問題:
時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 債権者が主たる債務者に対して裁判上の請求をした場合において、これによる時効の完成猶予及び更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみその効力を有するから、保証人に対しては、その効力を生じない。
イ. 債権者が、債務者のために物上保証人となった者が所有する不動産について担保権の実行としての競売の申立てをした場合には、債務者に通知がされたか否かにかかわらず、被担保債権について、民法148条の規定による時効の完成猶予の効力が生ずる。
ウ. 未成年者がその財産を管理する父又は母に対して権利を有するときは、その未成年者が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。
エ. 相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
オ. 民法162条の規定による所有権の取得時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは中断するものとされており、この規定は、所有権以外の財産権の取得時効(同法163条)の場合について準用される。
答え:
正しいものは、ウ・エ・オの3つである。
解説:
本問は、時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲(民法153条)と主たる債務者について生じた事由の保証人に対する効力(同法457条1項)、時効の利益を受ける者に対する通知(同法154条)、未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予(同法158条)、相続財産に関する時効の完成猶予(同法160条)及び占有の中止等による取得時効の中断(同法164条・165条)を問うものであり、正しいのはウ・エ・オの3つである。
ア 誤り。民法153条1項は、「第百四十七条又は第百四十八条の規定による時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。」と定めている。しかし、同法457条1項は、「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。」と定めている。主たる債務者に対する裁判上の請求による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対してもその効力を生ずるから、本肢は誤りである。なお、同法153条2項は、同法149条から151条までの規定による時効の完成猶予について、同条3項は、同法152条の規定による時効の更新について、それぞれ当事者及びその承継人の間においてのみその効力を有すると定めている。
イ 誤り。民法148条1項は、「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。」と定め、2号で「担保権の実行」を掲げている。そして、同法154条は、「第百四十八条第一項各号又は第百四十九条各号に掲げる事由に係る手続は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、第百四十八条又は第百四十九条の規定による時効の完成猶予又は更新の効力を生じない。」と定めている。本肢の担保権の実行の手続は、物上保証人の所有する不動産についてされるものであり、被担保債権の債務者に対してされるものではないから、債務者に対しては、債務者に通知をした後でなければ、同法148条の規定による時効の完成猶予の効力を生じない。債務者に通知がされたか否かにかかわらず効力が生ずるとする本肢は誤りである。
ウ 正しい。民法158条2項は、「未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。」と定めている。本肢は、同項のとおりである。なお、同条1項は、「時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。」と定めている。
エ 正しい。民法160条は、「相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。なお、同法159条は、「夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」と定め、同法161条は、「時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため第百四十七条第一項各号又は第百四十八条第一項各号に掲げる事由に係る手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から三箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」と定めている。
オ 正しい。民法164条は、「第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。」と定め、同法165条は、「前条の規定は、第百六十三条の場合について準用する。」と定めている。そして、同法163条は、「所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ポイント:時効の完成猶予及び更新の効力は、原則として、その事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ生ずる(民法153条)が、主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても効力を生ずる(同法457条1項)。強制執行・担保権の実行や仮差押え・仮処分の手続を時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ完成猶予又は更新の効力を生じない(同法154条)。完成猶予の特則の期間は、未成年者又は成年被後見人(同法158条)、夫婦間の権利(同法159条)、相続財産(同法160条)がいずれも6箇月であり、天災等(同法161条)だけが3箇月である。所有権の取得時効は、占有の任意の中止や占有を奪われたことにより中断し、この規定は所有権以外の財産権の取得時効にも準用される(同法164条・165条)。「誰に及ぶか」と「何箇月か」を条文ごとに区別する。
