問題:
分筆及び合筆の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
イ. 登記官は、分筆の登記の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をすることができるが、しなければならないものではない。
ウ. 相互に接続していない土地について、合筆の登記をすることはできない。
エ. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地であっても、双方の当事者が合筆に同意している場合には、合筆の登記をすることができる。
オ. 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地については、当該権利に関する登記が合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものである場合を除き、合筆の登記をすることができない。
答え:
誤っているものは、イ・エの2つである。
解説:
分筆及び合筆の登記の申請適格、職権分筆及び合筆の制限は、不動産登記法39条・41条に規定されている。
アは正しい。分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない(不動産登記法39条1項)。
イは誤りである。登記官は、分筆の登記の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない(不動産登記法39条2項)。「することができるが、しなければならないものではない」とする点が誤りであり、この場合の職権分筆は登記官の義務として規定されている。
ウは正しい。相互に接続していない土地の合筆の登記は、することができない(不動産登記法41条1号)。
エは誤りである。表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記も、することができないものとして掲げられている(不動産登記法41条3号)。当事者双方の合意があっても、この制限が解除される旨の規定はなく、合筆の登記をすることはできない。
オは正しい。所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記は、することができない(不動産登記法41条6号)。この「法務省令で定めるもの」には、承役地についてする地役権の登記等が掲げられている(不動産登記規則105条1号)。
以上より、誤っているものはイ・エの2つである。39条2項の職権分筆が登記官の「義務」として規定されている点、及び41条各号に掲げる合筆の制限(相互不接続・地目又は地番区域の相違・表題部所有者又は所有権の登記名義人の相違・持分の相違・所有権の登記の有無の不一致・その他権利に関する登記の存在)は、いずれも試験で問われやすい急所である。
問題:
土地家屋調査士の業務及び民間紛争解決手続代理関係業務(いわゆる認定調査士によるADR代理業務)に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理を業とすることができる。
イ. 調査士は、他人の依頼を受けて、不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続についての代理を業とすることができる。
ウ. 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことができるのは、法務大臣が指定する研修の課程を修了し、かつ、法務大臣の認定を受けた調査士であれば足り、調査士会の会員であることまでは要件とされていない。
エ. 土地家屋調査士法3条1項7号に規定する民間紛争解決手続代理関係業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる。
オ. 民間紛争解決手続代理関係業務の対象となる紛争は、その原因を問わず、民事に関する紛争一般に及ぶ。
答え:
誤っているものは、ウ・オの2つである。
解説:
土地家屋調査士の業務は、土地家屋調査士法3条1項各号に列挙されている。このうち1項7号・8号に規定する業務(民間紛争解決手続代理関係業務、いわゆる認定調査士によるADR代理業務)を行うためには、同条2項の要件を満たす必要がある。
アは正しい。調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理を業とする(土地家屋調査士法3条1項2号)。
イは正しい。調査士は、他人の依頼を受けて、筆界特定の手続(不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。)についての代理を業とする(土地家屋調査士法3条1項4号)。
ウは誤りである。民間紛争解決手続代理関係業務(3条1項7号・8号に規定する業務)は、①民間紛争解決手続代理関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であって法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること、②①の申請に基づき法務大臣が民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること、③調査士会の会員であること、の3要件のいずれにも該当する調査士に限り行うことができる(土地家屋調査士法3条2項)。「調査士会の会員であることまでは要件とされていない」とする点が誤りであり、調査士会の会員であることも独立した要件の一つである。
エは正しい。3条1項7号に規定する業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる(土地家屋調査士法3条2項後段)。認定調査士は単独で代理することはできず、弁護士との共同受任が前提とされている点に注意を要する。
オは誤りである。3条1項7号の民間紛争解決手続代理関係業務は、「土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争」に係る民間紛争解決手続についての代理に限られる(土地家屋調査士法3条1項7号)。あらゆる民事紛争一般に及ぶものではなく、対象紛争は筆界が現地において明らかでないことを原因とするものに限定されている。
以上より、誤っているものはウ・オの2つである。認定調査士のADR代理業務は、①対象紛争の範囲(筆界が現地において明らかでないことを原因とする紛争に限定)、②弁護士との共同受任の要件(同一依頼者から受任している事件に限る)、③研修修了・法務大臣認定・調査士会員という3要件、の3点をセットで押さえておく必要がある。
