問題:

未成年者の行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。

ア. 未成年者が単に義務を免れる法律行為をするには、その法定代理人の同意を得ることを要しない。

イ. 未成年者が法定代理人の同意を得なければならない法律行為をその同意を得ないでした場合には、その法律行為は、法定代理人に限り取り消すことができ、未成年者自身が取り消すことはできない。

ウ. 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができるが、法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産を処分するには、改めて法定代理人の同意を得なければならない。

エ. 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有するから、その法定代理人は、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときであっても、その許可を取り消し、又はこれを制限することができない。

オ. 未成年後見人は、未成年被後見人に営業を許可し、又はその許可を取り消すには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

答え:

誤っているものは、イ・ウ・エの3つである。

解説:

本問は、未成年者の法律行為と法定代理人の同意(民法5条1項・2項)、処分を許された財産(同条3項)、行為能力の制限による取消しの取消権者(同法120条1項)及び営業の許可とその取消し・制限(同法6条・823条・857条)を問うものであり、誤っているのはイ・ウ・エの3つである。

ア 正しい。民法5条1項は、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」と定めている。単に義務を免れる法律行為は、同項ただし書により法定代理人の同意を要しないから、本肢は正しい。なお、同法4条は、「年齢十八歳をもって、成年とする。」と定めている。

イ 誤り。民法5条2項は、「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」と定め、同法120条1項は、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。」と定めている。取消しをすることができる者には制限行為能力者自身が含まれているから、未成年者自身も取り消すことができ、本肢は誤りである。

ウ 誤り。民法5条3項は、「第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。」と定めている。目的を定めないで処分を許した財産も、未成年者が自由に処分することができるから、改めて法定代理人の同意を得なければならないとする本肢は誤りである。

エ 誤り。民法6条1項は、「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。」と定め、同条2項は、「前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。」と定めている。未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人は、その許可を取り消し、又はこれを制限することができるから、本肢は誤りである。なお、同法823条1項は、「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。」と定め、同条2項は、「親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。」と定めている。同法6条2項の「第四編(親族)の規定に従い」に関しては、親権を行う者について同法823条2項が、未成年後見人について同法857条(オ参照)が、許可の取消し・制限について定めている。

オ 正しい。民法857条は、「未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。」と定めている。本肢は、同条ただし書のとおりである。

ポイント:年齢18歳をもって成年とし(民法4条)、未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を得なければならず、これに反する法律行為は取り消すことができるが、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為には同意を要しない(同法5条1項・2項)。法定代理人が処分を許した財産は、目的を定めたときはその目的の範囲内で、目的を定めないときも、未成年者が自由に処分することができる(同条3項)。行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者自身も取り消すことができる(同法120条1項)。営業を許された未成年者は、その営業に関しては成年者と同一の行為能力を有するが、営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人は許可を取り消し、又は制限することができ(同法6条・823条2項)、未成年後見人が営業を許可し、その許可を取り消し、又は制限するには、未成年後見監督人があるときはその同意を得なければならない(同法857条ただし書)。「目的を定めない処分の許可も自由に処分できる」「取消しは本人もできる」の2点を条文の文言で確かめる。


問題:

共有物の分割に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし正しいものはいくつあるか。

ア. 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができるが、共有者間で協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することはできない。

イ. 裁判所は、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により、共有物の分割を命ずることができる。

ウ. 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払を命ずることはできるが、登記義務の履行を命ずることはできない。

エ. 共有物の全部が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部について遺産の分割をすべきときであっても、相続開始の時から10年を経過したときは、当該共有物について民法258条の規定による分割をすることができる。

オ. 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができ、その参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。

答え:

正しいものは、イ・オの2つである。

解説:

本問は、裁判による共有物の分割の要件・方法・給付命令(民法258条)、相続財産に属する共有物の分割の特則(同法258条の2)及び共有物の分割への参加(同法260条)を問うものであり、正しいのはイ・オの2つである。

ア 誤り。民法258条1項は、「共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。」と定めている。共有者間で協議をすることができないときも、その分割を裁判所に請求することができるから、本肢は誤りである。なお、同項の「又は協議をすることができないとき」は、令和3年法律第24号による改正(令和5年4月1日施行)で加えられたものであり、それより前の同条1項は、「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。」と定めていた。

イ 正しい。民法258条2項は、「裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。」と定め、1号で「共有物の現物を分割する方法」、2号で「共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法」を掲げている。本肢は、同項2号のとおりである。なお、同条3項は、「前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。」と定めている。

ウ 誤り。民法258条4項は、「裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。」と定めている。裁判所は、共有物の分割の裁判において、登記義務の履行も命ずることができるから、本肢は誤りである。

エ 誤り。民法258条の2第1項は、「共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。」と定めている。そして、同条2項は、「共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。」と定めている。同条1項が「共有物の全部又はその持分」と定めているのに対し、10年を経過したときの例外を定める同条2項は、「共有物の持分が相続財産に属する場合」の「相続財産に属する共有物の持分」に限っている。共有物の全部が相続財産に属する場合は同項の対象とされておらず、相続開始の時から10年を経過した後も同条1項の原則どおり同法258条の規定による分割をすることができないから、本肢は誤りである。なお、同条3項は、「相続人が前項ただし書の申出をする場合には、当該申出は、当該相続人が前条第一項の規定による請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から二箇月以内に当該裁判所にしなければならない。」と定めている。同法258条の2は、令和3年法律第24号による改正(令和5年4月1日施行)で新設されたものである。