問題:
境界標、囲障及び境界線付近の建築等に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で境界標を設けることができ、境界標の設置及び保存の費用並びに測量の費用は、いずれも相隣者が等しい割合で負担する。
イ. 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができ、当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ2メートルのものでなければならない。
ウ. 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定され、各相隣者は、いつでもその分割を請求することができる。
エ. 境界線から50センチメートル以上の距離を保たないで建物を築造しようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができるが、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。
オ. 境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。)を設ける者は、目隠しを付けなければならず、この距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
答え:
誤っているものは、ア・ウの2つである。
解説:
本問は、境界標の設置及びその費用(民法223条・224条)、囲障の設置(同法225条〜228条)、境界標等の共有の推定と分割請求の可否(同法229条・256条・257条)、境界線付近の建築の制限(同法234条)及び目隠しの設置(同法235条・236条)を問うものであり、誤っているのはア・ウの2つである。
ア 誤り。民法223条は、「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。」と定め、同法224条は、「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。」と定めている。測量の費用は、相隣者が等しい割合で負担するのではなく、その土地の広狭に応じて分担するから、本肢は誤りである。
イ 正しい。民法225条1項は、「二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。」と定め、同条2項は、「当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同法226条は、囲障の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担すると定め、同法227条は、「相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。」と定め、同法228条は、「前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。」と定めている。
ウ 誤り。民法229条は、「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。」と定めており、本肢の前半はこの規定のとおりである。しかし、同法256条1項本文は、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。」と定めているところ、同法257条は、「前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない。」と定めている。境界線上に設けた境界標等の共有物については分割を請求することができないから、本肢は誤りである。なお、同法230条1項は、「一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない。」と定めている。
エ 正しい。民法234条1項は、「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。」と定め、同条2項は、「前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
オ 正しい。民法235条1項は、「境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。」と定め、同条2項は、「前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同法236条は、「前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。」と定めている。また、同法237条1項は、「井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から二メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない。」と定めている。
ポイント:境界標の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担するが、測量の費用だけは土地の広狭に応じて分担する(民法224条)。協議が調わないときの囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料で高さ2メートルのもの(同法225条2項)であり、費用は等しい割合で負担し(同法226条)、より良好な材料や高さを増す場合は費用の増加額を負担する(同法227条)。境界線上の境界標・囲障・障壁・溝・堀は相隣者の共有と推定され(同法229条)、その分割を請求することはできない(同法257条)。建物は境界線から50センチメートル以上離さなければならず、建築に着手した時から1年を経過し、又は建物が完成した後は損害賠償の請求のみとなる(同法234条)。境界線から1メートル未満の窓・縁側には目隠しが必要であり(同法235条1項)、同法234条・235条と異なる慣習があるときはその慣習に従う(同法236条)。井戸等は2メートル以上、池等は1メートル以上の距離を保つ(同法237条1項)。費用の「等分」と「広狭に応じて」、距離の数字を取り違えない。
