項は同号を明示して引用している。したがって、この登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は申請することができない。

イは誤りである。建物の名称は不動産登記法44条1項4号の登記事項である。53条1項が44条1項各号のうち除外しているのは「第二号及び第六号」だけであり、4号は除外されていない。したがって、建物の名称についての更正の登記も、53条1項によって申請人が限定される登記事項に含まれる。「含まれていない」とする点が誤りである。

ウは正しい。「建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨」は不動産登記法44条1項6号の登記事項であり、53条1項が明文で除外している2号(家屋番号)・6号のうちの一つである。なお、2号の家屋番号については、45条が「登記所は、法務省令で定めるところにより、一個の建物ごとに家屋番号を付さなければならない」と定めており、家屋番号を付するのは登記所である。もっとも、53条1項が2号を除外した理由を条文自体が示しているわけではないので、両者の結び付きは条文の構造からの理解にとどまる。

エは誤りである。表題部所有者の氏名又は住所は、不動産登記法27条3号(所有権の登記がない不動産についての所有者の氏名又は名称及び住所並びに持分)に関する登記事項であるが、53条1項が引用しているのは27条の1号・2号・4号であって、3号は引用されていない。この場合の申請人については31条が「表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない」と定めている。根拠条文が53条1項であるとする点、及び申請適格者に所有権の登記名義人を含めている点が、いずれも条文と合わない。

オは正しい。不動産登記法53条2項は「第五十一条第五項及び第六項の規定は、建物が区分建物である場合における同条第五項に規定する登記事項に関する表題部の更正の登記について準用する」と定めている。51条5項は、区分建物について44条1項1号(区分建物である建物に係るものに限る)又は7号から9号までの登記事項に関する変更の登記が、同じ一棟の建物に属する他の区分建物についてされた変更の登記としての効力を有する旨を、同条6項は、この場合に登記官が職権で他の区分建物について当該登記事項に関する変更の登記をしなければならない旨を定めている。一棟の建物の構造及び床面積は44条1項7号の登記事項であるから、更正の登記についてもこれらが準用される。

以上より、誤っているものはイ・エの2つである。53条1項は「27条のどの号を引いているか」と「44条1項のどの号を除いているか」の2点で正誤が決まる条文であり、除外されているのは家屋番号(44条1項2号)と共用部分である旨(同項6号)、引用されていないのは所有者の表示(27条3号)であると押さえておきたい。


問題:

土地家屋調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 調査士会は、所属の会員が土地家屋調査士法又は同法に基づく命令に違反すると思料するときは、その旨を法務大臣に報告しなければならない。

イ. 調査士会は、所属の会員が土地家屋調査士法又は同法に基づく命令に違反するおそれがあると認めるときは、法務大臣の承認を得て、当該会員に対して注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

ウ. 調査士会連合会の会則を定め、又はこれを変更するには、会則に記載すべき事項のいずれについても、法務大臣の認可を受けなければならない。

エ. 調査士会連合会は、調査士又は調査士法人の業務又は制度について、法務大臣に建議し、又はその諮問に答申することができる。

オ. 調査士会連合会には、調査士会の役員に関する規定が準用され、会長、副会長及び会則で定めるその他の役員が置かれる。

答え:

正しいものは、ア・エ・オの3つである。

解説:

土地家屋調査士法8条1項は「調査士となる資格を有する者が調査士となるには、日本土地家屋調査士会連合会(以下「調査士会連合会」という。)に備える土地家屋調査士名簿に……登録を受けなければならない」と定めており、同法では日本土地家屋調査士会連合会を「調査士会連合会」と略称している。本問は、調査士会が会員に対して負う対外的な機能(法務大臣への報告・注意勧告)と、連合会について置かれた規定(会則の認可・建議・準用)を条文で確認するものである。

アは正しい。土地家屋調査士法55条は「調査士会は、所属の会員が、この法律又はこの法律に基づく命令に違反すると思料するときは、その旨を、法務大臣に報告しなければならない」と定めている。「思料するとき」という主観的な認識で足り、かつ義務として定められている点に注意したい。