オ 正しい。民法260条1項は、「共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。」と定め、同条2項は、「前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。

ポイント:共有物の分割は、共有者間に協議が調わないときだけでなく、協議をすることができないときも、裁判所に請求することができる(民法258条1項)。裁判所は、現物を分割する方法と、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により分割を命ずることができ(同条2項)、これらの方法により分割することができないとき又は分割によって価格を著しく減少させるおそれがあるときは競売を命ずることができ(同条3項)、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることもできる(同条4項)。共有物の全部又はその持分が相続財産に属し、共同相続人間で遺産の分割をすべきときは同法258条による分割をすることができないが(同法258条の2第1項)、相続開始の時から10年を経過したときの例外は、相続財産に属する共有物の持分に限られる(同条2項。遺産の分割の請求があった場合において相続人が異議の申出をしたときを除き、その申出は通知を受けた日から2箇月以内にする。同条3項)。共有物について権利を有する者と各共有者の債権者は自己の費用で分割に参加することができ、参加の請求をした者を参加させないでした分割は、その者に対抗することができない(同法260条)。10年経過後の例外の対象が「全部」ではなく「持分」であることを、同法258条の2第1項と第2項の書き分けで確かめる。


問題:

遺産の分割後の共同相続人間の担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。

ア. 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

イ. 各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、相続開始の時における債務者の資力を担保する。

ウ. 弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。

エ. 担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者に過失があるときであっても、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。

オ. 共同相続人間の担保責任について定める民法911条から913条までの規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。

答え:

誤っているものは、イ・エの2つである。

解説:

本問は、共同相続人間の担保責任(民法911条)、遺産の分割によって受けた債権についての資力の担保(同法912条)、資力のない共同相続人がある場合の分担(同法913条)及び遺言による別段の定め(同法914条)を問うものであり、誤っているのはイ・エの2つである。

ア 正しい。民法911条は、「各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。なお、同法909条は、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と定めている。

イ 誤り。民法912条1項は、「各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。」と定めている。担保するのは、相続開始の時ではなく、分割の時における債務者の資力であるから、本肢は誤りである。

ウ 正しい。民法912条2項は、「弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。

エ 誤り。民法913条は、「担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。」と定めている。求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができないから、本肢は誤りである。

オ 正しい。民法914条は、「前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。」と定めている。「前三条」とは同法911条から913条までであるから、本肢は、同条のとおりである。

ポイント:各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う(民法911条)。遺産の分割によって受けた債権については、各共同相続人がその相続分に応じて分割の時における債務者の資力を担保し、弁済期に至らない債権と停止条件付きの債権については、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する(同法912条)。償還をする資力のない共同相続人があるときは、その償還することができない部分を求償者と他の資力のある者が相続分に応じて分担するが、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に分担を請求することができない(同法913条)。これらの規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは適用しない(同法914条)。資力を担保する基準時は「原則は分割の時、弁済期に至らない債権・停止条件付きの債権は弁済をすべき時」と整理する。


問題:

土地の合筆の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び不動産登記規則の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。

ア. 所有権の登記名義人がAである甲土地と、所有権の登記名義人がA及びB(持分各2分の1)である乙土地とは、Aがいずれの土地についても所有権の登記名義人であるから、他に合筆の登記の制限に当たる事由がなければ、合筆の登記をすることができる。

イ. 地目が田である甲土地と地目が畑である乙土地とは、いずれも耕作の用に供される土地であるから、他に合筆の登記の制限に当たる事由がなければ、合筆の登記をすることができる。

ウ. 表題部所有者がAである所有権の登記がない甲土地と、Aを所有権の登記名義人とする乙土地とは、甲土地について所有権の保存の登記がされない限り、合筆の登記をすることができない。

エ. 合筆しようとする甲土地及び乙土地に、それぞれ鉱害賠償登録令26条に規定する鉱害賠償登録に関する登記があり、その鉱害賠償登録規則2条に規定する登録番号が同一であるときは、他に合筆の登記の制限に当たる事由がなければ、合筆の登記をすることができる。

オ. 甲土地及び乙土地の所有権の登記名義人Aから両土地を買い受けたBは、Bへの所有権の移転の登記を受ける前であっても、両土地の所有者として、合筆の登記を申請することができる。

答え:

誤っているものは、ア・イ・オの3つである。

解説:

本問は、合筆の登記の制限(不動産登記法41条2号・3号・5号・6号、不動産登記規則99条・105条)及び合筆の登記の申請人(不動産登記法39条1項)を問うものであり、誤っているのはア・イ・オの3つである。

ア 誤り。不動産登記法41条は、「次に掲げる合筆の登記は、することができない。」と定め、3号で「表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記」を掲げている。甲土地の所有権の登記名義人はAのみであり、乙土地の所有権の登記名義人はA及びBであるから、両土地の所有権の登記名義人は相互に異なる。Aが両土地の所有権の登記名義人に含まれていても、合筆の登記をすることはできないから、本肢は誤りである。なお、同条4号は、「表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記」を掲げている。