問題:
遺産の分割に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができるが、遺産の分割の方法を定めることを第三者に委託することはできない。
イ. 共同相続人は、5年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができ、この契約は、5年以内の期間を定めて更新することができるが、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。
ウ. 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができるが、家庭裁判所は、特別の事由があるときであっても、遺産の分割を禁ずることはできない。
エ. 遺産の分割前に遺産に属する財産が共同相続人の一人により処分された場合において、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすには、当該処分をした共同相続人以外の共同相続人全員の同意があれば足り、当該処分をした共同相続人の同意を得ることを要しない。
オ. 相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされた後であっても、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。
答え:
誤っているものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
本問は、遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止(民法908条)、遺産の分割の協議又は審判(同法907条)、遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲(同法906条の2)及び相続財産の保存(同法897条の2)を問うものであり、誤っているのはア・ウ・オの3つである。
ア 誤り。民法908条1項は、「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。」と定めている。被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定めることを第三者に委託することができるから、本肢は誤りである。なお、同法907条1項は、「共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。」と定めている。
イ 正しい。民法908条2項は、「共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。」と定め、同条3項は、「前項の契約は、五年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
ウ 誤り。民法907条2項本文は、「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。」と定めており、本肢の前半はこの規定のとおりである。しかし、同法908条4項は、「前条第二項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。」と定めている。家庭裁判所は、特別の事由があるときは遺産の分割を禁ずることができるから、本肢は誤りである。なお、同条5項は、家庭裁判所は、5年以内の期間を定めて同条4項の期間を更新することができ、その期間の終期は相続開始の時から10年を超えることができないと定めている。
エ 正しい。民法906条の2第1項は、「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。」と定め、同条2項は、「前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
オ 誤り。民法897条の2第1項は、「家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。ただし、相続人が一人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第九百五十二条第一項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。」と定めている。相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたときは、家庭裁判所は同項本文の処分を命ずることができないから、本肢は誤りである。なお、同条2項は、同法27条から29条までの規定は、同条1項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用すると定めている。
ポイント:遺言による遺産の分割の禁止は、相続開始の時から5年を超えない期間に限られ、遺言では分割の方法の指定とその第三者への委託もできる(民法908条1項)。共同相続人の不分割契約(同条2項)とその更新(同条3項)、家庭裁判所による分割の禁止(同条4項)とその更新(同条5項)は、いずれも5年以内の期間で、その終期は相続開始の時から10年を超えることができない。遺産の分割前に処分された財産は、共同相続人全員の同意により遺産として存在するものとみなすことができ、処分をした共同相続人の同意は要しない(同法906条の2)。家庭裁判所による相続財産の保存に必要な処分は、相続人が一人でその相続人が単純承認をしたとき、相続人が数人で遺産の全部の分割がされたとき、相続財産の清算人が選任されているときは命ずることができない(同法897条の2第1項ただし書)。「5年」と「10年」がどの期間に掛かるかを条文の文言で確かめる。
