問題:

建物の合体の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 表題登記がある建物が他の表題登記がある建物と合体して一個の建物となったときは、合体前の各建物の表題部所有者は、合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記を申請しなければならない。

イ. 合体前の建物に抵当権の登記があった場合、当該抵当権の登記は、建物の合体により当然に消滅する。

ウ. 合体後の建物についての表題登記は、所有者等に申請義務が課されていることから、登記官が職権ですることはできず、必ず当事者の申請によらなければならない。

エ. 合体後の建物についての表題登記を申請するときは、合体後の建物についての建物図面及び各階平面図を提供しなければならない。

オ. 建物の合体とは、増築等の工事により、既存の二個以上の建物が構造上一個の建物となることをいい、区分建物が構造上区分建物でなくなる場合も含まれる。

答え:

正しいものは、ア・エ・オの3つである。

解説:

建物の合体の登記は、不動産登記法49条に規定されている。合体とは、増築工事等により、既存の2個以上の建物が構造上1個の建物となることをいい、区分建物が合体の結果、区分建物でなくなる場合も含まれる。

アは正しい。合体前の二以上の建物がいずれも表題登記がある建物であるときは、当該建物の表題部所有者は、合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記を申請しなければならない(不動産登記法49条1項柱書・同項3号)。条文上は、この表題登記と併せて、合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消も申請すべきものとされている点もあわせて押さえておきたい。

イは誤りである。合体前の建物に付いていた担保権(抵当権等)に関する登記は、建物の合体により当然に消滅するものではなく、合体前の建物の登記記録から合体後の建物の登記記録の権利部の相当区に移記され、存続するものとして扱われる(不動産登記規則120条4項)。建物という登記記録上の器が一つになるからといって、既存の担保権が当然に消滅すると解することはできない。

ウは誤りである。表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる(不動産登記法28条)。合体後の建物についての表題登記も表示に関する登記であるから、所有者等からの申請がない場合であっても、登記官は職権でこれをすることができる。49条1項が所有者等に申請義務を課していることと、登記官の職権発動が認められることとは、矛盾なく両立する。「職権ですることはできず、必ず当事者の申請によらなければならない」とする点が誤りである。

エは正しい。合体による登記等の申請には、合体後の建物についての建物図面及び各階平面図を提供しなければならない(不動産登記令別表13の項添付情報欄)。このほか、合体前の建物の登記の状況に応じて、表題部所有者となる者の所有権を証する情報や、住所を証する市町村長等の作成した情報等の提供も求められる。

オは正しい。建物の合体とは、増築等の工事により、既存の2個以上の建物が構造上1個の建物となることをいう。区分建物が増築等により構造上区分建物でなくなり、1個の建物となる場合も、建物の合体に含まれる。

以上より、正しいものはア・エ・オの3つである。合体前の権利関係(担保権等)が合体後の建物にどのように承継されるかは、実務上も申請人・添付情報の判断を誤りやすい分野であるため、条文の枠組みを正確に押さえておく必要がある。


問題:

土地家屋調査士の名称の使用制限及び非調査士の取締りに関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 土地家屋調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

イ. 土地家屋調査士法人でない者であっても、あらかじめ調査士会に届け出れば、土地家屋調査士法人という名称を使用することができる。

ウ. 調査士会に入会している土地家屋調査士又は土地家屋調査士法人でない者は、他人の依頼を受けて、土地家屋調査士法3条1項1号から5号までに掲げる事務を行うことを業とすることができない。

エ. 土地家屋調査士の資格を有する者は、調査士会に入会していなくても、他人の依頼を受けて、土地家屋調査士法3条1項1号から5号までに掲げる事務を行うことを業とすることができる。

オ. 前記アからウまでのような名称の使用制限・業務独占の規定に違反した者に対しては、罰則の定めがある。

答え:

正しいものは、ア・ウ・オの3つである。

解説:

名称の使用制限(土地家屋調査士法68条)と非調査士による業務の制限は、資格を有しない者が調査士の名称・業務を僭称・遂行することを防止し、業務の適正と国民の信頼を確保するための規定である。

アは正しい。土地家屋調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない(土地家屋調査士法68条3項)。

イは誤りである。土地家屋調査士法人でない者は、土地家屋調査士法人又はこれに紛らわしい名称を用いてはならず(同条4項)、調査士会への届出等によってこの制限が解除される規定はない。名称の使用制限は、届出の有無にかかわらず及ぶ。

ウは正しい。調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者(公共嘱託登記土地家屋調査士協会を除く)は、他人の依頼を受けて、土地家屋調査士法3条1項1号から5号までに掲げる事務を行うことを業とすることができない(土地家屋調査士法68条1項本文)。司法書士法73条・弁護士法72条と同種の業務独占規定であり、これに違反する行為は非調査士行為として取締りの対象となる。なお、同項ただし書には、弁護士・弁護士法人等が同項2号から5号までに掲げる事務を行う場合等について例外が定められている。

エは誤りである。68条1項が業として事務を行うことを認めているのは「調査士会に入会している調査士又は調査士法人」であり、土地家屋調査士の資格を有していても、調査士会に入会していない者は、他人の依頼を受けて3条1項1号から5号までに掲げる事務を行うことを業とすることができない(土地家屋調査士法68条1項)。資格を有することに加えて、調査士会への入会までが業務遂行の要件とされている点に注意を要する。

オは正しい。名称の使用制限・業務独占の規定に違反した者に対しては、罰則の定めがある(業務独占(68条1項)違反については土地家屋調査士法73条1項が1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金を、名称の使用制限(68条3項から5項まで)違反については同法74条が100万円以下の罰金を定める)。

以上より、正しいものはア・ウ・オの3つである。名称の独占(68条3項から5項まで)と業務の独占(3条1項1号から5号までに掲げる事務を業として行うことの制限=68条1項)とは、保護する利益も規定の位置付けも異なることを区別して整理しておきたい。


問題:

境界線上に設けた工作物に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

イ. 一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、境界線上の工作物の共有推定に関する規定は適用されない。

ウ. 相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができるが、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。

エ. 共有の障壁の高さを増す工事をしたときは、その高さを増した部分は、相隣者の共有に属するものと推定する。

オ. 相隣者の一方は、境界線上に設けられ共有に属するものと推定される境界標について、共有物分割請求の規定に基づき、単独でその分割を請求することができる。

答え:

誤っているものは、エ・オの2つである。

解説:

民法229条は、境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀について、相隣者の共有に属するものと推定する旨を定める。もっとも、この共有推定は境界線上の工作物であれば常に及ぶわけではなく、一棟の建物の一部を構成する障壁には及ばない(230条1項)。また、共有の障壁の高さを増す工事をした場合の増した部分の帰属(231条2項)や、共有物分割請求の可否(257条)についても、229条の共有推定とは別の規律が置かれている。

アは正しい。境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する(民法229条)。

イは正しい。一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、229条の共有推定規定は適用しない(民法230条1項)。高さの異なる二棟の隣接する建物を隔てる障壁のうち、低い建物の高さを超える部分についても、同様に229条は適用されない(同条2項本文)。ただし、防火障壁については、この限りでない(同項ただし書)。

ウは正しい。相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない(民法231条1項)。工事に耐えない障壁への補強・改築の費用は、高さを増そうとする者自身が負担する。

エは誤りである。前項(231条1項)の規定により障壁の高さを増したときは、その高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有に属する(民法231条2項)。「相隣者の共有に属するものと推定する」とする点が誤りであり、231条2項は推定規定ではなく、単独所有に属する旨を確定的に定めている。なお、この工事によって隣人が損害を受けたときは、隣人はその償金を請求することができる(民法232条)。