イ 誤り。不動産登記法41条2号は、「地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記」を掲げている。そして、不動産登記規則99条は、「地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。」と定めており、田と畑は別の地目である。地目が田である土地と地目が畑である土地とは地目が相互に異なるから、合筆の登記をすることはできず、本肢は誤りである。

ウ 正しい。不動産登記法41条5号は、「所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記」を掲げている。乙土地は所有権の登記がある土地であるから、甲土地が所有権の登記がない土地である間は、甲土地の表題部所有者と乙土地の所有権の登記名義人がいずれもAであっても、同号により合筆の登記をすることはできない。甲土地について所有権の保存の登記がされて所有権の登記がある土地となれば、同号には当たらなくなる。本肢は正しい。

エ 正しい。不動産登記法41条6号は、「所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記」を掲げている。そして、不動産登記規則105条は、「法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。」と定め、4号で「鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの」を掲げている。登録番号が同一の鉱害賠償登録に関する登記がある土地は、不動産登記法41条6号括弧書により合筆の登記の制限から除かれるから、本肢は正しい。なお、同規則105条は、このほか、1号で「承役地についてする地役権の登記」、2号で「担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの」、3号で「信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの」を掲げている。

オ 誤り。不動産登記法39条1項は、「分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。」と定めている。Bは、両土地を買い受けて所有者となっていても、所有権の移転の登記を受けるまでは所有権の登記名義人ではないから、合筆の登記を申請することはできず、本肢は誤りである。

ポイント:合筆の登記は、相互に接続していない土地、地目又は地番区域が相互に異なる土地、表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地、それらが相互に持分を異にする土地、所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地については、することができない(不動産登記法41条各号)。名義人の一部が共通していても名義人が相互に異なれば3号に当たり、表題部所有者と所有権の登記名義人が同一人でも所有権の登記の有無が異なれば5号に当たる。田と畑は別の地目であり(不動産登記規則99条)、同法41条6号の例外として合筆後の土地の登記記録に登記できるのは、承役地についてする地役権の登記、登記の目的・受付の年月日及び受付番号・登記原因及びその日付が同一の担保権の登記、登記事項が同一の信託の登記、登録番号が同一の鉱害賠償登録に関する登記である(同規則105条)。合筆の登記を申請できるのは表題部所有者又は所有権の登記名義人に限られる(不動産登記法39条1項)。用途の近さや実体上の所有権といった事情で制限を緩める肢は、条文の文言に戻って判断する。


問題:

共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び不動産登記規則の規定に照らし正しいものはいくつあるか。

ア. 登記官は、共用部分である旨の登記がある甲建物を区分して甲建物と乙建物とする建物の区分の登記をする場合において、甲建物の登記記録に不動産登記法58条1項各号に掲げる登記事項があるときは、乙建物の登記記録に当該登記事項を転写しなければならない。

イ. 建物の区分所有等に関する法律の規定による管理者は、規約により附属の建物が共用部分とされたときは、当該附属の建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人でなくても、管理者として、当該附属の建物について共用部分である旨の登記を申請することができる。

ウ. 共用部分である旨の登記がある建物について、不動産登記法58条1項各号に掲げる登記事項についての変更の登記又は更正の登記は、当該建物の所有者以外の者は、申請することができない。

エ. 共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨を定めた規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、当該規約の廃止の日から1月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

オ. 登記官は、共用部分である旨を定めた規約を廃止したことによる建物の表題登記をするときは、当該建物の登記記録の表題部に、建物の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積を含む建物の表示に関する登記事項の全部を改めて記録しなければならない。

答え:

正しいものは、ア・ウの2つである。

解説:

本問は、共用部分である旨の登記がある建物の区分の登記における登記事項の転写(不動産登記規則142条)、共用部分である旨の登記の申請人(不動産登記法58条2項)、登記事項の変更・更正の登記の申請人(同条5項)、規約の廃止による建物の表題登記の申請義務(同条6項・7項)及び規約の廃止による表題登記の記録方法(不動産登記規則143条)を問うものであり、正しいのはア・ウの2つである。

ア 正しい。不動産登記規則142条は、「登記官は、共用部分である旨の登記若しくは団地共用部分である旨の登記がある甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をし、又は当該甲建物を区分して甲建物と乙建物とする建物の区分の登記をする場合において、甲建物の登記記録に法第五十八条第一項各号に掲げる登記事項があるときは、乙建物の登記記録に当該登記事項を転写しなければならない。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。不動産登記法58条1項は、「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記に係る建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号(第三号を除く。)及び第四十四条第一項各号(第六号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。」と定め、1号で「共用部分である旨の登記にあっては、当該共用部分である建物が当該建物の属する一棟の建物以外の一棟の建物に属する建物の区分所有者の共用に供されるものであるときは、その旨」を、2号で「団地共用部分である旨の登記にあっては、当該団地共用部分を共用すべき者の所有する建物(当該建物が区分建物であるときは、当該建物が属する一棟の建物)」を掲げている。なお、同法54条2項は、「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記は、所有者以外の者は、申請することができない。」と定めている。