問題:
地図、建物所在図及び地図に準ずる図面に関する次の記述のうち、不動産登記規則の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 新住宅市街地開発法等による不動産登記に関する政令6条2項の建物の全部についての所在図その他これに準ずる図面は、建物所在図として備え付けることを不適当とする特別の事情がある場合を除き、建物所在図として備え付けるものとされ、この建物所在図には、その作成年月日を記録するものとされている。
イ. 村落・農耕地域(主に田、畑又は塩田が占める地域及びその周辺の地域)における地図の縮尺は、土地の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でない場合を除き、千分の一又は二千五百分の一によるものとされている。
ウ. 登記官は、新たな地図を備え付けた場合において、従前の地図の一部を閉鎖したときは、当該閉鎖した部分と他の部分とを判然区別することができる措置を講じなければならない。
エ. 登記官は、地図に記録された土地の登記記録の表題部には地図の番号を記録しなければならないが、建物所在図に記録された建物の登記記録の表題部に建物所在図の番号を記録することは要しない。
オ. 地図の閉鎖に関する不動産登記規則12条1項から3項までの規定は、地図について定めたものであり、地図に準ずる図面及び建物所在図については準用されていない。
答え:
誤っているものは、イ・エ・オの3つである。
解説:
本問は、建物所在図の作成と記録事項(不動産登記規則11条・14条)、地図の縮尺(同規則10条2項)、地図等の閉鎖(同規則12条)及び地図・建物所在図の番号(同規則15条)を問うものであり、誤っているのはイ・エ・オの3つである。
ア 正しい。不動産登記規則11条1項は、「建物所在図は、地図及び建物図面を用いて作成することができる。」と定め、同条2項は、「前項の規定にかかわらず、新住宅市街地開発法等による不動産登記に関する政令(昭和四十年政令第三百三十号)第六条第二項(同令第十一条から第十三条までにおいて準用する場合を含む。)の建物の全部についての所在図その他これに準ずる図面は、これを建物所在図として備え付けるものとする。ただし、建物所在図として備え付けることを不適当とする特別の事情がある場合は、この限りでない。」と定めている。そして、同規則14条は、建物所在図の記録事項として、5号で「第十一条第二項の建物所在図にあっては、その作成年月日」を掲げている。本肢は、これらの規定のとおりである。
イ 誤り。不動産登記規則10条2項は、「地図の縮尺は、次の各号に掲げる地域にあっては、当該各号に定める縮尺によるものとする。ただし、土地の状況その他の事情により、当該縮尺によることが適当でない場合は、この限りでない。」と定め、2号で、村落・農耕地域(主に田、畑又は塩田が占める地域及びその周辺の地域をいう。)について「五百分の一又は千分の一」を定めている。千分の一又は二千五百分の一は、同項3号が山林・原野地域(主に山林、牧場又は原野が占める地域及びその周辺の地域をいう。)について定める縮尺であるから、本肢は誤りである。なお、同項1号は、市街地地域(主に宅地が占める地域及びその周辺の地域をいう。)について「二百五十分の一又は五百分の一」を定めている。
ウ 正しい。不動産登記規則12条1項は、「登記官は、新たな地図を備え付けた場合において、従前の地図があるときは、当該従前の地図の全部又は一部を閉鎖しなければならない。地図を電磁的記録に記録したときも、同様とする。」と定め、同条3項は、「登記官は、従前の地図の一部を閉鎖したときは、当該閉鎖した部分と他の部分とを判然区別することができる措置を講じなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
エ 誤り。不動産登記規則15条は、「登記官は、地図に記録された土地の登記記録の表題部には第十三条第一項第二号の地図の番号(同号括弧書きに規定する場合には、当該土地が属する図郭の番号)を記録し、建物所在図に記録された建物の登記記録の表題部には前条第二号の番号を記録しなければならない。」と定めている。同条にいう「前条第二号の番号」は、同規則14条2号の「建物所在図の番号」である。建物所在図に記録された建物の登記記録の表題部にも建物所在図の番号を記録しなければならないから、本肢は誤りである。
オ 誤り。不動産登記規則12条4項は、「前三項の規定は、地図に準ずる図面及び建物所在図について準用する。」と定めている。地図の閉鎖に関する同条1項から3項までの規定は、地図に準ずる図面及び建物所在図について準用されるから、本肢は誤りである。
ポイント:地図の縮尺は、市街地地域が二百五十分の一又は五百分の一、村落・農耕地域が五百分の一又は千分の一、山林・原野地域が千分の一又は二千五百分の一で、土地の状況その他の事情により適当でない場合は例外がある(不動産登記規則10条2項)。建物所在図は地図及び建物図面を用いて作成することができ、新住宅市街地開発法等による不動産登記に関する政令6条2項の建物の全部についての所在図等は原則として建物所在図として備え付け、その作成年月日を記録する(同規則11条・14条5号)。地図の番号は土地の、建物所在図の番号は建物の登記記録の表題部に記録する(同規則15条)。地図の閉鎖の規定(一部閉鎖の際の判然区別の措置を含む。)は、地図に準ずる図面及び建物所在図に準用される(同規則12条4項)。三つの地域の縮尺は、隣り合う地域で一つずつ重なる形で覚える。
問題:
建物の表題部の変更の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び不動産登記令の規定に照らし正しいものはいくつあるか。
ア. 附属建物を新築したことによる建物の表題部の変更の登記を申請するときは、変更後の建物図面及び各階平面図並びに附属建物について表題部所有者又は所有権の登記名義人が所有権を有することを証する情報を提供しなければならない。