イは誤りである。同法56条は「調査士会は、所属の会員がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、当該会員に対して、注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができる」と定めている。注意勧告の根拠は「会則の定めるところ」であって、法務大臣の承認を要件とする文言は置かれていない。「法務大臣の承認を得て」とする点が誤りである。55条の報告が義務であるのに対し、56条の注意勧告は「することができる」とされている点も合わせて押さえておきたい。

ウは誤りである。同法59条は「調査士会連合会の会則を定め、又はこれを変更するには、法務大臣の認可を受けなければならない」と定めるが、ただし書で「前条第一号及び第四号に掲げる事項に係る会則の変更については、この限りでない」としている。58条1号は48条1号(名称及び事務所の所在地)・7号(調査士の研修に関する規定)・10号(資産及び会計に関する規定)・11号(会費に関する規定)に掲げる事項、58条4号は「調査士会連合会に関する情報の公開に関する規定」であり、これらに係る会則の変更については認可を要しない。「いずれについても」とする点が誤りである。

エは正しい。同法60条は「調査士会連合会は、調査士又は調査士法人の業務又は制度について、法務大臣に建議し、又はその諮問に答申することができる」と定めている。建議・答申の主体は連合会であり、対象は調査士のみならず調査士法人の業務又は制度も含む。

オは正しい。同法61条は「第四十七条第三項及び第四項、第五十条並びに第五十一条の規定は、調査士会連合会に準用する」と定めており、準用される51条1項は「調査士会に、会長、副会長及び会則で定めるその他の役員を置く」と定めている。あわせて47条3項(法人であること)・4項(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律4条及び78条の準用)・50条(登記)も連合会に準用される。

以上より、正しいものはア・エ・オの3つである。調査士会側の規定と連合会側の規定は、条文の並び(47条以下が調査士会、57条以下が連合会)で区切って読み、55条・56条が調査士会に置かれた規定であることを取り違えないようにしたい。


問題:

所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 所有者不明土地管理命令は、土地が数人の共有に属する場合には、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分を対象としてすることができる。

イ. 所有者不明土地管理命令が発せられた場合、所有者不明土地等の管理及び処分をする権利は所有者不明土地管理人に専属するのに対し、管理不全土地管理命令が発せられた場合には、管理不全土地管理人は管理不全土地等の管理及び処分をする権限を有すると定められているにとどまる。

ウ. 管理不全土地管理人が、管理不全土地管理命令の対象とされた土地を処分することについて裁判所の許可を得るには、その所有者の同意がなければならない。

エ. 所有者不明土地管理人が保存行為の範囲等を超える行為をするために必要な裁判所の許可がないことは、善意でかつ過失がない第三者に対して対抗することができないにとどまり、善意ではあるが過失のある第三者に対しては対抗することができる。

オ. 管理不全土地等に関する訴えについては、管理不全土地管理人を原告又は被告とする旨が民法に定められている。

答え:

正しいものは、ア・イ・ウの3つである。

解説:

所有者不明土地管理命令(民法264条の2以下)と管理不全土地管理命令(同法264条の9以下)は、いずれも令和3年法律第24号(令和5年4月1日施行)による改正で新設された制度であるが、対象となる場面も管理人の権限の性質も異なる。本問は、条文の文言レベルでその違いを識別できるかを問うものである。

アは正しい。民法264条の2第1項は、裁判所が「所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)」について、利害関係人の請求により所有者不明土地管理命令をすることができると定めている。土地そのものだけでなく、共有持分を対象とすることも条文上明示されている。

イは正しい。民法264条の3第1項は、所有者不明土地等の「管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する」と定める。これに対し264条の10第1項は、管理不全土地管理人が管理不全土地等の「管理及び処分をする権限を有する」と定めるにとどまり、専属する旨の文言を置いていない。条文の書き分けがそのまま両制度の違いに対応している。この書き分けについて、法制審議会民法・不動産登記法部会の部会資料39(18ページ)は、所有者不明土地管理制度では対象土地を処分することもあり得ることを念頭に権限を管理人に専属させることを提案していたのに対し、管理不全土地管理制度の管理人は処分行為をすることを基本的に予定するものではないから権限を当然に専属させる必要性に乏しく、一律に管理処分権を専属させることは土地所有者に対する過剰な制約であるように思われる旨を述べている。