イ 誤り。不動産登記法58条2項は、「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。」と定めている。共用部分である旨の登記の申請人は当該建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人に限られ、管理者は、管理者であることを理由として自ら申請人となることはできない。表題部所有者又は所有権の登記名義人でなくても管理者として申請することができるとする本肢は誤りである。なお、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)4条2項は、「第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。」と定めている。

ウ 正しい。不動産登記法58条5項は、「第一項各号に掲げる登記事項についての変更の登記又は更正の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の所有者以外の者は、申請することができない。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。

エ 誤り。不動産登記法58条7項は、「前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。」と定めている。規約の廃止後に所有権を取得した者の申請期間は、所有権の取得の日から1月以内であり、規約の廃止の日から起算するのではないから、本肢は誤りである。なお、同条6項は、「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。」と定めている。規約の廃止の日から1月以内に申請しなければならないのは、規約を廃止した時の当該建物の所有者である。

オ 誤り。不動産登記規則143条は、「登記官は、共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止したことによる建物の表題登記の申請があった場合において、当該申請に基づく表題登記をするときは、当該建物の登記記録の表題部に所有者の氏名又は名称及び住所並びに所有者が二人以上であるときはその所有者ごとの持分並びに敷地権があるときはその内容を記録すれば足りる。この場合には、共用部分である旨又は団地共用部分である旨の記録を抹消する記号を記録しなければならない。」と定めている。規約の廃止による表題登記では、所有者の氏名又は名称及び住所等を記録すれば足り、建物の表示に関する登記事項の全部を改めて記録するのではないから、本肢は誤りである。

ポイント:共用部分である旨の登記等がある甲建物から附属建物を分割し、又は甲建物を区分するときは、不動産登記法58条1項各号の登記事項(他の一棟の建物の区分所有者の共用に供される旨、団地共用部分を共用すべき者の所有する建物)を乙建物の登記記録に転写する(不動産登記規則142条)。共用部分である旨の登記の申請人は表題部所有者又は所有権の登記名義人に限られるが(同法58条2項)、登記がされた後の同条1項各号の登記事項の変更・更正の登記や、その建物の分割・区分の登記の申請人は所有者に限られる(同条5項・54条2項)。規約を廃止したときは、所有者は規約の廃止の日から1月以内に(同法58条6項)、規約の廃止後に所有権を取得した者はその取得の日から1月以内に(同条7項)、建物の表題登記を申請しなければならない。規約の廃止による表題登記では、所有者の氏名又は名称及び住所、持分並びに敷地権の内容を記録すれば足り、共用部分である旨の記録を抹消する記号を記録する(不動産登記規則143条)。規約共用部分は、その旨の登記をしなければ第三者に対抗することができない(区分所有法4条2項)。申請人が「表題部所有者又は所有権の登記名義人」か「所有者」か、1月の起算点が「廃止の日」か「取得の日」かを条文で区別する。


問題:

地積測量図及び土地所在図の作成方法に関する次の記述のうち、不動産登記規則及び不動産登記事務取扱手続準則(以下「準則」という。)の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。

ア. 不動産登記規則73条1項の規定により作成された地積測量図(電子申請において送信するもの等)は、土地所在図を兼ねることができる。

イ. 書面(不動産登記規則74条3項に規定する用紙)により地積測量図を作成する場合において、当該用紙に余白があるときは、便宜、その余白を用いて土地所在図を作成することができ、この場合には、図面の標記に「土地所在図」と追記するものとされている。

ウ. 地積測量図に基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録する場合には、当該基本三角点等に符号を付した上、地積測量図の適宜の箇所にその符号、基本三角点等の名称及びその座標値も記録するものとされている。

エ. 地積測量図に近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録する場合には、当該地物の存する地点に符号を付した上で、地積測量図の適宜の箇所にその符号及び地物の名称を記録すれば足り、当該地物の概略図及び座標値を記録することは要しない。

オ. 書面(不動産登記規則74条3項に規定する用紙)により地積測量図を作成する場合において、当該地積測量図の縮尺がその土地について作成すべき土地所在図の縮尺と異なるときであっても、当該地積測量図によって土地の所在を明確に表示することができるときは、便宜、当該地積測量図をもって土地所在図を兼ねることができる。

答え:

誤っているものは、エ・オの2つである。

解説:

本問は、地積測量図による土地所在図の兼用(準則51条2項・4項)、地積測量図の余白を用いた土地所在図の作成(同条3項)及び地積測量図における筆界点の座標値の記録方法(準則50条、不動産登記規則77条1項8号・2項)を問うものであり、誤っているのはエ・オの2つである。

ア 正しい。準則51条2項は、「規則第73条第1項の規定により作成された地積測量図は、土地所在図を兼ねることができる。」と定めている。そして、不動産登記規則73条1項は、「電子申請において送信する土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図は、法務大臣の定める方式に従い、作成しなければならない。書面申請においてこれらの図面を電磁的記録に記録して提出する場合についても、同様とする。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。