イ. 共用部分である旨の登記がある建物について、建物の床面積に変更があった後に所有権を取得した者(共用部分である旨の登記がされた日から一月以内に当該変更の登記を申請しなければならない者を除く。)は、その変更があった日から一月以内に、床面積に関する変更の登記を申請しなければならない。
ウ. 建物の種類について変更があった後に当該建物について共用部分である旨の登記がされたときは、当該建物の所有者(表題部所有者又は所有権の登記名義人として当該変更の登記を申請しなければならない者を除く。)は、共用部分である旨の登記がされた日から一月以内に、建物の種類に関する変更の登記を申請しなければならない。
エ. 建物の一部を取り壊したことにより床面積が減少したことによる建物の表題部の変更の登記を申請するときは、変更後の各階平面図を提供すれば足り、変更後の建物図面を提供することを要しない。
オ. 共用部分である旨の登記がある建物について建物の表題部の変更の登記を申請するときは、当該建物の所有者を証する情報を提供しなければならない。
答え:
正しいものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
本問は、建物の表題部の変更の登記の申請義務(不動産登記法51条1項〜4項)及びその添付情報(不動産登記令別表14の項)を問うものであり、正しいのはア・ウ・オの3つである。
ア 正しい。不動産登記令別表14の項は、法51条1項から4項までの規定による建物の表題部の変更の登記等の添付情報として、添付情報欄ハで「附属建物を新築したときは、変更後の建物図面及び各階平面図並びに附属建物について表題部所有者又は所有権の登記名義人が所有権を有することを証する情報」を掲げている。本肢は、この規定のとおりである。
イ 誤り。不動産登記法51条4項は、「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について、第一項の登記事項について変更があった後に所有権を取得した者(前項の規定により登記を申請しなければならない者を除く。)は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。」と定めている。申請期間の起算日は所有権の取得の日であり、変更があった日ではないから、本肢は誤りである。
ウ 正しい。不動産登記法51条1項は、同法44条1項各号(2号及び6号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならないと定めており、建物の種類は同法44条1項3号に掲げる登記事項である。そして、同法51条3項は、「第一項の登記事項について変更があった後に共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記があったときは、所有者(前二項の規定により登記を申請しなければならない者を除く。)は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がされた日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。なお、同条2項は、「前項の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。」と定めている。
エ 誤り。不動産登記令別表14の項添付情報欄ロは、「床面積を変更し、又は更正するときは、次に掲げる事項」として、(1)で「変更後又は更正後の建物図面及び各階平面図」を、(2)で「床面積が増加するときは、床面積が増加した部分について表題部所有者又は所有権の登記名義人が所有権を有することを証する情報」を掲げている。床面積を変更するときは、床面積が減少する場合であっても、変更後の建物図面及び各階平面図の双方を提供しなければならないから、本肢は誤りである。
オ 正しい。不動産登記令別表14の項添付情報欄ニは、「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について申請をするときは、当該建物の所有者を証する情報」を掲げている。本肢は、この規定のとおりである。
ポイント:建物の表題部の変更の登記の申請期間はいずれも一月であるが、起算日は、変更があった日(不動産登記法51条1項)、変更後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者はその者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日(同条2項)、変更後に共用部分である旨の登記があったときはその登記がされた日(同条3項)、共用部分である旨の登記がある建物で変更後に所有権を取得した者は所有権の取得の日(同条4項)と分かれる。添付情報は、床面積の変更なら変更後の建物図面及び各階平面図(増加するときは増加部分の所有権を証する情報も)、附属建物の新築なら変更後の建物図面及び各階平面図並びに附属建物の所有権を証する情報、共用部分である旨の登記がある建物なら所有者を証する情報である(不動産登記令別表14の項)。
問題:
表示に関する登記の申請情報及び添付情報に関する次の記述のうち、不動産登記令の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地の表題登記を申請するときは、土地所在図、地積測量図及び表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報を提供しなければならないが、表題部所有者となる者の住所を証する情報を提供することは要しない。
イ. 地積に関する更正の登記を申請するときは、地積測量図を提供しなければならない。
ウ. 河川区域内の土地の一部が滅失したことにより、河川管理者が不動産登記法43条6項の規定により当該土地の地積に関する変更の登記を嘱託するときは、地積測量図を提供することを要しない。
エ. 表題部所有者の住所についての変更の登記を申請するときは、住所について変更があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)を提供しなければならない。