ウは正しい。民法264条の10第2項は、管理不全土地管理人が保存行為及び性質を変えない範囲内の利用改良行為の範囲を超える行為をするには裁判所の許可を得なければならないとし、同条3項は「管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない」と定めている。所有者不明土地管理人については、これに相当する所有者の同意の要件は置かれていない。なお、この同意の要件は、要綱案のたたき台の段階では「その所有者が異議を述べない場合に限り」とされていたものが、所有者の意思を尊重する観点から「同意」に改められたものである(部会資料52・15ページ、部会資料56・22ページ)。

エは誤りである。民法264条の3第2項ただし書は「この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない」と定めており、対抗できない相手方は「善意の第三者」であって、無過失であることは要件とされていない。したがって、善意ではあるが過失のある第三者に対しても、許可がないことを対抗することはできない。なお、管理不全土地管理人に関する264条の10第2項ただし書は「善意でかつ過失がない第三者」と定めており、両者で文言が異なる。本記述はこの文言を入れ替えたものであり、誤りである。この文言の差については、部会資料52(15ページ)が、管理不全土地管理命令は所有者が判明しているときであっても発令されることがあることや、土地の管理処分権を管理不全土地管理人に専属させていないこととのバランスなどを考慮すると、管理不全土地管理制度においては土地所有者の静的安全に一層配慮した規律とすることが望ましいように思われる旨を述べている。部会の審議では、両制度で第三者の保護要件を異なるものとするのは相当でないとする意見もあったが、二つの制度は用いられる場面や取引の安全を重視する度合いに差のある異なる制度であるとして、この差異は維持された(部会資料56・23ページ)。

オは誤りである。民法264条の4は「所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする」と定めているが、管理不全土地管理命令に関する264条の9から264条の13までには、これに相当する規定は置かれておらず、264条の4を準用する旨の規定も置かれていない。「管理不全土地管理人を原告又は被告とする旨が民法に定められている」とする点が、条文の状況と合わない。この点については、部会の審議の過程で、管理不全土地管理人を訴訟に関与させることの当否が検討された経緯がうかがえる。部会資料39(17〜18ページ)は、不在者財産管理人その他の財産管理人については本人が不在であるなど本人自身が訴訟追行をすることができないために管理人を代理人等として訴訟に関与させる必要があるが、管理不全土地管理制度では土地所有者本人の所在等が判明しているためその必要がなく、管理人が当然に土地所有者の代理人になったり訴訟担当者になったりするべきではないように思われる旨を述べている。なお、部会資料50(5ページ)は、管理不全土地管理人は所有者不明土地管理人と同様に自己の名で行為をするものであり、その権限が代理権そのものではないとすると表見代理の規定は直接適用されないと考えられる旨を述べている。

以上より、正しいものはア・イ・ウの3つである。所有者不明土地側には「専属」(264条の3第1項)と「訴えの当事者」(264条の4)の規定があり、管理不全土地側には「所有者の同意」(264条の10第3項)の要件があるという非対称を、条文の見出しごとに整理しておきたい。なお建物についても、所有者不明建物管理命令(264条の8)と管理不全建物管理命令(264条の14)がそれぞれ置かれ、いずれも土地に関する規定を準用する構造になっている。


問題:

平面直角座標系における筆界点A、B及び点Pの座標値が、次のとおり与えられている。

A(X=1000.000m、Y=500.000m)

B(X=1048.000m、Y=564.000m)

P(X=1030.000m、Y=510.000m)

点Pから直線ABに下ろした垂線の足Hの座標値として、最も近いものはどれか。

ア. X=1006.000m、Y=508.000m

イ. X=1015.600m、Y=520.800m

ウ. X=1018.000m、Y=524.000m

エ. X=1024.000m、Y=532.000m

オ. X=984.400m、Y=479.200m

答え:

イ(X=1015.600m、Y=520.800m)

解説:

垂線の足の座標は、点Aから点Bへ向かうベクトルに対して、点Aから点Pへ向かうベクトルを正射影した長さ(AH)を求め、その長さを直線ABの方向に展開することで求められる。