イ 正しい。準則51条3項は、「規則第74条第3項に規定する用紙により地積測量図を作成する場合において、当該用紙に余白があるときは、便宜、その余白を用いて土地所在図を作成することができる。この場合には、図面の標記に「土地所在図」と追記するものとする。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。なお、不動産登記規則74条3項は、書面である図面は、別記第一号及び第二号の様式により、日本産業規格B列四番の丈夫な用紙を用いて作成しなければならないと定めており、準則51条5項は、「一の登記の申請について、規則第74条第3項に規定する用紙により土地所在図又は地積測量図を作成する場合において、用紙が数枚にわたるときは、当該土地所在図又は地積測量図の余白の適宜の箇所にその総枚数及び当該用紙が何枚目の用紙である旨を記載するものとする。」と定めている。

ウ 正しい。不動産登記規則77条1項は、地積測量図に記録しなければならない事項として、7号で「国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号」を、8号で「基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値」を掲げている。そして、準則50条1項は、「地積測量図に規則第77条第1項第8号の規定により基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録する場合には、当該基本三角点等に符号を付した上、地積測量図の適宜の箇所にその符号、基本三角点等の名称及びその座標値も記録するものとする。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。

エ 誤り。不動産登記規則77条2項は、「近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、前項第七号及び第八号に掲げる事項に代えて、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録しなければならない。」と定めている。そして、準則50条2項は、「地積測量図に規則第77条第2項の規定により近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録する場合には、当該地物の存する地点に符号を付した上で、地積測量図の適宜の箇所にその符号、地物の名称、概略図及びその座標値も記録するものとする。」と定めている。符号及び地物の名称のほか、概略図及びその座標値も記録するものとされているから、本肢は誤りである。

オ 誤り。準則51条4項は、「前項の場合において、地積測量図の縮尺がその土地について作成すべき土地所在図の縮尺と同一であって、当該地積測量図によって土地の所在を明確に表示することができるときは、便宜、当該地積測量図をもって土地所在図を兼ねることができるものとする。この場合には、当該図面の標記を「土地所在図兼地積測量図」と記載するものとする。」と定めている。同項は、「前項の場合において」として、同条3項の規則74条3項に規定する用紙により地積測量図を作成する場合を受けた規定である。「前項の場合」に同条3項の「当該用紙に余白があるとき」まで含まれると読むかどうかにかかわらず、同条4項により書面の地積測量図をもって土地所在図を兼ねることができるのは、地積測量図の縮尺がその土地について作成すべき土地所在図の縮尺と同一である場合であるから、縮尺が異なるときであっても兼ねることができるとする本肢は誤りである。なお、不動産登記規則76条2項は、「土地所在図は、近傍類似の土地についての法第十四条第一項の地図と同一の縮尺により作成するものとする。」と定め、同規則77条4項は、「地積測量図は、二百五十分の一の縮尺により作成するものとする。ただし、土地の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。」と定めている。

ポイント:不動産登記規則73条1項により作成された地積測量図(電子申請において送信するもの等)は、そのまま土地所在図を兼ねることができる(準則51条2項)。書面の地積測量図では、用紙に余白があればその余白に土地所在図を作成して標記に「土地所在図」と追記し(同条3項)、地積測量図の縮尺が土地所在図の縮尺と同一で土地の所在を明確に表示できるときに限り、地積測量図をもって土地所在図を兼ね、標記を「土地所在図兼地積測量図」とする(同条4項)。用紙が数枚にわたるときは、総枚数と何枚目かを記載する(同条5項)。基本三角点等に基づく筆界点の座標値を記録するときは、基本三角点等に符号を付して、その符号・名称・座標値も記録し(準則50条1項、不動産登記規則77条1項8号)、近傍の恒久的な地物に基づく座標値を記録するときは、地物の地点に符号を付して、その符号・地物の名称・概略図・座標値も記録する(準則50条2項、同規則77条2項)。何をどこまで記録するかと、兼用の要件(縮尺の同一)を、準則の文言で確かめる。


問題:

土地家屋調査士(以下「調査士」という。)の業務を行い得ない事件及び依頼に応ずる義務に関する次の記述のうち、土地家屋調査士法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。なお、「筆界特定手続代理関係業務」とは土地家屋調査士法22条の2第2項に規定する筆界特定手続代理関係業務を、「民間紛争解決手続代理関係業務」とは同法3条2項に規定する民間紛争解決手続代理関係業務をいい、「調査士法人」とは同法26条に規定する調査士法人をいう。

ア. 土地家屋調査士法3条2項に規定する調査士は、調査士法人(民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人を除く。)の社員である場合に、当該調査士法人が相手方から筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件については、民間紛争解決手続代理関係業務を行ってはならない。

イ. 調査士は、調査士法人の社員又は使用人である調査士としてその業務に従事していた期間内に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務に関するものとして相手方の協議を受けて賛助した事件については、自らこれに関与したかどうかにかかわらず、筆界特定手続代理関係業務を行ってはならない。

ウ. 土地家屋調査士法3条2項に規定する調査士は、調査士法人(民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人を除く。)の社員である場合に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(当該調査士が自ら関与しているものに限り、同法3条1項5号に規定する業務に関するものとして受任しているものを除く。)の相手方からの依頼による他の事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合であっても、民間紛争解決手続代理関係業務を行ってはならない。

エ. 調査士は、調査士法人の使用人である場合に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(当該調査士が自ら関与しているものに限る。)の相手方からの依頼による他の事件については、受任している事件の依頼者が同意したときは、筆界特定手続代理関係業務を行うことができる。