問題:
竹木の枝の切除及び根の切取りに関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
イ. 隣地の竹木が数人の共有に属する場合において、その枝が境界線を越えるときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
ウ. 土地の所有者は、竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときであっても、竹木の所有者が現に存在する以上、自らその枝を切り取ることはできない。
エ. 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、土地の所有者は、催告をすることなく、自らその枝を切り取ることができる。
オ. 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、土地の所有者は、竹木の所有者への催告の有無にかかわらず、自らその根を切り取ることができる。
答え:
誤っているものは、ウの1つである。
解説:
竹木の枝の切除及び根の切取りについては、民法233条に規定がある。令和3年民法改正(令和5年4月1日施行)により、従来は竹木の所有者に切除させることしかできなかった枝についても、一定の要件の下で土地所有者が自ら切り取ることができる場合が新設された点が重要である。
アは正しい。土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる(民法233条1項)。根の場合(4項)と異なり、枝はまず竹木所有者自身による切除が原則とされている。
イは正しい。前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる(民法233条2項)。共有者の一人を確知できない場合等に備え、各共有者が単独で切除できることを明確にした規定である。
ウは誤りである。1項の場合において、竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる(民法233条3項1号)。「竹木の所有者が現に存在する以上、自らその枝を切り取ることはできない」とする点が誤りであり、催告後相当の期間が経過したという要件を満たせば、土地の所有者が自ら枝を切り取ることができる。
エは正しい。1項の場合において、竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる(民法233条3項2号)。この場合は催告の相手方を欠くため、催告を経ることなく自ら切り取ることが認められている。なお、急迫の事情があるときも同様である(同項3号)。
オは正しい。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる(民法233条4項)。根については、枝と異なり、竹木所有者への催告や相当期間の経過といった要件を課すことなく、当初から土地の所有者が自ら切り取ることができるものとされている。
以上より、誤っているものはウの1つである。枝の切除(1項〜3項)と根の切取り(4項)とで要件が大きく異なる点、及び令和3年改正で土地の所有者が自ら枝を切り取ることができる場合として、①催告後相当期間内に不切除、②竹木所有者を知ることができず又はその所在を知ることができない、③急迫の事情がある、の3類型が明文化された点を整理しておきたい。
問題:
地積測量図上の四点A、B、C、Dを順に結んだ四角形の土地について、座標法により地積を求めたい。各点の平面直角座標系による座標値(X:北方向、Y:東方向。単位はいずれもメートル)は、次のとおりである。
- A(X=50.000、Y=20.000)
- B(X=90.000、Y=35.000)
- D(X=45.000、Y=70.000)
このうちC点は座標値が失われていたため、B点を基点として、B点からC点への方向角(真北を0°とし、時計回りに測った角)120°00′00″、水平距離50.000mの観測結果から、C点の座標を計算により復元した。
この復元されたC点の座標を用い、座標法によりA→B→C→D→Aの順に多角形の面積(地積)を計算したとき、その値として最も近いものはどれか。
ア. 1232.77 ㎡
イ. 1574.28 ㎡
ウ. 2403.10 ㎡
エ. 3148.56 ㎡
オ. 374.28 ㎡
答え:
イ(1574.28 ㎡)
解説:
まず、B点を基点としたC点の座標を、方向角と距離から求める。方向角θ(真北を0°とし時計回りに測った角)、距離Lの点への座標増分は、北方向をX、東方向をYとするとき、次の式で求められる。
$$ \Delta X = L\cos\theta,\qquad \Delta Y = L\sin\theta $$θ=120°、L=50.000mであるから、
$$ \Delta X = 50.000\times\cos120^{\circ}=50.000\times(-0.5)=-25.000\ \text{m} $$$$ \Delta Y = 50.000\times\sin120^{\circ}=50.000\times\frac{\sqrt3}{2}\approx 43.30127\ \text{m} $$したがって、C点の座標は、
$$ C(X)=90.000+(-25.000)=65.000,\qquad C(Y)=35.000+43.30127=78.30127 $$である。次に、座標法(多角形の頂点座標から面積を求める公式)により、四角形ABCDの面積を求める。座標法による2倍面積は、各頂点を順に$X_i, Y_i$として、
$$ 2S=\sum \left(X_i\times Y_{i+1}-X_{i+1}\times Y_i\right) $$($i=1\sim n$、$n+1$番目の点は1番目の点に戻る)で求められる。各辺について計算すると、
$$ \text{AB}:50.000\times35.000-90.000\times20.000=1750.000-1800.000=-50.000 $$$$ \text{BC}:90.000\times78.30127-65.000\times35.000=7047.114-2275.000=4772.114 $$$$ \text{CD}:65.000\times70.000-45.000\times78.30127=4550.000-3523.557=1026.443 $$$$ \text{DA}:45.000\times20.000-50.000\times70.000=900.000-3500.000=-2600.000 $$$$ 2S=-50.000+4772.114+1026.443-2600.000=3148.557 $$$$ S=3148.557\div2\approx1574.28\ \text{㎡} $$よって正解はイである(実検算値:約1574.2786…㎡)。