まず、直線ABの座標差と辺長を求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X_{AB}&=1048.000-1000.000=48.000\\ \Delta Y_{AB}&=564.000-500.000=64.000\\[4pt] S_{AB}&=\sqrt{48.000^2+64.000^2}=80.000 \end{aligned} $$

次に、点Aから点Pへの座標差を求める。

$$ \begin{aligned} \Delta X_{AP}&=1030.000-1000.000=30.000\\ \Delta Y_{AP}&=510.000-500.000=10.000 \end{aligned} $$

正射影の長さAHは、2つのベクトルの内積を辺長で割って求める。

$$ \begin{aligned} AH&=\frac{\Delta X_{AB}\,\Delta X_{AP}+\Delta Y_{AB}\,\Delta Y_{AP}}{S_{AB}}\\ &=\frac{48.000\times 30.000+64.000\times 10.000}{80.000}\\ &=\frac{1440.000+640.000}{80.000}=26.000 \end{aligned} $$

このAHを、直線ABの方向の単位ベクトルの向きに展開する。

$$ \begin{aligned} X_H&=1000.000+26.000\times\frac{48.000}{80.000}\\ &=1000.000+15.600=1015.600\\[4pt] Y_H&=500.000+26.000\times\frac{64.000}{80.000}\\ &=500.000+20.800=520.800 \end{aligned} $$

したがって、垂線の足HはX=1015.600m、Y=520.800mとなる。

検算として、点Pと直線ABとの距離(垂線長PH)を、外積の大きさを辺長で割る方法で求めてみる。

$$ \begin{aligned} PH&=\frac{\left|\Delta X_{AB}\,\Delta Y_{AP}-\Delta Y_{AB}\,\Delta X_{AP}\right|}{S_{AB}}\\ &=\frac{\left|48.000\times 10.000-64.000\times 30.000\right|}{80.000}\\ &=\frac{1440.000}{80.000}=18.000 \end{aligned} $$

これを、求めたHの座標から直接に計算した値と照合する。

$$ \begin{aligned} X_H-X_P&=1015.600-1030.000=-14.400\\ Y_H-Y_P&=520.800-510.000=10.800\\[4pt] PH&=\sqrt{14.400^2+10.800^2}=18.000 \end{aligned} $$

両者が18.000mで一致する。さらに、ベクトルPHと直線ABが直交していることも確かめられる。

$$ \begin{aligned} &(-14.400)\times 48.000+10.800\times 64.000\\ &=-691.200+691.200=0.000 \end{aligned} $$

内積が0となるため、PHが直線ABに垂直であることが確認できる。あわせてAH=26.000m、BH=54.000mであり、その和が辺長80.000mと一致することから、Hが線分AB上にあることも確かめられる。

誤答肢はいずれも直線AB上の点であり、「直線上にあるかどうか」では絞り込めないように設計してある。アは内積の計算で第2項の符号を誤り、48.000×30.000から64.000×10.000を引いて800.000とし、AH=10.000mとしたときの点である。ウはΔXとΔYを取り違えて48.000×10.000+64.000×30.000=2400.000とし、AH=30.000mとしたときの点である。エは垂線の足を線分ABの中点と誤認したときの点(AH=40.000m)である。オは正射影の向きを逆にとり、点Aから点Bの反対方向に26.000m展開したときの点である。

土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められているため、内積・外積いずれの経路でも数値計算そのものは負担にならない。差がつくのは、内積と外積のどちらが「距離」でどちらが「投影長」に対応するかを取り違えないこと、そして正射影の向きを確認することである。本問の数値と有効桁は試験の答案作成を前提に設定したものであり、実務における測量方法や許容誤差の判断を示すものではない。


問題:

土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図並びに地役権図面の取扱いに関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 建物の分割の登記又は建物の区分の登記を申請する場合において提供する建物図面及び各階平面図には、分割後又は区分後の各建物を表示し、これに符号を付さなければならない。

イ. 登記官は、申請情報と併せて土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図の提供があった場合において、当該申請に基づく登記をしたときは、これらの図面に登記の完了の年月日を記録しなければならない。