オは誤りである。229条の規定により共有物と推定される境界線上の工作物については、共有物分割請求に関する256条の規定は適用されない(民法257条)。境界標・囲障等は相隣関係を安定させるために共有と扱われるものであって、通常の共有物のように分割請求を認めると、相隣関係の基礎となる工作物そのものが失われかねないため、分割請求の対象から除外されている。「共有物分割請求の規定に基づき、単独でその分割を請求することができる」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはエ・オの2つである。境界線上の工作物をめぐる規律は、①共有推定の原則(229条)、②その適用除外=一棟の建物の一部を構成する障壁(230条)、③共有障壁の高さを増す工事とその帰属・費用負担(231条・232条)、④共有物分割請求の不適用(257条)という4層構造で整理しておくと理解しやすい。


問題:

三角形状の閉合トラバースA→B→C→Aについて、各測線を観測した結果、緯距(ΔX)及び経距(ΔY)が次のとおりであった。

  • 測線AB:ΔX=+80.000m、ΔY=+60.000m
  • 測線BC:ΔX=-140.000m、ΔY=+30.000m
  • 測線CA:ΔX=+60.030m、ΔY=-90.040m

このとき、緯距の閉合誤差($E_X=\sum \Delta X$)及び経距の閉合誤差($E_Y=\sum \Delta Y$)を求めたうえで、トランシット法則(各測線の緯距・経距それぞれの絶対値の総和に対する比率に応じて閉合誤差を配分する方法)により測線BCの緯距(ΔX)を補正したとき、その値として最も近いものはどれか。

ア. -140.030 m

イ. -140.023 m

ウ. -140.015 m

エ. -140.012 m

オ. -139.985 m

答え:

ウ(-140.015 m)

解説:

まず、緯距・経距それぞれの閉合誤差を求める。

$$ E_X=\sum \Delta X = 80.000+(-140.000)+60.030=0.030\ \text{m} $$

$$ E_Y=\sum \Delta Y = 60.000+30.000+(-90.040)=-0.040\ \text{m} $$

トラバースが完全に閉合していれば $E_X=E_Y=0$ となるはずであるが、観測誤差により $E_X=0.030$ m、$E_Y=-0.040$ m の閉合誤差が生じている。この誤差を各測線に配分して調整する方法として、測線の長さに比例して配分する「コンパス法則」と、緯距・経距それぞれの絶対値の大きさに比例して配分する「トランシット法則」がある(コンパス法則による配分は第86回で確認済み)。

トランシット法則によれば、各測線の緯距の補正量は、次の式により求められる。

$$ \text{測線}i\text{の緯距補正量}=-E_X\times\frac{|\Delta X_i|}{\sum |\Delta X|} $$

緯距の絶対値の総和は、

$$ \sum |\Delta X| = 80.000+140.000+60.030=280.030\ \text{m} $$

であるから、測線BCの緯距補正量は、

$$ -0.030\times\frac{140.000}{280.030}\approx-0.015\ \text{m} $$

となる。したがって、補正後の測線BCの緯距は、

$$ -140.000+(-0.015)=-140.015\ \text{m} $$

である。よって正解はウである(PowerShellによる実検算値:-140.01500…m)。

イの-140.023mは、緯距(ΔX)の補正量を求める際に、分母として緯距の絶対値の総和(280.030)ではなく経距の絶対値の総和($\sum|\Delta Y|=60.000+30.000+90.040=180.040$)を誤って用いてしまった誤り($-0.030\times140.000\div180.040\approx-0.023$)である。緯距の補正は緯距の絶対値の総和を基準とし、経距の補正は経距の絶対値の総和を基準とすることを混同しないよう注意を要する。

エの-140.012mは、トランシット法則ではなくコンパス法則(測線の長さに比例して配分する方法)で計算してしまった誤りである。測線BCの長さは $\sqrt{140.000^2+30.000^2}\approx143.178$ m、全測線長の合計は $\Sigma L\approx351.395$ m であるから、コンパス法則によれば補正量は $-0.030\times143.178\div351.395\approx-0.012$ m となり、補正後の値は約-140.012mとなる。トランシット法則との数値の近さから混同しやすいが、配分の基準(長さの比か、緯距・経距の絶対値の比か)が異なる点を区別する必要がある。