オ. 地目に関する変更の登記を申請するときは、変更後の地目を申請情報の内容としなければならない。
答え:
誤っているものは、ア・ウの2つである。
解説:
本問は、不動産登記令別表に定める表示に関する登記の申請情報及び添付情報のうち、表題部所有者の氏名等の変更の登記(別表1の項)、土地の表題登記(同4の項)、地目に関する変更の登記(同5の項)、地積に関する変更の登記又は更正の登記(同6の項)及び河川管理者が嘱託する地積に関する変更の登記(同11の項)を問うものであり、誤っているのはア・ウの2つである。
ア 誤り。不動産登記令別表4の項は、土地の表題登記の添付情報として、イで「土地所在図」、ロで「地積測量図」、ハで「表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報」、ニで「表題部所有者となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)」を掲げている。表題部所有者となる者の住所を証する情報も提供しなければならないから、本肢は誤りである。
イ 正しい。不動産登記令別表6の項は、「地積に関する変更の登記又は更正の登記(十一の項の登記を除く。)」の添付情報として、「地積測量図」を掲げている。本肢は、この規定のとおりである。
ウ 誤り。不動産登記法43条6項は、「第一項各号の河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の地積に関する変更の登記を登記所に嘱託しなければならない。」と定めている。そして、不動産登記令別表11の項は、「地積に関する変更の登記(法第四十三条第六項の規定により河川管理者が嘱託するものに限る。)」について、申請情報として、イで「法第四十三条第六項の規定により登記の嘱託をする旨」、ロで「変更後の地積」を、添付情報として「地積測量図」を掲げている。河川管理者が嘱託する地積に関する変更の登記においても地積測量図を提供しなければならないから、本肢は誤りである。
エ 正しい。不動産登記令別表1の項は、「表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記」の添付情報として、「表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)」を掲げている。本肢は、この規定のとおりである。
オ 正しい。不動産登記令別表5の項は、「地目に関する変更の登記又は更正の登記」の申請情報として、「変更後又は更正後の地目」を掲げている。本肢は、この規定のとおりである。
ポイント:土地の表題登記の添付情報は、土地所在図・地積測量図・所有権を有することを証する情報・住所を証する情報の4つである(不動産登記令別表4の項)。地積に関する変更の登記又は更正の登記には地積測量図を提供し(同別表6の項)、河川区域内の土地の一部の滅失により河川管理者が嘱託する地積に関する変更の登記でも、嘱託する旨と変更後の地積を内容とし、地積測量図を提供する(同別表11の項、不動産登記法43条6項)。地目に関する変更の登記又は更正の登記では、変更後又は更正後の地目を申請情報の内容とする(同別表5の項)。表題部所有者の氏名等の変更の登記又は更正の登記では、変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する公務員が職務上作成した情報を提供する(同別表1の項)。別表は「登記」「申請情報」「添付情報」の3欄で構成されるので、欄ごとに読む。
問題:
土地家屋調査士(以下「調査士」という。)の登録に関する次の記述のうち、土地家屋調査士法の規定に照らし正しいものはいくつあるか。なお、日本土地家屋調査士会連合会を「調査士会連合会」という。
ア. 調査士が死亡したときは、その相続人は、遅滞なく、当該調査士が所属していた土地家屋調査士会を経由して、調査士会連合会にその旨を届け出なければならない。
イ. 調査士が心身の故障により業務を行うことができないおそれがある場合として法務省令で定める場合に該当することとなったときは、その者又はその法定代理人若しくは同居の親族は、遅滞なく、法務大臣に対し、直接その旨を届け出るものとされている。
ウ. 調査士が所属する土地家屋調査士会の変更の登録の申請をした場合において、その者が土地家屋調査士法52条1項の規定による入会の手続をとっていないときは、調査士会連合会は、変更の登録を拒否することができる。
エ. 法務大臣は、必要があるときは、調査士会連合会に対し、その登録事務に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告をすることができる。
オ. 調査士となる資格を有しないことが判明したときは、調査士会連合会は、その登録を取り消すことができる。
答え:
正しいものは、ア・エの2つである。
解説:
本問は、所属する調査士会の変更の登録(土地家屋調査士法13条)、登録の取消しと届出(同法15条・16条)及び登録事務に関する報告等(同法19条)を問うものであり、正しいのはア・エの2つである。
ア 正しい。土地家屋調査士法15条1項は、「調査士が次の各号のいずれかに該当する場合には、調査士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。」と定め、1号で「その業務を廃止したとき。」、2号で「死亡したとき。」、3号で「調査士となる資格を有しないことが判明したとき。」、4号で「第五条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたとき。」を掲げている。そして、同条2項は、「調査士が前項各号に該当することとなつたときは、その者又はその法定代理人若しくは相続人は、遅滞なく、当該調査士が所属し、又は所属していた調査士会を経由して、調査士会連合会にその旨を届け出なければならない。」と定めている。本肢は、これらの規定のとおりである。