ウ. 登記官は、建物の滅失の登記をした場合には、滅失前の建物図面及び各階平面図を閉鎖しなければならない。

エ. 地役権図面に付す地役権図面番号は、登記官が付した後に更新されることはない。

オ. 地積測量図に誤りがあるときは、表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人は、表題部の登記事項に関する更正の登記をすることができる場合であっても、その訂正の申出をすることができる。

答え:

誤っているものは、エ・オの2つである。

解説:

図面については、作成の方法や記録事項(不動産登記規則73条以下)に加えて、登記完了後の管理・閉鎖・訂正の手続が規則84条から88条までに定められている。本問はこの後半部分を条文で確認するものである。

アは正しい。不動産登記規則84条は「建物の分割の登記又は建物の区分の登記を申請する場合において提供する建物図面及び各階平面図には、分割後又は区分後の各建物を表示し、これに符号を付さなければならない」と定めている。

イは正しい。同規則85条1項は「登記官は、申請情報と併せて土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図の提供があった場合において、当該申請に基づく登記をしたときは、これらの図面に登記の完了の年月日を記録しなければならない」と定めている。図面に記録されるのは申請の受付年月日ではなく登記の完了の年月日である点に注意したい。

ウは正しい。同規則85条2項2号は「滅失の登記又は表題部の抹消をした場合」に、「滅失前又は抹消前の土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図」を閉鎖しなければならないと定めている。なお同項1号は表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記をした場合(変更後又は更正後の図面がある場合に限る)について、変更前又は更正前の図面を閉鎖すべきことを定めている。

エは誤りである。同規則86条1項は、登記官が地役権図面の提供を受けて登記をしたときに地役権図面番号を付すべきことを定め、同条3項は「地役権図面番号は、一年ごとに更新するものとする」と定めている。更新されることはないとする点が誤りである。

オは誤りである。同規則88条1項は、土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図に誤りがあるときは、表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人が訂正の申出をすることができると定めるが、ただし書で「表題部の登記事項に関する更正の登記(土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図を添付情報とするものに限る。)をすることができる場合は、この限りでない」としている。更正の登記によって処理できる場合には、図面の訂正の申出という手続では処理しないという振り分けであり、「更正の登記をすることができる場合であっても」訂正の申出ができるとする点が誤りである。なお、この申出については同規則16条3項・4項・5項3号及び6項から14項までの規定が準用される(同規則88条3項)。

以上より、誤っているものはエ・オの2つである。図面に関する規則は、作成(73条以下)・管理と閉鎖(85条から87条まで)・訂正の申出(88条)という段階で整理し、地役権図面については番号の付与と1年ごとの更新(86条)という固有の扱いがあることを押さえておきたい。本問は試験対策として不動産登記規則の条文構造を確認するものであり、実務における図面の作成指針や訂正手続の運用を示すものではない。

出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示に関する登記) 建物の表題部の更正の登記の申請適格と対象登記事項の範囲(27条3号の不引用、44条1項2号・6号の除外、区分建物の職権更正) 不動産登記法53条1項・2項、27条1号〜4号、31条、44条1項各号、45条、51条5項・6項
第2問 土地家屋調査士法 調査士会の法務大臣に対する報告義務と注意勧告、調査士会連合会の会則の認可・建議・準用規定 土地家屋調査士法8条1項、48条1号・7号・10号・11号、51条1項、55条、56条、58条1号・4号、59条、60条、61条
第3問 民法(所有者不明土地管理命令等) 所有者不明土地管理人の権限の専属性と訴えの当事者、管理不全土地管理人の権限・処分許可における所有者の同意、ただし書の第三者要件の差異 民法264条の2第1項、264条の3第1項・2項、264条の4、264条の8、264条の9第1項、264条の10第1項〜3項、264条の14
第4問 測量計算 点と直線との位置関係(正射影による垂線の足の座標計算、外積による垂線長の検算)
第5問 作図・書式(不動産登記規則) 建物の分割・区分の場合の建物図面等の表示、図面への登記完了年月日の記録と閉鎖、地役権図面番号の更新、図面の訂正の申出とその除外事由 不動産登記規則84条、85条1項・2項1号・2号、86条1項・3項、88条1項・3項、16条