アの-140.030mは、閉合誤差(0.030m)をそのまま測線BC一本にすべて負わせてしまい、他の測線には配分しなかった誤りである。

オの-139.985mは、補正量の符号を逆にしてしまった誤り($-140.000+0.015=-139.985$)である。閉合誤差が正($E_X=+0.030$)であれば、観測値の合計が真の値(0)よりも大きいことを意味するから、各測線には負の方向の補正を加えて合計を減らす必要がある。

なお、経距(ΔY)についても同様の考え方で補正することができ、測線BCの経距補正量は $-E_Y\times|\Delta Y_{BC}|/\sum|\Delta Y|=0.040\times30.000\div180.040\approx+0.007$ mとなり、補正後の経距は約+30.007mとなる(本問では出題していないが、緯距と同じ手順で検算済み)。


問題:

各階平面図に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 各階平面図には、各階の別、各階の平面の形状及び一階の位置を記録しなければならない。

イ. 各階平面図には、各階ごとの建物の周囲の長さ、床面積及びその求積方法を記録しなければならない。

ウ. 附属建物があるときは、各階平面図には、主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。

エ. 各階平面図は、二百五十分の一の縮尺により作成しなければならず、建物の状況その他の事情によっても、これと異なる縮尺により作成することは認められていない。

オ. 各階平面図の縮尺は、建物図面と同様に五百分の一を原則とする。

答え:

誤っているものは、エ・オの2つである。

解説:

各階平面図の記録事項及び縮尺は、不動産登記規則83条に規定されている。

アは正しい。各階平面図には、縮尺、各階の別、各階の平面の形状、一階の位置、各階ごとの建物の周囲の長さ、床面積及びその求積方法並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない(不動産登記規則83条1項)。各階の別・平面の形状・一階の位置は、この1項に列挙された記載事項の一部である。

イは正しい。前記のとおり、各階ごとの建物の周囲の長さ、床面積及びその求積方法も、83条1項に列挙された記載事項である。

ウは正しい。附属建物があるときは、主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号も、各階平面図の記録事項である(不動産登記規則83条1項)。建物図面(82条2項)と同様に、各階平面図にも附属建物の別・符号の記録が求められる。

エは誤りである。各階平面図は「二百五十分の一」の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない(不動産登記規則83条2項)。「これと異なる縮尺により作成することは認められていない」とする点が誤りであり、ただし書による例外が明文で認められている。

オは誤りである。各階平面図の縮尺は「二百五十分の一」が原則である(不動産登記規則83条2項)。建物図面の縮尺が「五百分の一」を原則とする(不動産登記規則82条3項)のとは異なり、各階平面図と建物図面とでは原則となる縮尺が異なる。「建物図面と同様に五百分の一を原則とする」とする点が誤りである。

以上より、誤っているものはエ・オの2つである。建物図面(500分の1)と各階平面図(250分の1)とで縮尺の原則が異なる点、及びいずれの図面にもただし書による縮尺の例外(「事情により適当でないときは、この限りでない」)が置かれている点をあわせて整理しておきたい。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 不動産登記法(表示) 建物の合体の登記(申請義務・担保権の取扱い・職権登記・添付情報) 不動産登記法28条・49条ほか
第2問 土地家屋調査士法 名称の使用制限・非調査士による業務の制限・罰則 土地家屋調査士法68条ほか
第3問 民法(相隣関係) 境界線上の工作物の共有推定・適用除外・共有障壁の高さを増す工事・共有物分割請求の適用除外 民法229条・230条・231条・232条・257条
第4問 測量計算 トラバース測量の誤差配分(トランシット法則)
第5問 作図・書式 各階平面図の記載事項及び縮尺(建物図面との縮尺の違い) 不動産登記規則82条・83条