イ 誤り。土地家屋調査士法16条2項は、「調査士が心身の故障により業務を行うことができないおそれがある場合として法務省令で定める場合に該当することとなつたときは、その者又はその法定代理人若しくは同居の親族は、遅滞なく、当該調査士が所属する調査士会を経由して、調査士会連合会にその旨を届け出るものとする。」と定めている。届出は、所属する調査士会を経由して調査士会連合会にするものとされており、法務大臣に直接するのではないから、本肢は誤りである。
ウ 誤り。土地家屋調査士法13条1項は、「調査士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転しようとするときは、その管轄区域内に設立された調査士会を経由して、調査士会連合会に、所属する調査士会の変更の登録の申請をしなければならない。」と定め、同条3項は、「第一項の申請をした者が第五十二条第一項の規定による入会の手続をとつていないときは、調査士会連合会は、変更の登録を拒否しなければならない。」と定めている。入会の手続をとっていないときは、変更の登録を拒否しなければならないのであって、拒否することができるにとどまるのではないから、本肢は誤りである。
エ 正しい。土地家屋調査士法19条は、「法務大臣は、必要があるときは、調査士会連合会に対し、その登録事務に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告をすることができる。」と定めている。本肢は、同条のとおりである。
オ 誤り。土地家屋調査士法15条1項は、調査士会連合会がその登録を取り消さなければならない場合として、3号で「調査士となる資格を有しないことが判明したとき。」を掲げている。調査士となる資格を有しないことが判明したときは、登録を取り消さなければならないのであって、取り消すことができるにとどまるのではないから、本肢は誤りである。なお、同法16条1項は、調査士会連合会がその登録を取り消すことができる場合として、1号で「引き続き二年以上業務を行わないとき。」、2号で「心身の故障により業務を行うことができないとき。」を掲げている。
ポイント:登録を「取り消さなければならない」のは、業務の廃止・死亡・資格を有しないことの判明・同法5条各号(2号を除く。)への該当(土地家屋調査士法15条1項)で、本人又は法定代理人若しくは相続人が所属し、又は所属していた調査士会を経由して届け出る(同条2項)。「取り消すことができる」のは、引き続き2年以上業務を行わないとき・心身の故障により業務を行うことができないとき(同法16条1項)で、心身の故障のおそれがあるときは本人又は法定代理人若しくは同居の親族が所属する調査士会を経由して届け出る(同条2項)。変更の登録の申請者が入会の手続をとっていないときは、変更の登録を拒否しなければならない(同法13条3項)。法務大臣は、調査士会連合会に対し、登録事務に関し報告・資料の提出を求め、又は勧告をすることができる(同法19条)。「ねばならない」と「できる」、届出先の経由ルートを条文の文言で区別する。
問題:
区分建物の表題登記の申請情報及び添付情報に関する次の記述のうち、不動産登記令の規定に照らし誤っているものはいくつあるか。なお、建物の区分所有等に関する法律を「区分所有法」という。
ア. 区分建物の表題登記を申請するときは、建物図面、各階平面図、表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報及び表題部所有者となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)を提供しなければならない。
イ. 区分建物について敷地権が存するときは、敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積並びに敷地権の種類及び割合を申請情報の内容としなければならないが、敷地権の登記原因及びその日付を申請情報の内容とすることは要しない。
ウ. 区分建物について敷地権が存する場合において、敷地権の目的である土地が区分所有法5条1項の規定により建物の敷地となった土地であるときは、同項の規約を設定したことを証する情報を提供しなければならない。
エ. 区分建物について敷地権が存する場合において、敷地権が区分所有法22条2項ただし書の規約で定められている割合によるものであるときであっても、当該規約を設定したことを証する情報を提供することは要しない。
オ. 区分建物が属する一棟の建物の敷地について登記された所有権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり、かつ、区分所有法22条1項ただし書の規約における別段の定めがあることにより当該所有権が当該区分建物の敷地権とならないときは、当該事由を証する情報を提供しなければならない。
答え:
誤っているものは、イ・エの2つである。
解説:
本問は、建物の表題登記の申請情報及び添付情報を定める不動産登記令別表12の項のうち、区分建物に関する部分を問うものであり、誤っているのはイ・エの2つである。
ア 正しい。不動産登記令別表12の項は、「建物の表題登記(十三の項及び二十一の項の登記を除く。)」の添付情報として、イで「建物図面」、ロで「各階平面図」、ハで「表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報」、ニで「表題部所有者となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)」を掲げている。同項は、添付情報欄ホ・ヘで区分建物及び敷地権に関する情報も定めており、区分建物の表題登記も、合体による登記等(13の項)又は不動産登記法58条6項若しくは7項の規定により申請するもの(21の項)でない限り、これに当たるから、本肢は正しい。
イ 誤り。不動産登記令別表12の項申請情報欄イは、「建物又は附属建物について敷地権が存するときは、次に掲げる事項」として、(1)で「敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積」、(2)で「敷地権の種類及び割合」、(3)で「敷地権の登記原因及びその日付」を掲げている。敷地権の登記原因及びその日付も申請情報の内容としなければならないから、本肢は誤りである。