オ. 調査士は、正当な事由がある場合でなければ、筆界特定の手続についての代理の事務についての相談に関する依頼を拒んではならない。

答え:

誤っているものは、イ・ウ・オの3つである。

解説:

本問は、業務を行い得ない事件(土地家屋調査士法22条の2第2項・3項)及び依頼に応ずる義務の対象から除かれる業務(同法22条・3条1項4号・6号)を問うものであり、誤っているのはイ・ウ・オの3つである。

ア 正しい。土地家屋調査士法22条の2第3項は、「第三条第二項に規定する調査士は、前項各号に掲げる事件及び次に掲げる事件については、民間紛争解決手続代理関係業務を行つてはならない。ただし、同項第三号及び第七号に掲げる事件並びに第二号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。」と定め、1号で「調査士法人(民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人を除く。次号において同じ。)の社員である場合に、当該調査士法人が相手方から筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件」を掲げている。本肢は、同号のとおりであり、同号の事件は同項ただし書の対象にも含まれない。

イ 誤り。土地家屋調査士法22条の2第2項は、「調査士は、次に掲げる事件については、第三条第一項第四号から第六号(第四号及び第五号に関する部分に限る。)までに規定する業務(以下「筆界特定手続代理関係業務」という。)を行つてはならない。ただし、第三号及び第七号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。」と定め、4号で「調査士法人(第二十六条に規定する調査士法人をいう。以下この条において同じ。)の社員又は使用人である調査士としてその業務に従事していた期間内に、当該調査士法人が、筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であつて、自らこれに関与したもの」を掲げている。調査士法人の社員又は使用人であった期間内に当該調査士法人が協議を受けて賛助した事件について業務が制限されるのは、自らこれに関与したものに限られるから、関与したかどうかにかかわらないとする本肢は誤りである。なお、同項5号も、当該調査士法人が協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものについて、「自らこれに関与したもの」に限っている。

ウ 誤り。土地家屋調査士法22条の2第3項2号は、「調査士法人の社員である場合に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(当該調査士が自ら関与しているものに限り、第三条第一項第五号に規定する業務に関するものとして受任しているものを除く。)の相手方からの依頼による他の事件」を掲げている。そして、同項ただし書は、「同項第三号及び第七号に掲げる事件並びに第二号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。」と定めている。同項ただし書の「同項第三号及び第七号に掲げる事件」は、本文の「前項各号に掲げる事件」を受けて前項(同条2項)の3号・7号の事件を指し、「第二号に掲げる事件」は同条3項2号の事件を指す(同条3項2号の事件は、同条2項3号・7号の事件と同じく、受任している事件の相手方からの依頼による他の事件である)。同条3項2号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合には民間紛争解決手続代理関係業務を行うことができるから、本肢は誤りである。

エ 正しい。土地家屋調査士法22条の2第2項7号は、「調査士法人の使用人である場合に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(当該調査士が自ら関与しているものに限る。)の相手方からの依頼による他の事件」を掲げている。そして、同項ただし書は、同項3号及び7号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでないと定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同項6号は、「調査士法人の使用人である場合に、当該調査士法人が相手方から筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件」を掲げているが、6号の事件は同項ただし書の対象とされていない。

オ 誤り。土地家屋調査士法22条は、「調査士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼(第三条第一項第四号及び第六号(第四号に関する部分に限る。)に規定する業務並びに民間紛争解決手続代理関係業務に関するものを除く。)を拒んではならない。」と定めている。そして、同法3条1項4号は、「筆界特定の手続(不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理」を掲げ、同項6号は、「前各号に掲げる事務についての相談」を掲げている。筆界特定の手続についての代理の事務についての相談は、同項6号のうち4号に関する部分に当たり、これに関する依頼は依頼に応ずる義務の対象から除かれているから、本肢は誤りである。

ポイント:筆界特定手続代理関係業務を行ってはならない事件は土地家屋調査士法22条の2第2項1号〜7号に掲げられ、調査士法人の社員又は使用人であった期間内に当該調査士法人が協議を受けるなどした事件は、自ら関与したものに限られる(同項4号・5号)。受任している事件の依頼者の同意によって制限が外れるのは、同項3号と7号の事件だけである(同項ただし書)。同法3条2項に規定する調査士は、これらの事件に加え、同法22条の2第3項1号・2号の事件についても民間紛争解決手続代理関係業務を行ってはならず、同意によって制限が外れるのは同条2項3号・7号と同条3項2号の事件である(同条3項)。依頼に応ずる義務の対象からは、筆界特定の手続についての代理(同法3条1項4号)、これについての相談(同項6号のうち4号に関する部分)及び民間紛争解決手続代理関係業務に関する依頼が除かれている(同法22条)。自ら関与したかどうか、同意で制限が外れるのはどの号か、応諾義務から除かれる業務は何かを、号番号とセットで押さえる。


問題:

建物の分割の登記、建物の区分の登記及び建物の合併の登記に関する次の記述のうち、不動産登記規則の規定に照らし正しいものはいくつあるか。

ア. 登記官は、区分建物である甲建物を区分して甲建物と乙建物とする建物の区分の登記をするときは、区分後の各建物について新たに登記記録を作成し、区分前の甲建物の登記記録を閉鎖しなければならない。