アの1232.77㎡は、方向角からの座標増分を求める際に、北方向をX、東方向をYとする座標軸の対応を取り違え、$\Delta X=L\sin\theta$、$\Delta Y=L\cos\theta$として計算してしまった誤りである。方向角は真北を基準とする角度であり、緯距(北方向の増分)が$\cos$、経距(東方向の増分)が$\sin$に対応することを取り違えないようにしたい。
ウの2403.10㎡は、関数電卓の角度設定をラジアンモードのまま120(度)を入力してしまい、$\cos120,\sin120$(ラジアン)の値を用いて計算してしまった誤りである。角度設定(度数法・弧度法)の確認は、方位角・方向角を扱う計算問題では必須の作業である。
エの3148.56㎡は、2S(2倍面積、計算過程における合計値3148.557に対応)を求めた段階で2で割ることを失念し、2倍面積の値をそのまま地積として答えてしまった誤りである。
オの374.28㎡は、方向角を真北から時計回りではなく反時計回りに測ってしまい($\Delta Y$の符号を逆にしてしまい)、C点の座標を誤って復元した誤りである。方向角は真北を基準に時計回りに測るという定義を、正しく踏まえる必要がある。
問題:
地積測量図の記載事項に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 地積測量図には、地番区域の名称、方位及び縮尺を記録しなければならない。
イ. 地積測量図には、地番を記録しなければならず、この地番には隣接地の地番も含まれる。
ウ. 地積測量図には、筆界点間の距離を記録しなければならないが、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値までは記録することを要しない。
エ. 近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、平面直角座標系の番号又は記号及び基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値の記録を要しない。
オ. 地積測量図は、二百五十分の一の縮尺により作成するものとするが、土地の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。
答え:
誤っているものは、ウ・エの2つである。
解説:
地積測量図の記録事項及び縮尺は、不動産登記規則77条に規定されている。
アは正しい。地積測量図には、地番区域の名称、方位、縮尺、地番(隣接地の地番を含む。)、地積及びその求積方法、筆界点間の距離、平面直角座標系の番号又は記号、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値、境界標があるときは当該境界標の表示、測量の年月日を記録しなければならない(不動産登記規則77条1項各号)。地番区域の名称・方位・縮尺は、同項1号から3号までに掲げる記録事項である。
イは正しい。地番(隣接地の地番を含む。)も、77条1項4号に掲げる記録事項である。自らの土地の地番だけでなく、隣接地の地番もあわせて記録することが求められる。
ウは誤りである。筆界点間の距離(77条1項6号)に加え、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値(同項8号)も、地積測量図の記録事項である。「基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値までは記録することを要しない」とする点が誤りであり、両者はいずれも独立した記録事項として併記されている。
エは誤りである。近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、平面直角座標系の番号又は記号(77条1項7号)及び基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値(同項8号)に掲げる事項に「代えて」、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録しなければならない(不動産登記規則77条2項)。「記録を要しない」とする点が誤りであり、代替的な記録事項への差し替えが義務付けられているのであって、記録事項そのものが免除されるわけではない。
オは正しい。地積測量図は、二百五十分の一の縮尺により作成するものとする。ただし、土地の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない(不動産登記規則77条4項)。建物図面の縮尺が五百分の一を原則とする(同規則82条3項)のとは異なり、地積測量図の縮尺原則(二百五十分の一)は、第88回で確認した各階平面図の縮尺原則(同規則83条2項)と共通する。表示に関する登記の図面のうち、建物図面のみが500分の1を原則とし、地積測量図・各階平面図は250分の1を原則とする点を整理しておきたい。
以上より、誤っているものはウ・エの2つである。地積測量図の記録事項(77条1項各号)は10号にわたり列挙されているが、特に筆界点間の距離(6号)と座標値(8号)はいずれも独立した記録事項であること、及び基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合の代替措置(2項)が「免除」ではなく「差し替え」である点は、混同しやすいポイントである。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 分筆・合筆の登記の申請適格・職権分筆・合筆の制限 | 不動産登記法39条・41条、不動産登記規則105条 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 調査士の業務範囲・認定調査士による民間紛争解決手続代理関係業務(ADR代理) | 土地家屋調査士法3条1項・2項 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 竹木の枝の切除及び根の切取り(令和3年改正) | 民法233条 |
| 第4問 | 測量計算 | 方向角・距離からの座標復元と座標法による面積計算 | ― |
| 第5問 | 作図・書式 | 地積測量図の記載事項及び縮尺(建物図面との縮尺の違い) | 不動産登記規則77条・82条 |