ウ 正しい。不動産登記令別表12の項添付情報欄ヘは、「建物又は附属建物について敷地権が存するときは、次に掲げる情報」として、(1)で「敷地権の目的である土地が区分所有法第五条第一項の規定により建物の敷地となった土地であるときは、同項の規約を設定したことを証する情報」を掲げている。本肢は、この規定のとおりである。
エ 誤り。不動産登記令別表12の項添付情報欄ヘ(2)は、「敷地権が区分所有法第二十二条第二項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約で定められている割合によるものであるときは、当該規約を設定したことを証する情報」を掲げている。敷地権が規約で定められている割合によるものであるときは、当該規約を設定したことを証する情報を提供しなければならないから、本肢は誤りである。なお、同欄ヘ(3)は、「敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、当該土地の登記事項証明書」を掲げている。
オ 正しい。不動産登記令別表12の項添付情報欄ホは、「建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物が属する一棟の建物の敷地(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第五項に規定する建物の敷地をいう。以下同じ。)について登記された所有権、地上権又は賃借権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり、かつ、区分所有法第二十二条第一項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約における別段の定めがあることその他の事由により当該所有権、地上権又は賃借権が当該区分建物の敷地権とならないときは、当該事由を証する情報」を掲げている。本肢は、この規定のとおりである。
ポイント:区分建物の表題登記でも、建物図面・各階平面図・所有権を有することを証する情報・住所を証する情報を提供する(不動産登記令別表12の項添付情報欄イ〜ニ)。敷地権が存するときは、敷地権の目的となる土地の所在・地番・地目・地積、敷地権の種類及び割合、敷地権の登記原因及びその日付を申請情報の内容とする(同申請情報欄イ)。添付情報として、規約敷地なら規約を設定したことを証する情報、規約で定めた割合なら当該規約を設定したことを証する情報、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるなら当該土地の登記事項証明書を提供する(同添付情報欄ヘ)。敷地に登記された所有権等があるのに分離処分可能規約等により敷地権とならないときは、その事由を証する情報を提供する(同添付情報欄ホ)。「規約」がからむ添付情報は、規約敷地・規約割合・分離処分可能規約の3つに分けて整理する。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 民法(総則・時効の完成猶予) | 時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲と保証人に対する効力、時効の利益を受ける者に対する通知、未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予、相続財産に関する時効の完成猶予、占有の中止等による取得時効の中断とその準用 | 民法148条、153条、154条、158条〜161条、163条〜165条、457条 |
| 第2問 | 民法(物権・相隣関係) | 境界標の設置・保存の費用と測量の費用、囲障の設置と協議が調わない場合の材料・高さ、境界標等の共有の推定と分割請求の可否、境界線付近の建築の制限と損害賠償、目隠しを要する窓・縁側と距離の測定 | 民法223条〜230条、234条〜237条、256条、257条 |
| 第3問 | 民法(相続・遺産の分割) | 遺言による分割の方法の指定・委託と分割の禁止、共同相続人の不分割契約とその更新、家庭裁判所による分割の禁止、遺産の分割前に処分された財産と遺産の範囲、相続財産の保存に必要な処分の例外 | 民法897条の2、906条の2、907条、908条 |
| 第4問 | 不動産登記規則(地図・建物所在図・地図に準ずる図面) | 新住宅市街地開発法等による所在図の建物所在図としての備付けと作成年月日、地図の縮尺(村落・農耕地域)、従前の地図の一部閉鎖と判然区別の措置、建物所在図の番号の表題部への記録、地図の閉鎖の規定の準用 | 不動産登記規則10条2項、11条、12条、14条、15条 |
| 第5問 | 不動産登記法・不動産登記令(建物の表題部の変更の登記) | 附属建物の新築の添付情報、共用部分である旨の登記がある建物の変更後の所有権取得者の申請期間、変更後に共用部分である旨の登記がされた場合の申請期間、床面積の変更の添付情報、共用部分である旨の登記がある建物の所有者を証する情報 | 不動産登記法44条1項、51条1項〜4項、不動産登記令別表14の項 |
| 第6問 | 不動産登記令(表示に関する登記の申請情報及び添付情報) | 土地の表題登記の添付情報(住所を証する情報)、地積に関する更正の登記と地積測量図、河川管理者が嘱託する地積に関する変更の登記、表題部所有者の住所の変更の登記の添付情報、地目に関する変更の登記の申請情報 | 不動産登記法43条6項、不動産登記令別表1・4・5・6・11の項 |
| 第7問 | 土地家屋調査士法(登録) | 死亡の場合の相続人による届出、心身の故障のおそれがある場合の届出の経由、変更の登録の拒否(入会の手続)、登録事務に関する法務大臣の報告徴収・勧告、資格を有しないことが判明した場合の登録の取消し | 土地家屋調査士法13条、15条、16条、19条 |
| 第8問 | 不動産登記令(区分建物の表題登記の申請情報及び添付情報) | 区分建物の表題登記の添付情報、敷地権の登記原因及びその日付、規約敷地と規約を設定したことを証する情報、規約で定めた敷地権の割合、分離処分可能規約等により敷地権とならない事由を証する情報 | 不動産登記令別表12の項 |