イ. 登記官は、甲建物を乙建物の附属建物とする建物の合併(附属合併)に係る建物の合併の登記をするときは、乙建物の登記記録の表題部に、附属合併後の建物の表題部の登記事項及び家屋番号何番の建物を合併した旨を記録し、甲建物の登記記録を閉鎖しなければならない。

ウ. 登記官は、区分建物である甲建物を、これと接続する区分建物である乙建物に合併する区分合併に係る建物の合併の登記をする場合において、区分合併後の建物が区分建物でないときであっても、乙建物の登記記録の表題部に区分合併後の建物の表題部の登記事項を記録すれば足り、乙建物について新たに登記記録を作成することはない。

エ. 区分建物である甲建物を、これと接続する区分建物である乙建物に合併する区分合併に係る建物の合併の登記をする場合において、区分合併後の建物が区分建物でなく、かつ、区分合併前のすべての建物に、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一の担保権の登記があるときは、登記官は、区分合併後の建物について新たに作成した登記記録の乙区に当該登記を移記し、当該登記が合併後の建物の全部に関する旨を付記登記によって記録しなければならない。

オ. 登記官は、附属合併に係る建物の合併の登記をする場合において、附属合併により不動産所在事項に変更が生じたときは、変更後の不動産所在事項、合併により変更した旨及び変更前の不動産所在事項を抹消する記号を記録しなければならない。

答え:

正しいものは、イ・エ・オの3つである。

解説:

本問は、区分建物である建物の区分の登記の記録方法(不動産登記規則129条3項・4項)、附属合併の登記の記録方法(同規則132条)、区分合併の登記の記録方法(同規則133条)及び区分合併における担保権の登記の移記(同規則134条2項・131条)を問うものであり、正しいのはイ・エ・オの3つである。

ア 誤り。不動産登記規則129条3項は、「登記官は、区分建物である甲建物を区分して甲建物と乙建物とする建物の区分の登記をするときは、乙建物について新たに登記記録を作成し、これに家屋番号何番の建物から区分した旨を記録しなければならない。」と定め、同条4項は、「登記官は、前項の場合には、甲建物の登記記録の表題部に、残余部分の建物の表題部の登記事項、家屋番号何番の建物を区分した旨及び従前の建物の表題部の登記事項の変更部分を抹消する記号を記録しなければならない。」と定めている。区分建物である甲建物を区分する場合に新たに登記記録を作成するのは乙建物についてだけであり、甲建物の登記記録は閉鎖されないから、本肢は誤りである。なお、同条1項は、「登記官は、区分建物でない甲建物を区分して甲建物と乙建物とする建物の区分の登記をするときは、区分後の各建物について新たに登記記録を作成し、各登記記録の表題部に家屋番号何番の建物から区分した旨を記録しなければならない。」と定め、同条2項は、この場合には、区分前の甲建物の登記記録の表題部に区分によって家屋番号何番及び何番の建物の登記記録に移記した旨並びに従前の建物の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならないと定めている。区分後の各建物について新たに登記記録を作成し、区分前の登記記録を閉鎖するのは、区分建物でない建物を区分する場合である。

イ 正しい。不動産登記規則132条1項は、「登記官は、甲建物を乙建物の附属建物とする建物の合併(以下「附属合併」という。)に係る建物の合併の登記をするときは、乙建物の登記記録の表題部に、附属合併後の建物の表題部の登記事項及び家屋番号何番の建物を合併した旨を記録しなければならない。」と定め、同条3項は、「登記官は、第一項の場合には、甲建物の登記記録の表題部に家屋番号何番の建物に合併した旨及び従前の建物の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。

ウ 誤り。不動産登記規則133条1項は、「登記官は、区分建物である甲建物を乙建物又は乙建物の附属建物に合併する建物の合併(乙建物又は乙建物の附属建物が甲建物と接続する区分建物である場合に限る。以下「区分合併」という。)に係る建物の合併の登記をするときは、乙建物の登記記録の表題部に、区分合併後の建物の表題部の登記事項、家屋番号何番の建物を合併した旨及び従前の建物の表題部の登記事項の変更部分を抹消する記号を記録しなければならない。」と定めている。しかし、同条3項は、「登記官は、第一項の規定にかかわらず、区分合併(甲建物を乙建物の附属建物に合併する場合を除く。)に係る建物の合併の登記をする場合において、区分合併後の建物が区分建物でないときは、区分合併後の乙建物について新たに登記記録を作成し、当該登記記録の表題部に区分合併後の建物の表題部の登記事項及び合併により家屋番号何番の建物の登記記録から移記した旨を記録しなければならない。」と定めている。甲建物を乙建物に合併する区分合併で区分合併後の建物が区分建物でないときは、乙建物について新たに登記記録を作成しなければならないから、本肢は誤りである。なお、同条4項は、この場合には、区分合併前の乙建物の登記記録の表題部に所定の事項及び乙建物についての建物の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、乙建物の登記記録を閉鎖しなければならないと定めている。

エ 正しい。不動産登記規則134条2項は、「登記官は、前条第三項の場合において、区分合併前のすべての建物に第百三十一条に規定する登記があるときは、同項の規定により区分合併後の建物について新たに作成した登記記録の乙区に当該登記を移記し、当該登記が合併後の建物の全部に関する旨を付記登記によって記録しなければならない。」と定めている。そして、同規則131条は、「法第五十六条第五号の合併後の建物の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。」と定め、1号で「担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの」を掲げている。本肢の場合は同規則133条3項の場合に当たり、区分合併前のすべての建物に同規則131条1号の登記があるから、本肢は正しい。

オ 正しい。不動産登記規則132条2項は、「登記官は、前項の場合において、附属合併により不動産所在事項に変更が生じた場合には、変更後の不動産所在事項、合併により変更した旨及び変更前の不動産所在事項を抹消する記号を記録しなければならない。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。なお、建物の分割の登記についても、同規則127条3項は、「登記官は、第一項の場合において、分割により不動産所在事項に変更が生じたときは、変更後の不動産所在事項、分割により変更した旨及び変更前の不動産所在事項を抹消する記号を記録しなければならない。」と定めている。

ポイント:区分建物でない建物を区分するときは、区分後の各建物について新たに登記記録を作成して区分前の登記記録を閉鎖するが、区分建物である甲建物を区分するときは、乙建物についてだけ新たに登記記録を作成し、甲建物の登記記録には残余部分の建物の表題部の登記事項等を記録する(不動産登記規則129条)。附属合併では、合併後の建物の表題部の登記事項等を乙建物の登記記録に記録して甲建物の登記記録を閉鎖し(同規則132条1項・3項)、不動産所在事項に変更が生じたときは変更後の不動産所在事項等を記録する(同条2項)。区分合併も乙建物の登記記録に記録して甲建物の登記記録を閉鎖するのが原則であるが(同規則133条1項・2項)、甲建物を乙建物に合併する区分合併で合併後の建物が区分建物でないときは、乙建物について新たに登記記録を作成し(同条3項)、合併前のすべての建物に同規則131条の担保権等の登記があれば、新たな登記記録の乙区に移記して、合併後の建物の全部に関する旨を付記登記で記録する(同規則134条2項)。どの建物について新たに登記記録が作られ、どの登記記録が閉鎖されるかを、場面ごとに整理する。


出題分野の振り分け

問 分野 主な論点 主な根拠条文
第1問 民法(総則・未成年者の行為能力) 単に義務を免れる法律行為と法定代理人の同意、取消権者に未成年者自身が含まれること、目的を定めないで処分を許した財産、営業の許可の取消し・制限、未成年後見人による営業の許可と未成年後見監督人の同意 民法4条〜6条、120条、823条、857条
第2問 民法(物権・共有物の分割) 協議をすることができないときの裁判による分割、賠償分割、分割の裁判における給付命令(登記義務の履行)、相続財産に属する共有物の分割の特則(10年経過後の例外は持分に限ること)、分割への参加 民法258条、258条の2、260条
第3問 民法(相続・共同相続人間の担保責任) 相続分に応じた担保責任、遺産の分割によって受けた債権の資力を担保する基準時(分割の時・弁済をすべき時)、資力のない共同相続人がある場合の分担と求償者の過失、遺言による別段の意思表示 民法909条、911条〜914条
第4問 不動産登記法・不動産登記規則(合筆の登記) 所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆、地目が異なる土地(田と畑)の合筆、所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地の合筆、登録番号が同一の鉱害賠償登録に関する登記がある土地の合筆、所有権の登記名義人でない買主による合筆の登記の申請 不動産登記法39条1項、41条、不動産登記規則99条、105条
第5問 不動産登記法・不動産登記規則(共用部分である旨の登記等) 共用部分である旨の登記がある建物の区分と登記事項の転写、共用部分である旨の登記の申請人、登記事項の変更・更正の登記の申請人、規約の廃止後に所有権を取得した者の表題登記の申請期間、規約の廃止による表題登記の記録方法 不動産登記法54条2項、58条1項・2項・5項〜7項、不動産登記規則142条、143条、区分所有法4条2項
第6問 不動産登記規則・準則(地積測量図・土地所在図の作成方法) 規則73条1項により作成された地積測量図と土地所在図の兼用、余白を用いた土地所在図の作成、基本三角点等に基づく座標値の記録方法、恒久的な地物に基づく座標値の記録方法、書面の地積測量図による土地所在図の兼用の要件 不動産登記規則73条1項、74条3項、76条2項、77条1項7号・8号・2項・4項、準則50条、51条2項〜5項
第7問 土地家屋調査士法(業務を行い得ない事件・依頼に応ずる義務) 民間紛争解決手続代理関係業務を行い得ない事件(22条の2第3項1号・2号)と同意による例外、調査士法人在籍中の事件と自らの関与、使用人である場合の事件(6号・7号)と同意による例外、依頼に応ずる義務の対象から除かれる業務 土地家屋調査士法3条1項4号・6号、22条、22条の2第2項・3項
第8問 不動産登記規則(建物の区分・合併の登記の記録方法) 区分建物である建物の区分の登記、附属合併の登記と不動産所在事項の変更、区分合併後の建物が区分建物でない場合の登記記録、区分合併における担保権の登記の移記 不動産登記規則127条3項、129条、131条、132条、133条、134条2項